57章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
妖魔ゲモンの自爆攻撃に巻き込まれてしまったレティスの卵。
産まれてくるはずだった神鳥の魂を預かって、私たちは空を飛ぶ手段を手に入れた。
『その魂の結晶とも言うべき石を使えば、あなたたち人間でも鳥の姿になって空を飛べるはずです。ただ、その力は私たちが本来属する世界。すなわち光の世界でしか発揮できないので、気を付けてください』
つまり今この場で飛ぶことは出来ないってことか。
……闇の世界の自分がどうなってるか気になったんだけどな。
仕方ないや、確認するのは諦めよう。
『さあ、そろそろ行きましょうか。私の背中にお乗りなさい。まずは麓まで降りますよ』
「背中に!? いいんですか!? わーい!」
この大鳥背中に乗って空を飛べたら絶対に楽しいと思ったんだ!
馬車に掴まって飛ぶのはさすがに怖すぎる。
落ちたら死ぬじゃん、さすがの私も。
レティスの背に五人で乗ると、岩場を蹴ってレティスが羽ばたいた。
そうして麓まですーっと降りていくと、こっくり船を漕ぎながら待っている陛下と姫様を、またもや足で掴んだ。
姫様の悲鳴が聞こえてくる中、バサッバサッとレティスが飛んでいく。
そうして世界の破れ目の前で私を降ろしたレティスは、そのまま飛び去って行った。
レティスに手を振って、私たちは破れ目へと入っていく。
闇の世界から、光の世界へ──。
しばらくぶりに目にした色鮮やかな世界に、目が悲鳴を上げた。
「わー! 目が痛い!」
モノクロの世界に目が慣れていただけに、いきなりカラフルな世界に戻ると視力が順応できない。
みんなで目をシパシパさせていると、カッポカッポと姫様の足音が聞こえてきた。
「なんとまあ不思議な体験をしたものじゃな。あのようなもうひとつの世界が存在するとは、実際に行った者でなければ到底信じられぬことじゃ。今もそこに扉がなければ、あの体験は夢ではなかったかと疑うところじゃぞ」
たしかに……夢みたいな、不思議な世界だったな。
色のない世界で、自分たちだけがカラフルで……。
でもモノクロだったとしてもエイトは格好いいんだろうな、なんて惚気が浮かんで、ぶんぶんと首を振った。
真っ青な空に、レティスの鳴き声が響く。
そうして私たちの足元を、レティスの影が悠々と泳いでいった。
「これからどうしようか」
錬金釜から、出来たての特薬草を取り出しながら、エイトに問う。
エイトは少し考えてから、「法皇の館に……」と答えた。
それはそうだよね、レオパルドが襲ってきていてもおかしくはないし。
石、とレティスは言った。
でもあの子は私の中にいるから、石なんて……。
……私の道具袋の中に、黄色い石が……あるな……。
「えっと……じゃあとりあえず、やり方よく分かんないけど、やってみる」
神鳥の魂を握り締めて、心の中で呼びかける。
どうか私たちを大空へ──。
すると私たちの体が強く輝いて、足が勝手に地面を蹴った。
『それじゃあいくよ! ──それっ!!』
ぐんと身体が持ち上がって、空へと飛び上がる。
雲を突き抜けて、そうして私たちは翼を広げて──空を飛んでいた。
「わぁー! すごい、空飛んでる!」
「こいつは爽快感があるな」
「こんな経験、滅多にできないでがす」
「風が気持ちいいわねー!」
まさか鳥になって空を飛ぶなんて、旅に出た頃は想像もしてなかったな。
でもこれ楽しい、私たちが歩いて、キラーパンサーに乗って駆け回った大地が、風のように過ぎ去っていく。
「こんなに広い大地を、僕たちは走り回ってきたんだ……」
どこまでも続く海と大地を見下ろして、エイトが感慨深そうに呟く。
本当にここまで長かった。
終わりではなくて旅の途中ではあるけど、トロデーン城を出発してから、全ての大陸を制覇することになるとは思わなかったもんね。
空を飛び続けていると、サヴェッラ大聖堂の上にある浮き島と法皇の館が見えてきた。
法皇の館の近くに降り立って、足が地面を踏む。
すごくドキドキして、楽しかった気分は一度横に置いておこう。
「……襲撃があった様子はないわね。レオパルドはまだ来てないみたいだわ」
「そうみたいだ……ん?」
向こうから足音が聞こえてくる。
それは全員が聞き取れていて、さっと緊張が走った。
「むむ、誰か来るぞ。こっちに隠れるんじゃ!」
陛下の指示で、私たちは法皇の館の鉄柵にほど近い垣根に身を隠した。
少し離れたところには、身なりの高貴なご老人と──マルチェロさんがいる。
ということは、あの方が法皇様……。
良かった、まだご無事のようだ。
それが分かって、私たちの間でほっと安堵の雰囲気が流れた。
産まれてくるはずだった神鳥の魂を預かって、私たちは空を飛ぶ手段を手に入れた。
『その魂の結晶とも言うべき石を使えば、あなたたち人間でも鳥の姿になって空を飛べるはずです。ただ、その力は私たちが本来属する世界。すなわち光の世界でしか発揮できないので、気を付けてください』
つまり今この場で飛ぶことは出来ないってことか。
……闇の世界の自分がどうなってるか気になったんだけどな。
仕方ないや、確認するのは諦めよう。
『さあ、そろそろ行きましょうか。私の背中にお乗りなさい。まずは麓まで降りますよ』
「背中に!? いいんですか!? わーい!」
この大鳥背中に乗って空を飛べたら絶対に楽しいと思ったんだ!
