67章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
廃墟のような町並みと、道の大部分を占める毒の沼地。
地味な痛さがなおのこと憎い。
デスプリーストだのギガンテスだのを全員で必死に相手しつつ、廃墟の町並みを通り過ぎた先は。
「……牢屋になっちゃった……」
「牢屋になっちまったな」
もうここまで来たら何が起きても驚かないぞ、と意気込んでいたのに。
流石に両側とも牢屋が続くのは聞いてない。
なんだよぅ、私たちに対する当て付けか?
「二度もマルチェロの罠にかかって投獄された私たちへの皮肉かしら。いい性格してるわね」
「あいつ今頃、私らの反応見て笑ってるんだ……。許せない、絶対に倒す……」
「ゼシカとレイラの殺意、ここに来てまだ一段階上がるんだな」
「正直、こんな状況じゃなかったら僕も頭にきてるよ」
「兄貴は冷静でいてくれて助かったでがす」
背後の男性陣の声は無視した。
私もゼシカもちゃんと冷静ですけど!
ちょっと恨みは人より溜まってるかもしれないけど!
だって暗黒神を倒すのは私たちの共通目的だし!
「……おい、あそこ」
ククールが立ち止まって指を差す。
その先には……今まではなかった、下へ降りる階段があった。
誰もが直感した。
この階段を降りたら、暗黒神ラプソーンがいる。
とうとうこの長い旅にピリオドを打つ時だと。
私たちは顔を見合わせ、それから階段を降りた。
地底のマグマのように煮えたぎる、城の底。
不思議と暑さは感じないけど……その代わり、今までに感じたことの無いほど、闇の力を感じる。
私の本能がこの先に進むのを嫌がっている。
禍々しい紋章が描かれた扉の前に立って、私たちは扉を見上げた。
この扉を開けたら──暗黒神ラプソーンとの戦いが始まる。
「ねぇ、エイト、レイラ。こんなときになんだけど……ありがとう。二人に感謝してる。二人がいなかったら、きっと私、ここに辿り着けなかった。だから……ほんと、ありがとう」
「ゼシカ……そんなの、こっちのセリフだよ。ゼシカが仲間になってくれなかったら、私たち、ここまで来られなかった。ね、エイト」
「うん。あのときゼシカを仲間にしてよかった。もちろんヤンガスとククールにも感謝してるよ」
ゼシカが面映ゆそうに微笑む。
きっとここにいる五人の誰が欠けても、ここに来られなかった。
私たちはこの五人だったから、今こうして暗黒神の目の前まで辿り着けたんだ。
「くぁーっ!! こんなとこに何をいいムードになりかけてるでがすか!! それに言っとくでがすが、兄貴と姉貴に感謝してる度合いだったら、アッシのほうがずっと上でがす!!」
「そこ張り合うとこなの?」
「ヤンガスにとって、僕らは命の恩人らしいから、まぁ……?」
「おいおい、お前ら。あんまりシカト決め込むと、暗黒神くん拗ねちまうぞ?」
おどけたような口ぶりでククールが私たちを窘めた。
空気が緩みかけると締めてくれるあたり、ククールってやっぱり頼りになる奴だな。
バカリスマとか言っててごめんね、今だけは頼もしい仲間だと思ってるよ。
「暗黒神くんって。呼び方それでいいわけ?」
「俺はあの怖い怖い鬼さんを一秒も早くやっつけて、こんな所さっさとお暇したいんだ。だからしゃべくってないで、さっさと行くぞ!」
「……うん。そうだね! みんな、気合い入れていくよ!!」
「もちろん!!」
エイトの手が扉を開ける。
グツグツとマグマが煮えたぎる地底の空間に、長く伸びた道が一つ。
その道の先に──ソレはいた。
牡羊のような角に、青黒い肌。
手には長い杖を。
そして首から下は……何か光るエネルギーに包まれていた。
さながら蛍だ。
いやこんな汚くて禍々しい蛍なんかいてたまるかって話だけど。
でも、なんていうか……。
「想像してたのと結構違うな……」
「なにこれ、こんなのに世界を潰されそうになってたわけ?」
「なんでがしょうな、この余裕で勝てそうな感じ」
確かに見た目だけなら、幼子のようにも見えるけど……。
こいつから、この見た目からは想像できないくらい、とてつもない力を感じる。
「みんな、気を付けて……。見た目は勝てそうだけど……底知れない力を感じるの」
「霊導者のレイラが言うなら、間違いねぇな」
全員が警戒心を最大限に引き上げて、暗黒神の待つ玉座へと階段を上がっていく。
絨毯を踏み締め、私たちはとうとう──暗黒神ラプソーンと対峙した。
暗黒神ラプソーン。
光の世界を闇の世界とひとつにせんと侵攻してきた、邪悪なる神。
その引導を、私たち人間が渡してやる!
