37章
夢小説設定
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軽やかな音を立てて、剣が鞘に収まった。
初めてのアルゴリザードとの戦いは、強敵と言われるだけあって、ちょっとしぶとかったけれど、さすがに四人で戦えばそこまで苦労せず勝てた。
アルゴリザードは途中で小さな赤い石を落とした後、私たちの前から脱兎の如く逃げ去っていった。
「これがアルゴンハート……」
「綺麗だねー」
「ともかく、これで終わりだな」
意外と早く片付いたな。
あとは王子を城まで送り届けて、魔法の鏡をもらえばおしまいだ。
はーやれやれ、と気を抜いたところで、チャゴス王子がアルゴンハートを手にした。
「これがアルゴンハートか!? 意外と小さい物なのだな」
「宝石ってそんなもんじゃないの?」
お嬢様のお言葉に我々庶民はうんうんと頷いた。
でかい宝石が買えるのは王族くらいなもんだからね。
こっちからすれば、その大きさでも上等だからね。
だからさっさと帰ろうねー!
「アルゴリザードも気色は悪いが、見た目ほど強くはなかったし……。ここはひとつ、もっと大きいのが手に入るまで、アルゴリザードを倒し続けるとするか」
フフン、と厭らしく笑って、チャゴス王子は小さなアルゴンハートをポケットに入れた。
終わりじゃないのォ!?
いいじゃんもう帰ろうよ!!
そんな大きさとかみんな何も言わないって!!
あんたが帰ってくるだけで国中が大騒ぎになるって!!
「ふんだ、言ってくれちゃって。自分はすぐ逃げ出したくせにさ」
「ッスゥ──……。エイト、不慮の事故ってことにしとけばいいよな?」
「文字通り王族に弓引いちまってるでがすよ!!」
「誰かククールを取り押さえて!!」
「国交断絶するーッ!!」
「離せ俺は正気だ!! やってられるかこんなの!!」
「レイラが言いそうなこと言わないでよ!!」
「エイトさァん!?」
急にこっちに飛び火すんのやめてくれない!?
でもククールの気持ちはもとてもよく分かる!!
私も不慮の事故ってことにしておけば見逃してもらえるんじゃないかなって思ったもんね!!
ともかく気を取り直して、アルゴリザード探しを続行。
坂道を登って木の幹にかかっている袋を漁ったり、ツボの中を漁ったりしつつ、みんなでアルゴリザードを探していると。
「おっ! あそこに一匹、気持ち良さそうにグースカ眠ってる奴がおるではないか」
川を挟んだ対岸には、おやすみタイムのアルゴリザード。
さっきアルゴンハートを落とした個体とは別のアルゴリザードみたいだ。
川の真ん中には切り株のようなものがあるにはあるけど、向こう岸に渡ったとしても、足場が狭くて戦えない。
「おいエイトよ。向こう岸にいるアルゴリザードを、何とかおびき寄せられないか?」
「ええと……とりあえずやってみます」
まあ、こっちにおびき寄せて戦うのが上策か。
って言ってもなぁ〜、どうやっておびき寄せるよ?
だって爆睡してんだぜ、あのアルゴリザード。
「川を渡って起こした後、こっちに戻りゃあいいんじゃねぇですかね」
「それだと逃げるわよ。それにアルゴリザードに背中を向けるのは危険だわ」
「ま、こっちに寄せるしかないってこった。が、どうやって誘き出すかねぇ」
何か使えるものはないかと、キョロキョロと辺りを見渡すと。
なんとあるではないか──ジョロの実が!
それも川の向こうにあるんだけど、歩いて渡れそうな太い木の幹がかかっている。
「エイトエイト! あれ使えるんじゃない?」
「あれ?」
私の指差した方向を見やって、エイトが首を傾げる。
そうして木の足場を渡ってジョロの実を持ち上げると、「重っ……」と本音が漏れていた。
あれ結構重たいんだ、子供たちよく持ててたな。
「おいエイト。そなたの持ち上げた物を見せてみろ」
私たちの背後からチャゴス王子がエイトへそう声を掛ける。
振り返ったエイトが抱えている物を見たチャゴス王子が、ふむふむと頷く。
「ほほう……これがジョロの実か。たしか大臣が言っていたな。アルゴリザードはこの実が大好物だと。奴らはジョロの実の匂いに敏感で、眠っていても目を覚ますとか。まあ、それだけ大好物だということか」
「へえ、そんな効果があるやつだったんだ」
それを抱えたエイトが、先程渡ってきた木の足場を渡って戻ってくる。
そうしてそのジョロの実を、アルゴリザードが眠っているすぐ傍にある、大きな切り株へ投げた。
衝撃で割れたジョロの実から、なんとも言えない匂いが溢れ出る。
瞬間、なんと爆睡していたアルゴリザードが起き上がった!
「マジで起きた!」
「こっちに来るぞ、構えろ!」
「シギャアアッ!!」
私たちを見て、アルゴリザードが鋭い爪を振り下ろす。
それを剣で受け止めて隙を作り出したところに、チャゴス王子の一撃!
やっぱりまるで効いていない!!
「う、うわぁぁぁ〜!!」
そして逃げた。
やっぱこうなるよね、知ってた。
アルゴリザードの爪を弾き返して間合いを取る。
仕方ない、護衛の域はかなりはみ出してるけど、私たちが倒してやらないと一生終わらなさそうだもんな!
