18 違和感
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一瞬だけ感じた何か
おばあちゃんが私にしてくれたことは、どこまでが本心で、どこからが偽りなのだろう
きっと今、私の知らないところで、何かが起きている
18 違和感
遊園地で遊び倒してから、早二週間──
十月の中頃にもなれば、流石に半袖とはいかない
長袖のブラウスを着て、ふわりとなびくフレアスカート
制服でしかスカートを着たことがなかった私が、スカートを着るようになったのは、言わずもがな私のコーディネート担当である政宗さんとかすがのおかげだ
ちなみに和真さんは、「お二人の選ぶファッションに間違いはございませんから!」と二人に無二の信頼を置き、ヘアアレンジを極めるべく、美容師資格を持つ喜多先生に弟子入りした
花火大会の時にヘアアレンジが上手だなと思っていたら、美容師資格を持っていたのか喜多先生、と納得したのは先日のことだ
「──さて、全員集まったな」
お義父さんが腕を組んで、私たちを見回す
今日は、対藤野財閥の作戦会議
主軸は綱元先輩と片倉先生で、補佐役として原田さんと白石さん留守さんコンビ
この話はお義父さんのお耳にも初期の頃から入っていて、「やるなら徹底的に叩くぞ」と誰よりも乗り気になっていた
恐ろしいことだ……
「あー、とりあえず最初にお前ら──特に政宗に言っとくぞ
斎藤グループが牛耳ってた事業の攻撃からは手を引け」
その場の全員が色めきたった
それはそうだ、元は私のお母さんがやっていた事業とはいえ、今は藤野の主要事業のひとつだ
「そこから手を引くことが何を意味するか、分かって言ってんのか、親父」
「おうよ」
「夕歌をここまで追い詰める野郎に、手加減しろってのか!」
「二度も言わせんな、斎藤の事業からは手を引け
こいつぁ当主命令だ」
「テメェ……!」
怒りに震えた政宗さんを遮るように、片倉先生が口を開いた
「まずはその方針を飲みましょう
その上で、理由をお聞かせ願いたい」
「………」
「貴方様のことだ、理由もなしに手を引けとは仰るまい
手を引かねばならぬ理由があれば、今この場で共有して頂きたい」
腕を組んだまま黙り込んだお義父さんが、ため息をついて私を見つめた
「……夕歌ちゃんは、何か違和感を覚えねぇか?」
「いわ、かん?」
「そうだ
ここ最近の藤野のことだけじゃねぇ、夕歌ちゃんが奈落に転落した時から──
俺ぁずっと何かが引っかかってんだよ」
「夕歌の存在が邪魔だった
本人達がそう申しておりますが、それは本心ではない……と?」
綱元先輩の問いかけにも、お義父さんは曖昧に頷くだけだった
確証はないのだろう、それでも違和感が拭えない
「……そんなあやふやな感情で、あの野郎を潰すchanceを逃すつもりはねぇ」
「焦るな、お前の悪い癖だぞ
お前は感情論で決断しがちだからな
怒りもなんもかんも、全部いっぺん腹ん中に据えて、理性で判断しろ
お前にゃそれが出来るだけのモンがある」
違和感……そうだ、この間の遊園地で
何かが引っかかったのを思い出した
「お、なんか覚えがあるか?」
「この間、成実達と遊園地で遊んだ時に、ちょっと……」
「それはどんなやつだ?」
「それが……成実がかき氷チョモランマ盛りに苦しんでるのが面白すぎて、全部飛んでっちゃって……」
「俺かよ!?」
「成実ェ!!!」
「ギャァァァァア!!!」
すまない……だがそれが事実だ……
甘んじて政宗さんに首を締め上げられてくれ……
「おめぇ、時々そうやって余計なことしてやらかすよな」
「やめてください輝宗様!!
自覚あるんですよ!!」
あったんかい、と私とお義父さんのツッコミが被った
まぁでもなんだろう、ほら、成実が端から端までしっかり者になったら、それはなんか……違うじゃん
根は頭いいんだろうけど、言動にアホっぽさがあってナンボじゃん
つまり今のままでいいと思うんだ、私は
「お前、今すっげぇ失礼なこと考えただろ」
「……考えてないよ?」
「目が泳ぎまくってんだよ」
「目は泳がないよ!」
「言葉のあやって分かる?
てかこの流れ死ぬまでやる気か?」
「ごめんて」
めっちゃおこじゃん
そんでもって死ぬほど話が脱線するじゃん
「ったく、話戻すぞ」
「へーい」
「……何の話してたっけな?」
「輝宗様!?」
「ボケるにゃ早いぞ親父」
「わ、分かってるっての!
あれだろ、ほら、違和感!
