75章
夢小説設定
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目が覚めた時、そこはなんだか不思議な世界だった。
足元は一面が青々と茂った草原が広がっているくせに、空には色んなものが浮いている。
椅子が浮いていたり、紙の束が散らばっていたり、さまざまだ。
それを唖然としたまま見上げていると、背後で足音がした。
「とうとう、最後の賢者の末裔も消えてしもうたか」
「へっ? ……誰?」
「お初にお目にかかる。わしはライラス。世間からはマスター・ライラスと呼ばれておった。賢者マスター・コゾの末裔にして、ドルマゲスの師であった者じゃ」
白髪の老人が杖をついて私の後ろに立っている。
慌てて立ち上がって頭を下げると、その後ろからやってきたのは。
……魔法剣士シャマルの末裔、ゼシカのお兄さんのサーベルトさんだ。
「まさかあの時、リーザス像の塔で共に俺の記憶を見てくれた人が、霊導者の末裔だったとは。改めて、俺はサーベルト・アルバート。ゼシカが世話になっている」
「こ、こちらこそ! ゼシカさんにはお世話になっております!!」
どひゃあ、こうやって間近で見ると、サーベルトさんもなかなかにイケメンだな!!
まぁあの美少女ゼシカのお兄さんだもんね。
美男美女兄妹なことで、羨ましい。
いやそんな身も蓋もない羨望を向けてる場合じゃなくて。
「ところでここって?」
「深層世界──まぁ、一般的には夢の中と呼ばれる場所じゃ。この場においては、神鳥の杖が作り出した、魂の揺りかごとでも表現すべきかのう」
「……オディロ院長様」
ど、どうしよう、さすがにオディロ院長様と他数名は、合わせる顔がないぞ。
私たちがしっかりしていたら、死ななくてよかったわけだし……。
顔を俯かせてしまうと、オディロ院長様が「ほっほっほ」と笑って、私の肩をぽんと優しく叩いた。
「気にするこたぁないさ、お嬢ちゃん。あんたらはあの杖をどうにかしようと必死こいて追いかけてくれた。敗因があるとすりゃあ、俺達の想定が甘かったことだな」
「だ、誰ェ!?」
私の後ろから熊みたいな大男が現れた。
さすがに悲鳴を上げてしまうと、その大男が豪快に笑って。
「俺はベルガラックのオーナー、ギャリングだ! うちの息子と娘が世話んなったな!」
「えっアッ、ギャリングさん!? こちらこそカジノのお世話になっております!!」
なんでカジノで伝説級の装備である、はぐれメタルの鎧が交換できるかは永遠の疑問だけど、おかげでメタルキング鎧に錬金して大活躍だった。
……大活躍だったって死んだ奴が言ってるんじゃ世話ないか。
でも私は最後まで立ってたからね、鎧の効果はギリ証明できたはず!
「未だに僕が賢者の末裔だなんて信じられないけど……。レオパルド様を操った存在があの化け物なら、僕も何かの力になりたい。そうすれば、ハワード様のこと、今度こそお守りできるはずだから……!」
「チェルスさん……」
なんていい人なんだ、いい人すぎて罪悪感しかない。
それにしたって、ここは本当にどこなんだろう。
私はラプソーンの力を封じ込める結界を、自分の存在と引き換えに展開して、肉体なんか消え去ったはず。
どうして私は動けて思考もあるんだろう。
「わしらがやるべきことは、暗黒神の力を少しでも削ぐことじゃ。お前さんのお仲間方が、奴を倒すだけの力を手に入れるまで、ここらでもうひと踏ん張りですのう」
「……メディさん」
「神のご加護は我らにある。案ずるな、聖女の末裔よ。そなたならば、あの化け物の力にも抵抗できよう」
メディさんと共に現れたのは法皇様だ。
親友だったオディロ院長と微笑みあって、法皇様が祝福の言葉を唱える。
そうして彼らは、草原の先を見据えた。
私もそれに倣ってその先を見据える。
晴れ渡っていた空はみるみるうちに真っ暗になって、稲光が走り始めた。
その中から、あの小さな姿の暗黒神が降りてくる。
「おのれ、賢者の末裔如きが小癪な真似を……」
「レイラさんや。わしらには戦う力がありませぬ。ここはお任せ致しますじゃ」
「エッ、はい!」
