17 泣かないひと
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「伊達家の若奥様を施術できるとは、光栄です!」
「は、はあ」
「本日は私の持てる全てで若奥様を磨き上げますので!
どうぞお任せ下さい!」
もう好きにしてくれ
そんな思いで、へらりと笑っておいた
17 泣かないひと
来た時同様に「ありがとうございました!!」と列を作ってお辞儀され、無駄にトゥルットゥルに磨かれた私は力なく笑ってフロアへ戻った
やれやれ、和真さんに家まで送ってもらったら、ちょっとだけ寝ようかな……
「お、きたきた」
「遠目でも分かるぞ
夕歌、一段と可愛さに磨きがかかったな」
「左様でござるか?
某には、普段と変わらぬように見えるのでござるが……」
「フン……お前の審美眼も少しは磨いたらどうなんだ」
「な、なんと……!?
某の審美眼とやらも、まだ鍛える余地があるのでござるか!?
ならば早速、お館様に!」
「どこ行くつもりだ修行バカ!
あと審美眼は身体を鍛えて身につくもんじゃねぇからな!!」
「なんと!!」
なんだか……なんというか……
こいつら、どこにいても変わんないよなぁ……
「何してんの……?
ていうか、なんでいるの……?」
「俺が梵に聞いて、全員呼んだ」
「いやなんで」
「面白そうだから」
「ぶっ飛ばすぞテメー」
半笑いで言うんじゃないよ
見せ物じゃないぞ
「んじゃ行くか」
「どこに?」
「遊園地でござる!」
「遊園地」
「綺麗にしてもらって最初に遊びに行くのが俺らで悪かったな」
「そう思ってはいるんだね」
「だがすでにチケットがここにある」
「用意が良すぎるんだよなァ……」
かすががピッと指に挟んで見せてくれたのは、まごうこと無き遊園地のチケット
ここ最近で遊園地に行こうって話をした記憶はないけど、大方、成実か誰かがペアチケットを当てたんだろう
「そんじゃレッツゴー!
うはーっ、楽しみだなー!!
遊園地なんざいつぶりだ?」
「私は小学生以来かな」
「私は……中学の頃に来たことがあるな」
「某は去年、兄上と佐助を連れて参った以来でござる!」
「俺は先月も来た」
「成実はしょっちゅうだもんね」
「デートの場所にレパートリーが無さすぎるだけだろうがな」
「隙あらば人の心を抉ろうとするよな、お前」
「誰でもかれでも抉っているわけじゃない
お前だけだ」
「余計に性質悪ぃわ!!」
そう吠えた成実がため息をつく
……こういう日常なんだよね、成実が手に入れたかったのは
「てか、このペアチケット誰が当てたの?」
「もちろん俺」
「だよね知ってた
成実ってほんと、変なところで運がいいよね」
「おい、変なところでってどういう意味だ」
「普段はどちらかと言うと、鬼庭殿の流れ弾を受けて貧乏くじを引いているような気がするのでござるが」
「……何も言い返せない俺って本当に可哀想だと思う」
「さすが末吉の男」
「今年は大吉でしたぁ!!」
「今後の運気は下り坂、か」
「いやあの、冷静に現実を突き付けるのやめてもらっていいですか、かすがさん」
とはいえ、成実が二年連続で大吉を引かないとも限らないし
どうなるかは神のみぞ知るってやつだ
「着いたら何から乗る?」
「そらもちろん、ジェットコースターだろ!」
「一回転するほう?」
「しないほうから乗ろうぜ
お楽しみは後にとっといたほうが楽しいだろ」
「道理でござるな!
某も異論はないでござる」
「その後はパイレーツにでも乗るか
成実は一番端に乗るといい」
「いや俺だけで!?」
「私は夕歌と真ん中の辺りに乗っておく」
「では某が、成実殿に続きましょうぞ!」
「幸村君って絶叫系とか得意なんだね?」
「うむ!
幼き頃より、姉上と共に、様々な絶叫系あとらくしょんに乗っており申した次第!
得意かどうかは分かりませぬが、人並みには楽しめるはずでござる!」
意外だなぁ、幸村君はちょっと苦手なのかもとか思ってた
……ここにはいないけど、親泰君は苦手そうだな
駅に着いて、改札を通る
そして下りの電車に乗って、途中の駅で乗り換えて
三十分後、私たちは遊園地に着いた
「待って、外観から記憶にあるものとまったく違う」
「最後に来たのが小学生じゃ、そりゃあな」
入り口でペアチケットを見せて、入場
さーて、お目当てのジェットコースターはっと──
「嫌だぁぁぁぁ!!!」
「待てェ、親泰ァ!
逃げやがるんじゃねぇッ!!」
「うわぁぁぁぁ来るなぁぁぁぁ!!!」
見慣れた……とっても見慣れた二人が、私たちの目の前をすごいスピードで走っていった気がする……
「ねぇ幸村君、見間違いじゃなければなんだけど……
今のって親泰君と元親先輩じゃない……?」
「む!?
もうひわへふぉはいわへむ!」
「もう食っとんのかい!!」
早いよ!!
まだ入場して五分経ったかすら怪しいよ!!
なんで右手にフランクフルト左手にホットドッグ持ってるの!!
「野郎共ォ!!
親泰確保だ、絶叫系制覇と洒落込むぜェ!!」
「「アニキー!!」」
「殺せ……殺してくれぇーッ!!」
元親先輩に俵担ぎで連行される親泰君は、あまりにも尊い犠牲だった
目が合ったような気がして、顔ごと逸らす
申し訳ないが、面倒ごとに首を突っ込みたくはないんだ……
「は、はあ」
「本日は私の持てる全てで若奥様を磨き上げますので!