違和感がどうのって話だろ!」
「自分で振っておいて忘れるのはやめて頂けますか?」
「……綱元、お前、親父に似てきたな」
「褒め言葉として受け取っておきましょう」
「褒めてねぇ」
げんなりするお義父さんに、政宗さんと片倉先生と成実と原田さん達が揃って頷いていた
まだ見ぬ綱元先輩のお父さんがどんな人なのか、大体分かった気がする……
おばあちゃんが私にしてくれたことは、どこまでが本心で、どこからが偽りなのだろう
きっと今、私の知らないところで、何かが起きている
18 違和感
遊園地で遊び倒してから、早二週間──
十月の中頃にもなれば、流石に半袖とはいかない
長袖のブラウスを着て、ふわりとなびくフレアスカート
制服でしかスカートを着たことがなかった私が、スカートを着るようになったのは、言わずもがな私のコーディネート担当である政宗さんとかすがのおかげだ
ちなみに和真さんは、「お二人の選ぶファッションに間違いはございませんから!」と二人に無二の信頼を置き、ヘアアレンジを極めるべく、美容師資格を持つ喜多先生に弟子入りした
花火大会の時にヘアアレンジが上手だなと思っていたら、美容師資格を持っていたのか喜多先生、と納得したのは先日のことだ
「──さて、全員集まったな」
お義父さんが腕を組んで、私たちを見回す
今日は、対藤野財閥の作戦会議
主軸は綱元先輩と片倉先生で、補佐役として原田さんと白石さん留守さんコンビ
この話はお義父さんのお耳にも初期の頃から入っていて、「やるなら徹底的に叩くぞ」と誰よりも乗り気になっていた
恐ろしいことだ……
「あー、とりあえず最初にお前ら──特に政宗に言っとくぞ
斎藤グループが牛耳ってた事業の攻撃からは手を引け」
その場の全員が色めきたった
それはそうだ、元は私のお母さんがやっていた事業とはいえ、今は藤野の主要事業のひとつだ
「そこから手を引くことが何を意味するか、分かって言ってんのか、親父」
「おうよ」
「夕歌をここまで追い詰める野郎に、手加減しろってのか!」
「二度も言わせんな、斎藤の事業からは手を引け
こいつぁ当主命令だ」
「テメェ……!」
怒りに震えた政宗さんを遮るように、片倉先生が口を開いた
「まずはその方針を飲みましょう
その上で、理由をお聞かせ願いたい」
「………」
「貴方様のことだ、理由もなしに手を引けとは仰るまい
手を引かねばならぬ理由があれば、今この場で共有して頂きたい」
腕を組んだまま黙り込んだお義父さんが、ため息をついて私を見つめた
「……夕歌ちゃんは、何か違和感を覚えねぇか?」
「いわ、かん?」
「そうだ
ここ最近の藤野のことだけじゃねぇ、夕歌ちゃんが奈落に転落した時から──
俺ぁずっと何かが引っかかってんだよ」
「夕歌の存在が邪魔だった
本人達がそう申しておりますが、それは本心ではない……と?」
綱元先輩の問いかけにも、お義父さんは曖昧に頷くだけだった
確証はないのだろう、それでも違和感が拭えない
「……そんなあやふやな感情で、あの野郎を潰すchanceを逃すつもりはねぇ」
「焦るな、お前の悪い癖だぞ
お前は感情論で決断しがちだからな
怒りもなんもかんも、全部いっぺん腹ん中に据えて、理性で判断しろ
お前にゃそれが出来るだけのモンがある」
違和感……そうだ、この間の遊園地で
何かが引っかかったのを思い出した
「お、なんか覚えがあるか?」
「この間、成実達と遊園地で遊んだ時に、ちょっと……」
「それはどんなやつだ?」
「それが……成実がかき氷チョモランマ盛りに苦しんでるのが面白すぎて、全部飛んでっちゃって……」
「俺かよ!?」
「成実ェ!!!」
「ギャァァァァア!!!」
すまない……だがそれが事実だ……
甘んじて政宗さんに首を締め上げられてくれ……
「おめぇ、時々そうやって余計なことしてやらかすよな」
「やめてください輝宗様!!
自覚あるんですよ!!」
あったんかい、と私とお義父さんのツッコミが被った
まぁでもなんだろう、ほら、成実が端から端までしっかり者になったら、それはなんか……違うじゃん
根は頭いいんだろうけど、言動にアホっぽさがあってナンボじゃん
つまり今のままでいいと思うんだ、私は
「お前、今すっげぇ失礼なこと考えただろ」
「……考えてないよ?」
「目が泳ぎまくってんだよ」
「目は泳がないよ!」
「言葉のあやって分かる?
てかこの流れ死ぬまでやる気か?」
「ごめんて」
めっちゃおこじゃん
そんでもって死ぬほど話が脱線するじゃん
「ったく、話戻すぞ」
「へーい」
「……何の話してたっけな?」
「輝宗様!?」
「ボケるにゃ早いぞ親父」
「わ、分かってるっての!
あれだろ、ほら、違和感!
違和感がどうのって話だろ!」
「自分で振っておいて忘れるのはやめて頂けますか?」
「……綱元、お前、親父に似てきたな」
「褒め言葉として受け取っておきましょう」
「褒めてねぇ」
げんなりするお義父さんに、政宗さんと片倉先生と成実と原田さん達が揃って頷いていた
まだ見ぬ綱元先輩のお父さんがどんな人なのか、大体分かった気がする……
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