Episode.3-6
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夜明けと共に、伊達・武田連合軍は、関ヶ原へ向けて進軍を開始した
先頭を往くのは我々伊達軍
武田軍はその後ろを走っている
陽も完全には登りきっておらず、周囲はまだ薄暗い
そんな時は、伊達軍お決まりのアレの出番だ
「Are you ready guys!?」
「「Yeahー!!」」
「Don't slack off!
Step on it!!」
「「Yeahー!!」」
「All right!
Let's ride on!!」
「「Yeahー!!」」
背後からは上杉軍も合流して、更に大所帯だ
上杉軍を率いるのは、謙信公ではなく、直江兼続
二年前の織田包囲網でも、同じように上杉軍を預かっていた
……謙信公の信頼は厚いんだろうけれど、なんだか微妙に印象がないのよね
実際に戦ったことがないからかしら……
(関ヶ原へ行けば、全てが分かる
もし、そこで待っているのが、本当に石田三成だったのなら
やった事の落とし前は、つけてもらうわよ──)
東の空から朝日が登り始めた
陽光に目を細めながら、私たちは速度を落とすことなく関ヶ原へと進んでいく
決戦の場所は、もう少し先だ
*********************
──美濃国、関ヶ原
どこまでも開けた荒野には、大きな窪みができており、なぜかその中央に──
──常識では考えられない大きさの具材がそのまま入った、鍋があった
なぜこんなところに鍋が、いやそもそもなぜ鍋なのか
そんな疑問は、高らかに響き渡る声で霧散した
その声は、こう名乗ったからだ
「儂は徳川家康!
今日は儂の呼び掛けに応え、この地へ集まってくれたことに感謝する
ありがとう!」
……徳川家康?
ならばやはり、あの文は家康殿本人が書いたものだと……?
あのように脅しをかけて、武将たちをここへ集めるような人ではないと、私の勘は言っていたのだけれど
むしろ手紙から漂ってきた鍋の匂いから察するに、犯人はこの鍋を用意した人物であるような……
「ここに集まった者は皆、織田、豊臣という二つの大きな力を、その恐ろしさを目の当たりにしてきた
そして武力とは、人の絆を断ち切るものなのだと、骨身に深く刻んできたはずだ」
……なるほど、あの偽文書を逆手に取ることにしたのね
あの手紙、書いたのはそこにいる、小早川秀秋で間違いないでしょう
家康殿が書いていないにしろ、あれは『徳川家康』の名と、花押までついて、各国に送られた
ここを釈明の場とせず、逆に千載一遇の機会と捉えて、自身の目指す『絆の力で創る太平の世』の切っ掛けにしよう──ということだろう
……おそらくその意図は、慶次殿にも伝わった
鍋の土台の元──家康殿の足元へと馬で駆けていく慶次殿を、私と藤次郎様はチラリと見やり
そしてまた、視線を家康殿へと戻した
「力を示した者だけがのし上がり、生き残る
それが戦国だ
だがそれでは、いつになっても争いが終わらない!
力のみに頼る者の滅びを、我々は二度も見てきた
滅びを望んで力を振るう者など、ここにはいないはずだ!」
「俺は加賀の前田慶次!
兄さん方の腕っ節、なんでそんなに強いか知ってるかい?
好い人を守るためだ
生まれ育った故郷を、かけがえのない大事なものを奪われちまう……
そんなのはもう、やめにしないか?」
……それは綺麗事かもしれない
この群雄割拠の乱世においては、世迷言なのかもしれない
ただそう──あまりにも彼らの眼差しは真剣だった
そして声を上げた者たちの名が、大きかった
家康殿と慶次殿に続いて声を張り上げた者も、また
「某は甲斐武田、真田源次郎幸村!
これまで幾多の戦場にて、数多の兵たちと熱き刃を交えて参り申した!
群雄たちが武勇を揮 いし果て、天下を掴みし後に目指すものは、等しく平和にござる!」
……それは私たち伊達軍も同じ
藤次郎様は荒事を好む性格なれど、天下に名乗りを上げたのは、この世を平らかにせんがため
そして我々が戦うのは、藤次郎様の理想とする天下を、成すためだ
「己の欲を、野心を排した真の武士の心をもって、家康殿、前田殿と共に、今こそ明日を語り合いましょうぞ!」
関ヶ原に三人の声が広がる
ちらりと左におわす藤次郎様を見やると、彼はただ冷静な視線で、熱を帯びてゆくこの場所を見つめていた
その視線はまるで、この世の流れの本質を見極めようとしているかのようで
「今ある絆を守り、見知らぬ者と、昨日までの敵と新たな絆を繋ぎ、拡げていこう!
