30 新年の墓参り
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一月三日、三が日の最終日
和真さんによって完全防備にされた私は、政宗さんと共に玄関で車を待っていた
「雪が降ってきましたね」
「今日はえらく冷え込むらしいとは聞いちゃいたが、雪が降るまでとはな」
マフラーを巻いた政宗さんが空を見上げる
雪の中で空を見上げる顔面国宝、恐ろしく画になるな
「政宗さん、鼻の頭が赤いです」
「Ah?」
「寒いの苦手なんですか?」
「むしろ得意だ
俺を誰だと思ってやがる
奥州の独眼竜が寒さに弱い、ってのはjokeにもならねぇな」
「そうだった」
私と政宗さんのルーツを忘れそうになるけど、私達はいつかの時代、どこかの世界で出会っている
もちろんそれを証明してくれるものはないけれど、二年前に小さな湖で見た光景を私は忘れることができないでいた
朧げながら残る不思議な記憶の中で、『私』は『政宗様』との逢瀬を心から楽しんでいた
身分による制約なんてものは二人の間にはなくて、互いが互いを愛していた
それぞれの終わりを迎えて、『私達』は再び巡り会うその日を待ち続けた
そして彼らと同じ名前を持った私達は、ようやく約束の湖で、二人が巡り会う瞬間に立ち会った
何代にも渡る悲願
数百年を経て果たされた誓い
そして今を生きる私達がこうして巡り会えた理由
それらには全て意味があり、繋がって輪になって、私達に行き着いた
「政宗さんは、『政宗様』だった頃の記憶は虫食いみたいになってるんでしたっけ」
「思い出せることはあるが、断片的だな
それがどうした?」
「どういう記憶が多いのかなって気になって……」
「……」
政宗さんが無言で遠くを見つめる
何かを答えようとした時、和真さんの車が家の前で停車した
「お前と密会したときが鮮明に残ってる気がするな」
「えっ」
「それ以外はあやふやだ
奥州筆頭としての俺に関することなら、成実あたりが詳しく覚えてるだろうさ」
そう言い残して車に乗った政宗さん
あの政宗さんが……『私』と一緒にいた時のことをよく覚えてる、なんて
「……ふふ」
尊大で、俺様で、超がつく自信家で、周囲の人間を自分のペースに巻き込んでいくような人なのに
あまりにも一人の女性に一途だなんて、かわいい一面があったものだ
それが今もそのままでいるのが、本当に嬉しい
早く乗れと声を掛けられ、慌てて政宗さんの隣に座る
シートベルトを閉めたのをルームミラーで和真さんが確認して、車が動き出した
「そういえば、政宗さんは免許を取る気はないんですか?」
「Ah……時間があればとは思っちゃいるが、な
なぜだ?」
「単純に運転上手そうだなぁって、偏見ですけど
うーんでも普通の乗用車に乗ってるイメージ湧かないな……
どっちかって言うとバイクに乗ってそうですよね
革のライダースジャケットも似合いそうな」
「まぁ似合わねぇこたぁないと思うがな」
珍しく乗り気ではなさそう
政宗さんはこういう自由度の高いものが好きそうなイメージがあったのに
「お前は何か取らねえのか」
「私ですか?
うーん……取れてAT限定な気が……」
和真さんは運転免許、MTですか?」
「勿論でございます
運転免許は全て持っておりますよ、何があるか分かりませんので」
「え……大型特殊も……?」
「はい、ですので戦車も乗れます」
「戦車に乗る日は来ないと思うんですが!?」
戦車に乗れる執事って何、どこで使うのその技術
基本的に有能で優秀すぎる執事だけど、たまにネジがズレてるのは勘弁してほしい
ヘリコプターを操縦できるとか、小型船を操縦できるとか、そういう範囲ならまだ理解はできるけど
戦車って何なんだ、本当に
「私のことはさておき、政宗様が免許を取得なさるおつもりでしたら、教習役はお任せください
片倉様は学院でのお勤めもありますので、暇を持て余し気味な私の相手をしていただけると助かります」
「Ha!
何が暇を持て余し気味だ、アンタが一番忙しい野郎だってことくらい知ってる
暇人の有効活用だってんなら、留守あたりがbestだろ」
「留守さんってお暇なんですかね」
「本邸が忙しくなる日なんざ年に数回だぞ
基本的に親父は家にいないしな」
「それもそうか……」
お義父さんは基本的にあちこちを飛び回っているから、私もあまり会う機会がない
お義母さんとはよく顔を合わせるんだけど
ともあれ、今はお墓参りだ
「夏のお盆以来ですよね、お墓参り
和尚様、お元気かなぁ」
「確かにいい歳だからな……
俺が和尚の世話になってた時で、既に還暦は越えてたはずだ」
「それって十年前とかですよね?