どうぞお任せ下さい!」
もう好きにしてくれ
そんな思いで、へらりと笑っておいた
17 泣かないひと
来た時同様に「ありがとうございました!!」と列を作ってお辞儀され、無駄にトゥルットゥルに磨かれた私は力なく笑ってフロアへ戻った
やれやれ、和真さんに家まで送ってもらったら、ちょっとだけ寝ようかな……
「お、きたきた」
「遠目でも分かるぞ
夕歌、一段と可愛さに磨きがかかったな」
「左様でござるか?
某には、普段と変わらぬように見えるのでござるが……」
「フン……お前の審美眼も少しは磨いたらどうなんだ」
「な、なんと……!?
某の審美眼とやらも、まだ鍛える余地があるのでござるか!?
ならば早速、お館様に!」
「どこ行くつもりだ修行バカ!
あと審美眼は身体を鍛えて身につくもんじゃねぇからな!!」
「なんと!!」
なんだか……なんというか……
こいつら、どこにいても変わんないよなぁ……
「何してんの……?
ていうか、なんでいるの……?」
「俺が梵に聞いて、全員呼んだ」
「いやなんで」
「面白そうだから」
「ぶっ飛ばすぞテメー」
半笑いで言うんじゃないよ
見せ物じゃないぞ
「んじゃ行くか」
「どこに?」
「遊園地でござる!」
「遊園地」
「綺麗にしてもらって最初に遊びに行くのが俺らで悪かったな」
「そう思ってはいるんだね」
「だがすでにチケットがここにある」
「用意が良すぎるんだよなァ……」
かすががピッと指に挟んで見せてくれたのは、まごうこと無き遊園地のチケット
ここ最近で遊園地に行こうって話をした記憶はないけど、大方、成実か誰かがペアチケットを当てたんだろう
「そんじゃレッツゴー!
うはーっ、楽しみだなー!!
遊園地なんざいつぶりだ?」
「私は小学生以来かな」
「私は……中学の頃に来たことがあるな」
「某は去年、兄上と佐助を連れて参った以来でござる!」
「俺は先月も来た」
「成実はしょっちゅうだもんね」
「デートの場所にレパートリーが無さすぎるだけだろうがな」
「隙あらば人の心を抉ろうとするよな、お前」
「誰でもかれでも抉っているわけじゃない
お前だけだ」
「余計に性質悪ぃわ!!」
そう吠えた成実がため息をつく
……こういう日常なんだよね、成実が手に入れたかったのは
「てか、このペアチケット誰が当てたの?」
「もちろん俺」
「だよね知ってた
成実ってほんと、変なところで運がいいよね」
「おい、変なところでってどういう意味だ」
「普段はどちらかと言うと、鬼庭殿の流れ弾を受けて貧乏くじを引いているような気がするのでござるが」
「……何も言い返せない俺って本当に可哀想だと思う」
「さすが末吉の男」
「今年は大吉でしたぁ!!」
「今後の運気は下り坂、か」
「いやあの、冷静に現実を突き付けるのやめてもらっていいですか、かすがさん」
とはいえ、成実が二年連続で大吉を引かないとも限らないし
どうなるかは神のみぞ知るってやつだ
「着いたら何から乗る?」
「そらもちろん、ジェットコースターだろ!」
「一回転するほう?」
「しないほうから乗ろうぜ
お楽しみは後にとっといたほうが楽しいだろ」
「道理でござるな!
某も異論はないでござる」
「その後はパイレーツにでも乗るか
成実は一番端に乗るといい」
「いや俺だけで!?」
「私は夕歌と真ん中の辺りに乗っておく」
「では某が、成実殿に続きましょうぞ!」
「幸村君って絶叫系とか得意なんだね?」
「うむ!
幼き頃より、姉上と共に、様々な絶叫系あとらくしょんに乗っており申した次第!
得意かどうかは分かりませぬが、人並みには楽しめるはずでござる!」
意外だなぁ、幸村君はちょっと苦手なのかもとか思ってた
……ここにはいないけど、親泰君は苦手そうだな
駅に着いて、改札を通る
そして下りの電車に乗って、途中の駅で乗り換えて
三十分後、私たちは遊園地に着いた
「待って、外観から記憶にあるものとまったく違う」
「最後に来たのが小学生じゃ、そりゃあな」
入り口でペアチケットを見せて、入場
さーて、お目当てのジェットコースターはっと──
「嫌だぁぁぁぁ!!!」
「待てェ、親泰ァ!
逃げやがるんじゃねぇッ!!」
「うわぁぁぁぁ来るなぁぁぁぁ!!!」
見慣れた……とっても見慣れた二人が、私たちの目の前をすごいスピードで走っていった気がする……
「ねぇ幸村君、見間違いじゃなければなんだけど……
今のって親泰君と元親先輩じゃない……?」
「む!?
もうひわへふぉはいわへむ!」
「もう食っとんのかい!!」
早いよ!!
まだ入場して五分経ったかすら怪しいよ!!
なんで右手にフランクフルト左手にホットドッグ持ってるの!!
「野郎共ォ!!
親泰確保だ、絶叫系制覇と洒落込むぜェ!!」
「「アニキー!!」」
「殺せ……殺してくれぇーッ!!」
元親先輩に俵担ぎで連行される親泰君は、あまりにも尊い犠牲だった
目が合ったような気がして、顔ごと逸らす
申し訳ないが、面倒ごとに首を突っ込みたくはないんだ……
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