後日譚2
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──それから数ヶ月、私とエイトは忙しい日々が続いた。
近衛隊として毎日の職務をこなすのみならず、そこに結婚式の用意まで加わってしまったのだ。
なんなら一番手間取ったのは、ククールの行方を探すことだったので、当日本人に文句を言ってやろうということでエイトと意見が一致した。
招待する人へ招待状を送り、その返事も揃ったところで、私は耐えきれずに呟いた。
「なんでグラビウス王まで来ちゃったんだ……」
「公表こそ出来ないけど、一応は甥になるからかな……?」
「人が良すぎない!? 息子の結婚式をぶち壊した甥と、息子の婚約者に取って代わった女の結婚式だよ!?」
「字面だけ見ると僕ら最低な奴みたいだよね」
「チャゴスの自業自得感あるのにね」
なんならダメ元で送った竜神王様まで来ることになっている。
とんでもない結婚式になりそうで、今から戦々恐々としている私達であった。
「ま、まあほら、グラビウス王にしろ竜神王にしろ、トロデーンが国賓として招いたついでみたいな扱いみたいだし……!」
「そこ二人はいいんだよ、いや良くないけど。パヴァン王はもう言い逃れ出来なくない?」
「う、ううん……そうかもしれない……」
アスカンタは半年前、トロデーンを国賓として招いた側の国だ。
ま、まあ、トロデーンが復活してからは国賓として招かれてはいないし、いいっちゃいい……のか?
「あと加えて言うと、一応これ、かの有名な霊導者ヨシュア・ロアナスの子孫の結婚式でもあるからね。教会関係者がほとんどいないのが驚きっていうか……」
「……言われてみればそうだった……」
ついつい自分の中に流れる血筋を忘れてしまいがちなんだけど、私のご先祖さまも相当すごい人だった。
なにせ暗黒神を封じた七賢人に隠れた、八人目の賢者様なわけで。
「……式場、サヴェッラ大聖堂じゃなくて大丈夫だったかな。教会のメンツ的な意味で……」
「そこはもう考えても仕方ないと思うよ。僕らは一応、サヴェッラ大聖堂で式を挙げたことになってるしね」
それもそうか、と頷く。
それならなおのこと、三国の王が揃うのは異様すぎる気がする。
……いやもう、いいや。
考えるのをやめよう。
だってこの招待客リストを作ったの、陛下と姫様だしね。
「さて、明日も早いんだ。今日はもう寝ようか」
「ん、そうだね。おやすみエイト」
「おやすみ、レイラ」
部屋の灯りを消して、いそいそとベッドに潜り込む。
エイトの腕が私を抱き締めて、その温もりに誘われるように、私はストンと眠りに落ちた。
* * *
──そして、二ヶ月後。
トロデーン城の西に位置する小さな教会で、私とエイトは、私達のための結婚式を挙げた。
姫様のために誂えたものではなく、私の体に合わせて作られたウェディングドレスは、私が歩く度に陽光を受けてきらめいている。
赤い絨毯の上を共に歩くのは、今回もトロデ王陛下。
今回は私の叔父として、正式な理由で隣を歩いてもらっている。
祭壇の前まで歩いて、白のタキシードを着たエイトと陛下が交代した。
あの日から一年も経っていないのに、なんだかエイトの存在が大きく見える。
「新郎エイト。あなたはレイラ・ロアナスを妻とし、健やかなる時も病める時も、喜びの時も悲しみの時も、富める時も貧しい時も、これを愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
「誓います」
迷うことなく、エイトはそう答えた。
私が今まで聞いた中で、一番真剣で、真っ直ぐな声だった。
「新婦レイラ・ロアナス。あなたはエイトを夫とし、健やかなる時も病める時も、喜びの時も悲しみの時も、富める時も貧しい時も、これを愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
