28 新年祝賀会
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年が明けて新年の元旦
今日はいつもの神社に二人で初詣
その後は伊達家で正月のお祝いだ
「……あれ、こんな朝から誰だろう」
「新倉の奴じゃねぇのか」
「和真さんじゃないと思います
朝は新倉家で新年の訓示があるから、昼前に来るって言ってましたし」
「Fum……?」
首を傾げながらもインターホンのモニターを覗く
そこに映る人物を見た瞬間、どっと肩の力が抜けた
よたよたと玄関へ向かい、ドアを開ける
「振袖の着付けなら任せろ、夕歌!」
「……かすがのこと呼んだっけ」
記憶を遡っても、かすがを呼んだ記憶は見当たらなかった
愛の力、すごいなぁ
28 新年祝賀会
リビングへかすがを招き入れた直後、政宗さんの表情がげんなりした
気持ちは分からんでもない
「なんだその顔は」
「新年最初に顔を合わせることになるのがアンタかと思っただけだ」
「夕歌のいるところに私がいて何がおかしい?
大親友とはそういうものだ」
「絶対違う」
「足りないか?
私と寝食も共にしたいのか、親友冥利に尽きるな
だが流石にそれは独眼竜が嫉妬してしまうぞ
大親友として誇らしいが、気持ちだけ受け取っておこう」
「なんで私がフラれたみたいになったの今!?」
どっちかと言うとフッたの私じゃないかな!?
なんか私が駄々こねた感じになってるけど、全然違うからな!
「初詣のあとは会食になるだろうから、訪問着がいいだろう」
「初詣は普通に洋服で行くつもりだったんだけど……」
「戻る時間はねぇ、俺は和装で行く
お前もそのつもりで行け」
「くっ……」
何を隠そう、初詣の後は伊達家総出で初詣とお祓いに行き、そのまま新年祝賀会になるのだ
新年早々、歴史ある家の格式と上流階級の嗜みに襲われる羽目になった
去年は私が大学受験生だったので免除されていたのだけど、今年からは満を持して伊達家次期当主の若奥様がお披露目らしい
お披露目なんかしなくていいというのに
「では夕歌、二階で着替えるとしよう
独眼竜、お前達の初詣はこの私が護衛役として同行するぞ
異論はないだろう?」
「All right.
軍神の相手はいいのか」
「問題ない、謙信様にはご許可を頂いている」
政宗さんは「そうか」と頷いたきり口を開かなかった
諦めたのだろう、私も諦めた方が良さそうだ
かすがと共に部屋へ向かって、衣紋掛けに掛けていた訪問着を手に取る
お義母さんと政宗さんが満場一致で選んだ着物は、瑠璃色の生地で足元から上に向かって鶴が飛び立っている
意味を聞いたら「夫婦円満」と揃って返ってきたので、何も言えなかった
政宗さんと別れるつもりも険悪な関係になるつもりもないけど、何となく秋までのあれやこれやが尾を引いているなぁ……と感じた
洋服を脱いで足袋を履き、襦袢を着て、かすがが紐でぐっと締めてくる
それから着物を着て、かすがの手が迷うことなく着付けを進めていった
「よし、着物はこんな感じだな」
「おお……すごい」
「さて、では椅子に座ってくれ」
首を傾げるままに椅子に座ると、勉強机に大きな折り畳み式の鏡が置かれた
どこから取り出したのかは突っ込まないことにする
「このままメイクもしていくぞ
動くなよ」
「はーい」
どこからともなくプロの美容家が使うような大きなポーチが現れた
これもどこから出てきたものかは考えないことにしようと思う
大きめのヘアクリップで前髪を留めて、まずは化粧水のパッティングから
それから気の遠くなるような工程を経て、鏡の中にはフルメイクを施された上品な良家の若奥様が誕生した
「相変わらずすごい変わりようだよね」
「元が良いからな」
「……そっか」
ことあるごとにそう返されるので慣れてしまった自分が恐ろしい
元が良いなんて、とんだ褒め言葉だっていうのにな
「お前をこうしてスタイリングするのは初めてだ
洋服のコーディネートなどはしてやったこともあるが、ここまでさせてもらえる日が来るとは」
「かすが、何でも出来るんだね」
「お前のためにマスターした甲斐があったというものだな」
「嘘でしょ私のためだったの!?」
「お前以外に誰を着飾るんだ?」
「才能の無駄遣いだと思うよ!?」
手際よく、しかし丁寧に髪をひとつに纏めて、いくつものピンが差し込まれていく
飾りもつけてスプレーで整えたら、ようやく完成
いやぁ本当に……化けるなぁ、私
毎回思うけど、別人レベルで化けるもんな……
「そろそろ戻るとしよう
独眼竜も待ちくたびれているだろう」
「そうだね」
かすがの手を借りて階段を降り、リビングへ戻る
そこには紋付袴を着て髪も整えた政宗さんがいた
「……うわ」
心の声が思わず漏れた
どこをどう探しても、そうそういないだろうな、こんな顔面国宝……
「準備出来たか」
「は、はい」
「Oh……Just as I thought!
