Episode.08
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
浅井長政の掛け声と共にこちらへと進軍してくる浅井軍
その中に、尋常ならざる何かを見て取った
鬼気迫ったという表現が正しいような何かだ
「政宗様」
「……妙に堅っ苦しい野郎だ」
「兵隊どもはお任せを」
「OK.
任せたぜ、小十郎
Ha!」
馬を駆け出させる政宗様
背後の伊達兵が興奮気味に声を上げた
両者が馬上に立って、その距離を縮めていく
「トーッ!!」
浅井が膝を抱えてから空中で回転し、着地する
なんというか、妙に決まっている身振りだな……
異国語で言うと、「ぽぉず」とかなんとかだったかしら
「Coolにいこうぜ!
Ya-ha!」
一刀を抜き放ち、政宗様も馬上から跳んだ
二人が空中で弾きあい、さらに数回斬り合う
着地した時も、浅井はなぜか二段階で着地した
「何と申しますか、いちいち格好を付けたような方でございますね、浅井というのは」
「……そういうやつなんだろ」
「どういうお方でございますか……」
片倉様もちょっと鬱陶しそうだ
着地した二人が振り向き合う
「悪くねえwarming upだ……
来な、浅井長政!」
柳の構えと呼ばれるいつもの構え方
政宗様の速さについてこられるのだから、浅井長政の実力は申し分ないと見ていいだろう
「混沌の戦場に跋扈する悪の使者よ……!
私の正義が白日のもと律してくれる!」
浅井も浅井で、刀を政宗様に突きつける
それが始まりの合図だった
「奥州筆頭・伊達政宗
推して参る!」
大将同士の戦いは政宗様にお任せしよう
今は、浅井の兵の相手をすることが先決だ
「片倉様、ご指示を!」
「てめぇに言われなくても分かってる!
おめえら!!」
「「Yeahー!!」」
未だに不思議なのが、なぜ片倉様の一声で陣形指揮が取れてしまうのかということ……
(ま、そんなことはどうでもいいわね)
設楽原の地で、伊達と浅井の両軍が正面から激突した
いずれどこかで迎え撃たれるだろうとは予想していた
たまたまここがその場所だったというだけだ
「はっ!」
馬から跳んで、掃射を浴びせる
押されかけていた伊達の若衆が、私を見上げて歓声を上げた
「さっすが姐御!
今日も綺麗でカッケェっす!」
「それはありがとう!」
お礼ついでに左馬助の背後にいた敵兵を撃ち抜く
続けざま、背後から迫る敵の眉間へ一発
「ぼさっとしない!
ここは戦場よ、シャキッとしなさい!」
「はいッス!!」
弾丸を装填し直して、天へ向けて一発を放つ
(さあ、まとめてかかって来なさい)
私を囲んだ敵兵の頭上へと跳び、そして
「紅炎舞ッ!!」
炎の弾丸が雨のように降り注ぎ、周囲にいた敵兵が倒れていく
遠くに見える暗雲はそこにあったまま
極楽寺山の山頂には、未だ織田本軍がいる
(慶次殿……)
心配ではあるけれど、助けに行く余裕はない
彼を信じるしかないというのも、歯痒いものだ
「……今は、浅井を倒さなければ」
織田を気にしている場合じゃない
いずれあの首に私達の手は届くのだから
*********************
設楽原での合戦が始まって程なく
極楽寺山に陣を敷いている織田信長の隣で、明智光秀は薄気味悪く微笑んでいた
「ご覧下さい、信長公
義兄弟としての誓いを果たさんと、貴方様のために浅井が伊達を足止めしております
そういえば……伊達には美稜綾葉の影武者を名乗る者がいるとか」
眼下にて二丁銃を操り、的確に浅井の兵を撃ち抜く女
羽織の袖部分には桜の花弁があしらわれ、肩口から裾へ向かって白から薄桃色へと変化するグラデーションが目を引く
絹のように滑らかな黒の髪は、半分ほどを後ろで束ねたハーフアップ
彼女が舞う度、揚羽蝶のようにひらりひらりと髪が揺れる
「フフ……流石は帰蝶の異母姉妹
義姉に負けず劣らず、南蛮の武器をああも軽々と扱えるとは」
帰蝶――信長の正室の名を出されても、織田信長は表情を変えない
織田信長のなかで、斎藤家はもはや存在しない家
己が妻の妹など、視界に入れたことさえないのだろう
「ああ、しかし惜しいですね――
あれほどの戦力、ここで失くすことになるとは」
「……光秀」
「は――」
「いつぞやの美稜攻め、貴様の失態を拭えるのは貴様のみぞ」
そうとだけを言い残し、織田信長が本陣の床几へ腰を下ろす
その後ろ姿へ向かって「御意に」と頭を垂れ、明智光秀はなおも眼下で白熱する合戦へ視線を向けた
その視線が捉えるのは、ただ二人
正義の光と、炎纏う揚羽蝶――
その中に、尋常ならざる何かを見て取った
鬼気迫ったという表現が正しいような何かだ
「政宗様」
「……妙に堅っ苦しい野郎だ」
「兵隊どもはお任せを」
「OK.