「誓います」
私もはっきりと答えた。
私達は生まれも違えば、この身に流れる血も違う。
それでも私達なら、いつまでも一緒に生きていける。
「新郎から新婦へ、指輪の交換を」
私の左手が持ち上げられて、指輪が通される。
赤い宝石はアルゴンリング──エイトのお父さんである、エルトリオ王子の遺品だ。
そうして私の指輪であるスーパーリングが、エイトの左手に通された。
「それでは新郎と新婦は、誓いのキスを──」
エイトの手がヴェールを上げる。
ドキドキと心臓がうるさい。
微笑んだエイトが顔を傾けて、近付いてくる。
そうして私達の距離はゼロになった。
一瞬のようでもあったし、長かったようにも思える。
結婚証明書へサインして退場する頃には、なんだか心がふわふわしていた。
教会の外には、仕事仲間や城でお世話になっている人達、トラペッタの住民達が集まっていた。
「えっ」と驚く間もなく、私達の頭上にフラワーシャワーが降り注いだ。
シャワーの間を通って、馬車へと乗り込む。
そうしてすぐそこにあるトロデーン城へと、私達を乗せた馬車は走っていった。
「びっくりした!」
「みんないるとは思わなかったね」
「ね! でも嬉しいや、なんかずっとふわふわしてる」
「幸せってこと?」
エイトに問われて、胸に手を当てる。
……うん、きっとそうだ。
「すっごく幸せ」
「うん、僕も」
隣り合って座るエイトと、唇を重ねる。
お城に到着して、控え室になっているエイトの隊長室へ。
このあとはみんなで立食パーティーになる。
私達もドレスから軽装へと着替える必要があるのだ。
「ねえエイト見た? ヤンガスがちゃんとした格好だったの!」
「見た、さすがにあれは僕も驚いたよ。ククールとゼシカは相変わらずそうだったし、みんな元気そうで安心した」
「いやぁ、それにしてもまさか、ククールが孤児院を経営していたとは驚きだ……。人間、変われば変わるもんだね……」
相変わらず女の気配だけは途切れることのない男だけど、なんだかんだで根は良い奴なのは私達もよく知っている。
そんなククールが、オディロ院長の遺志を継いで孤児院を経営しているとは驚きだった。
ヤンガスはというと、ゲルダさんと手を組んで商売を始めたらしい。
真っ当な商売なのかと不安になったけど、どうやら心配するようなことは無さそうだった。
ゼシカはやっぱりリーザス村で暮らしている。
次期村長なのは間違いないから、今はお母さんであるアローザさんの手伝いをしているとか。
みんな、それぞれの道を歩んでいる。
平和になったこの世界で。
もちろん私も、エイトも。
近衛隊として毎日の職務をこなすのみならず、そこに結婚式の用意まで加わってしまったのだ。
なんなら一番手間取ったのは、ククールの行方を探すことだったので、当日本人に文句を言ってやろうということでエイトと意見が一致した。
招待する人へ招待状を送り、その返事も揃ったところで、私は耐えきれずに呟いた。
「なんでグラビウス王まで来ちゃったんだ……」
「公表こそ出来ないけど、一応は甥になるからかな……?」
「人が良すぎない!? 息子の結婚式をぶち壊した甥と、息子の婚約者に取って代わった女の結婚式だよ!?」
「字面だけ見ると僕ら最低な奴みたいだよね」
「チャゴスの自業自得感あるのにね」
なんならダメ元で送った竜神王様まで来ることになっている。
とんでもない結婚式になりそうで、今から戦々恐々としている私達であった。
「ま、まあほら、グラビウス王にしろ竜神王にしろ、トロデーンが国賓として招いたついでみたいな扱いみたいだし……!」
「そこ二人はいいんだよ、いや良くないけど。パヴァン王はもう言い逃れ出来なくない?」
「う、ううん……そうかもしれない……」
アスカンタは半年前、トロデーンを国賓として招いた側の国だ。
ま、まあ、トロデーンが復活してからは国賓として招かれてはいないし、いいっちゃいい……のか?
