7章
夢小説設定
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未だに及び腰の私を引きずるように手を引いて、エイトが容赦なくカウンターへと歩いていく。
ひどい、幼馴染みの扱いが雑にも程がある。
「準備は終わったのね? だったらすぐに出発する?」
「はい。この子の気が変わらないうちに!」
「うわぁぁん!」
「姉貴、もう諦めたほうがいいでがすよ」
「バカーッ!!」
昨日とは打って変わって、私の大声がカウンターに響く。
手を振りほどこうと頑張るけど、エイトのほうが力が強くて敵わなかった。
「じゃあ出発よ。大急ぎで船を出して!」
「イエッサー!」
支配人が敬礼して、船を出す用意に入っていく。
そうしてあれよあれよという間に私達は船に載せられた。
出航の鐘がなって、船長の号令がかかる。
「よし、出発だー! 錨を上げろーっ!」
船の錨が抜かれ、船は大海原へと漕ぎ出していく。
この潮風を楽しむ余裕は、私達にはない。
三人は海の異常を気にしていたし、私はそれどころじゃなかった。
「せめてタコであれ……。せめてタコの姿であれ……」
「呪いみたいなセリフを姉貴が呟いてるでがすな……」
「タコだといいね」
「兄貴、それはフォローになってないでがすよ」
タコならまだいける、いや何もいけないけど。
でも私、タコのカルパッチョ好きだし。
謎理論を頭の中で展開していると、不意に船の背後の水面に、ぶくぶくと泡が立った。
ヤンガスが手すりの方へと歩いていくと、現れたのは。
「イカーッ!?」
「タコじゃなかったね、残念……」
「……いや! イカもカルパッチョになれる!!」
「どういう会話よ、それ」
隣にいたゼシカさんに呆れられてしまった。
いや、どうせこいつもカルパッチョになるんだと思えば、ちょっとは怖くなくなるかなって……。
「気に入らねぇなあ」
「いや喋るんかい!!」
まさか喋るとは思わなかった!
カルパッチョにしづらいじゃないか!!
やだよ、カルパッチョになったのに「気に入らねぇなぁ」とか喋るの。
食欲失せるじゃん。
「気に入らねぇ。まったく気に入らねぇ。いつもいつも断りなく、このオセアーノン様の頭上を通りやがって」
「許可制なの?」
「違うと思う」
思わず背後のエイトに聞いてしまうと、静かに首を振られた。
そりゃそうですよね。
ゼシカさんからの視線は冷たいままだ。
ちょっと泣いた。
「なあおい。まったくニンゲンってやつは躾がなってねぇと思わねぇか? ああ、思う思う! 前から思ってた!!」
「腹話術?」
「それも違うと思う」
「もう黙ってなさいよ」
ゼシカさんからも言われてしまった。
でもだって、右手と左手で会話してるみたいな手振りするし……。
なんか言い回しも演じてるっぽく聞こえるし……。
「そんじゃまあ、海に生きる者を代表して、このオレさまがニンゲン喰っちまうか? ああ、喰っちまえ!! 喰っちまえ!!」
そう言うや否や、オセアーノンは船尾に乗り出してきた。
なーにがニンゲン喰っちまえだ!!
「喰われるのはァ! テメーだァ!! 大人しくカルパッチョになりやがれーッ!!」
「これ食べるの!? 正気!?」
「姉貴! カルパッチョってなんでがすか!?」
「食いつくのそこじゃないだろ!?」
武器を構えてエイトがツッコミを入れてくる。
ゼシカさんは安全圏に退避済みだ。
そんじゃ、カルパッチョ作りといきますか!
「じゃあ二人とも、あとはよろしく!!」
「いやレイラも戦ってくれる!?」
「あ、姉貴ィー!?」
速攻で盾を構えて防御の姿勢に入った私に、二人がずっこける。
その時、オセアーノンの口から燃え盛る火炎が吐き出された。
「うわっ……!」
「どわぁ!!」
「アチィ!!」
私達から悲鳴が起きる。
誰が誰かは推して知るべし。
防御してたけどめっちゃ普通に熱かった。
「こ、このぉ……!! カルパッチョになれってんだコラーッ!!」
なんかもうよく分からないままに火炎斬りを食らわせる。
呆気に取られていたらしいエイトとヤンガスも、私に続いて攻撃した。
薙ぎ払われたり、炎を吐かれたり。
その度に私とエイトでホイミを唱え、じりじりとオセアーノンを追い詰めていく。
ヤンガスの兜割りが決まって、私とエイトの火炎斬りがいい所に入った。
左手を避け、けれど追撃の右手で吹っ飛ばされる。
「レイラ!」
「大丈夫! いやごめん! 正直しんどいです!!」
「大丈夫でがすよ! こいつはアッシらに任せて、姉貴は回復役に徹してほしいでがす!」
「ぐ、ぐぅ! カルパッチョめ……!」
「とうとう名前になっちゃった」
お疲れ気味のエイトにホイミを唱える。
瞬間、目の前にオセアーノンの右手が迫ってきていて。
「レイラ!!」
「姉貴ィ!!」
「おぶッ!!」
顔面にクリーンヒットした。
これはひどい。
私の顔、潰れてないかな。
「なんでそう、いちいち面白いの?」
「面白がらないでもらえますかねエイトさん!?」
こちとら命懸けでカルパッチョ作りをやっとるんじゃい!
