44 大集合・学院生徒会
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
それは海水浴シーズンも終わりを告げようかという、八月下旬のことだった
「話は聞かせてもらった!」
「まだ何も言ってないんだよなぁ」
しっかりと施錠していたはずの玄関を突破して、かすがが乱入してきた
せめてインターホンくらいは押そうね、普通に怖いから
44 大集合・学院生徒会
突発的な海合宿(遊ぶだけ)が決まって、一週間後
ディーゼルエンジンを唸らせながら、例によって例のごとく、伊達家御用達の大型バスは高速道路をかっ飛ばしていた
「お天気に恵まれて良かったですねぇ」
「I think so too.
天気にゃあ恵まれたな」
雲ひとつない青空を見やって政宗さんが頷く
……まあね、天気がいいことは良いことだと思う
「佐助様!
見てください、水平線が綺麗ですね!」
「へぇ、愛ちゃんって海好きなんだ
俺様、またひとつ愛ちゃんのこと知っちゃった感じ?」
「もう……佐助様ったら」
……なーんていう、人目を憚らないバカップルがいるかと思えば
「今年こそいつかのリベンジと洒落込むぜ!
親泰ッ、釣竿は持ったなァ!」
「だーから、釣れないって言ってるだろうが!!
何度も言わせるなよ、同じことを!!」
兄に振り回される弟の怒りに満ちた怒声が聞こえてくる
可哀想に、親泰君は今年も元親先輩に振り回される羽目になったのだ……
「そうだ幸村君、飴いる?」
「なんと!
いただいて良いのでござるか!」
「いっぱい持ってきたからね〜」
いちご味の飴を取り出して、包装の袋を開ける
そうして斜め後ろの席にいる幸村君目掛けて投げようとして……右手を左に伸ばした
幸村君が左に動く
右にやると幸村君も右に、上に下に、と、私の手に合わせて幸村君が動いてくる
そうしてぽいっと投げると、綺麗に口でキャッチしてくれた
「……!!」
「人の主君で遊ばないでよ、夕歌ちゃん……」
「楽しくてつい……」
「佐助!
いちご味だ!」
「なんで俺様に報告した?」
「美味しかったからお母さんに伝えたかったんじゃないかと」
「いい加減オカンネタこするのやめてくんない?」
無理じゃん、それは
佐助先輩はなんかもう、幸村君のオカンじゃん
「おお、成実殿、なにやら美味そうな菓子を!」
「ばっ!
これは俺が登勢と食うために焼いたフィナンシェだぞ!
ぜってーやらねぇからな!!」
「旦那ァ!!
あんたって人は見境なく人様の持ってる菓子に食い付いて!!」
「そういうところなんですよ」
「くそぉぉぉぉ!!」
佐助先輩が頭を掻きむしって悔しがった
でも佐助先輩のオカンらしさが無くなったら、それはそれで寂しいので……
「幸村、俺がもらったクッキーでよければ、あげようか?」
「なんと!!」
「親泰!!
旦那を甘やかすなっつったでしょーが!!」
「オカンも大変ですね」
「あ゛?」
「すみませんなんでもありません」
ガチのガンが飛んできたので素直に謝った
私もまだ命は惜しい
結局、当時の合宿メンツがほとんど集合してしまったな……
来られなかったのは連絡がつかなかった小太郎先輩くらいだ
佐助先輩もかすがも、小太郎先輩がどこで何をしているかは知らなかったので、誘いようがなかった
……叔父の命令だったとはいえ、私の命を奪おうとしたから、気まずくて顔を合わせづらいのかもしれない
「着いたらまず昼食ですかね?」
「Yes.
とはいえ、さすがにこの人数分を俺達で作るのは、無茶が過ぎるな……」
「前回より増えましたからね……」
小太郎先輩はいないけど、愛と登勢が増えたので、トータルでほぼ同人数だ
まさかこんなに揃うとは思っていなかった我々の負けである
「……手伝いますよ」
「Thanks……」
政宗さんが項垂れたまま頷いた
みんな忙しいし、誘った人数の半分でも来てくれたらラッキーだよね、などとタカを括っていた我々の負けなのである
こんなにほぼ全員が揃うことあるんだ、卒業して二年経つのに
「私達はともかく、毛利先輩世代は就活もあってお忙しいのでは……」
「我らは全員、家業を継ぐ
就職先など端から決まっておるわ」
「佐助先輩もですか?」
「俺様はほら、真田家に雇われてる身だし?」
「そうだった……」
ただの幸村君のオカンじゃなかったんだった……
「旦那のオカンじゃなくて、一応これでも真田の諜報員やってんだわ、俺様」
「……し、知ってますよぉ?」
「声震えてるけど」
いやほらね、知ってるのは間違いないんだ
間違いないんだけど、普段のイメージがもう幸村君の保護者というか……
もうオカンでいいんじゃないかな
……ものすごい目で睨まれたので、オカンは駄目そうだ
「話は聞かせてもらった!」
「まだ何も言ってないんだよなぁ」
しっかりと施錠していたはずの玄関を突破して、かすがが乱入してきた
せめてインターホンくらいは押そうね、普通に怖いから
44 大集合・学院生徒会
突発的な海合宿(遊ぶだけ)が決まって、一週間後
ディーゼルエンジンを唸らせながら、例によって例のごとく、伊達家御用達の大型バスは高速道路をかっ飛ばしていた
「お天気に恵まれて良かったですねぇ」
「I think so too.
