52章
夢小説設定
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一夜が明けた今日、我々は船に乗り込み、川を上っていた。
あの船乗りは下ると言っていたけど、「海からしか探せないし、いっそ下流から上ったほうが早くね?」となったのである。
「えっここほんとに船で入れんの?」
「行けないことはないと思うわよ。……操舵技術が求められるけど」
「……ぶつけるなよ、エイト」
「頑張る……」
舵を取っているエイトは、ゴクリと唾を飲んだ。
船がゆっくりと川へ入っていく。
両側を高い崖に囲まれた川は、どうやらリーザス村の近くらしい。
本当にこの辺りに、洞窟なんてあんのか〜?
「……マジであった」
南の関所が設けてあった橋の下に、ぽっかりと口を開けた洞窟の入口。
しかも、船ごと洞窟に入れるときた。
こりゃ相当でっかい洞窟だぞ。
フゥ〜! テンション上がる〜!!
やっぱ旅の醍醐味だよね、こういう宝探しはさぁ!!
「うひょ〜!! 楽しくなってきたぁ〜!!」
「お前、ほんとにお気楽で羨ましいよ」
「ねぇエイト、左のドアのとこ、めっちゃタルとツボが並んでる! 漁ってこ!!」
「あの子、なんでこんなにテンション高いの?」
「死霊系の気配がない遺跡だからかな……」
鍵がかかってようが関係ない!
なぜなら我々には、メディさんからもらった最後の鍵があるからだ!
意気揚々と鉄格子の鍵を開け、私は全てのタルとツボを漁った。
こういうところに小さなメダルがあったりするのだ。
さて、いよいよ大本命、入口の鍵をカチッとな。
「さぁーて、張り切って探索……う?」
「んぉ?」
何故か我々の背後から、船が波を切る音が聞こえてきた。
そちらを振り返ると……なんとご立派な船が入ってくるではないか!
甲板には、縁に足をかけたゲルダさんだ!!
「うげ!」とヤンガスが声を上げた──可哀想に。
ゲルダさんは身軽な動作で船から飛び降りると、船着場からこちらへ歩いてきた。
そりゃあゲルダさんは有名な盗賊だから、こういうところに来るのは分かる。
分かるんだけど、なんでタイミングが被るかなー!?
「どこかで見た顔だと思ったら、ビーナスの涙をプレゼントしてくれた親切な御一行じゃないか。それにしても随分、珍しい所で再会したもんだね」
「……てめぇは、ゲルダ! いったいどうしてここに!?」
「何でも噂によると、ここにはあの大海賊キャプテン・クロウのお宝が眠ってるって話じゃないか。あたしはお宝って言葉に目がなくてね。こうしてわざわざ船を仕立ててやって来たってわけさ」
「じゃあ、あれが麗しの貴婦人号!? 本物だ! すごーい!!」
「そっちに話持ってくのかい、あんたも面白い奴だね。まぁあたしの自慢の船だ。眺めるくらいなら許してやろうじゃないか」
「船を見に来たんじゃないぞ、レイラー。ここにあるものを手に入れてからにしなさい」
ククールの腹立つ言い方に、ゲルダさんがピクリと片眉を跳ね上げた。
そっちがキレんの?
言われたの私なのに!?
「……見たところ、あんたたちも目的は同じみたいだね」
「え、そうなんですか? だったら一緒に……」
「面白いじゃないか。それじゃあ、海賊のお宝を手に入れるのは早い者勝ちってことだね」
「え……。ええー!?」
今のは一緒に行こうの流れだと思ったのに!?
なんでここで命懸けのデスマッチなんかやらなきゃいけないんだ!!
だってなんか敵も強そうだしさぁ、一緒に行ったほうが安全だって!
お宝は仲良く山分けしようよ!!
