30章
夢小説設定
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町の喧騒の中にいると、これまでのことが嘘みたいに思えてくる。
平和だなって思えてしまって。
「エイトが心折れるところは想像つかないなぁ」
「その話、続いてたんだ。……でも少なくとも、寂しかったかもしれないな。もしこの旅にレイラがいなかったら」
「えー、そうかなぁ? 喧しい上に寄り道ばっかするやつがいなくて、もうちょっとスムーズに旅が進んでたかもよ?」
「あはは……まあ、寄り道が好きなのは、僕も人のこと言えないから。そういえば最近、チーズおじさんの小屋に寄ってないな」
「たしかに。って言っても、なかなかあの辺に用が出来たりしないもんねぇ」
「トーポがチーズを食べると火を吹くんだって、あのおじさんに言われたなかったら考えもしなかった。レイラが寄り道しようって言ってくれたおかげだね」
「え、そんなそんな! えへへ、んもう、褒め上手なんだから!」
べちんと照れ隠しにエイトの背中をぶっ叩く。
「うっ」とエイトが小さく呻いた。
まあでも、不思議なこと言うおじさんだなとは思ったよね。
トーポを見て「普通のネズミじゃない」って気付いちゃうのも変だったし。
私たち、トーポと十年くらい一緒に過ごしてるんだけど、火を吹くとか知らなかったもん。
「カジノが再開したら、みんなで遊びに来たいねー」
「そうだね。この旅が終わったら、最後にみんなで遊ぼうか。楽しそうだな」
「ククールがまたイカサマして、取っ組み合いの大喧嘩になったりして」
「そうなったら間違いなく出禁だろうな、僕ら……」
エイトはそう呟いて遠い目をした。
ドニの酒場での一幕、みんなの記憶に残りすぎだよ。
かくいう私も忘れられないけどさ。
「……終わらせられるかな、私たち」
「ドルマゲスを追う旅は、早く終わらせたいよ」
背もたれにもたれかかって、エイトは空を見上げて言った。
それはきっと、みんながそう思っている。
私だってドルマゲスを追いかける旅は終わらせたい。
でもそうしたら……みんなとはお別れになっちゃうんだろうな。
「ドルマゲスを倒したらさ、エイトは近衛兵に戻る?」
「レイラは戻らないの?」
「……みんなとお別れになるの、やだなぁって」
思わず本音を零してしまうと、エイトはふっと笑って私の頭を撫でた。
そうだね、と呟く声は少し寂しそう。
だってこのメンバーで旅をするのがこんなにも楽しいなんて、最初は思いもしなかったんだもん。
「僕も寂しい」
「そうなの?」
「もちろん。ここまで旅してきた仲間なんだから」
「……仲間かぁ。そうだよね、仲間だもんね」
ぐっと背伸びをして、私もベンチの背もたれにもたれかかった。
浮かんでいる雲が流れていくのを見上げながら、気が付いたら呟いていた。
「全部終わったら、私だけ旅に出ようかな……」
「えっ」
「一年に一回は戻ってくるよ。エイトと姫様に会いたいし」
「僕は一緒じゃないの?」
「エイトがいなくなったら、姫様泣いちゃうよ?」
「レイラがいなくなっても泣くよ。姫の幼馴染みなのはレイラも一緒なんだから」
「んー、まぁ寂しがってくれるとは思うけど……。泣かないんじゃないかなぁ、エイトがいるし」
「……」
「気が付いたら可愛いお嫁さんがいて、めちゃくちゃ出世してるんだろうなー、エイトは。いっそ隊長まで上り詰めちゃえば?」
なぜか傷ついたような顔をして、エイトは私を見つめていた。
あ、あれ……そんなにショックを与えるような話だったのか、これ。
予想と全く違う反応をされて、どう返したものか分からずに焦っていると、向こうからゼシカ達が戻ってくるのが見えた。
た、助かった! めちゃくちゃ気まずくなるところだった!
