19 学祭・前夜祭
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大学生活、初めての秋
目の前のことに集中出来るかと思いきや
大事なことを忘れていた――!!
ちょっと二回目な気がするな、このノリ
19 学祭・前夜祭
森口さんがもたらした事実が、頭から離れない
あのおばあちゃんが、藤野財閥の会長であるおばあちゃんが
──会長は、社長の支配下にあります
──今や藤野財閥は、現社長の独断で成り立っている
──会長の地位は地に墜ちました
「……夕歌?」
「あっ……」
肩を叩かれてハッとする
今は部活の時間だ、考え事は後にしなきゃ
「模擬戦の最中だからって気を抜くと、師範にドヤされるぜ」
「う、それは嫌だ……」
ぶんぶんと顔を振って、模擬戦の応援に戻る
今は目の前で、綱元先輩と成実が対戦中
過去戦績は成実の方が勝ち数は多いらしいけど、綱元先輩の戦い方は気が抜けないからなぁ
「……一昨日のことか?」
「え?」
「森口が言ってたことが気になるんだろ」
「……はい」
政宗さんは何でもお見通しだな
私が分かりやすいだけなのかもしれないけど
「知らなかった……おばあちゃんが、叔父の言いなりにさせられてるなんて
確かにおばあちゃんは会長で、直接会社の経営には関わらないかもしれないけど──」
「……あれ程まで経営の中枢からblockされてやがるとはな
何より許せねぇのは、その脅しにお前の名前を出したってことだ」
おばあちゃんが叔父の言うことを聞くのは、ちゃんと理由があって
その主たる理由が、私の存在だった
早い話が、叔父はおばあちゃんを会長から引きずり下ろそうとしたのだ
その職に留まる条件として、私への援助を打ち切り、伊達と完全に敵対すること──
おばあちゃんが会長を辞めるわけにはいかない理由ならある
……おばあちゃんが居なくなってしまえば、いよいよ藤野財閥は現社長のあやつり人形になる
抑止力が存在しないトップほど恐ろしいものはない
「変えられるんでしょうか、私たちに」
「出来るか出来ないかじゃねぇさ
やるかやらないか、だ」
「………」
「やると決めたんだろ」
政宗さんの問いに頷く
どんなに傷付いたって、おばあちゃんを助けるって決めたんだ
藤野を潰すことになってしまっても──お母さんが残した会社の残滓を、失っても
「そこまで!
整列!」
主将の声で、全員で整列して、道場に頭を下げる
着替えて師範に挨拶をして──向かった先は、とある講義室だった
そう、こんな修羅場をくぐる真っ最中の私達だって、立派な華の大学生
そして季節は秋、秋と言えば──
「今日で模擬店のメニュー全部決めるからな!
あれやこれや候補を増やすなよ、特に伊達カルテット!」
「俺達で括るな、俺は料理はからっきしだぞ」
「威張って言うところじゃねぇぞ、綱元」
そう、学祭が近いのだ!
学祭──大学の学祭は、高校までのそれとは規模が違うと聞く
……けれどよく考えてほしい
婆娑羅学院は、学院祭にウィーンから少年合唱団を呼ぶわ、世界大会で世界一になった花火師に打ち上げさせるわ、ダンスパーティーで踊るわの、スーパー規格外文化祭を抱える学校だ
そんな学院にガッツリ三年間通っていたわけで、つまり──
「模擬戦だけとかつまんなくねぇ?
どうせならテイラーでも呼ぼうぜ」
「講演会もイマイチ盛り上がりに欠けるな
渡辺でも呼んどくか」
「友達か?」
庶民の中でブルジョワを発揮すると浮くからな、ほんとに
私みたいに慎ましく生きた方が目立たないからな
「もうブルジョワジー四人組は口開くな!!」
「私何も言ってなくないですか!?」
悲しい、主将に怒られた
私は何も言ってないのに!
「いいからメニュー!
メニューを決めるの!
バンドとか講演会とかは実行委員会で決まってるから仕方ないの!
分かるか!!」
「チッ……毎年張り合いのないこったぜ」
「ねぇ婆娑羅学院は何?
なんなの、ブルジョワの感覚を庶民の場に持ってくるのやめてもらえる?」
主将が壊れ始めた……
流石にそろそろ本気でメニューを決めないとまずい
「Menuっつったって、どうせ去年と同じ焼きそばだろ」
「たこ焼きとかお好み焼きって案もあってな」
「麺か粉かの違いだな……」
「ハァ……で?
cooking担当は?」
「伊達組」
「ただし鬼庭は除く」
「解せぬ」
「だってお前のは兵器じゃん」
「………」
あの綱元先輩が、成実に言い返せないだと……?
料理に関してはそこまで成実に軍配が上がるのか!?
「……あいつのdark matterの一番の犠牲者だからな、成実は」
「それでいてなお生きている成実の胃は鉄で出来てたりするの?」
「さすがに三日三晩は寝込んだけどな」
……というか、伊達組って括りだから忘れてたけど、一応は私の名字も伊達だな
あれ……これもしかして私も括られてる?
「そういうことで、調理担当はチーム伊達で」
「政宗さんと成実だね」
「いや梵と俺とお前な」
「………」
「一人だけ伊達じゃないですみたいな顔しても無駄だぞ
お前の学生証はきっちり伊達夕歌だからな」
「さ、三人もいる?」
「そこはローテーションで回していくから、最低でも三人はいるかな」
ローテーションかぁ、と納得しかけて、大事なことに気付いた
交代制になるにしても、一人ずつしか休憩に入れなさそうじゃない?
