34 VS仲良しクインテット
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それは登勢を家まで送り届けた帰り道だった
駅までのショートカットで、細い路地へ入った俺の目に飛び込んできたのぼりは
「――ッ!!」
唐揚げ定食、八五〇円
唐揚げおかわりし放題――
34 VS仲良しクインテット
「そういうわけで誰か俺に付き合ってほしいんだけどよ」
剣道部の昼休憩時間、成実が見せたのは小ぢんまりとした食堂の外観写真だった
ただし店先ののぼりには「唐揚げ食べ放題」の文字がでかでかと掲げてある
八五〇円で採算が取れているんだろうか、この店は
「登勢んちの近くなんでしょ?
登勢と行けばいいじゃん」
「は?
馬鹿言え、登勢は唐揚げをアホみたいに食ったりしねぇんだよ」
「なぜ私を見て言った?」
「お前はほら、食う量もバカだしさ
別にお前がアホみたいに唐揚げ食っても気にならないし、こっちが唐揚げアホみたいに食ってても何も思わねぇだろうなって」
「喧嘩売ってんのか、買うぞ?
政宗さんが」
「申し訳ございません!!
俺が見栄を張りたいだけです!!」
素直でよろしい
謝り慣れた人間のそれで、なんかムカつくけど
でも登勢は成実のことをかっこいい人だと思ってるし、成実も登勢のそれは裏切りたくないんだろう
私は成実のダメダメなところまでしっかり知ってるし、全然かっこよくないところもこの目で散々見てきたので、今更取り繕うまでもないと判断されているらしい
むしろ今まで登勢相手によくボロを出さなかったなと感心するけど、それだけ登勢に見せる自分の振る舞いには気を付けてきたということだ
成実のてんでダメなところは登勢には見せないし、成実がそうしてる以上は私も口には出さない
これは墓場まで持っていくと決めたものだから、登勢には秘密だ
親友の沽券に関わることだからね
「でも二人で行くのは変な誤解を受けそうでやだなぁ」
「梵でも呼ぶか?」
「は?
政宗さんは成実と違ってアホみたいに唐揚げを食べたりしないんだよ」
「悪かったから言葉のナイフを投げ返すのやめてくんねぇ?」
「自業自得じゃん
えーじゃあ、五人で行く?」
予定を合わせれば五人そろうのは容易だ
なにせ誰一人としてバイトをしていないので
とりあえず学院時代からの友人五人で構成された『仲良しクインテット』のグループチャットを開いた
『アホみたいに唐揚げ食べに行かない?』と打った数秒後、まずかすがから返事が来た
「一瞬で既読ついたよな今」
「送った瞬間に既読ついたね」
「しかも自分で用意する気しかねぇな」
『唐揚げが山ほど食べたいのか、用意しておこう』かすがからの返事にはそう書いてあった
そうだけどそうじゃないんだなぁ
事情を説明するついでに店のリンクも貼っておいた
『なるほど、この店を貸し切って唐揚げを山盛り作らせればいいのだな
私に任せておけ』
「そうでもないんだよなぁ」
かすがのLINEを見た成実が呟いた
どんどん正解から遠ざかっていく彼女が、張り切って店を貸切にする前に、早いところ説明しなくては……
『みんなで食べに行こうってだけだよ
貸切とかにはしなくていいって』
『片手間で夕歌の給仕をさせようというのか
夕歌に向かってなんと失礼な』
「普通普通、めっちゃ普通」
「まあ確かに、片手間で接客されるような立場じゃねぇもんな、俺達」
「もうちょっとこう、庶民に擬態してもらっていい?」
ファミレスに叶姉妹でも来るんか?くらいのこと言ってるからな、今
叶姉妹だって郷に従うぞ、多分
これだから生粋のお嬢様お坊ちゃまは、市井ってもんを知らなくていけねぇや
「まあ冗談は置いとくとして
幸村を呼ぶんだったら、あいつだけ昼メシ食ってから来いって言っとかないと駄目だよな」
「確かに……
幸村君だけでお店の唐揚げ食べ尽くしちゃいそうだよね……」
あの子、胃袋ブラックホールだから……
とりあえず幸村君には名指しで、お昼を食べてから来てねと添えておいた
あとは日程を合わせるだけだ
「俺らは明後日が休みなんだよな」
「そうそう
かすがは私達に合わせられるけど、幸村君と親泰君はサークル違うからねぇ」
既読が四に増えて、親泰君がやってきた
『美味しそう、俺も行きたい!
明後日は俺も練習休みだから大丈夫だよ』
「親泰君も行けるって」
「あとは幸村か……おっ」
既読が五になった
そしてすぐにメッセージが飛んできたのだけれど
『某も明後日は休みゆえ、ご一緒致しまする!』
「……幸村君にしては返事早かったよね」
「佐助が代打したんじゃねーの?」
「ああ……」
そういえば、今日は学院の大学部にあるフットサルサークルと練習試合なんだっけ
明誠じゃなくて、大学部のほうのサッカーコートでやってるらしいから、先輩とは会えないのが残念
「明後日は唐揚げ食べ放題定食で決定だ!」
「楽しみだなー!」
唐揚げいっぱい食べるぞー!
