Episode.13
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甲斐国
竜王の堤の岸の上――
御勅使川を見ると、完全に堤は壊れて氾濫してしまっている
被害が拡大する前に氾濫を止めたいところなのに、この男――明智光秀が邪魔をしていた
「やはり生きていましたか
独眼竜……伊達、政宗……」
鎌の先からは信玄公の血が滴り落ちている
表情は恍惚とも取れる愉悦の笑み
……本当に、気に入らない
「余韻に浸る間もなく、次の獲物とは……」
「浅井の時と同じ目をしてやがる
crazyな野郎だぜ……!」
遠くからは双竜の名を呼ぶ伊達の兵がいる
どうやら武田の兵と一緒に、この事態の対処に当たっていたようだ
「筆頭!
片倉様ッ!」
「えええッ!?
なんで姐御がいるんスか!?」
「つーか姐御、その横の野郎は誰スか!」
「今それはどうでも良いでしょ!!」
来て早々に頭の痛くなるような会話をしないでほしい
伊達の兵達は私達の対峙する先を見て、言葉を失った
なにせこの男は、設楽原で浅井長政ごと伊達軍を撃ち、我らが奥州筆頭を負傷させた張本人
それに――と政宗様を横目で見やる
設楽原から日数もさほど経っていない
政宗様の御身が万上であるはずなどないのだ
政宗様の傷が開かないうちに、この場を納めなければ……
片倉様が背後を少しだけ見やる
「残った奴らと川下へ回れ!」
「は、はいッ!」
伊達衆へ指示を出してから、再度明智を睨みつめた
奥州の双竜に美稜の我ら二人、総勢四人を前にしても、明智光秀には焦りひとつ見受けられない
「小十郎、野郎に遠慮は無用だ」
「承知
この場にて仕留めましょう」
「綾葉、我らもお二人に続くぞ」
「かしこまりました」
双竜の二人が同時に踏み出す
蒼の雷光が迸り、六爪を全て抜刀して政宗様が明智目掛けて振り下ろす
「DEATH・FANG!」
「セイヤァッ!」
政宗様のバサラ技に、片倉様の月煌が同時に明智に決まった
お二人が明智光秀から離れたのと同時に、私と彦一郎様が遠距離から明智光秀を狙っていく
「紅炎舞!」
「乱れ桜!」
炎の弾丸と風纏う弓矢の雨をも避けず、着地した明智が僅かによろめいた
致命傷にならない攻撃はわざと避けなかったのだと分かる
本当に意味が分からない
「クッククク……いいですね
独眼竜と右目の剣、そして風神の弓矢と揚羽の弾丸を一度に味わえる果報者は、そういないでしょう……
はあぁっ!」
明智の技が発動する
身構えて受け流そうとしたけれど、その衝撃は私達まで届かない
はっと明智を見やると、その体は馬上に降り立っていた
「Damn shit!」
「明智ッ!」
「たった今、甲斐の虎というご馳走を頂いたばかり……
食べ過ぎは身体によくありません
それに……」
明智が意味ありげな視線を政宗様へと寄越す
このお方に何をしようというのか
「あなたには、大事な役割を負ってもらわねば……
クッククク……」
不気味な笑い声を残し、明智が去っていく
土砂降りの雨の中にその姿は消え、後に残るのは私達と戦いの痕跡だけ
政宗様は眉間の皺を深くして、立ち尽くしていた
「……なんだと……?」
私も、もちろん彦一郎様も、そして片倉様も
明智の言う『大事な役割』の意味が分からなかった
織田信長は一体、政宗様に何をさせようと……?
「……そうだ、信玄公は……!」
「……!
信玄公ッ!」
御勅使川を見つめても、それらしき姿は見られない
まさか川に呑まれて、そのまま――
「川下に回ろう!
運よく打ち上げられているかもしれない」
「はい……!」
彦一郎様が走り出して、私も後を追う
川下の、さらに下流まで下った時
川辺に真田幸村殿と信玄公を見つけた
「お館様……!
お館様、お館様ッ!
目を開けてくだされ!
