Episode.2-14
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「悪いな、兄さん達
ちょいとその馬、俺達に貸してもらおうか……!」
月が明るい夜
尾張の山中に敷いた野営の陣に、突如現れた謎の軍勢
その頭領は、船の碇を得物として扱う男だった
……どんな状況よ、これ
「山賊風情が笑わせてくれるぜ
俺を誰だと思っていやがる」
「おっと待ちな
こちとら山賊じゃねえ、海賊よ
摂津の海を流れ流れてここまでたどり着いたんでえ
悪いが、ちょいとわけありでね」
男が碇を担ぎ上げる
力づくでも奪おうということか
二丁銃を取り出して構えたところで、政宗様の手がそれを制した
「………」
月の光を受けてわずかに輝く、縦に細い竜の瞳孔
それを少しだけ見つめ返し
観念して銃を戻した
「……上等だ
どっちにしろ、人にものを頼もうって態度じゃねえ」
不敵な笑みはそのままに、刀に手をかける
その刀は片倉様の黒龍ではなかった
「思いっきり山ン中に現れておきながら海賊を名乗りやがるあたり、jokeのsenseもまずまずだ
そのcrazyな得物共々、気に入ったぜ」
……まあ、命の取り合いではないというだけ、まだ可愛いものかしら
それにしても……
「おい兄さん!
悪いことは言わねえ
大人しく馬を寄こしな!」
「うちの兄貴は今気が立ってんだ!
やりあったらただじゃ済まねえぜ!」
向こうの軍勢が野次を飛ばせば――
「だとこら!」
「テメエら、調子こいてんじゃねえぞ!」
「筆頭をボコボコにしようなんて十年早えぜ!」
うちの奴らが同じだけの熱量で言い返していく
売り言葉に買い言葉というか、似た者同士と言うか……
こんな生きのいい連中は、伊達だけだと思っていたのに……
日ノ本も案外広いということよね……
「姐御!
どうしたんスか!」
「いや……
あんた達って、本当に政宗様のことが大好きなんだなって……」
「ったり前じゃないスか!!」
「いけぇ筆頭!」
「ほら、姐御も応援しやしょうぜ!」
「私はそういうのする性格じゃないから」
とてもじゃないけど恥ずかしい
熱狂的な応援は良直たちに任せよう
「Fum,なかなかいいノリをした連中を連れてるじゃねえか」
「はっ!
そっちもイキのいいのが多いみてえだな!」
「せいぜい楽しませてくれよ
gambleをけしかけやがったからにはな」
「安心しな
こちとらイカサマはやらねえ主義よ」
男が連れていた黄色い鳥が頭上へと羽ばたき、甲高く鳴く
それが合図だった
「Come on!」
「おるぅぅあぁあ!!」
繰り出された一撃同士が金属音を響かせた
激しく火花が飛び散り、戦いが熱を帯びていく
「筆頭、そこです!」
「相手大振りっす!」
「刀一本でいけますぜ!」
「うちの筆頭がぽっと出に負けっかよ!」
思い思いの言葉で政宗さんを応援していた伊達軍
その歓声をかき消すように
「「ア・ニ・キ!
ア・ニ・キ!
ア・ニ・キ!
ア・ニ・キ!」」
盛大なアニキの掛け声
その勢いに、だんだんと伊達軍が気圧され始めた
特に威勢のいいあの四人組がら互いを横目で見たとき……
雷が下りたように、良直が目を開いた
足を開き、スゥ、と息を吸い込んで
「筆頭!
筆頭!」
手拍子三つに筆頭の連呼
左馬助たちも慌てて良直に続いた
「……即興にしては、まあ、悪くないと思うわよ!」
「姐御も!」
「やりません!!」
そして熱を上げる戦いを、兄貴の掛け声と三拍子筆頭が盛り上げていった
……だけどこれ、争っているものはうちのド派手な馬なのよね
周囲が盛り上がれば盛り上がるほど冷静になっていく思考が、結論を弾き出す
まあ、なるようになるだろう
要は傍観が吉と見た
それにしても馬……なぜ馬なのかしら
海賊であるなら、奪うべきは金品、もしくは自由に海原を動ける船であるはず
なのになぜ、陸上を移動する手段である馬なのか
海賊とあの銀髪男は言った
日ノ本で海賊と言えば、毛利が配下に収める村上水軍、そして四国の長曾我部が有名なところだ
そして四国の長曾我部といえば、先日、豊臣の侵攻を受けて陥落した軍勢
思考に耽っていると、突然ぶわりと衝撃波が飛んできた
「うわっ……!」
「姐御、大丈夫すか!?」
「戦ってる時の筆頭からは目を離しちゃいけねえっすよ!」
「ええ、ありがとう……
……なんだか既視感あるわね、このやり取り」
それこそ昨年辺りに、こんなやり取りをした記憶があるわ……
ま、難しいことを考えるのはやめておきましょう
……どうせこの戦いに、難しい意味なんて無いんだから
ちょいとその馬、俺達に貸してもらおうか……!」
月が明るい夜
尾張の山中に敷いた野営の陣に、突如現れた謎の軍勢
その頭領は、船の碇を得物として扱う男だった
……どんな状況よ、これ
「山賊風情が笑わせてくれるぜ
俺を誰だと思っていやがる」
「おっと待ちな
こちとら山賊じゃねえ、海賊よ
摂津の海を流れ流れてここまでたどり着いたんでえ
悪いが、ちょいとわけありでね」
男が碇を担ぎ上げる
力づくでも奪おうということか
二丁銃を取り出して構えたところで、政宗様の手がそれを制した
「………」
月の光を受けてわずかに輝く、縦に細い竜の瞳孔
それを少しだけ見つめ返し
観念して銃を戻した
「……上等だ
どっちにしろ、人にものを頼もうって態度じゃねえ」
不敵な笑みはそのままに、刀に手をかける
その刀は片倉様の黒龍ではなかった
「思いっきり山ン中に現れておきながら海賊を名乗りやがるあたり、jokeのsenseもまずまずだ
そのcrazyな得物共々、気に入ったぜ」
……まあ、命の取り合いではないというだけ、まだ可愛いものかしら
それにしても……
「おい兄さん!
