29章
夢小説設定
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早く寝すぎたのか、夜中になって目が覚めてしまった。
欠伸を噛み殺しながらベッドを抜け出し、教会の外へ出る。
馬車の中では陛下もお休みになっておられるようだし、姫様も今はお休み中だ。
そのまま教会の裏手に向かうと、遠くに明かりが見えた。
町の明かりのようにも見えるけれど、あれがベルガラックなのかな。
それから魔物が寄ってこない範囲でぐるっと一周して、教会の中へ戻った。
ベッドに横になったはいいものの、全然眠くならない。
あんまり寝たり起きたりを繰り返すと、ゼシカが起きちゃうな……。
仕方ない。
あの明かりが何か気になったけど、朝になって誰かに聞くしかないか。
目を閉じて深く呼吸をしていく。
そうして徐々に意識が薄れていき、ゆっくりと眠りに就いた。
* * *
翌朝。
一番鶏の鳴き声でぱっと目が覚めた。
ぐっと伸びをして、身支度を整えていく。
「そういえば昨日の夜、向こうに明るいものが見えたな。あれって多分、町の明かりだよね……」
独り言にしてはデカかったな。
脳と口が直結してるから、思ったことがすぐ声に出てしまう。
うーん、もしあれがベルガラックなら、ここからそう遠くなさそうで、ありがたいんだけど……。
スルーしようかとも思ったけど、やっぱり気になったので、シスターさんに聞いてみた。
「あのー、ひとつお尋ねしたいんですけど」
「はい、なんでしょう」
「この先に町があるんですか? 昨日の夜、明かりがうっすら見えたんですけど……」
「ええ、この先には、ベルガラックという町がありますわ。カジノの町として有名なんですよ。ただ、今はオーナーがお屋敷から出てきて下さらないとかで、休業中なのですけれど」
残念だったなククール!
今回、神様は聖職者である君を見捨てたらしいよ!
イカサマ野郎にはとんでもなく厳しい神様だな。
まあ当然か、生臭坊主にも程があるもんね。
その後も聞き込みをしたけど、ドルマゲスについてのめぼしい情報は、それ以上は得られなかった。
「……ドルマゲス……か」
奴は本当に何がしたいんだろう。
ヨシュアはドルマゲスのことを、「操られた者」と言っていた。
それが本当なら、奴は誰に操られてるの?
ドルマゲスよりも強力な力を持った奴が、この世界にいるのかな……。
「おはよう、レイラ」
考え事をしていたせいで反応が遅れた。
一拍置いて声の主を振り返る。
立っていたのはエイトだった。
「……あ、おはよう」
「朝の稽古?」
「特にそういうつもりじゃなかったんだけど……。自然と目が覚めちゃっただけで」
「そっか。初めて来た大陸だから、ワクワクして眠れなかったのかと思った」
「こ、子供じゃないんだから!」
「そう?」なんて笑って、エイトは教会を出ていった。
そうだよ、もう子供っぽい……能天気な私じゃいられないよ。
でもそういうのは、私らしくないんだろうな。
自分らしさなんて……数年前に見失ったままなのに。
『レイラ』には、暗い顔は似合わない。
『レイラ』はいつでも底抜けに明るくて、マイペースで能天気。
……そんなイメージからズレた言動をしたら、『レイラらしくないね』と心配される。
それじゃあ、私らしいって何だろう。
いつでも騒がしくしていること?
悩みなんてなさそうな顔をしていること?
心のままに振る舞うことが、私らしさだと言うのなら──私はもう、笑ってなんかいられない。
無意識に笑顔を見せているだけで、本当は……心の底から笑ったのがいつだったかも、忘れてしまった。
「……」
教会の扉を開けて、外へ出る。
遠くの空が明るくなっていく夜明けの頃、陛下は馬車の荷台で眠っておられた。
姫様は……と裏手に回ると、エイトの気配がして、足を止める。
「……ずっと好きだったんだ、僕は」
エイトの口から呟くように発せられた言葉は、寂しそうな色をしていた。
……そうだよね、やっぱりエイトは、姫様のことが好きだったんだろうな。
姫様もエイトのことは特別頼りにしていたし、明らかにエイトに好意を抱いていた。
三人でいる時も、時々……私だけがその場にいないんじゃないかって思うこともあって。
「怒った顔も、泣いた顔も……もちろん、笑顔も。全部好き。……なんて言われても困らせちゃうかな」
姫様はまだ眠っておられるのか、反応がない。
エイトの姿は見えないけど、きっと姫様が眠っているのをいいことに、本音をこっそり打ち明けてるんだ。
私が聞いていい事じゃないや。
「……全部終わったら、改めて伝えます。助けてもらったあの日から、ずっと好きだったんだって──」
足音を立てずにその場を離れて、教会へと駆け込む。
そうして礼拝堂で佇むゼシカと目が合って。
私を見てぱっと笑ったゼシカは、私に近づくなり、ぎょっとした顔になった。
「ど、どうしたのゼシカ」
「どうしたの、はこっちのセリフよ。レイラこそどうしたの?」
「え? なにが?」
「レイラ。あなた、泣いてるわ」
「……え」
そっと頬に手をやると、確かに私の頬は濡れていた。
