62章
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法皇の館に窓ガラスを突き破って突っ込んでいったレオパルド。
それを追いかけてお館に突入した私たちは、法皇様のお部屋になだれ込んだ。
そこには法皇様を背にして対峙する聖堂騎士団員数名と──最後の賢者の末裔であられる法皇様。
「法皇様、ご無事ですか!!」
エイトが法皇様の元へ駆けつけて、私たちも騎士団員と共に法皇様をお守りする壁に加わった。
既に騎士団員が数名、床に倒れている。
どれも気絶のようだから、そのうち目が覚めるだろうけど……。
「ようやく追い詰めたぜ! 今度こそ年貢の納め時だ!!」
「法皇様には指一本触れさせないわ!」
ククールとゼシカが凄んでも、レオパルドは余裕を崩さない。
まるで私たちには勝ち目がないと思っているみたいだった。
『……ほう。レティスの力をその身に宿したか。……面白い』
嘲笑うように言って、レオパルドは法皇様から視線をこちらへ向けた。
真っ赤な瞳が私を捉える。
まだ私の番ではないと奴は言ったけれど、今でもそれは変わらないのだろう。
七賢者の末裔が殺されて、魂の封印がすべて解かれたとき、私の番になる。
その理屈は分かったし、身体の封印にヨシュアが関わっているのだから、私の魂がその封印の鍵になっている可能性はある。
『よかろう。最後の賢者を殺す前に、お前たちを血祭りにあげてやるわ!』
レオパルドが中空に浮かび上がり、その長い尻尾をブォン! としならせる。
それは過たずに私の顔面にクリーンヒットした。
「あいってぇ!!」
「緊迫感のある声出せって!!」
「ンなもんはない!!」
「せめてこの場では持てよ!!」
ククールのスクルトを唱える声に被せて、ピオリムを唱える。
ついでにマジックバリアも張っておいてやった。
ゼシカがフバーハを唱えながら、「無駄よ……」と首を振っている。
みんなして私に厳しくない?
もう少しぶっ叩かれた私の心配をだな……?
「来るぞ!」
ククールの声で全員が体勢を整える。
瞬間、吐き出された凍える吹雪のあまりの冷たさに、盾を構える腕にぶわっと鳥肌が立っていた。
あと普通に体力を持っていかれた。
とはいえこの程度、へでもない。
レティスに比べたら断然戦いやすいってーの!
「兄貴ィ!!」
兜割りでレオパルドの守備力を下げたヤンガスが、エイトに合図を送る。
エイトがすかさずレオパルドの懐に入り、はやぶさ斬りを食らわせた。
はやぶさの剣・改ではやぶさ斬りすると、エイトの動きがちょっと面白いんだよな……。
ちなみに私の剣は奇跡の剣からはぐれメタルの剣に変わっている。
まさか最後の鍵でトロデーン城の宝物庫から取り出した古びた剣が、荒野の山小屋の井戸で拾って以来持て余していたスライムの冠と、光の世界の神鳥の巣で拾ったオリハルコンと一緒に錬金したら、こんなとんでもない剣になるとは思わなかった。
「メラゾーマ!!」
「屋内でそれ大丈夫なのォ!?」
「燃えたら新しいのに建て替えてもらおうぜ」
「それでいいのか元聖職者ァ!!」
「元だからな」
容赦なくレオパルドに巨大な火の玉を落としたゼシカは、将来きっと大物になると思う。
実際、建物は無傷だから、いいってことにしよう。
ベギラゴンを唱えても大丈夫なんじゃないかな、知らないけど。
振り上げた剣をレオパルドに向かって振り下ろす。
切っ先を杖で受け止めたレオパルドが、直接響く声で笑った。
『良いのか? この犬を倒したとして──貴様はどのみち、死ぬのだぞ』
「……っ、それは」
『ククク……迷ったな? 戦場では迷いこそが命取りとなるぞ!』
杖の鋭利な先端がこちらを向く。
咄嗟に剣を引き戻して、急所への攻撃は逸らしたものの、脇腹をずっぷりと刺されて、お部屋の綺麗な絨毯に血溜まりがボタボタと垂れ落ちた。
……迷った、この私が迷いを抱いた?
私なんかの命で世界が救えるのに、何を迷うことなんて──。
「ベホマ!! 大丈夫、レイラ!?」
「あ……だい、じょうぶ……」
力が抜けかけた身体に、血が巡っていくのが分かる。
迷うな、迷っている暇があるなら、覚悟のひとつでも決めたほうがいい。
元々がトロデーンに拾われた命なのだから、母国のために使わなくてどうする?