馬車に掴まって飛ぶのはさすがに怖すぎる。
落ちたら死ぬじゃん、さすがの私も。
レティスの背に五人で乗ると、岩場を蹴ってレティスが羽ばたいた。
そうして麓まですーっと降りていくと、こっくり船を漕ぎながら待っている陛下と姫様を、またもや足で掴んだ。
姫様の悲鳴が聞こえてくる中、バサッバサッとレティスが飛んでいく。
そうして世界の破れ目の前で私を降ろしたレティスは、そのまま飛び去って行った。
レティスに手を振って、私たちは破れ目へと入っていく。
闇の世界から、光の世界へ──。
しばらくぶりに目にした色鮮やかな世界に、目が悲鳴を上げた。
「わー! 目が痛い!」
モノクロの世界に目が慣れていただけに、いきなりカラフルな世界に戻ると視力が順応できない。
みんなで目をシパシパさせていると、カッポカッポと姫様の足音が聞こえてきた。
「なんとまあ不思議な体験をしたものじゃな。あのようなもうひとつの世界が存在するとは、実際に行った者でなければ到底信じられぬことじゃ。今もそこに扉がなければ、あの体験は夢ではなかったかと疑うところじゃぞ」
たしかに……夢みたいな、不思議な世界だったな。
色のない世界で、自分たちだけがカラフルで……。
でもモノクロだったとしてもエイトは格好いいんだろうな、なんて惚気が浮かんで、ぶんぶんと首を振った。
真っ青な空に、レティスの鳴き声が響く。
そうして私たちの足元を、レティスの影が悠々と泳いでいった。
「これからどうしようか」
錬金釜から、出来たての特薬草を取り出しながら、エイトに問う。
エイトは少し考えてから、「法皇の館に……」と答えた。
それはそうだよね、レオパルドが襲ってきていてもおかしくはないし。
石、とレティスは言った。
でもあの子は私の中にいるから、石なんて……。
……私の道具袋の中に、黄色い石が……あるな……。
「えっと……じゃあとりあえず、やり方よく分かんないけど、やってみる」
神鳥の魂を握り締めて、心の中で呼びかける。
どうか私たちを大空へ──。
すると私たちの体が強く輝いて、足が勝手に地面を蹴った。
『それじゃあいくよ! ──それっ!!』
ぐんと身体が持ち上がって、空へと飛び上がる。
雲を突き抜けて、そうして私たちは翼を広げて──空を飛んでいた。
「わぁー! すごい、空飛んでる!」
「こいつは爽快感があるな」
「こんな経験、滅多にできないでがす」
「風が気持ちいいわねー!」
まさか鳥になって空を飛ぶなんて、旅に出た頃は想像もしてなかったな。
でもこれ楽しい、私たちが歩いて、キラーパンサーに乗って駆け回った大地が、風のように過ぎ去っていく。
「こんなに広い大地を、僕たちは走り回ってきたんだ……」
どこまでも続く海と大地を見下ろして、エイトが感慨深そうに呟く。
本当にここまで長かった。
終わりではなくて旅の途中ではあるけど、トロデーン城を出発してから、全ての大陸を制覇することになるとは思わなかったもんね。
空を飛び続けていると、サヴェッラ大聖堂の上にある浮き島と法皇の館が見えてきた。
法皇の館の近くに降り立って、足が地面を踏む。
すごくドキドキして、楽しかった気分は一度横に置いておこう。
「……襲撃があった様子はないわね。レオパルドはまだ来てないみたいだわ」
「そうみたいだ……ん?」
向こうから足音が聞こえてくる。
それは全員が聞き取れていて、さっと緊張が走った。
「むむ、誰か来るぞ。こっちに隠れるんじゃ!」
陛下の指示で、私たちは法皇の館の鉄柵にほど近い垣根に身を隠した。
少し離れたところには、身なりの高貴なご老人と──マルチェロさんがいる。
ということは、あの方が法皇様……。
良かった、まだご無事のようだ。
それが分かって、私たちの間でほっと安堵の雰囲気が流れた。
1/4ページ
