Episode.22
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
大騒ぎだった春から時は流れ、初夏
魔王・織田信長との一戦から一月余りが経ち、奥州も新緑が青々と茂る季節を迎えた
私はというと、政宗様から頂いた領地にて正式に美稜家を興し、奥州美稜家初代当主として、それなりに忙しい日々を送っている
甲斐から連れてきた美稜衆も領内でそれぞれの生活を始めて、上々の滑り出しだ
信州美稜にいた頃と違って、私は奥州の中でもそれなりに顔と名前が知れ渡っている
それゆえか、この土地を私が治めることに反対する声はなかった
今は稲作の様子を見ながら、近くを流れる川の治水工事を進めるべく、政宗様や片倉様のお知恵をお借りする毎日だ
それはそれとして、周辺国の動きも徐々に活発になってきているのも見過ごせない
伊達衆の傷も治り、いよいよ精力的に動き出そうとし始めた今日この頃
「……千夜がいないわね」
ついでに言えば、片倉様も見当たらない
お互い主君に仕える者同士、最近ようやく打ち解けてきたかしらとは思っていたけれど……
まさか、二人きりでどこかへ出掛けるような間柄にまで発展しているとでも?
「え、なに?
あの二人って、そういう関係になっちゃってるの?」
自分の侍女だからといって、あれこれ詮索するのも無粋だし
かと言って、気にならないわけでもなくて
「うーん……」
「何唸ってんだ、お前」
右側から声がかかって、そちらを見ると
そこには屋敷内での普段着を纏った、ここの主が立っていた
「これは政宗様
ご政務、お疲れ様でございました」
「Thanks.
お前もこっちにいたんだな」
「領内のことでしたら、部下がつつがなく事を進めております
しばらくは屋敷に詰めようかと思うておりまして」
「そうか、まあたまにはゆっくりしていけばいい
慣れねぇことをしてやがるってんなら、尚更な」
長い行軍の間に溜まっていた執務を終えた政宗様が、ぐっと伸びをする
その表情にもどこか疲れが見えた
「怪我はもう大丈夫ですか?」
「ああ、ようやく包帯も取れた
あとは傷跡が消えるだけだな」
「そうですか、それは良うございました」
「お前は大丈夫か?」
「私はもともと、そんなに大きな傷はありませんでしたので……」
彦一郎様に守っていただいたから
その言葉を言うことができず、飲み込んでしまう
あの時……共同で技を使った直後
魔王のもつ刀の切っ先は、はっきりと私に向けられていた
それを彦一郎様が私を庇うことで、私は助かって
……彦一郎様は亡くなった
あの方を失ったという咎は、私が背負わなければいけない
「……そうだったな
ま、しばらくは大きな戦もねえし……
安静にするに越したことはねえ」
飲み込んだ言葉が分かったのか、政宗さんは何も聞かずにそう言った
それに小さく微笑んで頷くと、一転して政宗様は声を潜めて、私にそっと問うた
「……ところで、ちょいと聞きてえんだが……」
「何でしょう?」
「小十郎を見なかったか?」
「えっ?」
てっきり、政宗さんのところにいるかと思ったのだけれど……
どうもそうではなかったらしい
「私は見ておりませんが……
いつものように、畑におられるのでは?」
「いや、物見の奴らも見てねえらしくてな」
「そうでしたか……
そういえば、千夜もおりませんし……」
「Ah?」
「政宗様、千夜を見てはおりませんか?」
「いや……見てねえが」
「左様でございますよね……
ずっとご政務にかかりっきりでおられましたから
どこに行ったのかしら、二人して……ん?」
自分で発した言葉に引っ掛かりを覚えた
思わず政宗様と顔を見合わせる
「「二人して?」」
怪訝な声音の政宗様と私の声が、それは綺麗に重なった
魔王・織田信長との一戦から一月余りが経ち、奥州も新緑が青々と茂る季節を迎えた
私はというと、政宗様から頂いた領地にて正式に美稜家を興し、奥州美稜家初代当主として、それなりに忙しい日々を送っている
甲斐から連れてきた美稜衆も領内でそれぞれの生活を始めて、上々の滑り出しだ
信州美稜にいた頃と違って、私は奥州の中でもそれなりに顔と名前が知れ渡っている
それゆえか、この土地を私が治めることに反対する声はなかった
今は稲作の様子を見ながら、近くを流れる川の治水工事を進めるべく、政宗様や片倉様のお知恵をお借りする毎日だ
それはそれとして、周辺国の動きも徐々に活発になってきているのも見過ごせない
伊達衆の傷も治り、いよいよ精力的に動き出そうとし始めた今日この頃
「……千夜がいないわね」
ついでに言えば、片倉様も見当たらない
お互い主君に仕える者同士、最近ようやく打ち解けてきたかしらとは思っていたけれど……
まさか、二人きりでどこかへ出掛けるような間柄にまで発展しているとでも?
「え、なに?
あの二人って、そういう関係になっちゃってるの?」
自分の侍女だからといって、あれこれ詮索するのも無粋だし
かと言って、気にならないわけでもなくて
「うーん……」
「何唸ってんだ、お前」
右側から声がかかって、そちらを見ると
そこには屋敷内での普段着を纏った、ここの主が立っていた
「これは政宗様
ご政務、お疲れ様でございました」
「Thanks.
お前もこっちにいたんだな」
「領内のことでしたら、部下がつつがなく事を進めております
しばらくは屋敷に詰めようかと思うておりまして」
「そうか、まあたまにはゆっくりしていけばいい
慣れねぇことをしてやがるってんなら、尚更な」
長い行軍の間に溜まっていた執務を終えた政宗様が、ぐっと伸びをする
その表情にもどこか疲れが見えた
「怪我はもう大丈夫ですか?」
「ああ、ようやく包帯も取れた
あとは傷跡が消えるだけだな」
「そうですか、それは良うございました」
「お前は大丈夫か?」
「私はもともと、そんなに大きな傷はありませんでしたので……」
彦一郎様に守っていただいたから
その言葉を言うことができず、飲み込んでしまう
あの時……共同で技を使った直後
魔王のもつ刀の切っ先は、はっきりと私に向けられていた
それを彦一郎様が私を庇うことで、私は助かって
……彦一郎様は亡くなった
あの方を失ったという咎は、私が背負わなければいけない
「……そうだったな
ま、しばらくは大きな戦もねえし……
安静にするに越したことはねえ」
飲み込んだ言葉が分かったのか、政宗さんは何も聞かずにそう言った
それに小さく微笑んで頷くと、一転して政宗様は声を潜めて、私にそっと問うた
「……ところで、ちょいと聞きてえんだが……」
「何でしょう?」
「小十郎を見なかったか?」
「えっ?」
てっきり、政宗さんのところにいるかと思ったのだけれど……
どうもそうではなかったらしい
「私は見ておりませんが……
いつものように、畑におられるのでは?」
「いや、物見の奴らも見てねえらしくてな」
「そうでしたか……
そういえば、千夜もおりませんし……」
「Ah?」
「政宗様、千夜を見てはおりませんか?」
「いや……見てねえが」
「左様でございますよね……
ずっとご政務にかかりっきりでおられましたから
どこに行ったのかしら、二人して……ん?」
自分で発した言葉に引っ掛かりを覚えた
思わず政宗様と顔を見合わせる
「「二人して?」」
怪訝な声音の政宗様と私の声が、それは綺麗に重なった
1/4ページ