36 望む明日へ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
あなたが見ているものを、私も見てみたい
それをあなたは、応援してくれるかな
あなたの隣を、胸を張って歩けるように
それがきっと――私の望む人生だと思うから
36 望む明日へ
パーティーが終わった翌日、私と政宗さん、そして和真さんは、本邸に向かった
話題はもちろん、おばあちゃんの言っていた提案だ
「……つまり藤野芳江の目的は、あの場で藤野グループの後継者として、お前を紹介することだったってわけか」
腕を組んだまま政宗さんが呟く
それに頷くと、お義父さんとお義母さんは難しそうな顔をした
「斎藤グループが持っていた範囲だけなら何とかなっただろうが、藤野グループ丸ごととなると、さすがにそれはなぁ」
「……そうね
忙しさも桁違いになるでしょうし、政宗との時間もほとんどなくなるわ
政宗には小十郎や成実、綱元……他にもたくさんの支えがあるけれど、夕歌ちゃんには新倉しか居ないものね」
「う、ん……森口さんもゆくゆくは私についてくれるだろうけど、それでも少ないと言えば少ないかも……」
「そうですね……もちろん私は、私のできる全てでお嬢様をお支えする所存ですが、お嬢様がご多忙を極めることになるのは間違いないでしょう」
「……やっぱり反対でしょうか」
俯いてしまうと、その場がシン……と静まり返る
そうして最初に口を開いたのは、やっぱり政宗さんだった
「やりたいようにやればいい
お前がやりたいってんなら、俺達だってお前を支えるさ」
「そうね、お母様が遺された会社でもあるんですもの
夕歌ちゃんがそれを受け継ぎたいって気持ちは、分かるわ」
「……ま、夕歌ちゃんなら何とかなる気はしてるけどな
適度に肩の力を抜くことさえ覚えりゃあ、意外とどうにでもなるもんだ」
お義父さんが自分でそう言って、うんうんと頷く
肩の力を抜いた結果、部下が走り回っているんだと思うけど……
でもお義父さん一人で出来ることにも、限界はある
それは政宗さんもそうなんだけど、政宗さんは上手いこと肩の力を抜けるタイプだから、あんまり心配はしてない
「私はお嬢様の判断に従います
以前も言いましたように、お嬢様が成されることならば、私は全力でお手伝いさせていただきますので」
「ありがとうございます
……まだ、私にそんな力があるとは思えないですけど
でも私はやっぱり、藤野を継ぎたい
そうしても、いいですか?」
決意を込めた目で四人を見つめる
みんなは私を見つめ返して、そうして頷いてくれた
「Of course.」
「反対する理由はねぇぞ
夕歌ちゃんほどの胆力がありゃあ、少なくとも倒産は無いだろうしな!」
「そうね、なにしろ夕歌ちゃんの人生ですもの
夕歌ちゃんのやりたいようにやってみなさい」
「ありがとうございます……!」
万感の思いで頭を下げる
きっと負担は想像の倍以上だと思うけど、それでも私に出来るのなら、やってみたい
それに、おばあちゃんだって、私ならできるって言っていた
身内贔屓もちょっとはあるかもしれないけど……
「今度また、おばあちゃんに会いに行こうと思います
藤野を継ぐって伝えに」
「俺は行かねぇぞ
お前自身で伝えてこい」
「分かってます
ありがとうございます、政宗さん」
ふっと微笑んで、政宗さんが私の頭を撫でる
それから後ろを振り向いて「小十郎!」と呼んだ
どこからともなく現れたのは、片倉先生
なんとはなしに久しぶりな気がする
「お久しぶりです、片倉先生」
「ああ
しばらく見ねぇうちに、ちったぁ締まった顔するようになったみてぇだな」
そう言って片倉先生はテーブルに小鉢を置いていった
そういえばもうお昼時か
大事な話も終わったし、お昼にしようということなのだろう
「和真さんの力もバリバリ借りますからね」
「お嬢様のためとあらば喜んで!」
「……自立心を失わないようにしないといけない気がしますね」
「今更だろうがな」
「片倉先生ッ!!」
なんでそんなこと言うかな!
自立心の塊だと思って生きてきたのに!
……いや、最近はお世話される生活に慣れてきちゃってるけど
「あ、美味しそう」
「サワラか、旬だからな」
「塩焼きでもと思いましたが、今回は南蛮漬けに致しました」
「相変わらず料理上手ね」
「恐縮です」
ご飯とお味噌汁もやってきて、皆で手を合わせた
しれっと片倉先生も混じってるけど、お義父さんも何も言わないから、良いんだろう
今日は珍しく、留守さんと白石さんがお休みなので、片倉先生がここにいるらしい
「ん!