天気にゃあ恵まれたな」
雲ひとつない青空を見やって政宗さんが頷く
……まあね、天気がいいことは良いことだと思う
「佐助様!
見てください、水平線が綺麗ですね!」
「へぇ、愛ちゃんって海好きなんだ
俺様、またひとつ愛ちゃんのこと知っちゃった感じ?」
「もう……佐助様ったら」
……なーんていう、人目を憚らないバカップルがいるかと思えば
「今年こそいつかのリベンジと洒落込むぜ!
親泰ッ、釣竿は持ったなァ!」
「だーから、釣れないって言ってるだろうが!!
何度も言わせるなよ、同じことを!!」
兄に振り回される弟の怒りに満ちた怒声が聞こえてくる
可哀想に、親泰君は今年も元親先輩に振り回される羽目になったのだ……
「そうだ幸村君、飴いる?」
「なんと!
いただいて良いのでござるか!」
「いっぱい持ってきたからね〜」
いちご味の飴を取り出して、包装の袋を開ける
そうして斜め後ろの席にいる幸村君目掛けて投げようとして……右手を左に伸ばした
幸村君が左に動く
右にやると幸村君も右に、上に下に、と、私の手に合わせて幸村君が動いてくる
そうしてぽいっと投げると、綺麗に口でキャッチしてくれた
「……!!」
「人の主君で遊ばないでよ、夕歌ちゃん……」
「楽しくてつい……」
「佐助!
いちご味だ!」
「なんで俺様に報告した?」
「美味しかったからお母さんに伝えたかったんじゃないかと」
「いい加減オカンネタこするのやめてくんない?」
無理じゃん、それは
佐助先輩はなんかもう、幸村君のオカンじゃん
「おお、成実殿、なにやら美味そうな菓子を!」
「ばっ!
これは俺が登勢と食うために焼いたフィナンシェだぞ!
ぜってーやらねぇからな!!」
「旦那ァ!!
あんたって人は見境なく人様の持ってる菓子に食い付いて!!」
「そういうところなんですよ」
「くそぉぉぉぉ!!」
佐助先輩が頭を掻きむしって悔しがった
でも佐助先輩のオカンらしさが無くなったら、それはそれで寂しいので……
「幸村、俺がもらったクッキーでよければ、あげようか?」
「なんと!!」
「親泰!!
旦那を甘やかすなっつったでしょーが!!」
「オカンも大変ですね」
「あ゛?」
「すみませんなんでもありません」
ガチのガンが飛んできたので素直に謝った
私もまだ命は惜しい
結局、当時の合宿メンツがほとんど集合してしまったな……
来られなかったのは連絡がつかなかった小太郎先輩くらいだ
佐助先輩もかすがも、小太郎先輩がどこで何をしているかは知らなかったので、誘いようがなかった
……叔父の命令だったとはいえ、私の命を奪おうとしたから、気まずくて顔を合わせづらいのかもしれない
「着いたらまず昼食ですかね?」
「Yes.
とはいえ、さすがにこの人数分を俺達で作るのは、無茶が過ぎるな……」
「前回より増えましたからね……」
小太郎先輩はいないけど、愛と登勢が増えたので、トータルでほぼ同人数だ
まさかこんなに揃うとは思っていなかった我々の負けである
「……手伝いますよ」
「Thanks……」
政宗さんが項垂れたまま頷いた
みんな忙しいし、誘った人数の半分でも来てくれたらラッキーだよね、などとタカを括っていた我々の負けなのである
こんなにほぼ全員が揃うことあるんだ、卒業して二年経つのに
「私達はともかく、毛利先輩世代は就活もあってお忙しいのでは……」
「我らは全員、家業を継ぐ
就職先など端から決まっておるわ」
「佐助先輩もですか?」
「俺様はほら、真田家に雇われてる身だし?」
「そうだった……」
ただの幸村君のオカンじゃなかったんだった……
「旦那のオカンじゃなくて、一応これでも真田の諜報員やってんだわ、俺様」
「……し、知ってますよぉ?」
「声震えてるけど」
いやほらね、知ってるのは間違いないんだ
間違いないんだけど、普段のイメージがもう幸村君の保護者というか……
もうオカンでいいんじゃないかな
……ものすごい目で睨まれたので、オカンは駄目そうだ
1/5ページ