悪いことは言わねえ
大人しく馬を寄こしな!」
「うちの兄貴は今気が立ってんだ!
やりあったらただじゃ済まねえぜ!」
向こうの軍勢が野次を飛ばせば――
「だとこら!」
「テメエら、調子こいてんじゃねえぞ!」
「筆頭をボコボコにしようなんて十年早えぜ!」
うちの奴らが同じだけの熱量で言い返していく
売り言葉に買い言葉というか、似た者同士と言うか……
こんな生きのいい連中は、伊達だけだと思っていたのに……
日ノ本も案外広いということよね……
「姐御!
どうしたんスか!」
「いや……
あんた達って、本当に政宗様のことが大好きなんだなって……」
「ったり前じゃないスか!!」
「いけぇ筆頭!」
「ほら、姐御も応援しやしょうぜ!」
「私はそういうのする性格じゃないから」
とてもじゃないけど恥ずかしい
熱狂的な応援は良直たちに任せよう
「Fum,なかなかいいノリをした連中を連れてるじゃねえか」
「はっ!
そっちもイキのいいのが多いみてえだな!」
「せいぜい楽しませてくれよ
gambleをけしかけやがったからにはな」
「安心しな
こちとらイカサマはやらねえ主義よ」
男が連れていた黄色い鳥が頭上へと羽ばたき、甲高く鳴く
それが合図だった
「Come on!」
「おるぅぅあぁあ!!」
繰り出された一撃同士が金属音を響かせた
激しく火花が飛び散り、戦いが熱を帯びていく
「筆頭、そこです!」
「相手大振りっす!」
「刀一本でいけますぜ!」
「うちの筆頭がぽっと出に負けっかよ!」
思い思いの言葉で政宗さんを応援していた伊達軍
その歓声をかき消すように
「「ア・ニ・キ!
ア・ニ・キ!
ア・ニ・キ!
ア・ニ・キ!」」
盛大なアニキの掛け声
その勢いに、だんだんと伊達軍が気圧され始めた
特に威勢のいいあの四人組がら互いを横目で見たとき……
雷が下りたように、良直が目を開いた
足を開き、スゥ、と息を吸い込んで
「筆頭!
筆頭!」
手拍子三つに筆頭の連呼
左馬助たちも慌てて良直に続いた
「……即興にしては、まあ、悪くないと思うわよ!」
「姐御も!」
「やりません!!」
そして熱を上げる戦いを、兄貴の掛け声と三拍子筆頭が盛り上げていった
……だけどこれ、争っているものはうちのド派手な馬なのよね
周囲が盛り上がれば盛り上がるほど冷静になっていく思考が、結論を弾き出す
まあ、なるようになるだろう
要は傍観が吉と見た
それにしても馬……なぜ馬なのかしら
海賊であるなら、奪うべきは金品、もしくは自由に海原を動ける船であるはず
なのになぜ、陸上を移動する手段である馬なのか
海賊とあの銀髪男は言った
日ノ本で海賊と言えば、毛利が配下に収める村上水軍、そして四国の長曾我部が有名なところだ
そして四国の長曾我部といえば、先日、豊臣の侵攻を受けて陥落した軍勢
思考に耽っていると、突然ぶわりと衝撃波が飛んできた
「うわっ……!」
「姐御、大丈夫すか!?」
「戦ってる時の筆頭からは目を離しちゃいけねえっすよ!」
「ええ、ありがとう……
……なんだか既視感あるわね、このやり取り」
それこそ昨年辺りに、こんなやり取りをした記憶があるわ……
ま、難しいことを考えるのはやめておきましょう
……どうせこの戦いに、難しい意味なんて無いんだから
1/3ページ