64章
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エレベーターが地上へと出て止まった。
ヤンガスが扉を開けて外へと飛び出る。
エイトが次に飛び降りて、私に向かって手を伸ばした。
その手を握って、私も飛び降りる。
ククールがその後に出て、同じようにゼシカの手を握ってエレベーターから下ろした。
「……行こう」
全員で頷いたとき──背後でバキンと音が聞こえた。
振り向くと、エレベーターの鎖が片方ちぎれて、エレベーターの籠がプラン……と揺れている。
そうしてもう片方の鎖もちぎれて……エレベーターは煉獄島の地下深くへと落ちていった。
ガシャーン……という大きな音が聞こえる。
ニノ大司教はご無事だろうか……。
だけど、それを気にしている余裕はない。
私たちはそこから背を向け、桟橋に向かって走った。
最後まで穴の下を気にしていたヤンガスも、後から走ってくる。
地上の外はすっかり夜で、真っ暗だった。
桟橋には小さな人影がいる。
そして桟橋には──私たちの船が停泊していた。
「お〜い!!」
聞こえてきた声は陛下のものだ。
追っ手かと警戒した私たちは、ほっと安心して気を緩めた。
こちらへ向かって陛下が駆け寄ってくる。
「このアホ! 心配をかけおってからに!! どれだけ探したと思ってるんじゃ! 捕まるにしても、もうちっと分かりやすいところに捕まらんか! このアホッ!」
「む、無茶言わないでください! 私たちだって、法皇様を助けてこんなところにぶち込まれるなんて、予想外だったんですよ!!」
「……まあよい。どうやら無事のようじゃな」
陛下や姫様にはご心配をおかけしてしまった。
エイトと二人で敬礼をして、改めて帰還を報せた。
「近衛兵レイラ、ただいま帰還致しました!」
「同じく近衛兵エイト、帰還しました」
うむ、と陛下が頷く。
休めの合図が出て、私たちは手を下ろした。
それよりも、この一ヶ月で世界は大変なことになっているそうじゃないか。
まったくあの杖はろくなことを引き起こさないな!
「お前たちも知っておろう。法皇様が殺されたのを。……奴の仕業に違いない! こうしてはおれん! さ、行くぞ! エイト、レイラよ!」
「はい!」
「そ、その前に風呂と……メシが食いてぇでがす……」
「私たち、一ヶ月間飲まず食わずで、お風呂にも入ってないものね……」
この際、海でもいいから飛び込ませてほしい。
本当に体が臭いし汚いのが分かるんだもん。
こんなんで動きたくないぞ、本当に。
船に飛び乗って、サヴェッラ大聖堂へと向かう間、船に備え付けられたお風呂で全員が体の汚れを洗い落とした。
一ヶ月ぶりのお風呂は感動ものだ。
清潔って本当に大事なんだなぁ……。
船に積み込まれていた食料も五人で貪ればあっという間に消え去って、代わりに船を動かしてくれていた陛下はドン引きしていた。
だって一ヶ月間、ろくに水も飲めなかったし食べ物だってなかったんだもん!
エイトの鍛えた腕がこんなに細くなってさぁ……。
胸板だって薄くなって……。
「……レイラ、なんで僕の胸なんか触ってるんだよ」
「エイトの鍛えた体が薄くなってる……」
「そりゃあれだけ飲まず食わずでいたら、痩せちまいやす。食いもんってのは本当に大事でがすよ」
「そうね。身に染みて感じたわ」
「まったくだ。これでゼシカのナイスバディに影響が出たらどうしてくれるってんだよ」
「メラゾーマとイオナズンはどっちがお好みかしら?」
「私とゼシカからダブルでメラゾーマをくれてやってもいいよ?」
「すいませんでした」
ククールがゼシカに向かって直角に腰を折る。
そうなるんだったら最初から言わなきゃいいのに。
学習能力があるんだか無いんだか。
明け方、私たちはサヴェッラ大聖堂に到着した。
まだ夜明け頃だというのに、大聖堂の中にはちらほらと人がいる。
巡礼の人たちだろうか?