「そうと決まったら、のんびりはしてられない。あたしは一足先に行かせてらもらうよ!」
こっち側の誰も賛成していないのに、お宝をかけたバトルが始まってしまった……。
でもでも、ここにあるお宝を狙ってるのは私たちも同じだし……。
……乗るしかないのか、この流れに。
「お……おい、待てよ! 勝手なことばかり言いやがって!」
ゲルダさんを引き止めたのは、やはりヤンガスだった。
ヤンガス、信じてた!
信じてたけど……多分こっちが丸め込まれそうだな!
ヤンガスがゲルダさんに頭が上がらないのは、我々もよく知るところだ。
「それに、ここにゃ魔物も出んだろ? お前ひとりでお宝がある場所まで辿り着けるもんかよ!」
「見くびってくれるじゃない。あたしの忍び足の実力は、あんたも知ってるだろ? 魔物どもなんかに見つかるようなヘマはしないさ。動きの鈍いあんたとは違ってね!」
「う、うぐぐ……」
絶妙に言い返せないところを突いて、ゲルダさんは私たちが開けた扉を通って行ってしまった。
なんでこうなるのぉ……?
と、とにかく、こうしちゃいられない!
「鍵を開いたのは私たちなのに、なんでゲルダさんがとっとと先に行っちゃうの?」
「たしかに」
「まったく! ヤンガスがしっかりしてないから、こういうことになるのよ!」
「……ぐぬぬ。返す言葉もないでげす」
「とにかく、私たちも急いで追いかけよう!」
「そ、そうだね! ゲルダさんにお宝を取られるわけにはいかない!」
「……ここにあるお宝が本当に海図かどうかすら分からねぇのに、なんで更に訳の分からねぇ争いが始まったんだ?」
「そういうもんだと思って諦めたほうが早いわよ」
「ゲルダの奴がすまねぇでがす。こうなりゃゲルダを先回りして、お宝をとっとといただくでがすよ!」
ゲルダさんに負けたら、旅が詰む。
こんなところで旅を終わらせたくないし、ていうか世界の命運がかかってんのに、海図如きで争ってる場合じゃないはずなんだけどな!?
つくづくおめでたい話だよ本当に!!
あの船乗りは下ると言っていたけど、「海からしか探せないし、いっそ下流から上ったほうが早くね?」となったのである。
「えっここほんとに船で入れんの?」
「行けないことはないと思うわよ。……操舵技術が求められるけど」
「……ぶつけるなよ、エイト」
「頑張る……」
舵を取っているエイトは、ゴクリと唾を飲んだ。
船がゆっくりと川へ入っていく。
両側を高い崖に囲まれた川は、どうやらリーザス村の近くらしい。
本当にこの辺りに、洞窟なんてあんのか〜?
「……マジであった」
南の関所が設けてあった橋の下に、ぽっかりと口を開けた洞窟の入口。
しかも、船ごと洞窟に入れるときた。
こりゃ相当でっかい洞窟だぞ。
フゥ〜! テンション上がる〜!!
やっぱ旅の醍醐味だよね、こういう宝探しはさぁ!!
「うひょ〜!! 楽しくなってきたぁ〜!!」
「お前、ほんとにお気楽で羨ましいよ」
「ねぇエイト、左のドアのとこ、めっちゃタルとツボが並んでる! 漁ってこ!!」
「あの子、なんでこんなにテンション高いの?」
「死霊系の気配がない遺跡だからかな……」
鍵がかかってようが関係ない!
なぜなら我々には、メディさんからもらった最後の鍵があるからだ!
意気揚々と鉄格子の鍵を開け、私は全てのタルとツボを漁った。
こういうところに小さなメダルがあったりするのだ。
さて、いよいよ大本命、入口の鍵をカチッとな。
「さぁーて、張り切って探索……う?」
「んぉ?」
何故か我々の背後から、船が波を切る音が聞こえてきた。
そちらを振り返ると……なんとご立派な船が入ってくるではないか!
甲板には、縁に足をかけたゲルダさんだ!!