「待ちかねたぞ。幾度となく我が行く手を遮ろうとした愚かなる者たちよ。我こそは暗黒神ラプソーン。この身を取り戻すために、思えば随分と長い旅をしたものだ」
それを追いかけるように、私達も長い旅をしてきた。
ともすればラプソーン以上に長い旅時だったように思う。
でもそれもここで終わり。
終わりに、しなきゃいけない。
「旅の途中、お互い幾度もの悲しみを味わったな。だが人間よ。今は共に喜び合おうではないか。この光の世界と闇の世界は、たった今よりひとつの世界となり、新たなる神を迎えるのだ。新たなる神の名は、暗黒神ラプソーン! さぁ、我を崇めよ!! 身を引き裂くような激しい悲しみを、我に捧げるがいい!!」
「……僕らがお前に捧げるのは、悲しみなんかじゃない。僕らの世界を奪うお前に渡せるのは、引導だけだ!!」
「お前に殺された賢者の末裔たちのために……。そして私の先祖のために! ここでお前を葬ってやる!」
「兄貴と姉貴の敵はアッシの敵! 覚悟しやがれ、ラプソーン!!」
「今度こそ追い詰めたぜ。観念するんだな! これ以上、てめぇの好きにはさせねぇぞ!」
「兄さんの仇……。チェルスやメディさんの仇! 今度こそ、ケリをつけてみせる!!」
左腰の鞘から剣を抜いて構える。
みんなも武器を構えて、暗黒神ラプソーンに鋒を向けた。
ラプソーンがふわりと浮き上がって、玉座の前に降りる。
そうして──決戦は始まった。
地味な痛さがなおのこと憎い。
デスプリーストだのギガンテスだのを全員で必死に相手しつつ、廃墟の町並みを通り過ぎた先は。
「……牢屋になっちゃった……」
「牢屋になっちまったな」
もうここまで来たら何が起きても驚かないぞ、と意気込んでいたのに。
流石に両側とも牢屋が続くのは聞いてない。
なんだよぅ、私たちに対する当て付けか?
「二度もマルチェロの罠にかかって投獄された私たちへの皮肉かしら。いい性格してるわね」
「あいつ今頃、私らの反応見て笑ってるんだ……。許せない、絶対に倒す……」
「ゼシカとレイラの殺意、ここに来てまだ一段階上がるんだな」
「正直、こんな状況じゃなかったら僕も頭にきてるよ」
「兄貴は冷静でいてくれて助かったでがす」
背後の男性陣の声は無視した。
私もゼシカもちゃんと冷静ですけど!
ちょっと恨みは人より溜まってるかもしれないけど!
だって暗黒神を倒すのは私たちの共通目的だし!
