閑話一
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いつものように、成実さんの執務を手伝ったその日
激務と戦い終えた成実さんに、休憩を促して退室した後、ふと耳を澄ますと
「……笛の音?」
誰が吹いてるんだろう
良い音色……
誘われるように歩いていくと
「あ……」
意外な人物が吹いていた
その隣には、やっぱりあの人も
「……Hey,お前も聴きに来たのか?」
「兄様」
「これは……
夕華様でしたか」
そう、吹いていたのは小十郎さん
そう言えば笛の名手でもあったっけ
「すごく素敵な音色でした!
笛、お上手なんですね」
「いえ、これは……
下手の横好きとでも申しましょうか」
「でもすごく綺麗でした」
「たまに政宗様からご所望されますので、こうして今夜も吹いておりました」
「お前も吹いてみるか?」
「え、でも」
大事に使ってるんだろうな、っていうのが分かるくらいには、綺麗な笛なんだけど……
私なんかが触っちゃまずい気がする
そう思って尻込みしていると
「構いませぬ
さ、どうぞ」
「えっ」
あっさり承諾……!
「私、楽器なんて扱うのは、初めてなんですが……」
「そうなのか?」
「前いた世界じゃ、こういう和楽器は、触れる機会すら滅多になかったので……」
「そりゃもったいねぇな
なら尚更吹いてみろ
小十郎、どうせなら教えてやりな」
「はっ」
そんなこんなで、片倉先生による横笛教室が開講した
持ち方と指の置き方を説明してもらって、いざ実践
「はぁっ……」
息を吸い込んで
前の世界の吹奏楽部で、フルートをしていた子の話を思い出しながら、ゆっくり息を吐いてみる
ひゅおー……という、なんとも気の抜けた音がでてきた
「……まあ、最初はそんなもん、だろ……」
「笑わないでくださいよ!!」
「しかし、一度ですぐに音が出るとは……
ご学友に笛をやっておられる方でも?」
「ああ、えーと……西洋の横笛をしていた子がいて
似たような原理でやってみれば、音も出るかなあと……」
成功したのか失敗したのか分かんないけど
「でもま、俺としては、お前には琴を弾いてもらいてぇんだがな」
「お琴……ですか
なんだか武家のお姫様って感じで、いいですね」
「実際お前は武家の姫だけどな」
「まぁ、そうですけど……
姫らしいことなんて、してないですもん」
「琴がなさりたいのなら、姉に申しつけますが……」
「たまの息抜きにでも、習ってみりゃいいんじゃねぇか?
成実にでも弾いてやれよ」
「成実さん……」
「一番楽しみにしておられるのは、政宗様でございましょうな」
「小十郎、それ以上言うと次はねぇぞ」
「は、ではこの辺りで」
図星だったようで、拗ねたようにそっぽを向く兄様と、困ったように笑みを見せる小十郎さん
こういうやりとりも、私がいるから出来るんだ、って綱元さんが言っていた気がする
そうして、その日からこっそりと、喜多さんと私による、琴のお稽古が始まったのだった
激務と戦い終えた成実さんに、休憩を促して退室した後、ふと耳を澄ますと
「……笛の音?」
誰が吹いてるんだろう
良い音色……
誘われるように歩いていくと
「あ……」
意外な人物が吹いていた
その隣には、やっぱりあの人も
「……Hey,お前も聴きに来たのか?」
「兄様」
「これは……
夕華様でしたか」
そう、吹いていたのは小十郎さん
そう言えば笛の名手でもあったっけ
「すごく素敵な音色でした!
笛、お上手なんですね」
「いえ、これは……
下手の横好きとでも申しましょうか」
「でもすごく綺麗でした」
「たまに政宗様からご所望されますので、こうして今夜も吹いておりました」
「お前も吹いてみるか?」
「え、でも」
大事に使ってるんだろうな、っていうのが分かるくらいには、綺麗な笛なんだけど……
私なんかが触っちゃまずい気がする
そう思って尻込みしていると
「構いませぬ
さ、どうぞ」
「えっ」
あっさり承諾……!
「私、楽器なんて扱うのは、初めてなんですが……」
「そうなのか?」
「前いた世界じゃ、こういう和楽器は、触れる機会すら滅多になかったので……」
「そりゃもったいねぇな
なら尚更吹いてみろ
小十郎、どうせなら教えてやりな」
「はっ」
そんなこんなで、片倉先生による横笛教室が開講した
持ち方と指の置き方を説明してもらって、いざ実践
「はぁっ……」
息を吸い込んで
前の世界の吹奏楽部で、フルートをしていた子の話を思い出しながら、ゆっくり息を吐いてみる
ひゅおー……という、なんとも気の抜けた音がでてきた
「……まあ、最初はそんなもん、だろ……」
「笑わないでくださいよ!!」
「しかし、一度ですぐに音が出るとは……
ご学友に笛をやっておられる方でも?」
「ああ、えーと……西洋の横笛をしていた子がいて
似たような原理でやってみれば、音も出るかなあと……」
成功したのか失敗したのか分かんないけど
「でもま、俺としては、お前には琴を弾いてもらいてぇんだがな」
「お琴……ですか
なんだか武家のお姫様って感じで、いいですね」
「実際お前は武家の姫だけどな」
「まぁ、そうですけど……
姫らしいことなんて、してないですもん」
「琴がなさりたいのなら、姉に申しつけますが……」
「たまの息抜きにでも、習ってみりゃいいんじゃねぇか?
成実にでも弾いてやれよ」
「成実さん……」
「一番楽しみにしておられるのは、政宗様でございましょうな」
「小十郎、それ以上言うと次はねぇぞ」
「は、ではこの辺りで」
図星だったようで、拗ねたようにそっぽを向く兄様と、困ったように笑みを見せる小十郎さん
こういうやりとりも、私がいるから出来るんだ、って綱元さんが言っていた気がする
そうして、その日からこっそりと、喜多さんと私による、琴のお稽古が始まったのだった
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