次は王子が満足する大きさでありますように!!
初めてのアルゴリザードとの戦いは、強敵と言われるだけあって、ちょっとしぶとかったけれど、さすがに四人で戦えばそこまで苦労せず勝てた。
アルゴリザードは途中で小さな赤い石を落とした後、私たちの前から脱兎の如く逃げ去っていった。
「これがアルゴンハート……」
「綺麗だねー」
「ともかく、これで終わりだな」
意外と早く片付いたな。
あとは王子を城まで送り届けて、魔法の鏡をもらえばおしまいだ。
はーやれやれ、と気を抜いたところで、チャゴス王子がアルゴンハートを手にした。
「これがアルゴンハートか!? 意外と小さい物なのだな」
「宝石ってそんなもんじゃないの?」
お嬢様のお言葉に我々庶民はうんうんと頷いた。
でかい宝石が買えるのは王族くらいなもんだからね。
こっちからすれば、その大きさでも上等だからね。
だからさっさと帰ろうねー!
「アルゴリザードも気色は悪いが、見た目ほど強くはなかったし……。ここはひとつ、もっと大きいのが手に入るまで、アルゴリザードを倒し続けるとするか」
フフン、と厭らしく笑って、チャゴス王子は小さなアルゴンハートをポケットに入れた。
終わりじゃないのォ!?
いいじゃんもう帰ろうよ!!
そんな大きさとかみんな何も言わないって!!
あんたが帰ってくるだけで国中が大騒ぎになるって!!
「ふんだ、言ってくれちゃって。自分はすぐ逃げ出したくせにさ」
「ッスゥ──……。エイト、不慮の事故ってことにしとけばいいよな?」
「文字通り王族に弓引いちまってるでがすよ!!」
「誰かククールを取り押さえて!!」
「国交断絶するーッ!!」
「離せ俺は正気だ!! やってられるかこんなの!!」
「レイラが言いそうなこと言わないでよ!!」
「エイトさァん!?」
急にこっちに飛び火すんのやめてくれない!?
でもククールの気持ちはもとてもよく分かる!!
私も不慮の事故ってことにしておけば見逃してもらえるんじゃないかなって思ったもんね!!
ともかく気を取り直して、アルゴリザード探しを続行。
坂道を登って木の幹にかかっている袋を漁ったり、ツボの中を漁ったりしつつ、みんなでアルゴリザードを探していると。
「おっ! あそこに一匹、気持ち良さそうにグースカ眠ってる奴がおるではないか」
川を挟んだ対岸には、おやすみタイムのアルゴリザード。
さっきアルゴンハートを落とした個体とは別のアルゴリザードみたいだ。
川の真ん中には切り株のようなものがあるにはあるけど、向こう岸に渡ったとしても、足場が狭くて戦えない。
「おいエイトよ。向こう岸にいるアルゴリザードを、何とかおびき寄せられないか?」
「ええと……とりあえずやってみます」
まあ、こっちにおびき寄せて戦うのが上策か。
って言ってもなぁ〜、どうやっておびき寄せるよ?
だって爆睡してんだぜ、あのアルゴリザード。
「川を渡って起こした後、こっちに戻りゃあいいんじゃねぇですかね」
「それだと逃げるわよ。それにアルゴリザードに背中を向けるのは危険だわ」
「ま、こっちに寄せるしかないってこった。が、どうやって誘き出すかねぇ」
何か使えるものはないかと、キョロキョロと辺りを見渡すと。
なんとあるではないか──ジョロの実が!
それも川の向こうにあるんだけど、歩いて渡れそうな太い木の幹がかかっている。
「エイトエイト! あれ使えるんじゃない?」
「あれ?」
私の指差した方向を見やって、エイトが首を傾げる。
そうして木の足場を渡ってジョロの実を持ち上げると、「重っ……」と本音が漏れていた。
あれ結構重たいんだ、子供たちよく持ててたな。
「おいエイト。そなたの持ち上げた物を見せてみろ」
私たちの背後からチャゴス王子がエイトへそう声を掛ける。
振り返ったエイトが抱えている物を見たチャゴス王子が、ふむふむと頷く。
「ほほう……これがジョロの実か。たしか大臣が言っていたな。アルゴリザードはこの実が大好物だと。奴らはジョロの実の匂いに敏感で、眠っていても目を覚ますとか。まあ、それだけ大好物だということか」
「へえ、そんな効果があるやつだったんだ」
それを抱えたエイトが、先程渡ってきた木の足場を渡って戻ってくる。
そうしてそのジョロの実を、アルゴリザードが眠っているすぐ傍にある、大きな切り株へ投げた。
衝撃で割れたジョロの実から、なんとも言えない匂いが溢れ出る。
瞬間、なんと爆睡していたアルゴリザードが起き上がった!
「マジで起きた!」
「こっちに来るぞ、構えろ!」
「シギャアアッ!!」
私たちを見て、アルゴリザードが鋭い爪を振り下ろす。
それを剣で受け止めて隙を作り出したところに、チャゴス王子の一撃!
やっぱりまるで効いていない!!
「う、うわぁぁぁ〜!!」
そして逃げた。
やっぱこうなるよね、知ってた。
アルゴリザードの爪を弾き返して間合いを取る。
仕方ない、護衛の域はかなりはみ出してるけど、私たちが倒してやらないと一生終わらなさそうだもんな!
次は王子が満足する大きさでありますように!!
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