任せたぜ、小十郎
Ha!」
馬を駆け出させる政宗様
背後の伊達兵が興奮気味に声を上げた
両者が馬上に立って、その距離を縮めていく
「トーッ!!」
浅井が膝を抱えてから空中で回転し、着地する
なんというか、妙に決まっている身振りだな……
異国語で言うと、「ぽぉず」とかなんとかだったかしら
「Coolにいこうぜ!
Ya-ha!」
一刀を抜き放ち、政宗様も馬上から跳んだ
二人が空中で弾きあい、さらに数回斬り合う
着地した時も、浅井はなぜか二段階で着地した
「何と申しますか、いちいち格好を付けたような方でございますね、浅井というのは」
「……そういうやつなんだろ」
「どういうお方でございますか……」
片倉様もちょっと鬱陶しそうだ
着地した二人が振り向き合う
「悪くねえwarming upだ……
来な、浅井長政!」
柳の構えと呼ばれるいつもの構え方
政宗様の速さについてこられるのだから、浅井長政の実力は申し分ないと見ていいだろう
「混沌の戦場に跋扈する悪の使者よ……!
私の正義が白日のもと律してくれる!」
浅井も浅井で、刀を政宗様に突きつける
それが始まりの合図だった
「奥州筆頭・伊達政宗
推して参る!」
大将同士の戦いは政宗様にお任せしよう
今は、浅井の兵の相手をすることが先決だ
「片倉様、ご指示を!」
「てめぇに言われなくても分かってる!
おめえら!!」
「「Yeahー!!」」
未だに不思議なのが、なぜ片倉様の一声で陣形指揮が取れてしまうのかということ……
(ま、そんなことはどうでもいいわね)
設楽原の地で、伊達と浅井の両軍が正面から激突した
いずれどこかで迎え撃たれるだろうとは予想していた
たまたまここがその場所だったというだけだ
「はっ!」
馬から跳んで、掃射を浴びせる
押されかけていた伊達の若衆が、私を見上げて歓声を上げた
「さっすが姐御!
今日も綺麗でカッケェっす!」
「それはありがとう!」
お礼ついでに左馬助の背後にいた敵兵を撃ち抜く
続けざま、背後から迫る敵の眉間へ一発
「ぼさっとしない!
ここは戦場よ、シャキッとしなさい!」
「はいッス!!」
弾丸を装填し直して、天へ向けて一発を放つ
(さあ、まとめてかかって来なさい)
私を囲んだ敵兵の頭上へと跳び、そして
「紅炎舞ッ!!」
炎の弾丸が雨のように降り注ぎ、周囲にいた敵兵が倒れていく
遠くに見える暗雲はそこにあったまま
極楽寺山の山頂には、未だ織田本軍がいる
(慶次殿……)
心配ではあるけれど、助けに行く余裕はない
彼を信じるしかないというのも、歯痒いものだ
「……今は、浅井を倒さなければ」
織田を気にしている場合じゃない
いずれあの首に私達の手は届くのだから
*********************
設楽原での合戦が始まって程なく
極楽寺山に陣を敷いている織田信長の隣で、明智光秀は薄気味悪く微笑んでいた
「ご覧下さい、信長公
義兄弟としての誓いを果たさんと、貴方様のために浅井が伊達を足止めしております
そういえば……伊達には美稜綾葉の影武者を名乗る者がいるとか」
眼下にて二丁銃を操り、的確に浅井の兵を撃ち抜く女
羽織の袖部分には桜の花弁があしらわれ、肩口から裾へ向かって白から薄桃色へと変化するグラデーションが目を引く
絹のように滑らかな黒の髪は、半分ほどを後ろで束ねたハーフアップ
彼女が舞う度、揚羽蝶のようにひらりひらりと髪が揺れる
「フフ……流石は帰蝶の異母姉妹
義姉に負けず劣らず、南蛮の武器をああも軽々と扱えるとは」
帰蝶――信長の正室の名を出されても、織田信長は表情を変えない
織田信長のなかで、斎藤家はもはや存在しない家
己が妻の妹など、視界に入れたことさえないのだろう
「ああ、しかし惜しいですね――
あれほどの戦力、ここで失くすことになるとは」
「……光秀」
「は――」
「いつぞやの美稜攻め、貴様の失態を拭えるのは貴様のみぞ」
そうとだけを言い残し、織田信長が本陣の床几へ腰を下ろす
その後ろ姿へ向かって「御意に」と頭を垂れ、明智光秀はなおも眼下で白熱する合戦へ視線を向けた
その視線が捉えるのは、ただ二人
正義の光と、炎纏う揚羽蝶――
1/4ページ