「おい、犬っころ! あんた馬鹿じゃねぇのか! こいつはたしかに、お転婆で無鉄砲で向こう見ずなくせに、変なところで怖がりだがな!」
「急に悪口並べてくるの何ィ!?」
「最後まで聞けって。それは誰よりも大事な奴を守りたいと思ってるからだ! 霊導者の子孫なんて大層な肩書きに振り回された挙句、この世界の命運まで背負い込もうとする、とんでもねぇアホだよ、こいつは!! そんなアホが命懸けで俺たちのことまで守ろうとしてるんだぞ。俺たちがこいつのことをむざむざ死なせるとでも思うか!?」
ククールが掲げたのは、不思議なタンバリン。
その音が、折れかけた心を立ち直らせてくれる。
気合いを入れろと語りかけてくる──私たちはこんなところで立ち止まるわけにはいかないんだ!
「そうだろ、エイト!!」
「当たり前だろ!! レイラがどんな役割を背負っていたって関係ない。お前を倒して、レイラのこともなんとかする。それで終わりだ!」
エイトの手のひらに、眩い雷光を纏った剣が現れる。
それを両手で握って、エイトはレオパルド目掛けて振り抜いた。
「ギガスラッシュ!!」
金色の剣がレオパルドを薙ぎ払う。
何とかするって、どうやって。
(私はもう、運命さえ定まってしまって──今更、何がどうなるはずもないのに)
だけどエイトは嘘をつかない。
何とかするって言うんだったら、本当に何とかしようと思っているってことだ。
そんなこと……叶うはずもない願いなのに。
犠牲のない勝利はない。
分かっているはずでしょ、エイト。
「アッシにゃあ、難しいことは分からんでげすが……。姉貴が守りてぇものは、アッシが守りてぇもんに違いねぇ!! その為なら、アッシも命くらい、いくらでも懸けらぁ!!」
ヤンガスが斧を地面に突き刺し、半円を描く。
浮かび上がった髑髏が、一直線にレオパルドへ向かって、貫いた。
「蒼天魔斬!!」
なんで、なんでみんな、三角谷で気付いたんでしょ。
私がここで何をしなきゃいけないか、知ってるんでしょ。
覚悟を決めなくちゃいけないのに……こんなことされたら、覚悟なんか、決まらない。
錯覚しそうになる──私はこれから先も生きていられるんだって。
そうなることなんてないって、知ってるのに。
それを追いかけてお館に突入した私たちは、法皇様のお部屋になだれ込んだ。
そこには法皇様を背にして対峙する聖堂騎士団員数名と──最後の賢者の末裔であられる法皇様。
「法皇様、ご無事ですか!!」
エイトが法皇様の元へ駆けつけて、私たちも騎士団員と共に法皇様をお守りする壁に加わった。
既に騎士団員が数名、床に倒れている。
どれも気絶のようだから、そのうち目が覚めるだろうけど……。
「ようやく追い詰めたぜ! 今度こそ年貢の納め時だ!!」
「法皇様には指一本触れさせないわ!」
ククールとゼシカが凄んでも、レオパルドは余裕を崩さない。
まるで私たちには勝ち目がないと思っているみたいだった。
『……ほう。レティスの力をその身に宿したか。……面白い』
嘲笑うように言って、レオパルドは法皇様から視線をこちらへ向けた。
真っ赤な瞳が私を捉える。
まだ私の番ではないと奴は言ったけれど、今でもそれは変わらないのだろう。
七賢者の末裔が殺されて、魂の封印がすべて解かれたとき、私の番になる。
その理屈は分かったし、身体の封印にヨシュアが関わっているのだから、私の魂がその封印の鍵になっている可能性はある。
『よかろう。最後の賢者を殺す前に、お前たちを血祭りにあげてやるわ!』
レオパルドが中空に浮かび上がり、その長い尻尾をブォン! としならせる。
それは過たずに私の顔面にクリーンヒットした。
「あいってぇ!!」
「緊迫感のある声出せって!!」
「ンなもんはない!!」
「せめてこの場では持てよ!!」
ククールのスクルトを唱える声に被せて、ピオリムを唱える。
ついでにマジックバリアも張っておいてやった。
ゼシカがフバーハを唱えながら、「無駄よ……」と首を振っている。
みんなして私に厳しくない?
もう少しぶっ叩かれた私の心配をだな……?
「来るぞ!」
ククールの声で全員が体勢を整える。
瞬間、吐き出された凍える吹雪のあまりの冷たさに、盾を構える腕にぶわっと鳥肌が立っていた。
あと普通に体力を持っていかれた。
とはいえこの程度、へでもない。
レティスに比べたら断然戦いやすいってーの!
