第四話 過去
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「梵!!
梵、いるか!?」
手を引かれて連れて行かれた先のお部屋は、明らかに私が頂いているようなお部屋とは作りが違った
そんな大きなお部屋の前で、大声で成実さんが政宗さんを呼んで
「Shut up!
ンな大声出さなくても聞こえてる!」
そんな声が、政宗さんのお部屋から飛んできた
それを入室の許可ととったのか、成実さんはズカズカと政宗さんのお部屋に上がり込んでいく
「す、すみません!
失礼します!」
「夕華?
身体は大丈夫か?」
「は、はい!
ご心配をおかけして……!」
「No problem.
それより……成実、何の用だ?」
「説明するのが面倒くさいから割愛!
そんでもってすんごく大事な話があるから、小十郎と綱元呼んで!」
「何があったか知らねぇが……
それは夕華に関係するのか?」
「関係するっつーか、夕華のことで話があんだよ」
「……All right.
すぐに呼んでやる」
政宗さんが小姓の人を走らせて、やれやれと言ったようにため息をついた
「えっと……成実さん?
私のことっていうのは……」
「もしかしたら、お前は十年以上も前に行方不明になった、分家の姫さんかもしれねぇんだ
これは俺たちにとってもお前にとっても、かなり大事な話なんだよ」
「はい……分かりました
でも、そのお姫様と成実さんって関わりがあったんですか?」
「うん、俺の……再従兄妹にあたる姫
詳しいことは小十郎と綱元が来てから話すけど……」
「成実さん、あの……
義姫って人……政宗さんのお母さんの名前ですよね……?」
「そこまで知ってたんだ……
そうだよ、義姫様……お東様は梵のおふくろさんだ」
「じゃ、じゃあ、私のお母さんは……」
「まだ分かんねぇけど……
でももしそうだったんなら、お前の親父さんはすげぇ人になるんだぜ?
ま……兄貴もすげぇやつだけど」
そう言われて、思い出す
義姫が伊達政宗の母親、ならば父親は……
「伊達、輝宗……」
「そうだよ
でも、もうこの世にはいないけどな……」
「え……?
どうしてですか?」
「梵が種子島で撃ち殺した」
政宗さんが、殺した……
やっぱり、畠山との──
「……ていうのが表向きで
本当は……俺が撃ったんだ」
「……え」
知らなかった
史実でもそこはあやふやなところで、誰が殺したのかよく分かってなかった
そうか……この世界では、成実さんの役目だったんだ……
「大殿と目があってさ
殺せって、目が訴えてた
どうせ殺されるんなら、息子よりも、二回りも年が離れた従兄弟に殺されるほうが……
そう思って俺が引き金を引いた
俺は一生そのことを抱えて生きようと思ってた矢先に、梵に取って代わられちまったんだけどな」
成実さんがそこで言葉を切って、顔を上げる
ばたばたと廊下を走ってくる足音が聞こえてきた
「二人が来たみたいだな」
成実さんが政宗さんにそう言った直後、開け放していた障子から二人の姿が見えた
「お待たせしてしまい、申し訳ございませぬ」
「政宗様、大事なお話とは、一体何でございましょうか?」
「とりあえず座れ」
「「はっ」」
頭を下げて、二人が座った
そこへ小姓の方が現れて、湯呑を人数分置いて退出していく
「……話があるのは俺からじゃねぇ
成実だ」
話を振られて、全員の視線が成実さんに向けられる
一つ頷いた成実さんは、スウ、と息を吸って
「夕華のことで、気になることがあるんだ
気になることだけど、もしそれが本当だったら、かなり重要だからさ」
私は胸に言い知れぬ不安を抱えたまま
成実さんの話を聞くことになった
成実さんが言葉を切ると、政宗さんの部屋は静寂が支配した
私はうつむいたまま、ちらりと隣の成実さんを見上げて
それから、またうつむいた
……若干だけど、居心地が悪い
「──で、その気になることってのは?」
政宗さんの問いに、成実さんが「えーっと……」と言葉を探し始める
さっきまでの勢いはどこへ行ってしまったのか
「どこからどう話せばいいのかな、これ……
えーっと……まぁ、ぶっちゃけて言うと、夕華があの姫さんかもしれないってことなんだけど」
「あの姫とは……
十年ほど前に分家で起こった火事以来、行方が分からないままのあの姫のことか?」
「そう、それ
さすが綱元、話が分かってる
その姫さんと夕華ってさ、同じ名前なんだよ」
「………何だと」
綱元さんも政宗さんも、小十郎さんも驚いていた
そりゃそうだ、十年以上も行方不明だったんだもんね、そのお姫様
「しかも夕華って、向こうの世界じゃ捨て子だったらしいんだ」
「つまり、その姫と夕華が同一人物であると?」
綱元さんの問いに成実さんが頷く
それを否定したのは、小十郎様だった
「……そう考えるのは短絡的すぎねぇか?
たまたま偶然にそういう状況が重なっただけってこともあり得る」
「確かに小十郎の言うことも一理ある
っつーか、むしろ誰だってそう思うだろうな
でもこいつ、自分の出生の秘密を向こうの親に聞いたらしいんだ」
「そうなのか?」
政宗さんが問うてきて、それに頷く
あれは……何年前になるだろう
当時のことを思い出しながら、私は顔を上げた
梵、いるか!?」
手を引かれて連れて行かれた先のお部屋は、明らかに私が頂いているようなお部屋とは作りが違った
そんな大きなお部屋の前で、大声で成実さんが政宗さんを呼んで
「Shut up!