俺と母さんの目に狂いはなかったな」
「さすが政宗さんとお義母さんですね
これを頂いた時も綺麗な着物だと思って見てましたけど、着てみると本当に綺麗です
ありがとうございます」
「夕歌、外は寒い
和装コートを着ておけ」
「分かった」
カシミヤ素材でできた黒の和装コートを上から羽織って、巾着を持つ
巾着の中は貴重品程度しか入っていないけど、大荷物で行くのもおかしいから仕方ない
「そろそろ行くか」
「そうですね
混む前に済ませたいですし」
エアコンの電源を切って玄関へ向かう
草履を履いて外へ出ると、首筋を冷たい空気を駆け抜けた
「寒いか?」
「う、ちょっと……」
そう答えると、首にふわりとショールが掛けられた
政宗さんが持ってきてくれていたようだ
和真さんがいないと、二人がかりで世話を焼きに来るんだな……
「着物で初詣なんて初めてです」
「今年から毎年こうなるぞ
今のうちに慣れるこった」
「新年祝賀会は毎年あるでしょうしね
そういえば気になったんですけど、クリスマスパーティーとかはなかったんですか?」
「本当はあったんだが……ま、そこまで重要なpartyでもねぇし、俺が居なくてもいいかと思ってな
どうせ新年の祝賀会で顔を合わせるヤツらしかいないとなりゃ、行く意味もねぇだろ」
「……確かに」
政宗さんが喉の奥で笑って、落ちかけた襟巻を巻き直す
顔面国宝は何をしても様になるので、襟巻きを巻き直しただけで他人の視線を奪えるのだ
罪なイケメンだな、本当に
「新しいお守りも買わないとですね
破魔矢はどうします?」
「お前が買うってんなら買えばいい
俺は買ったためしがないんでな」
「意外、その辺はきっちりしているものかと」
「ああいや、言い方が悪かった
俺自身は買ったことがないだけだ
小十郎が勝手に買うんでな」
「ああ、なるほど……」
一応、買っておくかな
特に何か願掛けをするわけじゃないけど、それもお正月の風習だし
駅に着いて改札を通り、ホームで電車を待つ
一昨年は生徒会のみんなが押し掛けてきて、神社に着いたら伊達家の皆が勢揃いで、それはもう騒がしかったけど、今年はどうなるだろう
……神社に着いたら伊達の人達にばったり会っちゃったりして
今日はいつもの神社に二人で初詣
その後は伊達家で正月のお祝いだ
「……あれ、こんな朝から誰だろう」
「新倉の奴じゃねぇのか」
「和真さんじゃないと思います
朝は新倉家で新年の訓示があるから、昼前に来るって言ってましたし」
「Fum……?」
首を傾げながらもインターホンのモニターを覗く
そこに映る人物を見た瞬間、どっと肩の力が抜けた
よたよたと玄関へ向かい、ドアを開ける
「振袖の着付けなら任せろ、夕歌!」
「……かすがのこと呼んだっけ」
記憶を遡っても、かすがを呼んだ記憶は見当たらなかった
愛の力、すごいなぁ
28 新年祝賀会
リビングへかすがを招き入れた直後、政宗さんの表情がげんなりした
気持ちは分からんでもない
「なんだその顔は」
「新年最初に顔を合わせることになるのがアンタかと思っただけだ」
「夕歌のいるところに私がいて何がおかしい?
大親友とはそういうものだ」
「絶対違う」
「足りないか?
私と寝食も共にしたいのか、親友冥利に尽きるな
だが流石にそれは独眼竜が嫉妬してしまうぞ
大親友として誇らしいが、気持ちだけ受け取っておこう」
「なんで私がフラれたみたいになったの今!?」
どっちかと言うとフッたの私じゃないかな!?
なんか私が駄々こねた感じになってるけど、全然違うからな!
「初詣のあとは会食になるだろうから、訪問着がいいだろう」
「初詣は普通に洋服で行くつもりだったんだけど……」
「戻る時間はねぇ、俺は和装で行く
お前もそのつもりで行け」
「くっ……」
何を隠そう、初詣の後は伊達家総出で初詣とお祓いに行き、そのまま新年祝賀会になるのだ
新年早々、歴史ある家の格式と上流階級の嗜みに襲われる羽目になった
去年は私が大学受験生だったので免除されていたのだけど、今年からは満を持して伊達家次期当主の若奥様がお披露目らしい
お披露目なんかしなくていいというのに
「では夕歌、二階で着替えるとしよう
独眼竜、お前達の初詣はこの私が護衛役として同行するぞ
異論はないだろう?」
「All right.