サワラ美味しい!」
「お嬢様は和食がお好きでいらっしゃいますから、なおのこと美味しく感じられるのでは?」
「そうかもしれないです
最近は朝ご飯しか作ってないから、今日は私が晩ご飯を作ろうかな」
「春ですし、春キャベツを使ってロールキャベツなどお作りになるのも宜しいかと」
わいわいと会話は弾んで、お昼ご飯の時間は過ぎていく
これから先、どんなに忙しい日々を送ることになったとしても
こんな風にみんなでご飯を食べる時間は、大事にしていきたいな
それをあなたは、応援してくれるかな
あなたの隣を、胸を張って歩けるように
それがきっと――私の望む人生だと思うから
36 望む明日へ
パーティーが終わった翌日、私と政宗さん、そして和真さんは、本邸に向かった
話題はもちろん、おばあちゃんの言っていた提案だ
「……つまり藤野芳江の目的は、あの場で藤野グループの後継者として、お前を紹介することだったってわけか」
腕を組んだまま政宗さんが呟く
それに頷くと、お義父さんとお義母さんは難しそうな顔をした
「斎藤グループが持っていた範囲だけなら何とかなっただろうが、藤野グループ丸ごととなると、さすがにそれはなぁ」
「……そうね
忙しさも桁違いになるでしょうし、政宗との時間もほとんどなくなるわ
政宗には小十郎や成実、綱元……他にもたくさんの支えがあるけれど、夕歌ちゃんには新倉しか居ないものね」
「う、ん……森口さんもゆくゆくは私についてくれるだろうけど、それでも少ないと言えば少ないかも……」
「そうですね……もちろん私は、私のできる全てでお嬢様をお支えする所存ですが、お嬢様がご多忙を極めることになるのは間違いないでしょう」
「……やっぱり反対でしょうか」
俯いてしまうと、その場がシン……と静まり返る
そうして最初に口を開いたのは、やっぱり政宗さんだった
「やりたいようにやればいい
お前がやりたいってんなら、俺達だってお前を支えるさ」
「そうね、お母様が遺された会社でもあるんですもの
夕歌ちゃんがそれを受け継ぎたいって気持ちは、分かるわ」
「……ま、夕歌ちゃんなら何とかなる気はしてるけどな
適度に肩の力を抜くことさえ覚えりゃあ、意外とどうにでもなるもんだ」
お義父さんが自分でそう言って、うんうんと頷く
肩の力を抜いた結果、部下が走り回っているんだと思うけど……
でもお義父さん一人で出来ることにも、限界はある
それは政宗さんもそうなんだけど、政宗さんは上手いこと肩の力を抜けるタイプだから、あんまり心配はしてない
「私はお嬢様の判断に従います
以前も言いましたように、お嬢様が成されることならば、私は全力でお手伝いさせていただきますので」
「ありがとうございます
……まだ、私にそんな力があるとは思えないですけど
でも私はやっぱり、藤野を継ぎたい
そうしても、いいですか?」
決意を込めた目で四人を見つめる
みんなは私を見つめ返して、そうして頷いてくれた
「Of course.」
「反対する理由はねぇぞ
夕歌ちゃんほどの胆力がありゃあ、少なくとも倒産は無いだろうしな!」
「そうね、なにしろ夕歌ちゃんの人生ですもの
夕歌ちゃんのやりたいようにやってみなさい」
「ありがとうございます……!」
万感の思いで頭を下げる
きっと負担は想像の倍以上だと思うけど、それでも私に出来るのなら、やってみたい
それに、おばあちゃんだって、私ならできるって言っていた
身内贔屓もちょっとはあるかもしれないけど……
「今度また、おばあちゃんに会いに行こうと思います
藤野を継ぐって伝えに」
「俺は行かねぇぞ
お前自身で伝えてこい」
「分かってます
ありがとうございます、政宗さん」
ふっと微笑んで、政宗さんが私の頭を撫でる
それから後ろを振り向いて「小十郎!」と呼んだ
どこからともなく現れたのは、片倉先生
なんとはなしに久しぶりな気がする
「お久しぶりです、片倉先生」
「ああ
しばらく見ねぇうちに、ちったぁ締まった顔するようになったみてぇだな」
そう言って片倉先生はテーブルに小鉢を置いていった
そういえばもうお昼時か
大事な話も終わったし、お昼にしようということなのだろう
「和真さんの力もバリバリ借りますからね」
「お嬢様のためとあらば喜んで!」
「……自立心を失わないようにしないといけない気がしますね」
「今更だろうがな」
「片倉先生ッ!!」
なんでそんなこと言うかな!
自立心の塊だと思って生きてきたのに!
……いや、最近はお世話される生活に慣れてきちゃってるけど
「あ、美味しそう」
「サワラか、旬だからな」
「塩焼きでもと思いましたが、今回は南蛮漬けに致しました」
「相変わらず料理上手ね」
「恐縮です」
ご飯とお味噌汁もやってきて、皆で手を合わせた
しれっと片倉先生も混じってるけど、お義父さんも何も言わないから、良いんだろう
今日は珍しく、留守さんと白石さんがお休みなので、片倉先生がここにいるらしい
「ん!
サワラ美味しい!」
「お嬢様は和食がお好きでいらっしゃいますから、なおのこと美味しく感じられるのでは?」
「そうかもしれないです
最近は朝ご飯しか作ってないから、今日は私が晩ご飯を作ろうかな」
「春ですし、春キャベツを使ってロールキャベツなどお作りになるのも宜しいかと」
わいわいと会話は弾んで、お昼ご飯の時間は過ぎていく
これから先、どんなに忙しい日々を送ることになったとしても
こんな風にみんなでご飯を食べる時間は、大事にしていきたいな
1/3ページ