31章
夢小説設定
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ベルガラックを後にした我々は、船に乗り込んで北の島を目指して出航した。
天気は快晴、穏やかな海をざざーん……と船は進んでいく。
時折、コンパスで方向を確認しながら、船は北を目指し続けた。
「……う」
なんだか胃がムカムカしてきた。
胸の辺りに閉塞感もある。
有り体に言えば、気持ち悪い。
「姉貴?」
「ん?」
「どうかしたんでげすかい?」
「んーん、大丈夫だよ」
ヤンガスに首を振って笑ってみせて、舵をとるエイトを見やる。
それにしても、なかなか見えてこないな、北の島。
本当に近付いているんだろうか。
「んー……。……ん?」
遠くにうっすらと島のようなものが見えた。
あれが北の孤島ってやつじゃない?
ゼシカたちに教えようと口を開いた、その時。
「うっ……」
今までにないくらいの不快感が、胸にせり上がってきた。
ぐらりと視界が揺れて、甲板の手すりにしがみつく。
吐き気、それとも少し違う、でも全身が拒絶反応を示している。
こちらを振り向いたエイトが私を見て、さっと駆け寄ってきた。
「レイラ、大丈夫? 顔が真っ青だよ」
「……多分、船酔いだと思うんだけど……」
「今になって?」
エイトはそういうところにはやけに鋭くて、昔から他人の不調には敏感だった。
僅かな異常だって、エイトは見逃さない。
それにしたって、無鉄砲の代名詞こと私に対しては、なおさら敏感になってないか?
たぶん自業自得だな、これ。
「横になっておいた方がいい」
「ううん、大丈夫……」
「また強がり言ってるだろ。無理はしないでって言ったじゃないか」
「う……ごめん。ちょっと船室で横になってくる……」
エイトの声音が強いということは、これ以上ごねるとマジギレするということだ。
大人しく言うことを聞いておこう。
申し訳なくなりつつ、エイトに頷いたとき。
ゼシカの声が甲板に響いた。
「見えたわよ! 北の孤島!」
ゼシカが指差す先には、陸地がはっきりと見えている。
あれが北の孤島──あそこに今、ドルマゲスが。
禍々しい気配がここからでも伝わってくる。
あの島、ただの島じゃない。
不快感は強くなって、本能があの島を嫌がっているようにさえ思えた。
「は……はっ……う……」
「レイラ、大丈夫? レイラ!」
「く、苦し……息、できな……」
膝がカクンと折れて、体が甲板に傾いていく。
エイトが慌てたように抱き留めてくれたけれど、島に近づくにつれて苦しさは増していた。
「あぅっ……!! 熱っ……!」
頭に鋭い痛みが走った瞬間、チュニックの下にあるネックレスが発熱した。
火傷するのが怖くて、ネックレスを引っ張り出す。
ネックレスは眩しく光を放っていて、何かを嫌がっている……何かに反発しているようにも見えた。
「レイラ! レイラ、しっかり!」
頭の中で、霊導者の血が叫ぶ。
──この孤島に、奴がいると。
この島は闇の力で溢れていると。
耳鳴りがし始めて、エイトの声が遠くなっていく。
脂汗がこめかみを垂れる中、気力を振り絞って顔を上げた。
……禍々しい気が充満している。
神聖な気を纏う私の血筋とは、かなり相性が悪い。
「い、る……。この孤島に、奴が……」
行かなきゃいけない。
私は、そのためにここまで旅をしてきたんだ。
その禍々しい気の持ち主を倒すために。
こんなところで倒れている場合じゃない!
『聖なる力よ、我が声に応えよ──』
体の内側から声が聞こえた。
今の声は……ヨシュア?
エイトにしがみついたまま、喘ぐように呼吸を繰り返す。
ぐちゃぐちゃになっている体内の力が、少しずつ整えられていく気配がした。
『其は悪しき力を跳ね除ける盾。其は悪しき力より彼の者を守る鎧。これよりは剣を収め、彼の者に加護を授けよ。彼の者の身を寄る辺とし、今ひとたび深く眠れ──』
ヨシュアの声に呼応するように、発熱していたネックレスから熱が引いていく。
不思議な聖句を唱えたヨシュアの気配が遠ざかった直後、痛みがすっと引いていった。
ままならなかった呼吸は正常に戻り、酸素が一気に肺に飛び込んでくる。
思わず咳き込んでしまった間に、ネックレスの発熱はすっかり止まっていた。
「レイラ、大丈夫!?」
「何とか……。多分……ヨシュアが助けてくれたんだと思う。私の血筋とドルマゲスの力は、相性が最悪らしくて……」
船が孤島のすぐ横に停泊して、陸地にタラップを渡した。
立ち上がる時に少しだけふらついたけど、ここで休んでいるわけにはいかない。
ここにドルマゲスがいることは間違いないんだから。
「ねぇ、本当に大丈夫なの? 船で横になってたほうが……」
「ううん。この目で確かめたいの。何も知らずに敵地に飛び込むのは危ないから」
「頼むから、無茶だけはすんなよ?」
「うん」
ククールに頷いて見せると、ククールはエイトに向かって頷いた。
エイトの手が私から離れていく。
二、三度ほど深呼吸をしてから、私もエイトに大丈夫だと頷いた。
「それじゃあ、行こう!」
エイトの声を合図に、全員が船から降りる。
そうして陸地に足を踏み入れた、その瞬間。
今度はネックレスが眩しく光り始めた。
天気は快晴、穏やかな海をざざーん……と船は進んでいく。
時折、コンパスで方向を確認しながら、船は北を目指し続けた。
「……う」
なんだか胃がムカムカしてきた。
胸の辺りに閉塞感もある。
有り体に言えば、気持ち悪い。
「姉貴?」
「ん?」
「どうかしたんでげすかい?」
「んーん、大丈夫だよ」
ヤンガスに首を振って笑ってみせて、舵をとるエイトを見やる。
それにしても、なかなか見えてこないな、北の島。
本当に近付いているんだろうか。
「んー……。……ん?」
遠くにうっすらと島のようなものが見えた。
あれが北の孤島ってやつじゃない?