軍神の相手はいいのか」
「問題ない、謙信様にはご許可を頂いている」
政宗さんは「そうか」と頷いたきり口を開かなかった
諦めたのだろう、私も諦めた方が良さそうだ
かすがと共に部屋へ向かって、衣紋掛けに掛けていた訪問着を手に取る
お義母さんと政宗さんが満場一致で選んだ着物は、瑠璃色の生地で足元から上に向かって鶴が飛び立っている
意味を聞いたら「夫婦円満」と揃って返ってきたので、何も言えなかった
政宗さんと別れるつもりも険悪な関係になるつもりもないけど、何となく秋までのあれやこれやが尾を引いているなぁ……と感じた
洋服を脱いで足袋を履き、襦袢を着て、かすがが紐でぐっと締めてくる
それから着物を着て、かすがの手が迷うことなく着付けを進めていった
「よし、着物はこんな感じだな」
「おお……すごい」
「さて、では椅子に座ってくれ」
首を傾げるままに椅子に座ると、勉強机に大きな折り畳み式の鏡が置かれた
どこから取り出したのかは突っ込まないことにする
「このままメイクもしていくぞ
動くなよ」
「はーい」
どこからともなくプロの美容家が使うような大きなポーチが現れた
これもどこから出てきたものかは考えないことにしようと思う
大きめのヘアクリップで前髪を留めて、まずは化粧水のパッティングから
それから気の遠くなるような工程を経て、鏡の中にはフルメイクを施された上品な良家の若奥様が誕生した
「相変わらずすごい変わりようだよね」
「元が良いからな」
「……そっか」
ことあるごとにそう返されるので慣れてしまった自分が恐ろしい
元が良いなんて、とんだ褒め言葉だっていうのにな
「お前をこうしてスタイリングするのは初めてだ
洋服のコーディネートなどはしてやったこともあるが、ここまでさせてもらえる日が来るとは」
「かすが、何でも出来るんだね」
「お前のためにマスターした甲斐があったというものだな」
「嘘でしょ私のためだったの!?」
「お前以外に誰を着飾るんだ?」
「才能の無駄遣いだと思うよ!?」
手際よく、しかし丁寧に髪をひとつに纏めて、いくつものピンが差し込まれていく
飾りもつけてスプレーで整えたら、ようやく完成
いやぁ本当に……化けるなぁ、私
毎回思うけど、別人レベルで化けるもんな……
「そろそろ戻るとしよう
独眼竜も待ちくたびれているだろう」
「そうだね」
かすがの手を借りて階段を降り、リビングへ戻る
そこには紋付袴を着て髪も整えた政宗さんがいた
「……うわ」
心の声が思わず漏れた
どこをどう探しても、そうそういないだろうな、こんな顔面国宝……
「準備出来たか」
「は、はい」
「Oh……Just as I thought!
俺と母さんの目に狂いはなかったな」
「さすが政宗さんとお義母さんですね
これを頂いた時も綺麗な着物だと思って見てましたけど、着てみると本当に綺麗です
ありがとうございます」
「夕歌、外は寒い
和装コートを着ておけ」
「分かった」
カシミヤ素材でできた黒の和装コートを上から羽織って、巾着を持つ
巾着の中は貴重品程度しか入っていないけど、大荷物で行くのもおかしいから仕方ない
「そろそろ行くか」
「そうですね
混む前に済ませたいですし」
エアコンの電源を切って玄関へ向かう
草履を履いて外へ出ると、首筋を冷たい空気を駆け抜けた
「寒いか?」
「う、ちょっと……」
そう答えると、首にふわりとショールが掛けられた
政宗さんが持ってきてくれていたようだ
和真さんがいないと、二人がかりで世話を焼きに来るんだな……
「着物で初詣なんて初めてです」
「今年から毎年こうなるぞ
今のうちに慣れるこった」
「新年祝賀会は毎年あるでしょうしね
そういえば気になったんですけど、クリスマスパーティーとかはなかったんですか?」
「本当はあったんだが……ま、そこまで重要なpartyでもねぇし、俺が居なくてもいいかと思ってな
どうせ新年の祝賀会で顔を合わせるヤツらしかいないとなりゃ、行く意味もねぇだろ」
「……確かに」
政宗さんが喉の奥で笑って、落ちかけた襟巻を巻き直す
顔面国宝は何をしても様になるので、襟巻きを巻き直しただけで他人の視線を奪えるのだ
罪なイケメンだな、本当に
「新しいお守りも買わないとですね
破魔矢はどうします?」
「お前が買うってんなら買えばいい
俺は買ったためしがないんでな」
「意外、その辺はきっちりしているものかと」
「ああいや、言い方が悪かった
俺自身は買ったことがないだけだ
小十郎が勝手に買うんでな」
「ああ、なるほど……」
一応、買っておくかな
特に何か願掛けをするわけじゃないけど、それもお正月の風習だし
駅に着いて改札を通り、ホームで電車を待つ
一昨年は生徒会のみんなが押し掛けてきて、神社に着いたら伊達家の皆が勢揃いで、それはもう騒がしかったけど、今年はどうなるだろう
……神社に着いたら伊達の人達にばったり会っちゃったりして
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