Episode.16
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山城国・本能寺から、近江の安土城へ
魔王がいるその城へと、東国同盟軍は確実に近づいていた
私たちが走っているのは正規の道ではなく、佐助が先導した道無き道だ
そのためか、ところどころ整備がされていないような場所もある
奥州の馬は慣れっこだけど、他の軍の人間たちが振り落とされていないことを願うばかりだ
「ちょいと無謀だが、これで本能寺から安土へ戻る織田の軍勢の前に出られる」
「先回りしたところで、挟まれちまえば意味がねえ」
「そこはお任せあれってね」
心得顔でそう言って、佐助が谷側の茂みに紛れていった
何を仕掛けるつもりか……大体の想像はつくけれど、忍びというのは本当に味方につけると心強い
「政宗殿、もしや貴殿はこうなることを見越して……」
政宗さんに並走する真田殿が、政宗様を見やる
「塞ぎこんでいた某を鼓舞するために、あの時、伊達軍を……」
政宗様は微笑をもって真田殿に返答をした
――奥州伊達軍は、本日只今をもって解散する
真田殿を焚きつけるためとはいえ、二度と聞きたくはない台詞だ
本気で解散するなんて思ってはいなかったけれど、あの時は突然の事で真に受けてしまったのが、今となっては恥ずかしい
「どいつもこいつも、命の賭け時ってヤツを分かってやがった……ってことさ
大所帯はあんまり好きじゃねえが……
一度くらい、こんなド派手なPartyも悪くはねえ」
真田殿の顔にも微笑が浮かぶ
伊達は人の下に立たず、またどことも馴れ合うような軍ではない
それでも政宗様は、伊達の流儀をひとつ曲げてでも、こうなることを望んだのだ
さあ、先頭を往くは奥州筆頭
ならばそれに付き従う我々には欠かせぬものがある
「Are you ready guys!?」
「「Yeahー!!」」
「Shou guns up!」
「「Yeahー!!」」
伊達軍、さらにはその背後からも雄叫びが聞こえてきた
これから織田と戦うというのに、こんなにも楽しい気持ちになれるなんて
「美稜衆も取り入れるべきか?」
「何卒おやめください、やかましゅうございます」
「はは、否定はしないがな」
掛け声の最中に問われたそれは断固として反対した
あれは伊達だから許されるのであって、美稜がやるものではない……
「一気にケリをつけるぜ!
安土の城が、魔王の墓場だッ!」
「「Yeahー!!」」
「温情なき大将に、断じて明日は渡せぬ!
魔王に渡すは引導のみ!」
「「Yeahー!!」」
連合軍全てが一体となった叫び
それは大地を揺るがし、安土へ向かう全ての武人を奮い立たせた
「上出来だ!
Psyche up guys!」
「「Yeahー!!」
総伊達軍化している……
でも、日ノ本の行く末を決める戦いの前だと思えば、このまとまりは嫌いではない
(織田信長、もはや貴方を義兄とは思いますまい
さようなら――思い出の中の姉様)
身内と思えば狙いも定まらない
織田に復讐すると決めた時から、義兄上も姉様も、もはや私の家族ではなくなったのだ
何と言われようとも織田を倒す
これが、私の覚悟であり、決意だ
*********************
同刻
近江・安土城――
城内の回廊に、その二人はいた
魔王の妻・濃姫と、魔王の妹・お市
「長政様と一緒に、平和をつくる道もあったのに……」
「ただ流されてきただけの女が何を言う」
お市の言葉を、濃姫は蔑むように一蹴した
「上総介様の望みこそが私の望み
私は上総介様にすべてを捧げた」
「もう一度、兄様に会わせて……」
「その必要はないわ」
冷たい金属音が響く
お市の額には、濃姫の二丁銃の銃口が突きつけられていた
「愚かな妹、せめて苦しまずにお逝き」
途端、恐怖からか……
気を失ったお市の足元が黒く歪む
そこから現れたのは黒い魔の手
その手が濃姫に殺到する
構えた二丁銃ごと、銃口があらぬ方向を向いていく
火を吹く銃と
響く、銃声――
*********************
「……?」
何かを、感じた
前方――安土城のある方向から
「どうした、綾葉」
隣にいる彦一郎様が首を傾げている
余計な心配をかけてはいけない
「いえ、何でもありません……」
曖昧に濁して首を振ったけれど、今の予感は無視していいものではないような気もしていた
不安が胸を満たしていく
(弱気になってはいけないわ)
私達は日ノ本の明日を背負っている