「よっ」
私たちに気付いたククールが片手を上げて、私も三人に手を振り返した。
ため息をついて、私の隣にゼシカが座り込む。
どうやら今回もククールのナンパ癖が炸裂したようだ。
とはいえ、情報がなかったのは、三人の表情が物語っていた。
「こっちは特に気になる話は聞かなかったわ」
ゼシカが残念そうに言う。
ヤンガスとククールも何も言わないから、本当に何も手がかりを掴めなかったんだろう。
「ただ、聞き捨てならねぇ話は聞きやしたぜ。カジノのオーナーであるギャリングって人の家に、強盗が押し入ったそうでげす。それ以来、カジノが閉まっちまったそうなんですが……」
「でもそのギャリングって人、素手で熊を倒せるくらい強いんでしょ? どうして家に引きこもってるのかしら」
「素手で熊を倒せるって何?」
もはやそれは人間ではなくない?
ヤンガスだって無理だよ、素手で熊を倒すのは。
比較対象にして申し訳ないけど。
「二人は? たしか酒場に行ってたんだよな」
「あ、酒場にはまだ……。でもすごい話を聞いちゃった」
「僕たちも今回のカジノ閉鎖のことを耳にしたんだけど……」
そう言って、エイトが宿屋で聞いたことを説明した。
ギャリング邸に押し入った強盗は、道化師の格好をしていたこと。
そいつは金目の物には手を出さずに、ギャリングさんを殺して立ち去ったこと。
その仇を討つため、フォーグとユッケという二人が追っ手を放ったこと──。
「何よそれ、絶対にドルマゲスの仕業じゃない!」
ゼシカのそれに私とエイトは揃って頷いた。
このギャリング殺害事件はここ最近の話ではなくて、少し前の事らしい。
私たちが船を手に入れるために走り回っている頃に起きた出来事なのかもしれない。
「今から酒場に行って、マスターに話を聞こうと思うんだ。みんなも聞きたいだろうと思って、ここで待ってた」
「すぐに向かいましょう! ドルマゲスの居場所を突き止めないと!」
「うん。行こう」
ドルマゲスはベルガラックで事を起こしたあと、どこに行ったんだろう。
追っ手を差し向けたということは、フォーグとユッケの二人は、ドルマゲスの行方を知っているということだ。
酒場のマスターが何か知っているといいけど……。
平和だなって思えてしまって。
「エイトが心折れるところは想像つかないなぁ」
「その話、続いてたんだ。……でも少なくとも、寂しかったかもしれないな。もしこの旅にレイラがいなかったら」
「えー、そうかなぁ? 喧しい上に寄り道ばっかするやつがいなくて、もうちょっとスムーズに旅が進んでたかもよ?」
「あはは……まあ、寄り道が好きなのは、僕も人のこと言えないから。そういえば最近、チーズおじさんの小屋に寄ってないな」
「たしかに。って言っても、なかなかあの辺に用が出来たりしないもんねぇ」
「トーポがチーズを食べると火を吹くんだって、あのおじさんに言われたなかったら考えもしなかった。レイラが寄り道しようって言ってくれたおかげだね」
「え、そんなそんな! えへへ、んもう、褒め上手なんだから!」
べちんと照れ隠しにエイトの背中をぶっ叩く。
「うっ」とエイトが小さく呻いた。
まあでも、不思議なこと言うおじさんだなとは思ったよね。
トーポを見て「普通のネズミじゃない」って気付いちゃうのも変だったし。
私たち、トーポと十年くらい一緒に過ごしてるんだけど、火を吹くとか知らなかったもん。
「カジノが再開したら、みんなで遊びに来たいねー」
「そうだね。この旅が終わったら、最後にみんなで遊ぼうか。楽しそうだな」
「ククールがまたイカサマして、取っ組み合いの大喧嘩になったりして」
「そうなったら間違いなく出禁だろうな、僕ら……」
エイトはそう呟いて遠い目をした。
ドニの酒場での一幕、みんなの記憶に残りすぎだよ。
かくいう私も忘れられないけどさ。
「……終わらせられるかな、私たち」
「ドルマゲスを追う旅は、早く終わらせたいよ」
背もたれにもたれかかって、エイトは空を見上げて言った。
