Episode.2-16
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
翌朝、いつものように両軍の家臣たちが二人乗りになり、私達は松永に指定された場所へと向かっていた
荒涼とした大地は、次第に坂になっていく
ちらりと背後を見たけれど、長曾我部のほうも問題なくついて来ていた
陸は不慣れみたいに言ってたけれど、大丈夫そうだ
「そろそろですか」
政宗様に確認を取ると、彼も「ああ」と返してきた
「この坂を上った先だろうな」
坂を上った先はまだ見えない
そのとき、ふわりと風に乗って流れてきた匂いは……
「火薬……?」
次の瞬間、背後で爆発が起きた
「っ!?」
私の背後にいたのは、たしか長曾我部の家臣のはず
「うはぁっ!
呼び出しといてどういう出迎えでえっ!」
完全に吹き飛ばされたようで、姿が確認できない
けれど、これは――
馬の扱いに慣れた私や政宗様、それと元親殿は、うまく爆発を避けてはいるけど
松永久秀と会うまでに家臣団が全て吹っ飛ばされる可能性が高い
――と、目の前に見えていた坂が、爆発で崩落していくのが見えた
言葉を失いかけた中、元親殿と政宗様は止まる気配を見せず……
「跳ぶぜ、野郎共!」
「む、無理っすアニキ!」
「やってみてから言うんだよ!」
「That's right!!」
まあ、それしか方法はないわけで
私も覚悟を決めた
「雛菊、頼んだわ!」
途切れた坂の手前で、雛菊に跳ぶよう合図する
私達に続く形で、家臣たちも跳びはするものの、爆発に巻き込まれて吹き飛んでいく者が多い
この火薬の量では死なないと思うけれど、無事を祈るばかりだ
視線を上にあげ、高台を見上げる
その、崖の先に人影
「松永久秀……」
下卑た眼差しが私達を見下ろしている
あの男が、片倉様を……!
「一気に行くぜ!
Are you ready?」
「はっは!
聞くだけ野暮ってもんよ!」
「私も行けます!」
そう言いかわした直後に、ひときわ大きな爆発があった
それを利用して、一気に跳ぶ
崖の上に立つ松永は、私達を見ても顔色一つ変えなかった
「テメエが松永か
前にもうちの連中が世話になったみてえだな……!」
「久しぶりだな
いつかの約束通り来てやったぜ……!」
「初めまして、松永とやら
伊達の者が二度も世話になるなんて思わなかったわ」
松永は私たち三人を前に、薄く笑みを浮かべていた
「これはこれは、奥州の独眼竜に美稜の揚羽蝶、西海の鬼まで――」
「小十郎はどこだ……!?」
「申し訳ないのだが――」
松永の右手が翳される
強い火薬の匂いがした
「竜の右目は、ここにはいない」
そう聞こえたと同時に、今までで一番の爆発を受けた
「きゃあっ……!」
体勢を崩し、背中から雛菊ごと地上へと落ちていく
背後には森林
なんとか受け身を取らなければ
幸いにも、致命傷になるような高低差ではない
空中で一回転して、頭から直下するのだけは避ける
そして木々の生い茂る中へと落ちた後――
そこで意識が途切れた
*********************
ぬめりとしたものが顔に触れた気がして、目を覚ます
ぬっと目の前に現れたのは私の愛馬で雛菊で、一瞬だけ悲鳴を上げそうになった
「雛菊……無事だったのね」
鼻で私の身体をつついて来るので、早く起きろと言うことだろう
しっかり者の相棒で頼りになる
身体中についた葉っぱや土を払い落として、あたりを見渡すけれど、見慣れない場所で、ここがどこなのか分からない
手綱を引いて森を歩いていくと、不意に見慣れた軍団が目に飛び込んできた
どうやら吹き飛ばされた場所からはかなり離れているようだ
森を抜けた先の広い場所で、伊達と長曾我部の軍団は固まっていた
「あ!
蝶の姐さん!!」
「筆頭!
姐御、見つかりました!」
輪の中心にいた政宗様と視線が合う
私が無事なのを見ると、分かるか分からないかの表情差で、安堵されたのが見えた
どうも私だけが見当たらなくて、探し回っていたらしい
「ごめんなさい……」
「いいッスよ!
