56章
夢小説設定
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神鳥レティスに「明日の朝ここに来る」と約束して、私たちは闇のレティシアへ戻ることにした。
あーやれやれ大変だった、とみんなが疲れた顔をして、エイトに掴まる。
私も掴まろうとすると、レティスにそっと呼び止められた。
『少し……宜しいですか、ヨシュアの子孫』
「え? はい、もちろん……。みんな、先に戻ってて」
「長老さんの家で待ってるわよ」
ゼシカに頷くと、心配そうな顔をしたエイトと目が合った。
大丈夫、と笑ってあげて、エイトはまだ心配の色を隠せていなかったけど、ルーラを唱えて闇のレティシアへ戻っていった。
さて、止まり木には私とレティスだけが残っている。
いったい何の話をしようというのか。
『ヨシュアの子孫、レイラ。あなたはヨシュアのことについて、どのくらい知っていますか?』
「……何一つ知りません。物心がついた頃には、魔物に襲われて家族を失っていたので……」
『そんな悲しい出来事が……。では、ロアナス家に伝わる話は、何一つ知らないのですね?』
「それどころか、私にはロアナスの家で暮らしていた記憶すらありません。ショックで記憶を失くしたようで」
言葉を失ったように目を瞑ったレティスは、しばらくそうして黙っていた。
何をどう言ったらいいのか分からないのだろう。
まさかレティスも、ヨシュアの末裔がそんなことになってるとは思わなかっただろうしな。
「ヨシュアが遺した物は何も残ってないけど、ヨシュアが自分の命と引き換えに暗黒神を封印したことは知ってます。切り札となる聖句も」
『……』
「そうなる覚悟も……あります」
『死ぬ事に恐れはない、と?』
「そりゃ怖いですよ! だって死んだら二度とみんなに会えないんですし。でも私にしか出来ないことだし……それに何より。エイトが生きる世界がなくなっちゃうほうが怖いから」
もちろん暗黒神の復活を阻止するために、私たちははるばるこんなところまでやってきたのだけど。
でももし、それが上手くいかなかったら?
暗黒神が復活してしまったら、もう私たちでは太刀打ちできない。
だって八賢者ですら封印することしか出来なかったんだもん。
五人で暗黒神を倒すなんて、そんな夢物語を本気にするほど馬鹿じゃない。
『……ヨシュアは自分の魂とラプソーンの肉体を結び付け、共に封印しました。暗黒神の魂は、残りの七賢者の血によって杖に封印されているはず。もし魂と肉体が結びつくような事があれば──』
「ラプソーンが復活する、ですか?」
『その通りです。そしてそれは、ヨシュアの魂の消滅を意味します』
「消滅……。消滅すると、どうなるんですか?」
『言葉通りの意味です。死ではなく、魂の消失となってしまうと、天へ還ることができません』
「ってことは、彷徨える魂になるってことです……?」
『いいえ。彷徨える魂にすらなれません。消えてしまうのですから、生まれ変わることさえできないのです』
つまりは完全な終わり。
父たる神の御許へ還ることが出来ず、この世に留まることも出来ず。
そういう感覚、ククールやゼシカならもっと分かるのかな。
私はどうしても死と消滅の違いが分からない。
『あなたがその切り札を使わずに済むよう願っています』
「……」
使わずに……済むだろうか。
この旅の終わりがどうなるかは分からないけど、今のところはまだ死ぬ予定はない。
ただそれは状況次第ではいくらでも変わりうる結末だ。
もし暗黒神が復活してしまったら──。
「また明日、みんなで来ますね」
レティスの言葉に対する答えは口にせず、私はそう言ってルーラを唱えた。
何を言われても、私の決意は変わらない。
必要に迫られた時は、私の命を使う。
私なんかの命で世界が救われるなら、喜んでくれてやる。
長老さんのおうちに向かうと、みんなが私を待ってくれていた。
お待たせ、と手を振って、長老さんに頭を下げる。
やっぱり過保護なエイトが真っ先に私の所へやってきた。
「大丈夫だった?」
「ちょっと話をしてただけなのに」
「心配してたのよ、私たちも。だってレイラだけが声を掛けられたじゃない? 霊導者に関する話なのかなって、気になっちゃって」
「お前の家に伝わってた話は途絶えたけど、レティスはヨシュア本人を知ってるからな。ヨシュアが何をしたのかとか、そういう話でもしてたか?」
「まあそんなとこ。でも難しすぎて、全部理解できたかって言われると怪しい」
「そんなに難しい話だったんでげすかい? 姉貴が分からねぇんじゃ、アッシはもっと分かりっこねぇでがすな」
「まぁでも、大体はゼシカがリブルアーチで教えてくれたことと同じだったよ。同じ道を辿るなって釘刺されたくらいかな」
「メディさんにも釘を刺されたよね?」
「そうだねエイト。不思議だね。私まだ何も言ってなかったのにね」
もう誰かが私がやらかしてきた無謀の数々を口滑らせたとしか思えないよ。
私そこまで特攻自爆タイプだと思われてる?
