Episode.2-1
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それから二月が過ぎ――
草原が風を運んで、さらさらと音を立てていく
奥州から離れたここは、武田と上杉の因縁の地
川中島――
「これだけ大々的に押しかけたのですから、武田と上杉も気付くのではないでしょうか?」
武田・上杉両軍が相見えている激戦地から少し離れたところ
川中島が見渡せる小高い丘の上に、伊達軍は布陣していた
「およそ一年ぶりの決戦となりますね……
どちらに軍配が上がるでしょうか?」
「政宗様に決まってるだろう」
「……片倉様が即答なさるのは目に見えておりましたけれど」
聞く人を間違った気がする
いや、ここにいる全員に聞いても、全員が全員、政宗様が勝つと即答するだろう
無論、私もそうだ
「それにしても遅いですね……
一発、合図で撃ってみますか?」
「わざわざ気取られるようなことはしなくていい
あのオッサンと軍神のことだ、とっくに気付いてるはずだぜ」
「……それもそうでございますね」
待ちきれないという様子の政宗様が、目の前をじっと見据え続ける
蒼紅の決闘は私も待ち望んでいたことだ
こんな楽しそうな表情の政宗様は滅多に見られない
「……筆頭!」
物見をしていた良直が声を上げる
その燃えるような紅の姿は、確かに全員が覚えていた
「ああ
……やっとお出ましだぜ」
紅い鉢巻きに六文銭、両手に携えるは二槍
身に宿る炎がそのまま体現化したような、そんな印象さえ与える
「……見ているこちらが暑うございます」
「ああ、同感だ」
片倉様も若干うんざり気味のようだ
けれど、当の本人と好敵手には、全く関係のない事らしい
彼らは既に目の前に迫る相手しか見えていない
眼下では相対する二つの軍勢が、鬨の声を上げ激突した
武田の赤と、上杉の白は、上から見ていてもよく分かる
そしてここは、川中島の東端――
立ちはだかるのは蒼き一軍
夏の風が草原を揺らす
草を踏みしめ降り立った武将
目に鮮やかな蒼色の装束は空の青にも負けはしない
弦月の前立てが陽光を浴びて照り輝く
右目を覆い隠す鍔型の眼帯
そして鋭くこの世界を見据えるその隻眼
奥州筆頭――独眼竜・伊達政宗
「――久しぶりだな、真田幸村
You doing,OK?」
流暢な異国語が、弧を描く唇から発せられた
幸村へと歩み寄りながら、政宗様がそう挨拶を述べる
幸村は一度だけ私に視線を送り
それから、政宗様を見つめ返した
「この時を待ちわびていた
独眼竜・伊達政宗!
いざ尋常に、勝負ッ!」
天覇絶槍
日の本一の兵・真田幸村
数奇な縁を結んだ二人は、ここでようやく決着をつけることになるだろうか
「上等だ
最高の気合いを入れて俺を楽しませてくれよ!」
二人が同時に歩を踏み出し、徐々に足を速めていく
六爪が抜き放たれ
二槍が回り構えられる
「Get it!
YA-HAッ!!」
「燃えよ、我が魂ッ!!」
火花が散る
交錯した互いの得物に、二人が満足げに笑みを浮かべた
払いあって再び一閃
しなやかに反らせた身体から蒼い雷光と紅い炎があふれ出して激突した
衝撃が辺りを伝わっていく
それを腕で防いでやり過ごし、兵たちはただ興奮のままにその戦いを見つめた
「筆頭、始めっから六爪を!」
「真田の兄さんも、一段と腕を上げてやがる……!」
「綾葉の姐御!
真田のあんちゃん……」
綾葉と呼ばれ、反応してみせる
私こそが美稜綾葉
この世で一人、美稜の姓を名乗る者
信州美稜の生き残りだ
草原が風を運んで、さらさらと音を立てていく
奥州から離れたここは、武田と上杉の因縁の地
川中島――
「これだけ大々的に押しかけたのですから、武田と上杉も気付くのではないでしょうか?」
武田・上杉両軍が相見えている激戦地から少し離れたところ
川中島が見渡せる小高い丘の上に、伊達軍は布陣していた
「およそ一年ぶりの決戦となりますね……
どちらに軍配が上がるでしょうか?」
「政宗様に決まってるだろう」
「……片倉様が即答なさるのは目に見えておりましたけれど」
聞く人を間違った気がする
いや、ここにいる全員に聞いても、全員が全員、政宗様が勝つと即答するだろう
無論、私もそうだ
「それにしても遅いですね……
一発、合図で撃ってみますか?」
「わざわざ気取られるようなことはしなくていい
あのオッサンと軍神のことだ、とっくに気付いてるはずだぜ」
「……それもそうでございますね」
待ちきれないという様子の政宗様が、目の前をじっと見据え続ける
蒼紅の決闘は私も待ち望んでいたことだ
こんな楽しそうな表情の政宗様は滅多に見られない
「……筆頭!」
物見をしていた良直が声を上げる
その燃えるような紅の姿は、確かに全員が覚えていた
「ああ
……やっとお出ましだぜ」
紅い鉢巻きに六文銭、両手に携えるは二槍
身に宿る炎がそのまま体現化したような、そんな印象さえ与える
「……見ているこちらが暑うございます」
「ああ、同感だ」
片倉様も若干うんざり気味のようだ
けれど、当の本人と好敵手には、全く関係のない事らしい
彼らは既に目の前に迫る相手しか見えていない
眼下では相対する二つの軍勢が、鬨の声を上げ激突した
武田の赤と、上杉の白は、上から見ていてもよく分かる
そしてここは、川中島の東端――
立ちはだかるのは蒼き一軍
夏の風が草原を揺らす
草を踏みしめ降り立った武将
目に鮮やかな蒼色の装束は空の青にも負けはしない
弦月の前立てが陽光を浴びて照り輝く
右目を覆い隠す鍔型の眼帯
そして鋭くこの世界を見据えるその隻眼
奥州筆頭――独眼竜・伊達政宗
「――久しぶりだな、真田幸村
You doing,OK?」
流暢な異国語が、弧を描く唇から発せられた
幸村へと歩み寄りながら、政宗様がそう挨拶を述べる
幸村は一度だけ私に視線を送り
それから、政宗様を見つめ返した
「この時を待ちわびていた
独眼竜・伊達政宗!
いざ尋常に、勝負ッ!」
天覇絶槍
日の本一の兵・真田幸村
数奇な縁を結んだ二人は、ここでようやく決着をつけることになるだろうか
「上等だ
最高の気合いを入れて俺を楽しませてくれよ!」
二人が同時に歩を踏み出し、徐々に足を速めていく
六爪が抜き放たれ
二槍が回り構えられる
「Get it!
YA-HAッ!!」
「燃えよ、我が魂ッ!!」
火花が散る
交錯した互いの得物に、二人が満足げに笑みを浮かべた
払いあって再び一閃
しなやかに反らせた身体から蒼い雷光と紅い炎があふれ出して激突した
衝撃が辺りを伝わっていく
それを腕で防いでやり過ごし、兵たちはただ興奮のままにその戦いを見つめた
「筆頭、始めっから六爪を!」
「真田の兄さんも、一段と腕を上げてやがる……!」
「綾葉の姐御!
真田のあんちゃん……」
綾葉と呼ばれ、反応してみせる
私こそが美稜綾葉
この世で一人、美稜の姓を名乗る者
信州美稜の生き残りだ
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