無事で何よりっス!」
辺りはもう陽も暮れて真っ暗
今から大阪を目指すのは得策とは言えないから、今夜はこの辺りで野営になるだろうか
「大丈夫か」
「はい
お二人も無事で良かったです」
「ま、身体は丈夫だからな」
元親殿が笑ってそう言う
他の人も怪我はないみたいだし、良かった
そう思った、次の瞬間
私は背後の崖に人の気配を感じた
荒涼とした大地は、次第に坂になっていく
ちらりと背後を見たけれど、長曾我部のほうも問題なくついて来ていた
陸は不慣れみたいに言ってたけれど、大丈夫そうだ
「そろそろですか」
政宗様に確認を取ると、彼も「ああ」と返してきた
「この坂を上った先だろうな」
坂を上った先はまだ見えない
そのとき、ふわりと風に乗って流れてきた匂いは……
「火薬……?」
次の瞬間、背後で爆発が起きた
「っ!?」
私の背後にいたのは、たしか長曾我部の家臣のはず
「うはぁっ!
呼び出しといてどういう出迎えでえっ!」
完全に吹き飛ばされたようで、姿が確認できない
けれど、これは――
馬の扱いに慣れた私や政宗様、それと元親殿は、うまく爆発を避けてはいるけど
松永久秀と会うまでに家臣団が全て吹っ飛ばされる可能性が高い
――と、目の前に見えていた坂が、爆発で崩落していくのが見えた
言葉を失いかけた中、元親殿と政宗様は止まる気配を見せず……
「跳ぶぜ、野郎共!」
「む、無理っすアニキ!」
「やってみてから言うんだよ!」
「That's right!!」
まあ、それしか方法はないわけで
私も覚悟を決めた
「雛菊、頼んだわ!」
途切れた坂の手前で、雛菊に跳ぶよう合図する
私達に続く形で、家臣たちも跳びはするものの、爆発に巻き込まれて吹き飛んでいく者が多い
この火薬の量では死なないと思うけれど、無事を祈るばかりだ
視線を上にあげ、高台を見上げる
その、崖の先に人影
「松永久秀……」
下卑た眼差しが私達を見下ろしている
あの男が、片倉様を……!
「一気に行くぜ!
Are you ready?」
「はっは!
聞くだけ野暮ってもんよ!」
「私も行けます!」
そう言いかわした直後に、ひときわ大きな爆発があった
それを利用して、一気に跳ぶ
崖の上に立つ松永は、私達を見ても顔色一つ変えなかった
「テメエが松永か
前にもうちの連中が世話になったみてえだな……!」
「久しぶりだな
いつかの約束通り来てやったぜ……!」
「初めまして、松永とやら
伊達の者が二度も世話になるなんて思わなかったわ」
松永は私たち三人を前に、薄く笑みを浮かべていた
「これはこれは、奥州の独眼竜に美稜の揚羽蝶、西海の鬼まで――」
「小十郎はどこだ……!?」
「申し訳ないのだが――」
松永の右手が翳される
強い火薬の匂いがした
「竜の右目は、ここにはいない」
そう聞こえたと同時に、今までで一番の爆発を受けた
「きゃあっ……!」
体勢を崩し、背中から雛菊ごと地上へと落ちていく
背後には森林
なんとか受け身を取らなければ
幸いにも、致命傷になるような高低差ではない
空中で一回転して、頭から直下するのだけは避ける
そして木々の生い茂る中へと落ちた後――
そこで意識が途切れた
*********************
ぬめりとしたものが顔に触れた気がして、目を覚ます
ぬっと目の前に現れたのは私の愛馬で雛菊で、一瞬だけ悲鳴を上げそうになった
「雛菊……無事だったのね」
鼻で私の身体をつついて来るので、早く起きろと言うことだろう
しっかり者の相棒で頼りになる
身体中についた葉っぱや土を払い落として、あたりを見渡すけれど、見慣れない場所で、ここがどこなのか分からない
手綱を引いて森を歩いていくと、不意に見慣れた軍団が目に飛び込んできた
どうやら吹き飛ばされた場所からはかなり離れているようだ
森を抜けた先の広い場所で、伊達と長曾我部の軍団は固まっていた
「あ!
蝶の姐さん!!」
「筆頭!
姐御、見つかりました!」
輪の中心にいた政宗様と視線が合う
私が無事なのを見ると、分かるか分からないかの表情差で、安堵されたのが見えた
どうも私だけが見当たらなくて、探し回っていたらしい
「ごめんなさい……」
「いいッスよ!
無事で何よりっス!」
辺りはもう陽も暮れて真っ暗
今から大阪を目指すのは得策とは言えないから、今夜はこの辺りで野営になるだろうか
「大丈夫か」
「はい
お二人も無事で良かったです」
「ま、身体は丈夫だからな」
元親殿が笑ってそう言う
他の人も怪我はないみたいだし、良かった
そう思った、次の瞬間
私は背後の崖に人の気配を感じた
1/4ページ