ちゃんと生きてトロデーンに帰るつもりで旅してるんだけど……。
あーやれやれ大変だった、とみんなが疲れた顔をして、エイトに掴まる。
私も掴まろうとすると、レティスにそっと呼び止められた。
『少し……宜しいですか、ヨシュアの子孫』
「え? はい、もちろん……。みんな、先に戻ってて」
「長老さんの家で待ってるわよ」
ゼシカに頷くと、心配そうな顔をしたエイトと目が合った。
大丈夫、と笑ってあげて、エイトはまだ心配の色を隠せていなかったけど、ルーラを唱えて闇のレティシアへ戻っていった。
さて、止まり木には私とレティスだけが残っている。
いったい何の話をしようというのか。
『ヨシュアの子孫、レイラ。あなたはヨシュアのことについて、どのくらい知っていますか?』
「……何一つ知りません。物心がついた頃には、魔物に襲われて家族を失っていたので……」
『そんな悲しい出来事が……。では、ロアナス家に伝わる話は、何一つ知らないのですね?』
「それどころか、私にはロアナスの家で暮らしていた記憶すらありません。ショックで記憶を失くしたようで」
言葉を失ったように目を瞑ったレティスは、しばらくそうして黙っていた。
何をどう言ったらいいのか分からないのだろう。
まさかレティスも、ヨシュアの末裔がそんなことになってるとは思わなかっただろうしな。
「ヨシュアが遺した物は何も残ってないけど、ヨシュアが自分の命と引き換えに暗黒神を封印したことは知ってます。切り札となる聖句も」
『……』
「そうなる覚悟も……あります」
『死ぬ事に恐れはない、と?』
「そりゃ怖いですよ! だって死んだら二度とみんなに会えないんですし。でも私にしか出来ないことだし……それに何より。エイトが生きる世界がなくなっちゃうほうが怖いから」
もちろん暗黒神の復活を阻止するために、私たちははるばるこんなところまでやってきたのだけど。
でももし、それが上手くいかなかったら?
暗黒神が復活してしまったら、もう私たちでは太刀打ちできない。
だって八賢者ですら封印することしか出来なかったんだもん。
五人で暗黒神を倒すなんて、そんな夢物語を本気にするほど馬鹿じゃない。
『……ヨシュアは自分の魂とラプソーンの肉体を結び付け、共に封印しました。暗黒神の魂は、残りの七賢者の血によって杖に封印されているはず。もし魂と肉体が結びつくような事があれば──』
「ラプソーンが復活する、ですか?」
『その通りです。そしてそれは、ヨシュアの魂の消滅を意味します』
「消滅……。消滅すると、どうなるんですか?」
『言葉通りの意味です。死ではなく、魂の消失となってしまうと、天へ還ることができません』
「ってことは、彷徨える魂になるってことです……?」
『いいえ。彷徨える魂にすらなれません。消えてしまうのですから、生まれ変わることさえできないのです』
つまりは完全な終わり。
父たる神の御許へ還ることが出来ず、この世に留まることも出来ず。
そういう感覚、ククールやゼシカならもっと分かるのかな。
私はどうしても死と消滅の違いが分からない。
『あなたがその切り札を使わずに済むよう願っています』
「……」
使わずに……済むだろうか。
この旅の終わりがどうなるかは分からないけど、今のところはまだ死ぬ予定はない。
ただそれは状況次第ではいくらでも変わりうる結末だ。
もし暗黒神が復活してしまったら──。
「また明日、みんなで来ますね」
レティスの言葉に対する答えは口にせず、私はそう言ってルーラを唱えた。
何を言われても、私の決意は変わらない。
必要に迫られた時は、私の命を使う。
私なんかの命で世界が救われるなら、喜んでくれてやる。
長老さんのおうちに向かうと、みんなが私を待ってくれていた。
お待たせ、と手を振って、長老さんに頭を下げる。
やっぱり過保護なエイトが真っ先に私の所へやってきた。
「大丈夫だった?」
「ちょっと話をしてただけなのに」
「心配してたのよ、私たちも。だってレイラだけが声を掛けられたじゃない? 霊導者に関する話なのかなって、気になっちゃって」
「お前の家に伝わってた話は途絶えたけど、レティスはヨシュア本人を知ってるからな。ヨシュアが何をしたのかとか、そういう話でもしてたか?」
「まあそんなとこ。でも難しすぎて、全部理解できたかって言われると怪しい」
「そんなに難しい話だったんでげすかい? 姉貴が分からねぇんじゃ、アッシはもっと分かりっこねぇでがすな」
「まぁでも、大体はゼシカがリブルアーチで教えてくれたことと同じだったよ。同じ道を辿るなって釘刺されたくらいかな」
「メディさんにも釘を刺されたよね?」
「そうだねエイト。不思議だね。私まだ何も言ってなかったのにね」
もう誰かが私がやらかしてきた無謀の数々を口滑らせたとしか思えないよ。
私そこまで特攻自爆タイプだと思われてる?
ちゃんと生きてトロデーンに帰るつもりで旅してるんだけど……。
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