「兄貴ィ!!」
兜割りでレオパルドの守備力を下げたヤンガスが、エイトに合図を送る。
エイトがすかさずレオパルドの懐に入り、はやぶさ斬りを食らわせた。
はやぶさの剣・改ではやぶさ斬りすると、エイトの動きがちょっと面白いんだよな……。
ちなみに私の剣は奇跡の剣からはぐれメタルの剣に変わっている。
まさか最後の鍵でトロデーン城の宝物庫から取り出した古びた剣が、荒野の山小屋の井戸で拾って以来持て余していたスライムの冠と、光の世界の神鳥の巣で拾ったオリハルコンと一緒に錬金したら、こんなとんでもない剣になるとは思わなかった。
「メラゾーマ!!」
「屋内でそれ大丈夫なのォ!?」
「燃えたら新しいのに建て替えてもらおうぜ」
「それでいいのか元聖職者ァ!!」
「元だからな」
容赦なくレオパルドに巨大な火の玉を落としたゼシカは、将来きっと大物になると思う。
実際、建物は無傷だから、いいってことにしよう。
ベギラゴンを唱えても大丈夫なんじゃないかな、知らないけど。
振り上げた剣をレオパルドに向かって振り下ろす。
切っ先を杖で受け止めたレオパルドが、直接響く声で笑った。
『良いのか? この犬を倒したとして──貴様はどのみち、死ぬのだぞ』
「……っ、それは」
『ククク……迷ったな? 戦場では迷いこそが命取りとなるぞ!』
杖の鋭利な先端がこちらを向く。
咄嗟に剣を引き戻して、急所への攻撃は逸らしたものの、脇腹をずっぷりと刺されて、お部屋の綺麗な絨毯に血溜まりがボタボタと垂れ落ちた。
……迷った、この私が迷いを抱いた?
私なんかの命で世界が救えるのに、何を迷うことなんて──。
「ベホマ!! 大丈夫、レイラ!?」
「あ……だい、じょうぶ……」
力が抜けかけた身体に、血が巡っていくのが分かる。
迷うな、迷っている暇があるなら、覚悟のひとつでも決めたほうがいい。
元々がトロデーンに拾われた命なのだから、母国のために使わなくてどうする?
「おい、犬っころ! あんた馬鹿じゃねぇのか! こいつはたしかに、お転婆で無鉄砲で向こう見ずなくせに、変なところで怖がりだがな!」
「急に悪口並べてくるの何ィ!?」
「最後まで聞けって。それは誰よりも大事な奴を守りたいと思ってるからだ! 霊導者の子孫なんて大層な肩書きに振り回された挙句、この世界の命運まで背負い込もうとする、とんでもねぇアホだよ、こいつは!! そんなアホが命懸けで俺たちのことまで守ろうとしてるんだぞ。俺たちがこいつのことをむざむざ死なせるとでも思うか!?」
ククールが掲げたのは、不思議なタンバリン。
その音が、折れかけた心を立ち直らせてくれる。
気合いを入れろと語りかけてくる──私たちはこんなところで立ち止まるわけにはいかないんだ!
「そうだろ、エイト!!」
「当たり前だろ!! レイラがどんな役割を背負っていたって関係ない。お前を倒して、レイラのこともなんとかする。それで終わりだ!」
エイトの手のひらに、眩い雷光を纏った剣が現れる。
それを両手で握って、エイトはレオパルド目掛けて振り抜いた。
「ギガスラッシュ!!」
金色の剣がレオパルドを薙ぎ払う。
何とかするって、どうやって。
(私はもう、運命さえ定まってしまって──今更、何がどうなるはずもないのに)
だけどエイトは嘘をつかない。
何とかするって言うんだったら、本当に何とかしようと思っているってことだ。
そんなこと……叶うはずもない願いなのに。
犠牲のない勝利はない。
分かっているはずでしょ、エイト。
「アッシにゃあ、難しいことは分からんでげすが……。姉貴が守りてぇものは、アッシが守りてぇもんに違いねぇ!! その為なら、アッシも命くらい、いくらでも懸けらぁ!!」
ヤンガスが斧を地面に突き刺し、半円を描く。
浮かび上がった髑髏が、一直線にレオパルドへ向かって、貫いた。
「蒼天魔斬!!」
なんで、なんでみんな、三角谷で気付いたんでしょ。
私がここで何をしなきゃいけないか、知ってるんでしょ。
覚悟を決めなくちゃいけないのに……こんなことされたら、覚悟なんか、決まらない。
錯覚しそうになる──私はこれから先も生きていられるんだって。
そうなることなんてないって、知ってるのに。
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