「大丈夫だ。俺も共に戦う。倒す必要はない、力を削ぐことを考えろ。奴を倒すのは、ゼシカたちの役目だ」
「……はい!」
エイトの腕の中に置いてきた剣がどうして私の腰にあるのか知らないが、難しいことを考えたら負けだ。
はぐれメタルの剣を抜き放って、サーベルト兄さんと肩を並べる。
そうして同時に地面を蹴った。
マスター・ライラスが呪文で後押しして、私たちの力がぐんと増える。
そうして私とサーベルトさんは、ラプソーンの力と戦い続けた。
さすがは魔法剣士シャマルの剣術を受け継いだ末裔。
私やエイトよりも剣術が上手い。
ドルマゲスを動きを封じられてさえいなければ、奴に勝つことも可能だったんじゃないかと思えるくらいだ。
「霊導者の末裔と聞いていたが、中々どうして剣の腕も頼りになるな」
「あ、ありがとうございます! 一応これでも元兵士なので!!」
ここまで剣で戦っておいてだけど、向こうの間合いに入らなくて済むから、槍のほうが得意といえば得意ではあるけど。
何となくずっと剣を振り回してきたから、エイトに言い出せないまま来てしまったな……。
おりゃあ、と気合一閃。
ラプソーンのいいところに攻撃が入った感覚はあるけど、ラプソーンはふよふよと飛び回っては小賢しい笑みを浮かべている。
なんだアイツ、腹立つな!!
傷ついた体は院長様と法皇様が回復してくれる。
それでも疲れてきて、剣を振るう腕が鈍ってきた時。
「ふんッ!!」
「えぇぇぇええ素手ェ!?」
なんと拳ひとつでラプソーンが殴り飛ばされていく。
さすがギャリングさん、一人で熊を倒した男……。
絶対嘘だと思ってたのに、なんかちょっと信ぴょう性を増してしまったな……。
足元は一面が青々と茂った草原が広がっているくせに、空には色んなものが浮いている。
椅子が浮いていたり、紙の束が散らばっていたり、さまざまだ。
それを唖然としたまま見上げていると、背後で足音がした。
「とうとう、最後の賢者の末裔も消えてしもうたか」
「へっ? ……誰?」
「お初にお目にかかる。わしはライラス。世間からはマスター・ライラスと呼ばれておった。賢者マスター・コゾの末裔にして、ドルマゲスの師であった者じゃ」
白髪の老人が杖をついて私の後ろに立っている。
慌てて立ち上がって頭を下げると、その後ろからやってきたのは。
……魔法剣士シャマルの末裔、ゼシカのお兄さんのサーベルトさんだ。
「まさかあの時、リーザス像の塔で共に俺の記憶を見てくれた人が、霊導者の末裔だったとは。改めて、俺はサーベルト・アルバート。ゼシカが世話になっている」
「こ、こちらこそ! ゼシカさんにはお世話になっております!!」
どひゃあ、こうやって間近で見ると、サーベルトさんもなかなかにイケメンだな!!
まぁあの美少女ゼシカのお兄さんだもんね。
美男美女兄妹なことで、羨ましい。
いやそんな身も蓋もない羨望を向けてる場合じゃなくて。
「ところでここって?」
「深層世界──まぁ、一般的には夢の中と呼ばれる場所じゃ。この場においては、神鳥の杖が作り出した、魂の揺りかごとでも表現すべきかのう」
「……オディロ院長様」
ど、どうしよう、さすがにオディロ院長様と他数名は、合わせる顔がないぞ。
私たちがしっかりしていたら、死ななくてよかったわけだし……。
顔を俯かせてしまうと、オディロ院長様が「ほっほっほ」と笑って、私の肩をぽんと優しく叩いた。
「気にするこたぁないさ、お嬢ちゃん。あんたらはあの杖をどうにかしようと必死こいて追いかけてくれた。敗因があるとすりゃあ、俺達の想定が甘かったことだな」
「だ、誰ェ!?」
私の後ろから熊みたいな大男が現れた。
さすがに悲鳴を上げてしまうと、その大男が豪快に笑って。
「俺はベルガラックのオーナー、ギャリングだ! うちの息子と娘が世話んなったな!」
「えっアッ、ギャリングさん!? こちらこそカジノのお世話になっております!!」
なんでカジノで伝説級の装備である、はぐれメタルの鎧が交換できるかは永遠の疑問だけど、おかげでメタルキング鎧に錬金して大活躍だった。
……大活躍だったって死んだ奴が言ってるんじゃ世話ないか。
でも私は最後まで立ってたからね、鎧の効果はギリ証明できたはず!