「うげ!」とヤンガスが声を上げた──可哀想に。
ゲルダさんは身軽な動作で船から飛び降りると、船着場からこちらへ歩いてきた。
そりゃあゲルダさんは有名な盗賊だから、こういうところに来るのは分かる。
分かるんだけど、なんでタイミングが被るかなー!?
「どこかで見た顔だと思ったら、ビーナスの涙をプレゼントしてくれた親切な御一行じゃないか。それにしても随分、珍しい所で再会したもんだね」
「……てめぇは、ゲルダ! いったいどうしてここに!?」
「何でも噂によると、ここにはあの大海賊キャプテン・クロウのお宝が眠ってるって話じゃないか。あたしはお宝って言葉に目がなくてね。こうしてわざわざ船を仕立ててやって来たってわけさ」
「じゃあ、あれが麗しの貴婦人号!? 本物だ! すごーい!!」
「そっちに話持ってくのかい、あんたも面白い奴だね。まぁあたしの自慢の船だ。眺めるくらいなら許してやろうじゃないか」
「船を見に来たんじゃないぞ、レイラー。ここにあるものを手に入れてからにしなさい」
ククールの腹立つ言い方に、ゲルダさんがピクリと片眉を跳ね上げた。
そっちがキレんの?
言われたの私なのに!?
「……見たところ、あんたたちも目的は同じみたいだね」
「え、そうなんですか? だったら一緒に……」
「面白いじゃないか。それじゃあ、海賊のお宝を手に入れるのは早い者勝ちってことだね」
「え……。ええー!?」
今のは一緒に行こうの流れだと思ったのに!?
なんでここで命懸けのデスマッチなんかやらなきゃいけないんだ!!
だってなんか敵も強そうだしさぁ、一緒に行ったほうが安全だって!
お宝は仲良く山分けしようよ!!
「そうと決まったら、のんびりはしてられない。あたしは一足先に行かせてらもらうよ!」
こっち側の誰も賛成していないのに、お宝をかけたバトルが始まってしまった……。
でもでも、ここにあるお宝を狙ってるのは私たちも同じだし……。
……乗るしかないのか、この流れに。
「お……おい、待てよ! 勝手なことばかり言いやがって!」
ゲルダさんを引き止めたのは、やはりヤンガスだった。
ヤンガス、信じてた!
信じてたけど……多分こっちが丸め込まれそうだな!
ヤンガスがゲルダさんに頭が上がらないのは、我々もよく知るところだ。
「それに、ここにゃ魔物も出んだろ? お前ひとりでお宝がある場所まで辿り着けるもんかよ!」
「見くびってくれるじゃない。あたしの忍び足の実力は、あんたも知ってるだろ? 魔物どもなんかに見つかるようなヘマはしないさ。動きの鈍いあんたとは違ってね!」
「う、うぐぐ……」
絶妙に言い返せないところを突いて、ゲルダさんは私たちが開けた扉を通って行ってしまった。
なんでこうなるのぉ……?
と、とにかく、こうしちゃいられない!
「鍵を開いたのは私たちなのに、なんでゲルダさんがとっとと先に行っちゃうの?」
「たしかに」
「まったく! ヤンガスがしっかりしてないから、こういうことになるのよ!」
「……ぐぬぬ。返す言葉もないでげす」
「とにかく、私たちも急いで追いかけよう!」
「そ、そうだね! ゲルダさんにお宝を取られるわけにはいかない!」
「……ここにあるお宝が本当に海図かどうかすら分からねぇのに、なんで更に訳の分からねぇ争いが始まったんだ?」
「そういうもんだと思って諦めたほうが早いわよ」
「ゲルダの奴がすまねぇでがす。こうなりゃゲルダを先回りして、お宝をとっとといただくでがすよ!」
ゲルダさんに負けたら、旅が詰む。
こんなところで旅を終わらせたくないし、ていうか世界の命運がかかってんのに、海図如きで争ってる場合じゃないはずなんだけどな!?
つくづくおめでたい話だよ本当に!!
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