ってことは、もう七十歳を越えてるのか……」
「……七十を越えたジジイにしちゃあ、ちょいと元気すぎる気がするがな」
「まあまあ、お元気なんだからいいじゃないですか」
車はお寺の近くまでやってきている
お盆はお墓参りの人も結構いるけど、お正月は意外と少ない
今日はのんびりできるといいな
和真さんによって完全防備にされた私は、政宗さんと共に玄関で車を待っていた
「雪が降ってきましたね」
「今日はえらく冷え込むらしいとは聞いちゃいたが、雪が降るまでとはな」
マフラーを巻いた政宗さんが空を見上げる
雪の中で空を見上げる顔面国宝、恐ろしく画になるな
「政宗さん、鼻の頭が赤いです」
「Ah?」
「寒いの苦手なんですか?」
「むしろ得意だ
俺を誰だと思ってやがる
奥州の独眼竜が寒さに弱い、ってのはjokeにもならねぇな」
「そうだった」
私と政宗さんのルーツを忘れそうになるけど、私達はいつかの時代、どこかの世界で出会っている
もちろんそれを証明してくれるものはないけれど、二年前に小さな湖で見た光景を私は忘れることができないでいた
朧げながら残る不思議な記憶の中で、『私』は『政宗様』との逢瀬を心から楽しんでいた
身分による制約なんてものは二人の間にはなくて、互いが互いを愛していた
それぞれの終わりを迎えて、『私達』は再び巡り会うその日を待ち続けた
そして彼らと同じ名前を持った私達は、ようやく約束の湖で、二人が巡り会う瞬間に立ち会った
何代にも渡る悲願
数百年を経て果たされた誓い
そして今を生きる私達がこうして巡り会えた理由
それらには全て意味があり、繋がって輪になって、私達に行き着いた
「政宗さんは、『政宗様』だった頃の記憶は虫食いみたいになってるんでしたっけ」
「思い出せることはあるが、断片的だな
それがどうした?」
「どういう記憶が多いのかなって気になって……」
「……」
政宗さんが無言で遠くを見つめる
何かを答えようとした時、和真さんの車が家の前で停車した
「お前と密会したときが鮮明に残ってる気がするな」
「えっ」
「それ以外はあやふやだ
奥州筆頭としての俺に関することなら、成実あたりが詳しく覚えてるだろうさ」
そう言い残して車に乗った政宗さん
あの政宗さんが……『私』と一緒にいた時のことをよく覚えてる、なんて
「……ふふ」
尊大で、俺様で、超がつく自信家で、周囲の人間を自分のペースに巻き込んでいくような人なのに
あまりにも一人の女性に一途だなんて、かわいい一面があったものだ
それが今もそのままでいるのが、本当に嬉しい
早く乗れと声を掛けられ、慌てて政宗さんの隣に座る
シートベルトを閉めたのをルームミラーで和真さんが確認して、車が動き出した
「そういえば、政宗さんは免許を取る気はないんですか?」
「Ah……時間があればとは思っちゃいるが、な
なぜだ?」
「単純に運転上手そうだなぁって、偏見ですけど
うーんでも普通の乗用車に乗ってるイメージ湧かないな……
どっちかって言うとバイクに乗ってそうですよね
革のライダースジャケットも似合いそうな」
「まぁ似合わねぇこたぁないと思うがな」
珍しく乗り気ではなさそう
政宗さんはこういう自由度の高いものが好きそうなイメージがあったのに
「お前は何か取らねえのか」
「私ですか?
うーん……取れてAT限定な気が……」
和真さんは運転免許、MTですか?」
「勿論でございます
運転免許は全て持っておりますよ、何があるか分かりませんので」
「え……大型特殊も……?」
「はい、ですので戦車も乗れます」
「戦車に乗る日は来ないと思うんですが!?」
戦車に乗れる執事って何、どこで使うのその技術
基本的に有能で優秀すぎる執事だけど、たまにネジがズレてるのは勘弁してほしい
ヘリコプターを操縦できるとか、小型船を操縦できるとか、そういう範囲ならまだ理解はできるけど
戦車って何なんだ、本当に
「私のことはさておき、政宗様が免許を取得なさるおつもりでしたら、教習役はお任せください
片倉様は学院でのお勤めもありますので、暇を持て余し気味な私の相手をしていただけると助かります」
「Ha!
何が暇を持て余し気味だ、アンタが一番忙しい野郎だってことくらい知ってる
暇人の有効活用だってんなら、留守あたりがbestだろ」
「留守さんってお暇なんですかね」
「本邸が忙しくなる日なんざ年に数回だぞ
基本的に親父は家にいないしな」
「それもそうか……」
お義父さんは基本的にあちこちを飛び回っているから、私もあまり会う機会がない
お義母さんとはよく顔を合わせるんだけど
ともあれ、今はお墓参りだ
「夏のお盆以来ですよね、お墓参り
和尚様、お元気かなぁ」
「確かにいい歳だからな……
俺が和尚の世話になってた時で、既に還暦は越えてたはずだ」
「それって十年前とかですよね?
ってことは、もう七十歳を越えてるのか……」
「……七十を越えたジジイにしちゃあ、ちょいと元気すぎる気がするがな」
「まあまあ、お元気なんだからいいじゃないですか」
車はお寺の近くまでやってきている
お盆はお墓参りの人も結構いるけど、お正月は意外と少ない
今日はのんびりできるといいな
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