「未だに僕が賢者の末裔だなんて信じられないけど……。レオパルド様を操った存在があの化け物なら、僕も何かの力になりたい。そうすれば、ハワード様のこと、今度こそお守りできるはずだから……!」
「チェルスさん……」
なんていい人なんだ、いい人すぎて罪悪感しかない。
それにしたって、ここは本当にどこなんだろう。
私はラプソーンの力を封じ込める結界を、自分の存在と引き換えに展開して、肉体なんか消え去ったはず。
どうして私は動けて思考もあるんだろう。
「わしらがやるべきことは、暗黒神の力を少しでも削ぐことじゃ。お前さんのお仲間方が、奴を倒すだけの力を手に入れるまで、ここらでもうひと踏ん張りですのう」
「……メディさん」
「神のご加護は我らにある。案ずるな、聖女の末裔よ。そなたならば、あの化け物の力にも抵抗できよう」
メディさんと共に現れたのは法皇様だ。
親友だったオディロ院長と微笑みあって、法皇様が祝福の言葉を唱える。
そうして彼らは、草原の先を見据えた。
私もそれに倣ってその先を見据える。
晴れ渡っていた空はみるみるうちに真っ暗になって、稲光が走り始めた。
その中から、あの小さな姿の暗黒神が降りてくる。
「おのれ、賢者の末裔如きが小癪な真似を……」
「レイラさんや。わしらには戦う力がありませぬ。ここはお任せ致しますじゃ」
「エッ、はい!」
「大丈夫だ。俺も共に戦う。倒す必要はない、力を削ぐことを考えろ。奴を倒すのは、ゼシカたちの役目だ」
「……はい!」
エイトの腕の中に置いてきた剣がどうして私の腰にあるのか知らないが、難しいことを考えたら負けだ。
はぐれメタルの剣を抜き放って、サーベルト兄さんと肩を並べる。
そうして同時に地面を蹴った。
マスター・ライラスが呪文で後押しして、私たちの力がぐんと増える。
そうして私とサーベルトさんは、ラプソーンの力と戦い続けた。
さすがは魔法剣士シャマルの剣術を受け継いだ末裔。
私やエイトよりも剣術が上手い。
ドルマゲスを動きを封じられてさえいなければ、奴に勝つことも可能だったんじゃないかと思えるくらいだ。
「霊導者の末裔と聞いていたが、中々どうして剣の腕も頼りになるな」
「あ、ありがとうございます! 一応これでも元兵士なので!!」
ここまで剣で戦っておいてだけど、向こうの間合いに入らなくて済むから、槍のほうが得意といえば得意ではあるけど。
何となくずっと剣を振り回してきたから、エイトに言い出せないまま来てしまったな……。
おりゃあ、と気合一閃。
ラプソーンのいいところに攻撃が入った感覚はあるけど、ラプソーンはふよふよと飛び回っては小賢しい笑みを浮かべている。
なんだアイツ、腹立つな!!
傷ついた体は院長様と法皇様が回復してくれる。
それでも疲れてきて、剣を振るう腕が鈍ってきた時。
「ふんッ!!」
「えぇぇぇええ素手ェ!?」
なんと拳ひとつでラプソーンが殴り飛ばされていく。
さすがギャリングさん、一人で熊を倒した男……。
絶対嘘だと思ってたのに、なんかちょっと信ぴょう性を増してしまったな……。
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