ゼシカたちに教えようと口を開いた、その時。
「うっ……」
今までにないくらいの不快感が、胸にせり上がってきた。
ぐらりと視界が揺れて、甲板の手すりにしがみつく。
吐き気、それとも少し違う、でも全身が拒絶反応を示している。
こちらを振り向いたエイトが私を見て、さっと駆け寄ってきた。
「レイラ、大丈夫? 顔が真っ青だよ」
「……多分、船酔いだと思うんだけど……」
「今になって?」
エイトはそういうところにはやけに鋭くて、昔から他人の不調には敏感だった。
僅かな異常だって、エイトは見逃さない。
それにしたって、無鉄砲の代名詞こと私に対しては、なおさら敏感になってないか?
たぶん自業自得だな、これ。
「横になっておいた方がいい」
「ううん、大丈夫……」
「また強がり言ってるだろ。無理はしないでって言ったじゃないか」
「う……ごめん。ちょっと船室で横になってくる……」
エイトの声音が強いということは、これ以上ごねるとマジギレするということだ。
大人しく言うことを聞いておこう。
申し訳なくなりつつ、エイトに頷いたとき。
ゼシカの声が甲板に響いた。
「見えたわよ! 北の孤島!」
ゼシカが指差す先には、陸地がはっきりと見えている。
あれが北の孤島──あそこに今、ドルマゲスが。
禍々しい気配がここからでも伝わってくる。
あの島、ただの島じゃない。
不快感は強くなって、本能があの島を嫌がっているようにさえ思えた。
「は……はっ……う……」
「レイラ、大丈夫? レイラ!」
「く、苦し……息、できな……」
膝がカクンと折れて、体が甲板に傾いていく。
エイトが慌てたように抱き留めてくれたけれど、島に近づくにつれて苦しさは増していた。
「あぅっ……!! 熱っ……!」
頭に鋭い痛みが走った瞬間、チュニックの下にあるネックレスが発熱した。
火傷するのが怖くて、ネックレスを引っ張り出す。
ネックレスは眩しく光を放っていて、何かを嫌がっている……何かに反発しているようにも見えた。
「レイラ! レイラ、しっかり!」
頭の中で、霊導者の血が叫ぶ。
──この孤島に、奴がいると。
この島は闇の力で溢れていると。
耳鳴りがし始めて、エイトの声が遠くなっていく。
脂汗がこめかみを垂れる中、気力を振り絞って顔を上げた。
……禍々しい気が充満している。
神聖な気を纏う私の血筋とは、かなり相性が悪い。
「い、る……。この孤島に、奴が……」
行かなきゃいけない。
私は、そのためにここまで旅をしてきたんだ。
その禍々しい気の持ち主を倒すために。
こんなところで倒れている場合じゃない!
『聖なる力よ、我が声に応えよ──』
体の内側から声が聞こえた。
今の声は……ヨシュア?
エイトにしがみついたまま、喘ぐように呼吸を繰り返す。
ぐちゃぐちゃになっている体内の力が、少しずつ整えられていく気配がした。
『其は悪しき力を跳ね除ける盾。其は悪しき力より彼の者を守る鎧。これよりは剣を収め、彼の者に加護を授けよ。彼の者の身を寄る辺とし、今ひとたび深く眠れ──』
ヨシュアの声に呼応するように、発熱していたネックレスから熱が引いていく。
不思議な聖句を唱えたヨシュアの気配が遠ざかった直後、痛みがすっと引いていった。
ままならなかった呼吸は正常に戻り、酸素が一気に肺に飛び込んでくる。
思わず咳き込んでしまった間に、ネックレスの発熱はすっかり止まっていた。
「レイラ、大丈夫!?」
「何とか……。多分……ヨシュアが助けてくれたんだと思う。私の血筋とドルマゲスの力は、相性が最悪らしくて……」
船が孤島のすぐ横に停泊して、陸地にタラップを渡した。
立ち上がる時に少しだけふらついたけど、ここで休んでいるわけにはいかない。
ここにドルマゲスがいることは間違いないんだから。
「ねぇ、本当に大丈夫なの? 船で横になってたほうが……」
「ううん。この目で確かめたいの。何も知らずに敵地に飛び込むのは危ないから」
「頼むから、無茶だけはすんなよ?」
「うん」
ククールに頷いて見せると、ククールはエイトに向かって頷いた。
エイトの手が私から離れていく。
二、三度ほど深呼吸をしてから、私もエイトに大丈夫だと頷いた。
「それじゃあ、行こう!」
エイトの声を合図に、全員が船から降りる。
そうして陸地に足を踏み入れた、その瞬間。
今度はネックレスが眩しく光り始めた。