ンな大声出さなくても聞こえてる!」
そんな声が、政宗さんのお部屋から飛んできた
それを入室の許可ととったのか、成実さんはズカズカと政宗さんのお部屋に上がり込んでいく
「す、すみません!
失礼します!」
「夕華?
身体は大丈夫か?」
「は、はい!
ご心配をおかけして……!」
「No problem.
それより……成実、何の用だ?」
「説明するのが面倒くさいから割愛!
そんでもってすんごく大事な話があるから、小十郎と綱元呼んで!」
「何があったか知らねぇが……
それは夕華に関係するのか?」
「関係するっつーか、夕華のことで話があんだよ」
「……All right.
すぐに呼んでやる」
政宗さんが小姓の人を走らせて、やれやれと言ったようにため息をついた
「えっと……成実さん?
私のことっていうのは……」
「もしかしたら、お前は十年以上も前に行方不明になった、分家の姫さんかもしれねぇんだ
これは俺たちにとってもお前にとっても、かなり大事な話なんだよ」
「はい……分かりました
でも、そのお姫様と成実さんって関わりがあったんですか?」
「うん、俺の……再従兄妹にあたる姫
詳しいことは小十郎と綱元が来てから話すけど……」
「成実さん、あの……
義姫って人……政宗さんのお母さんの名前ですよね……?」
「そこまで知ってたんだ……
そうだよ、義姫様……お東様は梵のおふくろさんだ」
「じゃ、じゃあ、私のお母さんは……」
「まだ分かんねぇけど……
でももしそうだったんなら、お前の親父さんはすげぇ人になるんだぜ?
ま……兄貴もすげぇやつだけど」
そう言われて、思い出す
義姫が伊達政宗の母親、ならば父親は……
「伊達、輝宗……」
「そうだよ
でも、もうこの世にはいないけどな……」
「え……?
どうしてですか?」
「梵が種子島で撃ち殺した」
政宗さんが、殺した……
やっぱり、畠山との──
「……ていうのが表向きで
本当は……俺が撃ったんだ」
「……え」
知らなかった
史実でもそこはあやふやなところで、誰が殺したのかよく分かってなかった
そうか……この世界では、成実さんの役目だったんだ……
「大殿と目があってさ
殺せって、目が訴えてた
どうせ殺されるんなら、息子よりも、二回りも年が離れた従兄弟に殺されるほうが……
そう思って俺が引き金を引いた
俺は一生そのことを抱えて生きようと思ってた矢先に、梵に取って代わられちまったんだけどな」
成実さんがそこで言葉を切って、顔を上げる
ばたばたと廊下を走ってくる足音が聞こえてきた
「二人が来たみたいだな」
成実さんが政宗さんにそう言った直後、開け放していた障子から二人の姿が見えた
「お待たせしてしまい、申し訳ございませぬ」
「政宗様、大事なお話とは、一体何でございましょうか?」
「とりあえず座れ」
「「はっ」」
頭を下げて、二人が座った
そこへ小姓の方が現れて、湯呑を人数分置いて退出していく
「……話があるのは俺からじゃねぇ
成実だ」
話を振られて、全員の視線が成実さんに向けられる
一つ頷いた成実さんは、スウ、と息を吸って
「夕華のことで、気になることがあるんだ
気になることだけど、もしそれが本当だったら、かなり重要だからさ」
私は胸に言い知れぬ不安を抱えたまま
成実さんの話を聞くことになった
成実さんが言葉を切ると、政宗さんの部屋は静寂が支配した
私はうつむいたまま、ちらりと隣の成実さんを見上げて
それから、またうつむいた
……若干だけど、居心地が悪い
「──で、その気になることってのは?」
政宗さんの問いに、成実さんが「えーっと……」と言葉を探し始める
さっきまでの勢いはどこへ行ってしまったのか
「どこからどう話せばいいのかな、これ……
えーっと……まぁ、ぶっちゃけて言うと、夕華があの姫さんかもしれないってことなんだけど」
「あの姫とは……
十年ほど前に分家で起こった火事以来、行方が分からないままのあの姫のことか?」
「そう、それ
さすが綱元、話が分かってる
その姫さんと夕華ってさ、同じ名前なんだよ」
「………何だと」
綱元さんも政宗さんも、小十郎さんも驚いていた
そりゃそうだ、十年以上も行方不明だったんだもんね、そのお姫様
「しかも夕華って、向こうの世界じゃ捨て子だったらしいんだ」
「つまり、その姫と夕華が同一人物であると?」
綱元さんの問いに成実さんが頷く
それを否定したのは、小十郎様だった
「……そう考えるのは短絡的すぎねぇか?
たまたま偶然にそういう状況が重なっただけってこともあり得る」
「確かに小十郎の言うことも一理ある
っつーか、むしろ誰だってそう思うだろうな
でもこいつ、自分の出生の秘密を向こうの親に聞いたらしいんだ」
「そうなのか?」
政宗さんが問うてきて、それに頷く
あれは……何年前になるだろう
当時のことを思い出しながら、私は顔を上げた
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