01 そして、春
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因縁と権謀が渦巻いたあの年から、早くも2年が過ぎた
激動の高校生活が少し懐かしくもあり
これから始まる生活に、少しの楽しみと、不安もあったり
01 そして、春
「──お、おかしくないですよね?」
全身鏡の前で、今日何度目かの同じ質問をぶつけた
「はい!
どこから見ましても私の誇る最高のお嬢様でございます!」
「つーかそれ、梵の見立てだろ?」
「おかしいはずがないだろう」
シンパ2号(と密かに呼んでいる)マイ執事と成実、かすががそう返してくる
皆様お久しぶりです、斎藤夕歌です
……いや、結婚したから姓は伊達なんだけども
「成実はともかく、和真さんとかすがの評価は七割方信用ならないと私の経験則が言っている……」
「その気持ちはとっても分かる……」
成実の同意を得てしまった
何故か悲しくなる
「けど、やっぱり似合ってるぜ
さすが梵だな!」
「すごいのは政宗先輩と、無理難題に全て応えてみせた紳士服の職人さんです」
「そうかぁ?
オーダーメイドなんて当たり前だろ」
「当たり前じゃねぇよ一般人バカにしてんのか!?」
「逸般人のお前が言うなし」
「くっ、痛いところを突きやがる……!」
何だかんだで、みんなとの付き合いが4年目に突入した私
仲良く揃って同じ大学とか何のギャグなんだよ
「……というか、まあ私とかかすがとかさ、成実もまあ分かるとして……」
「おい何で今俺の前で一旦区切り入れた?」
「幸村君が受かったのは流石に驚いたよね……」
「一応仮にもこいつも1組だったからな!?」
「お前が一番ディスってるぞ成実」
「だっ、大丈夫だよ!
俺よりかは頭良いんだから!」
「親泰君の優しさが身に染みる……」
「それをお前が言うな」
まあ、ディスられた当の本人は、自分がディスられたことすら分かっていないようだけども
それにしても、と思う
「まさかここにいる全員が明政大に行くとはね……」
「さすがに学部は違うやつもいるけども……」
「なんのコントだろうとは思ったよね」
成実と親泰君も苦笑いだ
しかも……
「1組4人は学部まで被るとはな!」
「私がお前のそばを離れるなど、万に一つもあり得るものか!」
ほらこれだよ!
かすがのいつものこれだよ!
4年目だけどやっぱり私は頭を抱えた
「では、そろそろ参りましょうか」
「えっ?
でもまだ式までは時間が──」
今日は入学式
入学祝だ!と政宗さんのご両親──つまりは私の義理の両親からいただいたスーツも着て
どうせだから明政組はまとめて送り迎えしますよ、という和真さんの頼もしい一声も頂き
ここに集まったのは、かすが、成実、幸村君、親泰君の4人と私
というかまぁ、ここは私の家なわけだけども
「式まではまだお時間はありますが、道中は混雑が予想されます
今からご出発されたほうが、おそらくちょうどいい時間に着くと思いますよ」
「和真さんが言うならそうですね
それじゃあ、ちょっと早いけどもう行ける?」
「つーかむしろお前待ちだったんだよ」
「マジか
じゃあ行こう!」
政宗先輩は実家に用があるらしく、朝から出かけていないし
戸締まりもしちゃっていいよね
8人乗りのワゴン車に乗り込み、いざ出発
結局、電車でいいと言ったのにこうなってしまった……
和真さんが何でも出来すぎて、私がダメ人間になっていそうだ
というか、政宗先輩も和真さんも、あんまり私にあれこれさせたくない感じなんだよな
「はーあ、これでやっと梵も解放されるだろ」
「何に?」
「追いかけてくる肉食女子に」
「追いかけられてるのか……」
容易に想像できる
できてしまうのが悲しいところだけども
「ああ、それはもうすごいらしいな
家の近くまでついて来られた時もあったらしい」
「なんでそんな事かすがが知ってんの!?」
「人の口に戸は立てられないということだ」
え、ていうか家の近くまでって言った?
「家って、うち?
それとも伊達家の実家のほう?」
「どちらも大して距離が変わらない事実」
「むしろご近所さんという現実
それはどうでもいいんじゃい!!」
「別邸のあたりでなんとか振り切ったって言ってたな」
「執念深いなその女の人……」
「……あのさ」
成実が気まずそうに頬を掻く
「嫉妬とかしねぇの」
「……へっ?