さあ、皆で金吾の鍋をつつきながら、泰平の世の話をしよう!」
集まった武将たちは、名乗りを上げた慶次殿と幸村の名を聞いて、ざわめいている
「加賀の前田慶次か」「真田幸村」「甲斐の虎だ」と顔を見合わせて、並び立つ敵国の武将と視線を向け合い
それから彼は馬を降り、また足軽たちは一人また一人と、前へ進み出ていく
慶次殿や家康殿が表情を明るくしているけれど──
「Weit,ちょいと待ちな!」
誰もが家康殿の言葉に感化されていく中で、政宗様の声が響いた
集まりかけた者たちがみな、私たちのほうを振り向く
「その前にあっちこっち襲っていやがったのは誰なのか、はっきりさせようじゃねぇか」
私たちの視線はもう、鍋には向いていない
鍋を挟んだ向こう側──窪みの先から、その男は現れたのだ
鍋の元へ集まろうとしていた者たちも段々とそちらへ顔を向ける
そうしてその顔は驚愕に染まった
「石田三成!」「凶王だ」「凶王三成だ!」と恐れ戦く声がきこえる
奴の狙いが誰なのかは、教えてもらわなくても分かっている
向かってくるなら、返り討ちにするだけだ
「三成、待っていたぞ
こっちへ来て、お前も皆と話してくれ!」
「好きにやっていろ
私を巻き込むな」
元は同じ豊臣の配下らしく、二人は見知った顔ではあるらしい
ただどうやら、家康殿の言葉は、あの男には届かないものらしかった
……それはそうでしょうね
理由はどうあれ、石田三成と豊臣秀吉の絆を断ったのは私たちだもの
「真の絆とは奇跡だ
その歓喜を奪われた悲憤と憎悪は、貴様の吐くような綺麗事では決して消えない!!」
藤次郎様と石田三成の鋭い視線がぶつかり合う
石田三成の背後から、土煙と共に現れたのは──大一大万大吉の旗印を掲げた、石田軍の兵たち
躊躇いもなく軍勢は大きな窪みへとなだれ込んでくる
「三成──」
「やはり結託しておったのか!」
「徳川と石田に謀られたぞ!!」
「おのれ、騙されるところであったわ!」
「待ってくれ!
そうじゃない!!」
ああ、これではもう、おしまいね
誰も彼もが刀を抜いて、石田軍は目前まで迫っている
これでは鍋なんて、つつけるはずもないわね
──その時、背後で弓を引く音がした
それは雨のように窪みへと降り注ぎ、鍋へ近寄っていた諸国の武将や足軽たちを、背中から射殺していく
石田軍とは違う軍勢……
いったい今度はどこが乗り込んで来たっていうの?
先頭を往くのは我々伊達軍
武田軍はその後ろを走っている
陽も完全には登りきっておらず、周囲はまだ薄暗い
そんな時は、伊達軍お決まりのアレの出番だ
「Are you ready guys!?」
「「Yeahー!!」」
「Don't slack off!
Step on it!!」
「「Yeahー!!」」
「All right!
Let's ride on!!」
「「Yeahー!!」」
背後からは上杉軍も合流して、更に大所帯だ
上杉軍を率いるのは、謙信公ではなく、直江兼続
二年前の織田包囲網でも、同じように上杉軍を預かっていた
……謙信公の信頼は厚いんだろうけれど、なんだか微妙に印象がないのよね
実際に戦ったことがないからかしら……
(関ヶ原へ行けば、全てが分かる
もし、そこで待っているのが、本当に石田三成だったのなら
やった事の落とし前は、つけてもらうわよ──)
東の空から朝日が登り始めた
陽光に目を細めながら、私たちは速度を落とすことなく関ヶ原へと進んでいく
決戦の場所は、もう少し先だ
*********************
──美濃国、関ヶ原
どこまでも開けた荒野には、大きな窪みができており、なぜかその中央に──
──常識では考えられない大きさの具材がそのまま入った、鍋があった
なぜこんなところに鍋が、いやそもそもなぜ鍋なのか
そんな疑問は、高らかに響き渡る声で霧散した
その声は、こう名乗ったからだ
「儂は徳川家康!
今日は儂の呼び掛けに応え、この地へ集まってくれたことに感謝する
ありがとう!」
……徳川家康?
ならばやはり、あの文は家康殿本人が書いたものだと……?
あのように脅しをかけて、武将たちをここへ集めるような人ではないと、私の勘は言っていたのだけれど
むしろ手紙から漂ってきた鍋の匂いから察するに、犯人はこの鍋を用意した人物であるような……
「ここに集まった者は皆、織田、豊臣という二つの大きな力を、その恐ろしさを目の当たりにしてきた
そして武力とは、人の絆を断ち切るものなのだと、骨身に深く刻んできたはずだ」
……なるほど、あの偽文書を逆手に取ることにしたのね
あの手紙、書いたのはそこにいる、小早川秀秋で間違いないでしょう
家康殿が書いていないにしろ、あれは『徳川家康』の名と、花押までついて、各国に送られた
ここを釈明の場とせず、逆に千載一遇の機会と捉えて、自身の目指す『絆の力で創る太平の世』の切っ掛けにしよう──ということだろう
……おそらくその意図は、慶次殿にも伝わった
鍋の土台の元──家康殿の足元へと馬で駆けていく慶次殿を、私と藤次郎様はチラリと見やり
そしてまた、視線を家康殿へと戻した
「力を示した者だけがのし上がり、生き残る
それが戦国だ
だがそれでは、いつになっても争いが終わらない!