でもこんな夜明けに何をしているんだろう?
私たちはそれぞれ、近くにいた人たちに法皇様の事を聞いて回った。
中には「あの黒い化け物のしわざよ!」と言う人もいたけど……。
「なんでも法皇様は、朝早く屋敷の周りへ散歩へ出て、足を滑らせたんだと。まだ召使いたちも眠っていて、誰も気が付かなかったそうだ。あんな高いところから落ちたら、そりゃあひとたまりもないよなぁ……」
「転落死……?」
どうやらそれが通説になっているようだ。
マルチェロさんめ、上手いこと死因をでっち上げたな。
私たちだけは、マルチェロさんの仕業だって確信が持てる。
あの杖を握ってしまったら最後、ラプソーンの意のままだもん。
「法皇様に天国で安らかに眠っていただくためには、跡を引き継ぐ者が必要なんだって。だから葬式もそこそこに、新しい法皇様の就任式をなさるって話だよ」
「新しい法皇!? それって誰なんですか?」
「さぁ、そこまでは……」
「それにしても急な話だな。もう次の法皇様の就任式をやるだなんて」
おばちゃんとの会話に混じってきたのは、売店のおっちゃんだ。
やっぱり一ヶ月ですぐに新法皇の就任式をやるのは性急すぎるって、みんな思ってるんだな。
「聖地ゴルドのほうじゃ、すんごい騒ぎだろうなぁ」
「……聖地、ゴルド……」
「次の目的地は、聖地ゴルドね」
一緒に話を聞いていたゼシカが呟く。それに頷いて、私たちはルーラでゴルドへと飛んだ。
就任式は今日行われるらしい。
煉獄島を脱出したのは、ギリギリのタイミングだったんだな……。
朝日が昇って、空が青くなっていく。
私たちは逸る気持ちもそのままに、聖地ゴルドの門を開けた。
ヤンガスが扉を開けて外へと飛び出る。
エイトが次に飛び降りて、私に向かって手を伸ばした。
その手を握って、私も飛び降りる。
ククールがその後に出て、同じようにゼシカの手を握ってエレベーターから下ろした。
「……行こう」
全員で頷いたとき──背後でバキンと音が聞こえた。
振り向くと、エレベーターの鎖が片方ちぎれて、エレベーターの籠がプラン……と揺れている。
そうしてもう片方の鎖もちぎれて……エレベーターは煉獄島の地下深くへと落ちていった。
ガシャーン……という大きな音が聞こえる。
ニノ大司教はご無事だろうか……。
だけど、それを気にしている余裕はない。
私たちはそこから背を向け、桟橋に向かって走った。
最後まで穴の下を気にしていたヤンガスも、後から走ってくる。
地上の外はすっかり夜で、真っ暗だった。
桟橋には小さな人影がいる。
そして桟橋には──私たちの船が停泊していた。
「お〜い!!」
聞こえてきた声は陛下のものだ。
追っ手かと警戒した私たちは、ほっと安心して気を緩めた。
こちらへ向かって陛下が駆け寄ってくる。
「このアホ! 心配をかけおってからに!! どれだけ探したと思ってるんじゃ! 捕まるにしても、もうちっと分かりやすいところに捕まらんか! このアホッ!」
「む、無茶言わないでください! 私たちだって、法皇様を助けてこんなところにぶち込まれるなんて、予想外だったんですよ!!」
「……まあよい。どうやら無事のようじゃな」
陛下や姫様にはご心配をおかけしてしまった。
エイトと二人で敬礼をして、改めて帰還を報せた。
「近衛兵レイラ、ただいま帰還致しました!」
「同じく近衛兵エイト、帰還しました」
うむ、と陛下が頷く。
休めの合図が出て、私たちは手を下ろした。
それよりも、この一ヶ月で世界は大変なことになっているそうじゃないか。
まったくあの杖はろくなことを引き起こさないな!
