Episode.2-17
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政宗様が派手に啖呵を切った、小田原での決戦
しかしその戦況は――
衝撃と共にに、小田原城の蔵が破壊される
その土煙の中から身を起こす――奥州筆頭
悠然とそちらへ歩いてゆくのは、覇王・豊臣秀吉
「己が器、思い知ったか、独眼竜――」
……分かっていたけれど、強い
あの巨体に似合わず俊敏な動き、そして暴力的なまでの力――
政宗様の攻撃も通っていないわけではなく、多少なり覇王は傷を負ってはいるけれど、圧倒的に政宗様のほうが傷だらけだ
「病に伏し、破びの道を歩むこの国の姿がその隻眼に見えておるなら、せめて我に一矢報いよ
さすれば豊臣に下ることを許さぬこともない」
覇王の手が、立ち上がりかけた政宗様の首を鷲掴みにする
あれでは気道が確保できない
「吠えるならば相応の力を示してみせよ
我が作り導く国に、弱き者は必要なし
力なき者は、この拳をもって粉砕するのみ……!」
「Ha!
Give me a break!
アンタの作る天下にゃ、兵隊しか住めやしねえ!
――ぐぁ……っ!」
「政宗さっ……!」
危うく飛び出しそうになるのを堪える
これは大将同士が決着をつけなければいけない戦い
頭では分かっていても……
また大切な人を失ってしまうかもしれない恐怖が、頭をもたげる
「筆頭……」
「このままじゃ、筆頭が……」
「……っ」
迂闊だった
政宗様が戦いに身を投じた今、全軍の士気を左右するのは私だというのに
不安が――恐怖が、伝染していく
悪循環は、早々に断ち切らなければいけない
大きく息を吸い、ゆっくりと吐き出す
腹の底に、ずっしりと重たいものを落とす
「――しっかりしなさい!」
私の一喝で、伊達軍のざわめきが鎮まった
全員が私を見つめている
「信じなさい!
私たちの奥州筆頭は、この程度で終わったりしない!
しっかりと蒼の旗を掲げなさい!」
「姐御――」
つかの間、静まり返った兵達が、決意の表情を固める
そして、暗雲立ち込める空に、蒼の旗が再び力強くはためいた
――けれど、これが気休めであることは、私でも分かっている
「国を治むるに必要欠くべからざるは、力
何ものにも揺るがぬ大きな力こそ、天下が今欲するもの」
その手が、弦月の前立ての形を歪ませ――
弧を描いた三日月が、音を立てて二つに割れた
「「筆頭――!!」」
「お願い……しっかりして……」
それは、誰に向かって呟いた言葉だっただろう
窮地に追い込まれた政宗様へか、それとも恐怖に呑まれそうになる私へか
「弱きこの国の病は、我が――
我が豊臣軍が一掃する……!」
心臓が嫌な音を立て続けた
握りしめた掌は、真っ白になっている
それでも――足に力を入れていないと、立っていることすらできそうもなくて
ふっと広げられた手から、ゆっくりとその身が地面へ落ちていく
その瞬間――
その身体を大きく蹴り上げ、宙に舞ったところで、跳び上がった覇王が拳で地面に突き落とした
その衝撃たるや、櫓が丸々一つ粉砕するほど
命のやり取りは幾度も目にした
けれど――こんなに一方的な戦いは、今までにあっただろうか
それでも、土煙の中から彼は現れる
その手に六本の爪をもって
劣勢の状況に反して、その隻眼には鋭さが増していく
――けれど、今回はとうとう、前のめりに倒れ伏してしまった
絶望の文字が頭を過ぎる
ただ静観する覇王が、政宗様を手にかけるまで時間もないだろう
動かないその姿に、恐怖を覚えた
――また、私は失うの?
膝から力が抜けていく
「っ、姐御!」
文七郎がとっさに肩を支えてくれたけれど、足に力が入らない
それでも……それでも、私が膝をついてはいけない
「だめよ……」
「え……?」
「しっかり……しないと……
私が……」
私が座り込んでしまったら……政宗様の勝利を諦めることになる
地面の土を握り締め、無理矢理に足に力を籠める
わずかに政宗様の背中が上下しているのは確認できた
彼が目を覚ます、それまででいい
時間稼ぎができるなら――!
