37 弟たちの逆襲
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カランカランとドアのベルが軽やかな音を立てる
パフェを食べ終えてお店を出た我ら仲良しクインテットは、大学へ戻る親泰君を見送るべく、駅へと向かっていた
「それにしてもタイムリーに親貞お兄さんからの電話だったね」
「俺もびっくりしたよ
親貞兄さんは関西の大学に通ってるから、普段はこっちにいないんだ
……ていうかなんで今、こっちにいるんだろう?
ゴールデンウィークは終わったはずだけど」
「たしかにな
帰省するには遅すぎるっつーか……」
ゴールデンウィークが明けたから、親泰君も講義に向かってるわけだし
私達はたまたま全休だっただけで
「うーんでも、兄さんが家にいないから、困ってるふうだったな
もしかして相当大事な用事があって帰ってきたんじゃ……」
「悪い話でなければ良いのでござるが……」
小さく頷きながら、親泰君が改札口へ向かっていく
その途中で足を止めて、向こう側から出てくる人を見つめていた
「親泰?」
「どしたの、親泰君」
「や、えっと……」
改札の中から出てきた人だかりの中に、目に見えて分かるレベルの銀髪がいた
私の知る限り、銀髪は元親先輩か、ご近所さんのいつきちゃんしかいないけど、いつきちゃんは学院の中等部にいるから、こんなところにいるはずない
というかそもそも、あんなにタッパがあるわけもないし
「……ん?」
銀髪の男性が私達を見て、それから親泰君に視線を移した
瞬間、ふわりと笑ってこちらへ歩いてくる
元親先輩以外にも銀髪の人っているんだ……
「親泰!」
「さ……貞にぃ!?」
「「貞にぃ!?」」
私と成実の大声が重なる
貞にぃこと親貞お兄さんは、親泰君のところへ大股で歩いてくると、わしわしと頭を撫でた
「久しぶりだな、親泰
兄貴に振り回されて大変じゃないか?」
「久々の再会で一言目がそれなんだ……」
「まあ、元親だしな……」
「もうすっごい大変だよ!
貞にぃが家を出てから、舎弟もバイクも増える一方なんだ!」
親貞お兄さん、元親先輩の抑止力だったっぽい
そりゃあ元親先輩も羽目を外すに決まってる
「……あれ?
でも元親先輩、私達が入学した時には既にめっちゃ子分いなかった?」
「親泰、この方達は?」
「あっごめん、紹介してなかった
みんな、高校時代からの友達で、斎藤……じゃなくて、伊達斎藤さん」
「伊達夕歌です」
「成実は貞にぃも面識あるから飛ばして、こちらが春日山かすがさん」
「宜しく頼む」
「それからこっちが真田幸村」
「宜しくお願い致す!」
ていうか、成実はやっぱり面識あったんだ
どことなくよそよそしいので、親泰君ほどの面識はないと見た
「はじめまして
香曾我部親泰の兄の、吉良親貞です」
「おお、なんと礼儀正しい御仁!」
「俺と貞にぃの兄が兄さんだって、信じられないだろ」
「ここまでくると、元親のほうが突然変異なんじゃねぇかと俺は思ってる」
「兄がいつもご迷惑をお掛けしてすみません」
「いえいえ!
私達はそこまで迷惑してないので!
むしろ被害を被ってるのは……」
「まぁ俺だろうな」
腕を組んで、成実がなんでもないことのように言った
成実の中では、気に病むだけ馬鹿らしい話らしい
そりゃあ、元親先輩が別邸に押しかける度、成実が部屋を明け渡してるらしいから……
「ところで、貞にぃはなんでここに?
大学は?」
「ん?
ああ、実は明日、インターンシップで……
せっかくだから久々に実家に帰ろうと思ったら、実家の鍵を大阪の家に置いてきたらしくて」
「え!?
それって大阪に帰ったら貞にぃもマンションに入れないんじゃ……」
「マンションはカードキーだから大丈夫だ
そういうわけで親泰、鍵を貸してくれないか?
宿泊用の荷物を持ったまま、うろつきたくなくてな……」
いいけど……と言って、親泰君がキーケースを差し出す
助かるよと微笑んで、親貞お兄さんは再び改札の方へと戻っていこうとした
「あ、貞にぃ待って、俺も大学に戻るから!
ホームの近くまで一緒に行こう
じゃあね、みんな、また明日!」
「お兄さんと仲良くねー!」
「うむ!
兄弟は仲が良いのが一番でござる!」
「また明日、だ」
「元親に会ったら宜しく伝えてくれ」
親泰君と親貞お兄さんを見送って、私達は改札口の前から離れた
これからどうしよっか、という顔が四つ集まっている
本気でパフェを食べたあとの事を考えていなかった
「今日に限って、師範が来ないから剣道部も休みだしなー」
「あ、じゃあさじゃあさ、学院に遊びに行かない?」
「俺はパス」
「えー!?」
「お前な、なんで平和な休日を過ごしてるってのに、キャーキャーうるさくなる場所に行かなきゃいけねぇんだよ!」
「うるさくならないよ!
え、ならないよね?」
「なるに決まってんだろ!
お前のファンクラブは学院でも大学でも健在なんだぞ!!」
学院でも健在なのか……
本当にどうしてこうなったのか……
「しかし、いつまでもここで立ち話というのも……」
「そうだな
せめて場所を移動したほうがいいのではないのか」
「場所かぁ……
別邸には近寄りたくねぇしな……」
まあ、十中八九、元親先輩がいるだろうな
成実の心情は察して余りある
かといってここで解散になっても、私も暇だしなぁ
……どうしたものか
パフェを食べ終えてお店を出た我ら仲良しクインテットは、大学へ戻る親泰君を見送るべく、駅へと向かっていた
「それにしてもタイムリーに親貞お兄さんからの電話だったね」
「俺もびっくりしたよ
親貞兄さんは関西の大学に通ってるから、普段はこっちにいないんだ
……ていうかなんで今、こっちにいるんだろう?