力のみに頼る者の滅びを、我々は二度も見てきた
滅びを望んで力を振るう者など、ここにはいないはずだ!」
「俺は加賀の前田慶次!
兄さん方の腕っ節、なんでそんなに強いか知ってるかい?
好い人を守るためだ
生まれ育った故郷を、かけがえのない大事なものを奪われちまう……
そんなのはもう、やめにしないか?」
……それは綺麗事かもしれない
この群雄割拠の乱世においては、世迷言なのかもしれない
ただそう──あまりにも彼らの眼差しは真剣だった
そして声を上げた者たちの名が、大きかった
家康殿と慶次殿に続いて声を張り上げた者も、また
「某は甲斐武田、真田源次郎幸村!
これまで幾多の戦場にて、数多の兵たちと熱き刃を交えて参り申した!
群雄たちが武勇を
……それは私たち伊達軍も同じ
藤次郎様は荒事を好む性格なれど、天下に名乗りを上げたのは、この世を平らかにせんがため
そして我々が戦うのは、藤次郎様の理想とする天下を、成すためだ
「己の欲を、野心を排した真の武士の心をもって、家康殿、前田殿と共に、今こそ明日を語り合いましょうぞ!」
関ヶ原に三人の声が広がる
ちらりと左におわす藤次郎様を見やると、彼はただ冷静な視線で、熱を帯びてゆくこの場所を見つめていた
その視線はまるで、この世の流れの本質を見極めようとしているかのようで
「今ある絆を守り、見知らぬ者と、昨日までの敵と新たな絆を繋ぎ、拡げていこう!
さあ、皆で金吾の鍋をつつきながら、泰平の世の話をしよう!」
集まった武将たちは、名乗りを上げた慶次殿と幸村の名を聞いて、ざわめいている
「加賀の前田慶次か」「真田幸村」「甲斐の虎だ」と顔を見合わせて、並び立つ敵国の武将と視線を向け合い
それから彼は馬を降り、また足軽たちは一人また一人と、前へ進み出ていく
慶次殿や家康殿が表情を明るくしているけれど──
「Weit,ちょいと待ちな!」
誰もが家康殿の言葉に感化されていく中で、政宗様の声が響いた
集まりかけた者たちがみな、私たちのほうを振り向く
「その前にあっちこっち襲っていやがったのは誰なのか、はっきりさせようじゃねぇか」
私たちの視線はもう、鍋には向いていない
鍋を挟んだ向こう側──窪みの先から、その男は現れたのだ
鍋の元へ集まろうとしていた者たちも段々とそちらへ顔を向ける
そうしてその顔は驚愕に染まった
「石田三成!」「凶王だ」「凶王三成だ!」と恐れ戦く声がきこえる
奴の狙いが誰なのかは、教えてもらわなくても分かっている
向かってくるなら、返り討ちにするだけだ
「三成、待っていたぞ
こっちへ来て、お前も皆と話してくれ!」
「好きにやっていろ
私を巻き込むな」
元は同じ豊臣の配下らしく、二人は見知った顔ではあるらしい
ただどうやら、家康殿の言葉は、あの男には届かないものらしかった
……それはそうでしょうね
理由はどうあれ、石田三成と豊臣秀吉の絆を断ったのは私たちだもの
「真の絆とは奇跡だ
その歓喜を奪われた悲憤と憎悪は、貴様の吐くような綺麗事では決して消えない!!」
藤次郎様と石田三成の鋭い視線がぶつかり合う
石田三成の背後から、土煙と共に現れたのは──大一大万大吉の旗印を掲げた、石田軍の兵たち
躊躇いもなく軍勢は大きな窪みへとなだれ込んでくる
「三成──」
「やはり結託しておったのか!」
「徳川と石田に謀られたぞ!!」
「おのれ、騙されるところであったわ!」
「待ってくれ!
そうじゃない!!」
ああ、これではもう、おしまいね
誰も彼もが刀を抜いて、石田軍は目前まで迫っている
これでは鍋なんて、つつけるはずもないわね
──その時、背後で弓を引く音がした
それは雨のように窪みへと降り注ぎ、鍋へ近寄っていた諸国の武将や足軽たちを、背中から射殺していく
石田軍とは違う軍勢……
いったい今度はどこが乗り込んで来たっていうの?
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