「あと加えて言うと、一応これ、かの有名な霊導者ヨシュア・ロアナスの子孫の結婚式でもあるからね。教会関係者がほとんどいないのが驚きっていうか……」
「……言われてみればそうだった……」
ついつい自分の中に流れる血筋を忘れてしまいがちなんだけど、私のご先祖さまも相当すごい人だった。
なにせ暗黒神を封じた七賢人に隠れた、八人目の賢者様なわけで。
「……式場、サヴェッラ大聖堂じゃなくて大丈夫だったかな。教会のメンツ的な意味で……」
「そこはもう考えても仕方ないと思うよ。僕らは一応、サヴェッラ大聖堂で式を挙げたことになってるしね」
それもそうか、と頷く。
それならなおのこと、三国の王が揃うのは異様すぎる気がする。
……いやもう、いいや。
考えるのをやめよう。
だってこの招待客リストを作ったの、陛下と姫様だしね。
「さて、明日も早いんだ。今日はもう寝ようか」
「ん、そうだね。おやすみエイト」
「おやすみ、レイラ」
部屋の灯りを消して、いそいそとベッドに潜り込む。
エイトの腕が私を抱き締めて、その温もりに誘われるように、私はストンと眠りに落ちた。
* * *
──そして、二ヶ月後。
トロデーン城の西に位置する小さな教会で、私とエイトは、私達のための結婚式を挙げた。
姫様のために誂えたものではなく、私の体に合わせて作られたウェディングドレスは、私が歩く度に陽光を受けてきらめいている。
赤い絨毯の上を共に歩くのは、今回もトロデ王陛下。
今回は私の叔父として、正式な理由で隣を歩いてもらっている。
祭壇の前まで歩いて、白のタキシードを着たエイトと陛下が交代した。
あの日から一年も経っていないのに、なんだかエイトの存在が大きく見える。
「新郎エイト。あなたはレイラ・ロアナスを妻とし、健やかなる時も病める時も、喜びの時も悲しみの時も、富める時も貧しい時も、これを愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
「誓います」
迷うことなく、エイトはそう答えた。
私が今まで聞いた中で、一番真剣で、真っ直ぐな声だった。
「新婦レイラ・ロアナス。あなたはエイトを夫とし、健やかなる時も病める時も、喜びの時も悲しみの時も、富める時も貧しい時も、これを愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
「誓います」
私もはっきりと答えた。
私達は生まれも違えば、この身に流れる血も違う。
それでも私達なら、いつまでも一緒に生きていける。
「新郎から新婦へ、指輪の交換を」
私の左手が持ち上げられて、指輪が通される。
赤い宝石はアルゴンリング──エイトのお父さんである、エルトリオ王子の遺品だ。
そうして私の指輪であるスーパーリングが、エイトの左手に通された。
「それでは新郎と新婦は、誓いのキスを──」
エイトの手がヴェールを上げる。
ドキドキと心臓がうるさい。
微笑んだエイトが顔を傾けて、近付いてくる。
そうして私達の距離はゼロになった。
一瞬のようでもあったし、長かったようにも思える。
結婚証明書へサインして退場する頃には、なんだか心がふわふわしていた。
教会の外には、仕事仲間や城でお世話になっている人達、トラペッタの住民達が集まっていた。
「えっ」と驚く間もなく、私達の頭上にフラワーシャワーが降り注いだ。
シャワーの間を通って、馬車へと乗り込む。
そうしてすぐそこにあるトロデーン城へと、私達を乗せた馬車は走っていった。
「びっくりした!」
「みんないるとは思わなかったね」
「ね! でも嬉しいや、なんかずっとふわふわしてる」
「幸せってこと?」
エイトに問われて、胸に手を当てる。
……うん、きっとそうだ。
「すっごく幸せ」
「うん、僕も」
隣り合って座るエイトと、唇を重ねる。
お城に到着して、控え室になっているエイトの隊長室へ。
このあとはみんなで立食パーティーになる。
私達もドレスから軽装へと着替える必要があるのだ。
「ねえエイト見た? ヤンガスがちゃんとした格好だったの!」
「見た、さすがにあれは僕も驚いたよ。ククールとゼシカは相変わらずそうだったし、みんな元気そうで安心した」
「いやぁ、それにしてもまさか、ククールが孤児院を経営していたとは驚きだ……。人間、変われば変わるもんだね……」
相変わらず女の気配だけは途切れることのない男だけど、なんだかんだで根は良い奴なのは私達もよく知っている。
そんなククールが、オディロ院長の遺志を継いで孤児院を経営しているとは驚きだった。
ヤンガスはというと、ゲルダさんと手を組んで商売を始めたらしい。
真っ当な商売なのかと不安になったけど、どうやら心配するようなことは無さそうだった。
ゼシカはやっぱりリーザス村で暮らしている。
次期村長なのは間違いないから、今はお母さんであるアローザさんの手伝いをしているとか。
みんな、それぞれの道を歩んでいる。
平和になったこの世界で。
もちろん私も、エイトも。
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