ということは、と主将を見つめる
政宗さんと一緒に学祭回ったりは出来ないってことだ……──
目の前のことに集中出来るかと思いきや
大事なことを忘れていた――!!
ちょっと二回目な気がするな、このノリ
19 学祭・前夜祭
森口さんがもたらした事実が、頭から離れない
あのおばあちゃんが、藤野財閥の会長であるおばあちゃんが
──会長は、社長の支配下にあります
──今や藤野財閥は、現社長の独断で成り立っている
──会長の地位は地に墜ちました
「……夕歌?」
「あっ……」
肩を叩かれてハッとする
今は部活の時間だ、考え事は後にしなきゃ
「模擬戦の最中だからって気を抜くと、師範にドヤされるぜ」
「う、それは嫌だ……」
ぶんぶんと顔を振って、模擬戦の応援に戻る
今は目の前で、綱元先輩と成実が対戦中
過去戦績は成実の方が勝ち数は多いらしいけど、綱元先輩の戦い方は気が抜けないからなぁ
「……一昨日のことか?」
「え?」
「森口が言ってたことが気になるんだろ」
「……はい」
政宗さんは何でもお見通しだな
私が分かりやすいだけなのかもしれないけど
「知らなかった……おばあちゃんが、叔父の言いなりにさせられてるなんて
確かにおばあちゃんは会長で、直接会社の経営には関わらないかもしれないけど──」
「……あれ程まで経営の中枢からblockされてやがるとはな
何より許せねぇのは、その脅しにお前の名前を出したってことだ」
おばあちゃんが叔父の言うことを聞くのは、ちゃんと理由があって
その主たる理由が、私の存在だった
早い話が、叔父はおばあちゃんを会長から引きずり下ろそうとしたのだ
その職に留まる条件として、私への援助を打ち切り、伊達と完全に敵対すること──
おばあちゃんが会長を辞めるわけにはいかない理由ならある
……おばあちゃんが居なくなってしまえば、いよいよ藤野財閥は現社長のあやつり人形になる
抑止力が存在しないトップほど恐ろしいものはない
「変えられるんでしょうか、私たちに」
「出来るか出来ないかじゃねぇさ
やるかやらないか、だ」
「………」
「やると決めたんだろ」
政宗さんの問いに頷く
どんなに傷付いたって、おばあちゃんを助けるって決めたんだ
藤野を潰すことになってしまっても──お母さんが残した会社の残滓を、失っても
「そこまで!
整列!」
主将の声で、全員で整列して、道場に頭を下げる
着替えて師範に挨拶をして──向かった先は、とある講義室だった
そう、こんな修羅場をくぐる真っ最中の私達だって、立派な華の大学生
そして季節は秋、秋と言えば──
「今日で模擬店のメニュー全部決めるからな!
あれやこれや候補を増やすなよ、特に伊達カルテット!」
「俺達で括るな、俺は料理はからっきしだぞ」
「威張って言うところじゃねぇぞ、綱元」
そう、学祭が近いのだ!
学祭──大学の学祭は、高校までのそれとは規模が違うと聞く
……けれどよく考えてほしい
婆娑羅学院は、学院祭にウィーンから少年合唱団を呼ぶわ、世界大会で世界一になった花火師に打ち上げさせるわ、ダンスパーティーで踊るわの、スーパー規格外文化祭を抱える学校だ
そんな学院にガッツリ三年間通っていたわけで、つまり──
「模擬戦だけとかつまんなくねぇ?
どうせならテイラーでも呼ぼうぜ」
「講演会もイマイチ盛り上がりに欠けるな
渡辺でも呼んどくか」
「友達か?」
庶民の中でブルジョワを発揮すると浮くからな、ほんとに
私みたいに慎ましく生きた方が目立たないからな
「もうブルジョワジー四人組は口開くな!!」
「私何も言ってなくないですか!?」
悲しい、主将に怒られた
私は何も言ってないのに!
「いいからメニュー!
メニューを決めるの!
バンドとか講演会とかは実行委員会で決まってるから仕方ないの!
分かるか!!」
「チッ……毎年張り合いのないこったぜ」
「ねぇ婆娑羅学院は何?
なんなの、ブルジョワの感覚を庶民の場に持ってくるのやめてもらえる?」
主将が壊れ始めた……
流石にそろそろ本気でメニューを決めないとまずい
「Menuっつったって、どうせ去年と同じ焼きそばだろ」
「たこ焼きとかお好み焼きって案もあってな」
「麺か粉かの違いだな……」
「ハァ……で?
cooking担当は?」
「伊達組」
「ただし鬼庭は除く」
「解せぬ」
「だってお前のは兵器じゃん」
「………」
あの綱元先輩が、成実に言い返せないだと……?
料理に関してはそこまで成実に軍配が上がるのか!?
「……あいつのdark matterの一番の犠牲者だからな、成実は」
「それでいてなお生きている成実の胃は鉄で出来てたりするの?」
「さすがに三日三晩は寝込んだけどな」
……というか、伊達組って括りだから忘れてたけど、一応は私の名字も伊達だな
あれ……これもしかして私も括られてる?
「そういうことで、調理担当はチーム伊達で」
「政宗さんと成実だね」
「いや梵と俺とお前な」
「………」
「一人だけ伊達じゃないですみたいな顔しても無駄だぞ
お前の学生証はきっちり伊達夕歌だからな」
「さ、三人もいる?」
「そこはローテーションで回していくから、最低でも三人はいるかな」
ローテーションかぁ、と納得しかけて、大事なことに気付いた
交代制になるにしても、一人ずつしか休憩に入れなさそうじゃない?
ということは、と主将を見つめる
政宗さんと一緒に学祭回ったりは出来ないってことだ……──
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