25 合宿は突然に
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「っつーわけで合宿やるぞ」
「いや主語どこ」
私の代わりに成実がツッコミを入れてくれた
だから唐突に決定事項で伝えてくるなってば
25 合宿は突然に
時刻は午後七時過ぎ、部活の稽古も終わってくったくたの体を引きずって、空き教室で週に一度のミーティング中
来月に組まれた他の大学の剣道部との練習試合に向けて、稽古のスケジュールを説明されていくのかと思いきや、突然降って湧いた合宿というワードである
「なんで合宿なんだよとか、場所どうすんだよとか、言いてぇことはあるがとりあえずこれだけ言わせてくれ
主語を抜かすな!!」
「主語も何も合宿する理由なんざ練習試合以外ねぇだろ」
「合宿やるぞってセリフの直前に言ったこと秒で忘れたのかよ!」
遡ること数分前
部長である三回生の先輩に今後の練習のスケジュール説明を任された政宗さんは、『scheduleはもう決まってる』と言った直後に『っつーわけで合宿やるぞ』と繋げたわけだ
どういう理由で合宿という結論を出したかを一ミリも説明しなかったのを、顔の良さだけで押し通そうとしてるな
「それにまだ冬休みは先だろ
合宿の日程どうなってんだよ?」
「あまり直近ですと、皆も予定の調整が出来ない恐れがございますが……」
「……いや、すみません、なんか嫌な予感がしたんで言わせてもらいますけど」
恐る恐ると手を挙げて政宗さんを窺い見る
成実と綱元先輩のこの反応を見るに、多分、この人……
「今この場のノリで決めましたよね」
「そうだな」
「せめて話し合う余地はくれません?」
「あの手この手で言い逃げしやがる野郎を一網打尽にするには、これぐらいの強引さで丁度いいんだよ
そうだろ、『部長』?」
「……ソウダネー」
「強硬姿勢の原因!!」
思いっきり部長の目が逸れている!
だから部長が文句言わなかったんだー!
前科があるなら何も言えないよね!!
「日程は冬休みの初日三日間
場所は伊達が持ってる別荘、三食個室付き
もちろん送迎までやってやるから安心しな」
「待って待ってブルジョワのパワーワード連発しないでお願いだから
あと部長である俺の意見も聞いて?」
「却下」
「まだ何も言ってないんだけどなぁ!!」
いや今のは大体察したというか
私でも何となく分かったから、政宗さんなんか絶対に分かってただろう、部長が何を言うかなんて
「ていうか冬合宿の予算なんて組んでないから、部費が足りるかなって問題あるんだよね
ていうか絶対足りない、文化祭の赤字がめちゃくちゃ尾を引いてるもん」
「どっかのアホ共が予算の三倍を食材に使うから……」
「部長とマネージャーから完全に恨み買ったな、俺ら」
「頼むから私を巻き添えにしていくのやめてくれない?
巻き込まれるのは成実までで足りてると思うから……」
「までって何だよ!?
俺しかいねーじゃねぇかよ!!」
「………」
「せめて嘘でもそこは『そんなことないよ』くらい言えよな!?」
「ソンナコトナイヨー」
「雑!!
何もかもがとても雑!!」
じゃあどうすればいいんだ
私は何も悪くないから、怒られるのは政宗さんと成実だけだもん
弁護する気にもならんわ
「まぁとりあえず、冬休み初日から三日間くらいなら大丈夫じゃねぇの?
ギリギリだけどクリスマスは回避できるし」
「成実のくせに、クリスマスに予定あるんだ」
「あるんだよ!!
悪かったな、これでも彼女持ちだバーカ!!」
「え?
でも登勢はクリスマス当日、ミサの後にサークルでクリパやるって言ってたよ?」
「……え?」
成実が真っ白になった
どうやら何も聞かされていないらしい
登勢の通う大学はミッション系だから、日中はミサがあるらしくて、放課後はサークルで集まってクリスマスの集会をやるのが通例なんだとか
さすがお嬢様学校、私達のような普通の大学とは格が違う……
という感想はさておき、どうやらクリスマスには予定があると『思い込んでいた』らしい成実は、真っ白になったまま固まってしまった
可哀想な成実、ここに来てとうとうクリぼっちを経験するんだな
「いっそクリスマスまで合宿やれば?」
「ヤケを起こすな!」
「今年こそ全国制覇を目指すんだろ?
クリスマスに浮かれてる場合かよ!」
「手のひら返しがお早いことで!!」
おのれ成実、クリぼっちを回避したいがために無駄な足掻きを!