勝たなければならないのだ、何としてでも
魔王がいるその城へと、東国同盟軍は確実に近づいていた
私たちが走っているのは正規の道ではなく、佐助が先導した道無き道だ
そのためか、ところどころ整備がされていないような場所もある
奥州の馬は慣れっこだけど、他の軍の人間たちが振り落とされていないことを願うばかりだ
「ちょいと無謀だが、これで本能寺から安土へ戻る織田の軍勢の前に出られる」
「先回りしたところで、挟まれちまえば意味がねえ」
「そこはお任せあれってね」
心得顔でそう言って、佐助が谷側の茂みに紛れていった
何を仕掛けるつもりか……大体の想像はつくけれど、忍びというのは本当に味方につけると心強い
「政宗殿、もしや貴殿はこうなることを見越して……」
政宗さんに並走する真田殿が、政宗様を見やる
「塞ぎこんでいた某を鼓舞するために、あの時、伊達軍を……」
政宗様は微笑をもって真田殿に返答をした
――奥州伊達軍は、本日只今をもって解散する
真田殿を焚きつけるためとはいえ、二度と聞きたくはない台詞だ
本気で解散するなんて思ってはいなかったけれど、あの時は突然の事で真に受けてしまったのが、今となっては恥ずかしい
「どいつもこいつも、命の賭け時ってヤツを分かってやがった……ってことさ
大所帯はあんまり好きじゃねえが……
一度くらい、こんなド派手なPartyも悪くはねえ」
真田殿の顔にも微笑が浮かぶ
伊達は人の下に立たず、またどことも馴れ合うような軍ではない
それでも政宗様は、伊達の流儀をひとつ曲げてでも、こうなることを望んだのだ
さあ、先頭を往くは奥州筆頭
ならばそれに付き従う我々には欠かせぬものがある
「Are you ready guys!?」
「「Yeahー!!」」
「Shou guns up!」
「「Yeahー!!」」
伊達軍、さらにはその背後からも雄叫びが聞こえてきた
これから織田と戦うというのに、こんなにも楽しい気持ちになれるなんて
「美稜衆も取り入れるべきか?」
「何卒おやめください、やかましゅうございます」
「はは、否定はしないがな」
掛け声の最中に問われたそれは断固として反対した
あれは伊達だから許されるのであって、美稜がやるものではない……
「一気にケリをつけるぜ!
安土の城が、魔王の墓場だッ!」
「「Yeahー!!」」
「温情なき大将に、断じて明日は渡せぬ!
魔王に渡すは引導のみ!」
「「Yeahー!!」」
連合軍全てが一体となった叫び
それは大地を揺るがし、安土へ向かう全ての武人を奮い立たせた
「上出来だ!
Psyche up guys!」
「「Yeahー!!」
総伊達軍化している……
でも、日ノ本の行く末を決める戦いの前だと思えば、このまとまりは嫌いではない
(織田信長、もはや貴方を義兄とは思いますまい
さようなら――思い出の中の姉様)
身内と思えば狙いも定まらない
織田に復讐すると決めた時から、義兄上も姉様も、もはや私の家族ではなくなったのだ
何と言われようとも織田を倒す
これが、私の覚悟であり、決意だ
*********************
同刻
近江・安土城――
城内の回廊に、その二人はいた
魔王の妻・濃姫と、魔王の妹・お市
「長政様と一緒に、平和をつくる道もあったのに……」
「ただ流されてきただけの女が何を言う」
お市の言葉を、濃姫は蔑むように一蹴した
「上総介様の望みこそが私の望み
私は上総介様にすべてを捧げた」
「もう一度、兄様に会わせて……」
「その必要はないわ」
冷たい金属音が響く
お市の額には、濃姫の二丁銃の銃口が突きつけられていた
「愚かな妹、せめて苦しまずにお逝き」
途端、恐怖からか……
気を失ったお市の足元が黒く歪む
そこから現れたのは黒い魔の手
その手が濃姫に殺到する
構えた二丁銃ごと、銃口があらぬ方向を向いていく
火を吹く銃と
響く、銃声――
*********************
「……?」
何かを、感じた
前方――安土城のある方向から
「どうした、綾葉」
隣にいる彦一郎様が首を傾げている
余計な心配をかけてはいけない
「いえ、何でもありません……」
曖昧に濁して首を振ったけれど、今の予感は無視していいものではないような気もしていた
不安が胸を満たしていく
(弱気になってはいけないわ)
私達は日ノ本の明日を背負っている
勝たなければならないのだ、何としてでも
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