お館様ぁぁぁ!!」
私たちはその絶叫に足を止め
ただ、真田殿を見つめるしかなかった
間に合わなかった
私達は、間に合わなかった……――
竜王の堤の岸の上――
御勅使川を見ると、完全に堤は壊れて氾濫してしまっている
被害が拡大する前に氾濫を止めたいところなのに、この男――明智光秀が邪魔をしていた
「やはり生きていましたか
独眼竜……伊達、政宗……」
鎌の先からは信玄公の血が滴り落ちている
表情は恍惚とも取れる愉悦の笑み
……本当に、気に入らない
「余韻に浸る間もなく、次の獲物とは……」
「浅井の時と同じ目をしてやがる
crazyな野郎だぜ……!」
遠くからは双竜の名を呼ぶ伊達の兵がいる
どうやら武田の兵と一緒に、この事態の対処に当たっていたようだ
「筆頭!
片倉様ッ!」
「えええッ!?
なんで姐御がいるんスか!?」
「つーか姐御、その横の野郎は誰スか!」
「今それはどうでも良いでしょ!!」
来て早々に頭の痛くなるような会話をしないでほしい
伊達の兵達は私達の対峙する先を見て、言葉を失った
なにせこの男は、設楽原で浅井長政ごと伊達軍を撃ち、我らが奥州筆頭を負傷させた張本人
それに――と政宗様を横目で見やる
設楽原から日数もさほど経っていない
政宗様の御身が万上であるはずなどないのだ
政宗様の傷が開かないうちに、この場を納めなければ……
片倉様が背後を少しだけ見やる
「残った奴らと川下へ回れ!」
「は、はいッ!」
伊達衆へ指示を出してから、再度明智を睨みつめた
奥州の双竜に美稜の我ら二人、総勢四人を前にしても、明智光秀には焦りひとつ見受けられない
「小十郎、野郎に遠慮は無用だ」
「承知
この場にて仕留めましょう」
「綾葉、我らもお二人に続くぞ」
「かしこまりました」
双竜の二人が同時に踏み出す
蒼の雷光が迸り、六爪を全て抜刀して政宗様が明智目掛けて振り下ろす
「DEATH・FANG!」
「セイヤァッ!」
政宗様のバサラ技に、片倉様の月煌が同時に明智に決まった
お二人が明智光秀から離れたのと同時に、私と彦一郎様が遠距離から明智光秀を狙っていく
「紅炎舞!」
「乱れ桜!」
炎の弾丸と風纏う弓矢の雨をも避けず、着地した明智が僅かによろめいた
致命傷にならない攻撃はわざと避けなかったのだと分かる
本当に意味が分からない
「クッククク……いいですね
独眼竜と右目の剣、そして風神の弓矢と揚羽の弾丸を一度に味わえる果報者は、そういないでしょう……
はあぁっ!」
明智の技が発動する
身構えて受け流そうとしたけれど、その衝撃は私達まで届かない
はっと明智を見やると、その体は馬上に降り立っていた
「Damn shit!」
「明智ッ!」
「たった今、甲斐の虎というご馳走を頂いたばかり……
食べ過ぎは身体によくありません
それに……」
明智が意味ありげな視線を政宗様へと寄越す
このお方に何をしようというのか
「あなたには、大事な役割を負ってもらわねば……
クッククク……」
不気味な笑い声を残し、明智が去っていく
土砂降りの雨の中にその姿は消え、後に残るのは私達と戦いの痕跡だけ
政宗様は眉間の皺を深くして、立ち尽くしていた
「……なんだと……?」
私も、もちろん彦一郎様も、そして片倉様も
明智の言う『大事な役割』の意味が分からなかった
織田信長は一体、政宗様に何をさせようと……?
「……そうだ、信玄公は……!」
「……!
信玄公ッ!」
御勅使川を見つめても、それらしき姿は見られない
まさか川に呑まれて、そのまま――
「川下に回ろう!
運よく打ち上げられているかもしれない」
「はい……!」
彦一郎様が走り出して、私も後を追う
川下の、さらに下流まで下った時
川辺に真田幸村殿と信玄公を見つけた
「お館様……!
お館様、お館様ッ!
目を開けてくだされ!
お館様ぁぁぁ!!」
私たちはその絶叫に足を止め
ただ、真田殿を見つめるしかなかった
間に合わなかった
私達は、間に合わなかった……――
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