……ちなみに隣にいる政宗さんからは、呆れたような目で見られていた
いいじゃないか、別に……元庶民のお嬢様が唐揚げを山盛り食べたって……
駅までのショートカットで、細い路地へ入った俺の目に飛び込んできたのぼりは
「――ッ!!」
唐揚げ定食、八五〇円
唐揚げおかわりし放題――
34 VS仲良しクインテット
「そういうわけで誰か俺に付き合ってほしいんだけどよ」
剣道部の昼休憩時間、成実が見せたのは小ぢんまりとした食堂の外観写真だった
ただし店先ののぼりには「唐揚げ食べ放題」の文字がでかでかと掲げてある
八五〇円で採算が取れているんだろうか、この店は
「登勢んちの近くなんでしょ?
登勢と行けばいいじゃん」
「は?
馬鹿言え、登勢は唐揚げをアホみたいに食ったりしねぇんだよ」
「なぜ私を見て言った?」
「お前はほら、食う量もバカだしさ
別にお前がアホみたいに唐揚げ食っても気にならないし、こっちが唐揚げアホみたいに食ってても何も思わねぇだろうなって」
「喧嘩売ってんのか、買うぞ?
政宗さんが」
「申し訳ございません!!
俺が見栄を張りたいだけです!!」
素直でよろしい
謝り慣れた人間のそれで、なんかムカつくけど
でも登勢は成実のことをかっこいい人だと思ってるし、成実も登勢のそれは裏切りたくないんだろう
私は成実のダメダメなところまでしっかり知ってるし、全然かっこよくないところもこの目で散々見てきたので、今更取り繕うまでもないと判断されているらしい
むしろ今まで登勢相手によくボロを出さなかったなと感心するけど、それだけ登勢に見せる自分の振る舞いには気を付けてきたということだ
成実のてんでダメなところは登勢には見せないし、成実がそうしてる以上は私も口には出さない
これは墓場まで持っていくと決めたものだから、登勢には秘密だ
親友の沽券に関わることだからね
「でも二人で行くのは変な誤解を受けそうでやだなぁ」
「梵でも呼ぶか?」
「は?
政宗さんは成実と違ってアホみたいに唐揚げを食べたりしないんだよ」
「悪かったから言葉のナイフを投げ返すのやめてくんねぇ?」
「自業自得じゃん
えーじゃあ、五人で行く?」
予定を合わせれば五人そろうのは容易だ
なにせ誰一人としてバイトをしていないので
とりあえず学院時代からの友人五人で構成された『仲良しクインテット』のグループチャットを開いた
『アホみたいに唐揚げ食べに行かない?』と打った数秒後、まずかすがから返事が来た
「一瞬で既読ついたよな今」
「送った瞬間に既読ついたね」
「しかも自分で用意する気しかねぇな」
『唐揚げが山ほど食べたいのか、用意しておこう』かすがからの返事にはそう書いてあった
そうだけどそうじゃないんだなぁ
事情を説明するついでに店のリンクも貼っておいた
『なるほど、この店を貸し切って唐揚げを山盛り作らせればいいのだな
私に任せておけ』
「そうでもないんだよなぁ」
かすがのLINEを見た成実が呟いた
どんどん正解から遠ざかっていく彼女が、張り切って店を貸切にする前に、早いところ説明しなくては……
『みんなで食べに行こうってだけだよ
貸切とかにはしなくていいって』
『片手間で夕歌の給仕をさせようというのか
夕歌に向かってなんと失礼な』
「普通普通、めっちゃ普通」
「まあ確かに、片手間で接客されるような立場じゃねぇもんな、俺達」
「もうちょっとこう、庶民に擬態してもらっていい?」
ファミレスに叶姉妹でも来るんか?くらいのこと言ってるからな、今
叶姉妹だって郷に従うぞ、多分
これだから生粋のお嬢様お坊ちゃまは、市井ってもんを知らなくていけねぇや
「まあ冗談は置いとくとして
幸村を呼ぶんだったら、あいつだけ昼メシ食ってから来いって言っとかないと駄目だよな」
「確かに……
幸村君だけでお店の唐揚げ食べ尽くしちゃいそうだよね……」
あの子、胃袋ブラックホールだから……
とりあえず幸村君には名指しで、お昼を食べてから来てねと添えておいた
あとは日程を合わせるだけだ
「俺らは明後日が休みなんだよな」
「そうそう
かすがは私達に合わせられるけど、幸村君と親泰君はサークル違うからねぇ」
既読が四に増えて、親泰君がやってきた
『美味しそう、俺も行きたい!
明後日は俺も練習休みだから大丈夫だよ』
「親泰君も行けるって」
「あとは幸村か……おっ」
既読が五になった
そしてすぐにメッセージが飛んできたのだけれど
『某も明後日は休みゆえ、ご一緒致しまする!』
「……幸村君にしては返事早かったよね」
「佐助が代打したんじゃねーの?」
「ああ……」
そういえば、今日は学院の大学部にあるフットサルサークルと練習試合なんだっけ
明誠じゃなくて、大学部のほうのサッカーコートでやってるらしいから、先輩とは会えないのが残念
「明後日は唐揚げ食べ放題定食で決定だ!」
「楽しみだなー!」
唐揚げいっぱい食べるぞー!
……ちなみに隣にいる政宗さんからは、呆れたような目で見られていた
いいじゃないか、別に……元庶民のお嬢様が唐揚げを山盛り食べたって……
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