ゴールデンウィークは終わったはずだけど」
「たしかにな
帰省するには遅すぎるっつーか……」
ゴールデンウィークが明けたから、親泰君も講義に向かってるわけだし
私達はたまたま全休だっただけで
「うーんでも、兄さんが家にいないから、困ってるふうだったな
もしかして相当大事な用事があって帰ってきたんじゃ……」
「悪い話でなければ良いのでござるが……」
小さく頷きながら、親泰君が改札口へ向かっていく
その途中で足を止めて、向こう側から出てくる人を見つめていた
「親泰?」
「どしたの、親泰君」
「や、えっと……」
改札の中から出てきた人だかりの中に、目に見えて分かるレベルの銀髪がいた
私の知る限り、銀髪は元親先輩か、ご近所さんのいつきちゃんしかいないけど、いつきちゃんは学院の中等部にいるから、こんなところにいるはずない
というかそもそも、あんなにタッパがあるわけもないし
「……ん?」
銀髪の男性が私達を見て、それから親泰君に視線を移した
瞬間、ふわりと笑ってこちらへ歩いてくる
元親先輩以外にも銀髪の人っているんだ……
「親泰!」
「さ……貞にぃ!?」
「「貞にぃ!?」」
私と成実の大声が重なる
貞にぃこと親貞お兄さんは、親泰君のところへ大股で歩いてくると、わしわしと頭を撫でた
「久しぶりだな、親泰
兄貴に振り回されて大変じゃないか?」
「久々の再会で一言目がそれなんだ……」
「まあ、元親だしな……」
「もうすっごい大変だよ!
貞にぃが家を出てから、舎弟もバイクも増える一方なんだ!」
親貞お兄さん、元親先輩の抑止力だったっぽい
そりゃあ元親先輩も羽目を外すに決まってる
「……あれ?
でも元親先輩、私達が入学した時には既にめっちゃ子分いなかった?」
「親泰、この方達は?」
「あっごめん、紹介してなかった
みんな、高校時代からの友達で、斎藤……じゃなくて、伊達斎藤さん」
「伊達夕歌です」
「成実は貞にぃも面識あるから飛ばして、こちらが春日山かすがさん」
「宜しく頼む」
「それからこっちが真田幸村」
「宜しくお願い致す!」
ていうか、成実はやっぱり面識あったんだ
どことなくよそよそしいので、親泰君ほどの面識はないと見た
「はじめまして
香曾我部親泰の兄の、吉良親貞です」
「おお、なんと礼儀正しい御仁!」
「俺と貞にぃの兄が兄さんだって、信じられないだろ」
「ここまでくると、元親のほうが突然変異なんじゃねぇかと俺は思ってる」
「兄がいつもご迷惑をお掛けしてすみません」
「いえいえ!
私達はそこまで迷惑してないので!
むしろ被害を被ってるのは……」
「まぁ俺だろうな」
腕を組んで、成実がなんでもないことのように言った
成実の中では、気に病むだけ馬鹿らしい話らしい
そりゃあ、元親先輩が別邸に押しかける度、成実が部屋を明け渡してるらしいから……
「ところで、貞にぃはなんでここに?
大学は?」
「ん?
ああ、実は明日、インターンシップで……
せっかくだから久々に実家に帰ろうと思ったら、実家の鍵を大阪の家に置いてきたらしくて」
「え!?
それって大阪に帰ったら貞にぃもマンションに入れないんじゃ……」
「マンションはカードキーだから大丈夫だ
そういうわけで親泰、鍵を貸してくれないか?
宿泊用の荷物を持ったまま、うろつきたくなくてな……」
いいけど……と言って、親泰君がキーケースを差し出す
助かるよと微笑んで、親貞お兄さんは再び改札の方へと戻っていこうとした
「あ、貞にぃ待って、俺も大学に戻るから!
ホームの近くまで一緒に行こう
じゃあね、みんな、また明日!」
「お兄さんと仲良くねー!」
「うむ!
兄弟は仲が良いのが一番でござる!」
「また明日、だ」
「元親に会ったら宜しく伝えてくれ」
親泰君と親貞お兄さんを見送って、私達は改札口の前から離れた
これからどうしよっか、という顔が四つ集まっている
本気でパフェを食べたあとの事を考えていなかった
「今日に限って、師範が来ないから剣道部も休みだしなー」
「あ、じゃあさじゃあさ、学院に遊びに行かない?」
「俺はパス」
「えー!?」
「お前な、なんで平和な休日を過ごしてるってのに、キャーキャーうるさくなる場所に行かなきゃいけねぇんだよ!」
「うるさくならないよ!
え、ならないよね?」
「なるに決まってんだろ!
お前のファンクラブは学院でも大学でも健在なんだぞ!!」
学院でも健在なのか……
本当にどうしてこうなったのか……
「しかし、いつまでもここで立ち話というのも……」
「そうだな
せめて場所を移動したほうがいいのではないのか」
「場所かぁ……
別邸には近寄りたくねぇしな……」
まあ、十中八九、元親先輩がいるだろうな
成実の心情は察して余りある
かといってここで解散になっても、私も暇だしなぁ
……どうしたものか
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