左手は何とか避けて、自分にホイミをかける。
次はヤンガスにホイミを、と思った直前。
「やぁっ!!」
隙をついたエイトの火炎斬りで、オセアーノンが倒れ。
そうして海へと落ちていった。
ひどい、幼馴染みの扱いが雑にも程がある。
「準備は終わったのね? だったらすぐに出発する?」
「はい。この子の気が変わらないうちに!」
「うわぁぁん!」
「姉貴、もう諦めたほうがいいでがすよ」
「バカーッ!!」
昨日とは打って変わって、私の大声がカウンターに響く。
手を振りほどこうと頑張るけど、エイトのほうが力が強くて敵わなかった。
「じゃあ出発よ。大急ぎで船を出して!」
「イエッサー!」
支配人が敬礼して、船を出す用意に入っていく。
そうしてあれよあれよという間に私達は船に載せられた。
出航の鐘がなって、船長の号令がかかる。
「よし、出発だー! 錨を上げろーっ!」
船の錨が抜かれ、船は大海原へと漕ぎ出していく。
この潮風を楽しむ余裕は、私達にはない。
三人は海の異常を気にしていたし、私はそれどころじゃなかった。
「せめてタコであれ……。せめてタコの姿であれ……」
「呪いみたいなセリフを姉貴が呟いてるでがすな……」
「タコだといいね」
「兄貴、それはフォローになってないでがすよ」
タコならまだいける、いや何もいけないけど。
でも私、タコのカルパッチョ好きだし。
謎理論を頭の中で展開していると、不意に船の背後の水面に、ぶくぶくと泡が立った。
ヤンガスが手すりの方へと歩いていくと、現れたのは。
「イカーッ!?」
「タコじゃなかったね、残念……」
「……いや! イカもカルパッチョになれる!!」
「どういう会話よ、それ」
隣にいたゼシカさんに呆れられてしまった。
いや、どうせこいつもカルパッチョになるんだと思えば、ちょっとは怖くなくなるかなって……。
「気に入らねぇなあ」
「いや喋るんかい!!」
まさか喋るとは思わなかった!
カルパッチョにしづらいじゃないか!!
やだよ、カルパッチョになったのに「気に入らねぇなぁ」とか喋るの。
食欲失せるじゃん。
「気に入らねぇ。まったく気に入らねぇ。いつもいつも断りなく、このオセアーノン様の頭上を通りやがって」
「許可制なの?」
「違うと思う」
思わず背後のエイトに聞いてしまうと、静かに首を振られた。
そりゃそうですよね。
ゼシカさんからの視線は冷たいままだ。
ちょっと泣いた。
「なあおい。まったくニンゲンってやつは躾がなってねぇと思わねぇか? ああ、思う思う! 前から思ってた!!」
「腹話術?」
「それも違うと思う」
「もう黙ってなさいよ」
ゼシカさんからも言われてしまった。
でもだって、右手と左手で会話してるみたいな手振りするし……。
なんか言い回しも演じてるっぽく聞こえるし……。
「そんじゃまあ、海に生きる者を代表して、このオレさまがニンゲン喰っちまうか? ああ、喰っちまえ!! 喰っちまえ!!」
そう言うや否や、オセアーノンは船尾に乗り出してきた。
なーにがニンゲン喰っちまえだ!!
「喰われるのはァ! テメーだァ!! 大人しくカルパッチョになりやがれーッ!!」
「これ食べるの!? 正気!?」
「姉貴! カルパッチョってなんでがすか!?」
「食いつくのそこじゃないだろ!?」
武器を構えてエイトがツッコミを入れてくる。
ゼシカさんは安全圏に退避済みだ。
そんじゃ、カルパッチョ作りといきますか!
「じゃあ二人とも、あとはよろしく!!」
「いやレイラも戦ってくれる!?」
「あ、姉貴ィー!?」
速攻で盾を構えて防御の姿勢に入った私に、二人がずっこける。
その時、オセアーノンの口から燃え盛る火炎が吐き出された。
「うわっ……!」
「どわぁ!!」
「アチィ!!」
私達から悲鳴が起きる。
誰が誰かは推して知るべし。
防御してたけどめっちゃ普通に熱かった。
「こ、このぉ……!! カルパッチョになれってんだコラーッ!!」
なんかもうよく分からないままに火炎斬りを食らわせる。
呆気に取られていたらしいエイトとヤンガスも、私に続いて攻撃した。
薙ぎ払われたり、炎を吐かれたり。
その度に私とエイトでホイミを唱え、じりじりとオセアーノンを追い詰めていく。
ヤンガスの兜割りが決まって、私とエイトの火炎斬りがいい所に入った。
左手を避け、けれど追撃の右手で吹っ飛ばされる。
「レイラ!」
「大丈夫! いやごめん! 正直しんどいです!!」
「大丈夫でがすよ! こいつはアッシらに任せて、姉貴は回復役に徹してほしいでがす!」
「ぐ、ぐぅ! カルパッチョめ……!」
「とうとう名前になっちゃった」
お疲れ気味のエイトにホイミを唱える。
瞬間、目の前にオセアーノンの右手が迫ってきていて。
「レイラ!!」
「姉貴ィ!!」
「おぶッ!!」
顔面にクリーンヒットした。
これはひどい。
私の顔、潰れてないかな。
「なんでそう、いちいち面白いの?」
「面白がらないでもらえますかねエイトさん!?」
こちとら命懸けでカルパッチョ作りをやっとるんじゃい!
左手は何とか避けて、自分にホイミをかける。
次はヤンガスにホイミを、と思った直前。
「やぁっ!!」
隙をついたエイトの火炎斬りで、オセアーノンが倒れ。
そうして海へと落ちていった。
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