「お前たちも知っておろう。法皇様が殺されたのを。……奴の仕業に違いない! こうしてはおれん! さ、行くぞ! エイト、レイラよ!」
「はい!」
「そ、その前に風呂と……メシが食いてぇでがす……」
「私たち、一ヶ月間飲まず食わずで、お風呂にも入ってないものね……」
この際、海でもいいから飛び込ませてほしい。
本当に体が臭いし汚いのが分かるんだもん。
こんなんで動きたくないぞ、本当に。
船に飛び乗って、サヴェッラ大聖堂へと向かう間、船に備え付けられたお風呂で全員が体の汚れを洗い落とした。
一ヶ月ぶりのお風呂は感動ものだ。
清潔って本当に大事なんだなぁ……。
船に積み込まれていた食料も五人で貪ればあっという間に消え去って、代わりに船を動かしてくれていた陛下はドン引きしていた。
だって一ヶ月間、ろくに水も飲めなかったし食べ物だってなかったんだもん!
エイトの鍛えた腕がこんなに細くなってさぁ……。
胸板だって薄くなって……。
「……レイラ、なんで僕の胸なんか触ってるんだよ」
「エイトの鍛えた体が薄くなってる……」
「そりゃあれだけ飲まず食わずでいたら、痩せちまいやす。食いもんってのは本当に大事でがすよ」
「そうね。身に染みて感じたわ」
「まったくだ。これでゼシカのナイスバディに影響が出たらどうしてくれるってんだよ」
「メラゾーマとイオナズンはどっちがお好みかしら?」
「私とゼシカからダブルでメラゾーマをくれてやってもいいよ?」
「すいませんでした」
ククールがゼシカに向かって直角に腰を折る。
そうなるんだったら最初から言わなきゃいいのに。
学習能力があるんだか無いんだか。
明け方、私たちはサヴェッラ大聖堂に到着した。
まだ夜明け頃だというのに、大聖堂の中にはちらほらと人がいる。
巡礼の人たちだろうか?
でもこんな夜明けに何をしているんだろう?
私たちはそれぞれ、近くにいた人たちに法皇様の事を聞いて回った。
中には「あの黒い化け物のしわざよ!」と言う人もいたけど……。
「なんでも法皇様は、朝早く屋敷の周りへ散歩へ出て、足を滑らせたんだと。まだ召使いたちも眠っていて、誰も気が付かなかったそうだ。あんな高いところから落ちたら、そりゃあひとたまりもないよなぁ……」
「転落死……?」
どうやらそれが通説になっているようだ。
マルチェロさんめ、上手いこと死因をでっち上げたな。
私たちだけは、マルチェロさんの仕業だって確信が持てる。
あの杖を握ってしまったら最後、ラプソーンの意のままだもん。
「法皇様に天国で安らかに眠っていただくためには、跡を引き継ぐ者が必要なんだって。だから葬式もそこそこに、新しい法皇様の就任式をなさるって話だよ」
「新しい法皇!? それって誰なんですか?」
「さぁ、そこまでは……」
「それにしても急な話だな。もう次の法皇様の就任式をやるだなんて」
おばちゃんとの会話に混じってきたのは、売店のおっちゃんだ。
やっぱり一ヶ月ですぐに新法皇の就任式をやるのは性急すぎるって、みんな思ってるんだな。
「聖地ゴルドのほうじゃ、すんごい騒ぎだろうなぁ」
「……聖地、ゴルド……」
「次の目的地は、聖地ゴルドね」
一緒に話を聞いていたゼシカが呟く。それに頷いて、私たちはルーラでゴルドへと飛んだ。
就任式は今日行われるらしい。
煉獄島を脱出したのは、ギリギリのタイミングだったんだな……。
朝日が昇って、空が青くなっていく。
私たちは逸る気持ちもそのままに、聖地ゴルドの門を開けた。
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