「……おい、あそこ」
ククールが立ち止まって指を差す。
その先には……今まではなかった、下へ降りる階段があった。
誰もが直感した。
この階段を降りたら、暗黒神ラプソーンがいる。
とうとうこの長い旅にピリオドを打つ時だと。
私たちは顔を見合わせ、それから階段を降りた。
地底のマグマのように煮えたぎる、城の底。
不思議と暑さは感じないけど……その代わり、今までに感じたことの無いほど、闇の力を感じる。
私の本能がこの先に進むのを嫌がっている。
禍々しい紋章が描かれた扉の前に立って、私たちは扉を見上げた。
この扉を開けたら──暗黒神ラプソーンとの戦いが始まる。
「ねぇ、エイト、レイラ。こんなときになんだけど……ありがとう。二人に感謝してる。二人がいなかったら、きっと私、ここに辿り着けなかった。だから……ほんと、ありがとう」
「ゼシカ……そんなの、こっちのセリフだよ。ゼシカが仲間になってくれなかったら、私たち、ここまで来られなかった。ね、エイト」
「うん。あのときゼシカを仲間にしてよかった。もちろんヤンガスとククールにも感謝してるよ」
ゼシカが面映ゆそうに微笑む。
きっとここにいる五人の誰が欠けても、ここに来られなかった。
私たちはこの五人だったから、今こうして暗黒神の目の前まで辿り着けたんだ。
「くぁーっ!! こんなとこに何をいいムードになりかけてるでがすか!! それに言っとくでがすが、兄貴と姉貴に感謝してる度合いだったら、アッシのほうがずっと上でがす!!」
「そこ張り合うとこなの?」
「ヤンガスにとって、僕らは命の恩人らしいから、まぁ……?」
「おいおい、お前ら。あんまりシカト決め込むと、暗黒神くん拗ねちまうぞ?」
おどけたような口ぶりでククールが私たちを窘めた。
空気が緩みかけると締めてくれるあたり、ククールってやっぱり頼りになる奴だな。
バカリスマとか言っててごめんね、今だけは頼もしい仲間だと思ってるよ。
「暗黒神くんって。呼び方それでいいわけ?」
「俺はあの怖い怖い鬼さんを一秒も早くやっつけて、こんな所さっさとお暇したいんだ。だからしゃべくってないで、さっさと行くぞ!」
「……うん。そうだね! みんな、気合い入れていくよ!!」
「もちろん!!」
エイトの手が扉を開ける。
グツグツとマグマが煮えたぎる地底の空間に、長く伸びた道が一つ。
その道の先に──ソレはいた。
牡羊のような角に、青黒い肌。
手には長い杖を。
そして首から下は……何か光るエネルギーに包まれていた。
さながら蛍だ。
いやこんな汚くて禍々しい蛍なんかいてたまるかって話だけど。
でも、なんていうか……。
「想像してたのと結構違うな……」
「なにこれ、こんなのに世界を潰されそうになってたわけ?」
「なんでがしょうな、この余裕で勝てそうな感じ」
確かに見た目だけなら、幼子のようにも見えるけど……。
こいつから、この見た目からは想像できないくらい、とてつもない力を感じる。
「みんな、気を付けて……。見た目は勝てそうだけど……底知れない力を感じるの」
「霊導者のレイラが言うなら、間違いねぇな」
全員が警戒心を最大限に引き上げて、暗黒神の待つ玉座へと階段を上がっていく。
絨毯を踏み締め、私たちはとうとう──暗黒神ラプソーンと対峙した。
暗黒神ラプソーン。
光の世界を闇の世界とひとつにせんと侵攻してきた、邪悪なる神。
その引導を、私たち人間が渡してやる!
「待ちかねたぞ。幾度となく我が行く手を遮ろうとした愚かなる者たちよ。我こそは暗黒神ラプソーン。この身を取り戻すために、思えば随分と長い旅をしたものだ」
それを追いかけるように、私達も長い旅をしてきた。
ともすればラプソーン以上に長い旅時だったように思う。
でもそれもここで終わり。
終わりに、しなきゃいけない。
「旅の途中、お互い幾度もの悲しみを味わったな。だが人間よ。今は共に喜び合おうではないか。この光の世界と闇の世界は、たった今よりひとつの世界となり、新たなる神を迎えるのだ。新たなる神の名は、暗黒神ラプソーン! さぁ、我を崇めよ!! 身を引き裂くような激しい悲しみを、我に捧げるがいい!!」
「……僕らがお前に捧げるのは、悲しみなんかじゃない。僕らの世界を奪うお前に渡せるのは、引導だけだ!!」
「お前に殺された賢者の末裔たちのために……。そして私の先祖のために! ここでお前を葬ってやる!」
「兄貴と姉貴の敵はアッシの敵! 覚悟しやがれ、ラプソーン!!」
「今度こそ追い詰めたぜ。観念するんだな! これ以上、てめぇの好きにはさせねぇぞ!」
「兄さんの仇……。チェルスやメディさんの仇! 今度こそ、ケリをつけてみせる!!」
左腰の鞘から剣を抜いて構える。
みんなも武器を構えて、暗黒神ラプソーンに鋒を向けた。
ラプソーンがふわりと浮き上がって、玉座の前に降りる。
そうして──決戦は始まった。
1/4ページ