それはきっと、みんながそう思っている。
私だってドルマゲスを追いかける旅は終わらせたい。
でもそうしたら……みんなとはお別れになっちゃうんだろうな。
「ドルマゲスを倒したらさ、エイトは近衛兵に戻る?」
「レイラは戻らないの?」
「……みんなとお別れになるの、やだなぁって」
思わず本音を零してしまうと、エイトはふっと笑って私の頭を撫でた。
そうだね、と呟く声は少し寂しそう。
だってこのメンバーで旅をするのがこんなにも楽しいなんて、最初は思いもしなかったんだもん。
「僕も寂しい」
「そうなの?」
「もちろん。ここまで旅してきた仲間なんだから」
「……仲間かぁ。そうだよね、仲間だもんね」
ぐっと背伸びをして、私もベンチの背もたれにもたれかかった。
浮かんでいる雲が流れていくのを見上げながら、気が付いたら呟いていた。
「全部終わったら、私だけ旅に出ようかな……」
「えっ」
「一年に一回は戻ってくるよ。エイトと姫様に会いたいし」
「僕は一緒じゃないの?」
「エイトがいなくなったら、姫様泣いちゃうよ?」
「レイラがいなくなっても泣くよ。姫の幼馴染みなのはレイラも一緒なんだから」
「んー、まぁ寂しがってくれるとは思うけど……。泣かないんじゃないかなぁ、エイトがいるし」
「……」
「気が付いたら可愛いお嫁さんがいて、めちゃくちゃ出世してるんだろうなー、エイトは。いっそ隊長まで上り詰めちゃえば?」
なぜか傷ついたような顔をして、エイトは私を見つめていた。
あ、あれ……そんなにショックを与えるような話だったのか、これ。
予想と全く違う反応をされて、どう返したものか分からずに焦っていると、向こうからゼシカ達が戻ってくるのが見えた。
た、助かった! めちゃくちゃ気まずくなるところだった!
「よっ」
私たちに気付いたククールが片手を上げて、私も三人に手を振り返した。
ため息をついて、私の隣にゼシカが座り込む。
どうやら今回もククールのナンパ癖が炸裂したようだ。
とはいえ、情報がなかったのは、三人の表情が物語っていた。
「こっちは特に気になる話は聞かなかったわ」
ゼシカが残念そうに言う。
ヤンガスとククールも何も言わないから、本当に何も手がかりを掴めなかったんだろう。
「ただ、聞き捨てならねぇ話は聞きやしたぜ。カジノのオーナーであるギャリングって人の家に、強盗が押し入ったそうでげす。それ以来、カジノが閉まっちまったそうなんですが……」
「でもそのギャリングって人、素手で熊を倒せるくらい強いんでしょ? どうして家に引きこもってるのかしら」
「素手で熊を倒せるって何?」
もはやそれは人間ではなくない?
ヤンガスだって無理だよ、素手で熊を倒すのは。
比較対象にして申し訳ないけど。
「二人は? たしか酒場に行ってたんだよな」
「あ、酒場にはまだ……。でもすごい話を聞いちゃった」
「僕たちも今回のカジノ閉鎖のことを耳にしたんだけど……」
そう言って、エイトが宿屋で聞いたことを説明した。
ギャリング邸に押し入った強盗は、道化師の格好をしていたこと。
そいつは金目の物には手を出さずに、ギャリングさんを殺して立ち去ったこと。
その仇を討つため、フォーグとユッケという二人が追っ手を放ったこと──。
「何よそれ、絶対にドルマゲスの仕業じゃない!」
ゼシカのそれに私とエイトは揃って頷いた。
このギャリング殺害事件はここ最近の話ではなくて、少し前の事らしい。
私たちが船を手に入れるために走り回っている頃に起きた出来事なのかもしれない。
「今から酒場に行って、マスターに話を聞こうと思うんだ。みんなも聞きたいだろうと思って、ここで待ってた」
「すぐに向かいましょう! ドルマゲスの居場所を突き止めないと!」
「うん。行こう」
ドルマゲスはベルガラックで事を起こしたあと、どこに行ったんだろう。
追っ手を差し向けたということは、フォーグとユッケの二人は、ドルマゲスの行方を知っているということだ。
酒場のマスターが何か知っているといいけど……。