「……覇王が政宗様を仕留めるときは、私が囮になる」
「な、なに言ってるんですか……!」
「安心して、死ぬつもりはないから
ただ――」
もう何も、失いたくないだけ
きっと不敵に笑って起き上がるはず
ただその一瞬を迎えるために
文七郎の手を解いて、二丁銃に手を伸ばす
そのとき、だった
覇王が、振り返って空を見上げたのは
「……何?」
方角は西
そちらを見ても空には何もなく、ただ暗雲が空を覆うだけだ
言い知れない不安を抱え、それでも震える手を叱咤して銃を掴んだ
……そのとき
「……何をボケッと空を見てやがる」
そう、声がした
にわかに伊達軍が沸き立つ
立ち上がった――けれど
今までの傷が蓄積された政宗様のお身体は、文字通り満身創痍だった
しかしその戦況は――
衝撃と共にに、小田原城の蔵が破壊される
その土煙の中から身を起こす――奥州筆頭
悠然とそちらへ歩いてゆくのは、覇王・豊臣秀吉
「己が器、思い知ったか、独眼竜――」
……分かっていたけれど、強い
あの巨体に似合わず俊敏な動き、そして暴力的なまでの力――
政宗様の攻撃も通っていないわけではなく、多少なり覇王は傷を負ってはいるけれど、圧倒的に政宗様のほうが傷だらけだ
「病に伏し、破びの道を歩むこの国の姿がその隻眼に見えておるなら、せめて我に一矢報いよ
さすれば豊臣に下ることを許さぬこともない」
覇王の手が、立ち上がりかけた政宗様の首を鷲掴みにする
あれでは気道が確保できない
「吠えるならば相応の力を示してみせよ
我が作り導く国に、弱き者は必要なし
力なき者は、この拳をもって粉砕するのみ……!」
「Ha!
Give me a break!
アンタの作る天下にゃ、兵隊しか住めやしねえ!
――ぐぁ……っ!」
「政宗さっ……!」
危うく飛び出しそうになるのを堪える
これは大将同士が決着をつけなければいけない戦い
頭では分かっていても……
また大切な人を失ってしまうかもしれない恐怖が、頭をもたげる
「筆頭……」
「このままじゃ、筆頭が……」
「……っ」
迂闊だった
政宗様が戦いに身を投じた今、全軍の士気を左右するのは私だというのに
不安が――恐怖が、伝染していく
悪循環は、早々に断ち切らなければいけない
大きく息を吸い、ゆっくりと吐き出す
腹の底に、ずっしりと重たいものを落とす
「――しっかりしなさい!」
私の一喝で、伊達軍のざわめきが鎮まった
全員が私を見つめている
「信じなさい!
私たちの奥州筆頭は、この程度で終わったりしない!
しっかりと蒼の旗を掲げなさい!」
「姐御――」
つかの間、静まり返った兵達が、決意の表情を固める
そして、暗雲立ち込める空に、蒼の旗が再び力強くはためいた
――けれど、これが気休めであることは、私でも分かっている
「国を治むるに必要欠くべからざるは、力
何ものにも揺るがぬ大きな力こそ、天下が今欲するもの」
その手が、弦月の前立ての形を歪ませ――
弧を描いた三日月が、音を立てて二つに割れた
「「筆頭――!!」」
「お願い……しっかりして……」
それは、誰に向かって呟いた言葉だっただろう
窮地に追い込まれた政宗様へか、それとも恐怖に呑まれそうになる私へか
「弱きこの国の病は、我が――
我が豊臣軍が一掃する……!」
心臓が嫌な音を立て続けた
握りしめた掌は、真っ白になっている
それでも――足に力を入れていないと、立っていることすらできそうもなくて
ふっと広げられた手から、ゆっくりとその身が地面へ落ちていく
その瞬間――
その身体を大きく蹴り上げ、宙に舞ったところで、跳び上がった覇王が拳で地面に突き落とした
その衝撃たるや、櫓が丸々一つ粉砕するほど
命のやり取りは幾度も目にした
けれど――こんなに一方的な戦いは、今までにあっただろうか
それでも、土煙の中から彼は現れる
その手に六本の爪をもって
劣勢の状況に反して、その隻眼には鋭さが増していく
――けれど、今回はとうとう、前のめりに倒れ伏してしまった
絶望の文字が頭を過ぎる
ただ静観する覇王が、政宗様を手にかけるまで時間もないだろう
動かないその姿に、恐怖を覚えた
――また、私は失うの?
膝から力が抜けていく
「っ、姐御!」
文七郎がとっさに肩を支えてくれたけれど、足に力が入らない
それでも……それでも、私が膝をついてはいけない
「だめよ……」
「え……?」
「しっかり……しないと……
私が……」
私が座り込んでしまったら……政宗様の勝利を諦めることになる
地面の土を握り締め、無理矢理に足に力を籠める
わずかに政宗様の背中が上下しているのは確認できた
彼が目を覚ます、それまででいい
時間稼ぎができるなら――!
「……覇王が政宗様を仕留めるときは、私が囮になる」
「な、なに言ってるんですか……!」
「安心して、死ぬつもりはないから
ただ――」
もう何も、失いたくないだけ
きっと不敵に笑って起き上がるはず
ただその一瞬を迎えるために
文七郎の手を解いて、二丁銃に手を伸ばす
そのとき、だった
覇王が、振り返って空を見上げたのは
「……何?」
方角は西
そちらを見ても空には何もなく、ただ暗雲が空を覆うだけだ
言い知れない不安を抱え、それでも震える手を叱咤して銃を掴んだ
……そのとき
「……何をボケッと空を見てやがる」
そう、声がした
にわかに伊達軍が沸き立つ
立ち上がった――けれど
今までの傷が蓄積された政宗様のお身体は、文字通り満身創痍だった
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