その他、成実以外にもクリぼっちが確定している部員から「そうだそうだ!」と賛成する声が上がったが、政宗さんの「却下」という一言でねじ伏せられた
最終的な決定権を持つ部長が政宗さんに逆らえない案件なせいで、冬合宿は三日間で開催決定
成実はクリぼっちが確定した
「いや主語どこ」
私の代わりに成実がツッコミを入れてくれた
だから唐突に決定事項で伝えてくるなってば
25 合宿は突然に
時刻は午後七時過ぎ、部活の稽古も終わってくったくたの体を引きずって、空き教室で週に一度のミーティング中
来月に組まれた他の大学の剣道部との練習試合に向けて、稽古のスケジュールを説明されていくのかと思いきや、突然降って湧いた合宿というワードである
「なんで合宿なんだよとか、場所どうすんだよとか、言いてぇことはあるがとりあえずこれだけ言わせてくれ
主語を抜かすな!!」
「主語も何も合宿する理由なんざ練習試合以外ねぇだろ」
「合宿やるぞってセリフの直前に言ったこと秒で忘れたのかよ!」
遡ること数分前
部長である三回生の先輩に今後の練習のスケジュール説明を任された政宗さんは、『scheduleはもう決まってる』と言った直後に『っつーわけで合宿やるぞ』と繋げたわけだ
どういう理由で合宿という結論を出したかを一ミリも説明しなかったのを、顔の良さだけで押し通そうとしてるな
「それにまだ冬休みは先だろ
合宿の日程どうなってんだよ?」
「あまり直近ですと、皆も予定の調整が出来ない恐れがございますが……」
「……いや、すみません、なんか嫌な予感がしたんで言わせてもらいますけど」
恐る恐ると手を挙げて政宗さんを窺い見る
成実と綱元先輩のこの反応を見るに、多分、この人……
「今この場のノリで決めましたよね」
「そうだな」
「せめて話し合う余地はくれません?」
「あの手この手で言い逃げしやがる野郎を一網打尽にするには、これぐらいの強引さで丁度いいんだよ
そうだろ、『部長』?」
「……ソウダネー」
「強硬姿勢の原因!!」
思いっきり部長の目が逸れている!
だから部長が文句言わなかったんだー!
前科があるなら何も言えないよね!!
「日程は冬休みの初日三日間
場所は伊達が持ってる別荘、三食個室付き
もちろん送迎までやってやるから安心しな」
「待って待ってブルジョワのパワーワード連発しないでお願いだから
あと部長である俺の意見も聞いて?」
「却下」
「まだ何も言ってないんだけどなぁ!!」
いや今のは大体察したというか
私でも何となく分かったから、政宗さんなんか絶対に分かってただろう、部長が何を言うかなんて
「ていうか冬合宿の予算なんて組んでないから、部費が足りるかなって問題あるんだよね
ていうか絶対足りない、文化祭の赤字がめちゃくちゃ尾を引いてるもん」
「どっかのアホ共が予算の三倍を食材に使うから……」
「部長とマネージャーから完全に恨み買ったな、俺ら」
「頼むから私を巻き添えにしていくのやめてくれない?
巻き込まれるのは成実までで足りてると思うから……」
「までって何だよ!?
俺しかいねーじゃねぇかよ!!」
「………」
「せめて嘘でもそこは『そんなことないよ』くらい言えよな!?」
「ソンナコトナイヨー」
「雑!!
何もかもがとても雑!!」
じゃあどうすればいいんだ
私は何も悪くないから、怒られるのは政宗さんと成実だけだもん
弁護する気にもならんわ
「まぁとりあえず、冬休み初日から三日間くらいなら大丈夫じゃねぇの?
ギリギリだけどクリスマスは回避できるし」
「成実のくせに、クリスマスに予定あるんだ」
「あるんだよ!!
悪かったな、これでも彼女持ちだバーカ!!」
「え?
でも登勢はクリスマス当日、ミサの後にサークルでクリパやるって言ってたよ?」
「……え?」
成実が真っ白になった
どうやら何も聞かされていないらしい
登勢の通う大学はミッション系だから、日中はミサがあるらしくて、放課後はサークルで集まってクリスマスの集会をやるのが通例なんだとか
さすがお嬢様学校、私達のような普通の大学とは格が違う……
という感想はさておき、どうやらクリスマスには予定があると『思い込んでいた』らしい成実は、真っ白になったまま固まってしまった
可哀想な成実、ここに来てとうとうクリぼっちを経験するんだな
「いっそクリスマスまで合宿やれば?」
「ヤケを起こすな!」
「今年こそ全国制覇を目指すんだろ?
クリスマスに浮かれてる場合かよ!」
「手のひら返しがお早いことで!!」
おのれ成実、クリぼっちを回避したいがために無駄な足掻きを!
その他、成実以外にもクリぼっちが確定している部員から「そうだそうだ!」と賛成する声が上がったが、政宗さんの「却下」という一言でねじ伏せられた
最終的な決定権を持つ部長が政宗さんに逆らえない案件なせいで、冬合宿は三日間で開催決定
成実はクリぼっちが確定した
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