なんで、なんで泣いてるんだ、私。
何も悲しいことなんてなかったのに、泣くようなことなんて、何も──。
欠伸を噛み殺しながらベッドを抜け出し、教会の外へ出る。
馬車の中では陛下もお休みになっておられるようだし、姫様も今はお休み中だ。
そのまま教会の裏手に向かうと、遠くに明かりが見えた。
町の明かりのようにも見えるけれど、あれがベルガラックなのかな。
それから魔物が寄ってこない範囲でぐるっと一周して、教会の中へ戻った。
ベッドに横になったはいいものの、全然眠くならない。
あんまり寝たり起きたりを繰り返すと、ゼシカが起きちゃうな……。
仕方ない。
あの明かりが何か気になったけど、朝になって誰かに聞くしかないか。
目を閉じて深く呼吸をしていく。
そうして徐々に意識が薄れていき、ゆっくりと眠りに就いた。
* * *
翌朝。
一番鶏の鳴き声でぱっと目が覚めた。
ぐっと伸びをして、身支度を整えていく。
「そういえば昨日の夜、向こうに明るいものが見えたな。あれって多分、町の明かりだよね……」
独り言にしてはデカかったな。
脳と口が直結してるから、思ったことがすぐ声に出てしまう。
うーん、もしあれがベルガラックなら、ここからそう遠くなさそうで、ありがたいんだけど……。
スルーしようかとも思ったけど、やっぱり気になったので、シスターさんに聞いてみた。
「あのー、ひとつお尋ねしたいんですけど」
「はい、なんでしょう」
「この先に町があるんですか? 昨日の夜、明かりがうっすら見えたんですけど……」
「ええ、この先には、ベルガラックという町がありますわ。カジノの町として有名なんですよ。ただ、今はオーナーがお屋敷から出てきて下さらないとかで、休業中なのですけれど」
残念だったなククール!
今回、神様は聖職者である君を見捨てたらしいよ!
イカサマ野郎にはとんでもなく厳しい神様だな。
まあ当然か、生臭坊主にも程があるもんね。
その後も聞き込みをしたけど、ドルマゲスについてのめぼしい情報は、それ以上は得られなかった。
「……ドルマゲス……か」
奴は本当に何がしたいんだろう。
ヨシュアはドルマゲスのことを、「操られた者」と言っていた。
それが本当なら、奴は誰に操られてるの?
ドルマゲスよりも強力な力を持った奴が、この世界にいるのかな……。
「おはよう、レイラ」
考え事をしていたせいで反応が遅れた。
一拍置いて声の主を振り返る。
立っていたのはエイトだった。
「……あ、おはよう」
「朝の稽古?」
「特にそういうつもりじゃなかったんだけど……。自然と目が覚めちゃっただけで」
「そっか。初めて来た大陸だから、ワクワクして眠れなかったのかと思った」
「こ、子供じゃないんだから!」
「そう?」なんて笑って、エイトは教会を出ていった。
そうだよ、もう子供っぽい……能天気な私じゃいられないよ。
でもそういうのは、私らしくないんだろうな。
自分らしさなんて……数年前に見失ったままなのに。
『レイラ』には、暗い顔は似合わない。
『レイラ』はいつでも底抜けに明るくて、マイペースで能天気。
……そんなイメージからズレた言動をしたら、『レイラらしくないね』と心配される。
それじゃあ、私らしいって何だろう。
いつでも騒がしくしていること?
悩みなんてなさそうな顔をしていること?
心のままに振る舞うことが、私らしさだと言うのなら──私はもう、笑ってなんかいられない。
無意識に笑顔を見せているだけで、本当は……心の底から笑ったのがいつだったかも、忘れてしまった。
「……」
教会の扉を開けて、外へ出る。
遠くの空が明るくなっていく夜明けの頃、陛下は馬車の荷台で眠っておられた。
姫様は……と裏手に回ると、エイトの気配がして、足を止める。
「……ずっと好きだったんだ、僕は」
エイトの口から呟くように発せられた言葉は、寂しそうな色をしていた。
……そうだよね、やっぱりエイトは、姫様のことが好きだったんだろうな。
姫様もエイトのことは特別頼りにしていたし、明らかにエイトに好意を抱いていた。
三人でいる時も、時々……私だけがその場にいないんじゃないかって思うこともあって。
「怒った顔も、泣いた顔も……もちろん、笑顔も。全部好き。……なんて言われても困らせちゃうかな」
姫様はまだ眠っておられるのか、反応がない。
エイトの姿は見えないけど、きっと姫様が眠っているのをいいことに、本音をこっそり打ち明けてるんだ。
私が聞いていい事じゃないや。
「……全部終わったら、改めて伝えます。助けてもらったあの日から、ずっと好きだったんだって──」
足音を立てずにその場を離れて、教会へと駆け込む。
そうして礼拝堂で佇むゼシカと目が合って。
私を見てぱっと笑ったゼシカは、私に近づくなり、ぎょっとした顔になった。
「ど、どうしたのゼシカ」
「どうしたの、はこっちのセリフよ。レイラこそどうしたの?」
「え? なにが?」
「レイラ。あなた、泣いてるわ」
「……え」
そっと頬に手をやると、確かに私の頬は濡れていた。
なんで、なんで泣いてるんだ、私。
何も悲しいことなんてなかったのに、泣くようなことなんて、何も──。