嫉妬……嫉妬!?」
な、なにを言ってくれてるんだこいつ
急な話で言葉が出てこない
ただ、顔が真っ赤なのは自分でもよく分かった
だってめちゃくちゃ顔が熱い
激動の高校生活が少し懐かしくもあり
これから始まる生活に、少しの楽しみと、不安もあったり
01 そして、春
「──お、おかしくないですよね?」
全身鏡の前で、今日何度目かの同じ質問をぶつけた
「はい!
どこから見ましても私の誇る最高のお嬢様でございます!」
「つーかそれ、梵の見立てだろ?」
「おかしいはずがないだろう」
シンパ2号(と密かに呼んでいる)マイ執事と成実、かすががそう返してくる
皆様お久しぶりです、斎藤夕歌です
……いや、結婚したから姓は伊達なんだけども
「成実はともかく、和真さんとかすがの評価は七割方信用ならないと私の経験則が言っている……」
「その気持ちはとっても分かる……」
成実の同意を得てしまった
何故か悲しくなる
「けど、やっぱり似合ってるぜ
さすが梵だな!」
「すごいのは政宗先輩と、無理難題に全て応えてみせた紳士服の職人さんです」
「そうかぁ?
オーダーメイドなんて当たり前だろ」
「当たり前じゃねぇよ一般人バカにしてんのか!?」
「逸般人のお前が言うなし」
「くっ、痛いところを突きやがる……!」
何だかんだで、みんなとの付き合いが4年目に突入した私
仲良く揃って同じ大学とか何のギャグなんだよ
「……というか、まあ私とかかすがとかさ、成実もまあ分かるとして……」
「おい何で今俺の前で一旦区切り入れた?」
「幸村君が受かったのは流石に驚いたよね……」
「一応仮にもこいつも1組だったからな!?」
「お前が一番ディスってるぞ成実」
「だっ、大丈夫だよ!
俺よりかは頭良いんだから!」
「親泰君の優しさが身に染みる……」
「それをお前が言うな」
まあ、ディスられた当の本人は、自分がディスられたことすら分かっていないようだけども
それにしても、と思う
「まさかここにいる全員が明政大に行くとはね……」
「さすがに学部は違うやつもいるけども……」
「なんのコントだろうとは思ったよね」
成実と親泰君も苦笑いだ
しかも……
「1組4人は学部まで被るとはな!」
「私がお前のそばを離れるなど、万に一つもあり得るものか!」
ほらこれだよ!
かすがのいつものこれだよ!
4年目だけどやっぱり私は頭を抱えた
「では、そろそろ参りましょうか」
「えっ?
でもまだ式までは時間が──」
今日は入学式
入学祝だ!と政宗さんのご両親──つまりは私の義理の両親からいただいたスーツも着て
どうせだから明政組はまとめて送り迎えしますよ、という和真さんの頼もしい一声も頂き
ここに集まったのは、かすが、成実、幸村君、親泰君の4人と私
というかまぁ、ここは私の家なわけだけども
「式まではまだお時間はありますが、道中は混雑が予想されます
今からご出発されたほうが、おそらくちょうどいい時間に着くと思いますよ」
「和真さんが言うならそうですね
それじゃあ、ちょっと早いけどもう行ける?」
「つーかむしろお前待ちだったんだよ」
「マジか
じゃあ行こう!」
政宗先輩は実家に用があるらしく、朝から出かけていないし
戸締まりもしちゃっていいよね
8人乗りのワゴン車に乗り込み、いざ出発
結局、電車でいいと言ったのにこうなってしまった……
和真さんが何でも出来すぎて、私がダメ人間になっていそうだ
というか、政宗先輩も和真さんも、あんまり私にあれこれさせたくない感じなんだよな
「はーあ、これでやっと梵も解放されるだろ」
「何に?」
「追いかけてくる肉食女子に」
「追いかけられてるのか……」
容易に想像できる
できてしまうのが悲しいところだけども
「ああ、それはもうすごいらしいな
家の近くまでついて来られた時もあったらしい」
「なんでそんな事かすがが知ってんの!?」
「人の口に戸は立てられないということだ」
え、ていうか家の近くまでって言った?
「家って、うち?
それとも伊達家の実家のほう?」
「どちらも大して距離が変わらない事実」
「むしろご近所さんという現実
それはどうでもいいんじゃい!!」
「別邸のあたりでなんとか振り切ったって言ってたな」
「執念深いなその女の人……」
「……あのさ」
成実が気まずそうに頬を掻く
「嫉妬とかしねぇの」
「……へっ?
嫉妬……嫉妬!?」
な、なにを言ってくれてるんだこいつ
急な話で言葉が出てこない
ただ、顔が真っ赤なのは自分でもよく分かった
だってめちゃくちゃ顔が熱い
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