35章
夢小説設定
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宿屋を後にした私たちは、早速サザンビーク城内へ向かうことにした。
なおゼシカはバニースーツのままだが、頭部はうさみみバンドから銀の髪飾りへ変わっている。
これはこれで……ありです。
「ほえぇ……」
「天井高ぇ……」
「さすが世界一の大国ね……」
お城慣れしていないヤンガス、ククール、ゼシカの三人は、城に入るなりそう呟いた。
トロデーン城も広いと思っていたけど、それ以上だ。
すごいな、どれだけの大国なんだ、サザンビークは。
「やっぱトロデーンより断然広いねー」
「そうだね……。じゃあまずは、国王様に謁見しようか」
エイトに続いて、私たちは赤い絨毯が敷いてある階段を上った。
そのまま赤い絨毯に沿って歩くと、謁見の間に到着。
横に立つ近衛兵から「粗相のないように」と言われたけど、何やかんやヤンガス以外は育ちが良かったり、マナーを叩き込まれたりしているので大丈夫だろう。
「じゃあ、準備はいい?」
「オッケー!」
私がそう答え、みんなも頷いた。
エイトの手が広間の扉を開ける。
長い絨毯の先には、玉座に座った国王陛下と大臣が、何やら真剣な顔で議論を交わしている。
我々に気付いた国王陛下は議論をやめ、こちらを見て──。
国王陛下は、エイトを見た途端、勢いよく立ち上がった。
なにか信じられないものを見るような顔だ。
そんなにエイトって変な顔してる?
生き別れた兄弟が帰ってきたレベルの驚き方してるけど。
「如何されましたか? クラビウス王。お加減でもよろしくないのですか?」
隣にいる大臣が国王陛下へそう尋ねる。
答えない陛下の視線は、エイトに釘付けだ。
いよいよ怖くなってきて、私はエイトの顔を見上げ、それから背後の三人を振り向いた。
「あの旅の者が何か?」
エイトのことをちらと見た大臣に再度問われ、クラビウス王は自身に呆れるように目を擦った。
「……いや、何でもない」と答えた声も覇気がない。
「他人の空似だ。よく見れば全然似ていないではないか」
「はぇ……? 他人の空似……?」
クラビウス王のよく知る人とエイトが似ていたのかな。
まあ、世界には自分と似た人が三人いるとか言うし。
クラビウス王の知り合いとエイトが似ていることも、あるのかもしれない。
それにしては反応が気になったけど、言及はしないでおこう。
「エイト、知り合いなの?」
「まさか。そんなわけないよ」
エイトは即答だ。
でもエイトとクラビウス王が初対面なのは、私も嘘じゃないと分かる。
なにせ出会ってから今まで、同じ仕事をしてきたわけだしね。
クラビウス王は力なく頭を振って、玉座へと座られた。
立派な玉座だなぁ、と見当違いな感想が浮かんだけど、口から出てくるのは我慢できた。
「改めて、私が国王のクラビウスだ。私に何か用かね?」
「お初にお目にかかります、クラビウス王」
エイトの兵士の礼にならって、私も手を胸に当てて頭を下げた。
ただの旅人が正式な挨拶をするんだから、クラビウス王や大臣も驚いている。
これちょっと楽しいな。
「実は、魔法の鏡を私たちにお譲り頂きたく、お願いに参上致しました」
「サザンビーク王家の家宝であることは承知の上ですが、僕たちの旅を進める上で、どうしても必要なんです」
「なに!? 魔法の鏡だと。なぜそなたたちが、我が王家に伝わる家宝を必要としているのだ? 申してみよ」
威厳がたっぷりで怖い!
説明役、頑張ってくれ……!
でもさすがのエイトも緊張しているらしくて、慎重に言葉を選んでいた。
「僕たちは今、ドルマゲスという悪党を追っていて……。奴が逃げ込んだ先の入口に張ってある結界を破くには、その鏡の力が必要だということが分かったんです」
「何人も殺した大悪党よ。野放しにしていたら、サザンビークにも魔の手が及ぶかもしれないわ」
「奴が動けなくなっている今のうちに叩いておきたい。これ以上の犠牲は出したくなくてね」
「私たちはそいつを追って、色んなところを旅してきたんです。幾度となく襲い来る危機を乗り越えて、やっと追い詰めたんです」
ここで魔法の鏡をもらえなかったら、ドルマゲスを止められない。
なんとしてでも魔法の鏡を譲ってもらわないと!
お願いします、とエイトが頭を下げる。
私たちの訴えを聞いたクラビウス王は難しい顔をしていたけれど、やはり首を振った。
「事情は分かった。だが魔法の鏡は王家の宝である。持ち出すことはならん」
ですよね。
そんな簡単に「はいどうぞ」ってやれるなら、それは家宝じゃないもんね。
これは困ったな……。
「やっぱりダメでがすか……」
「まっ、そんなこったろうと思ってたよ。はなっから借りられるとは期待してなかったけどな」
「どうすればいいのよ……。サーベルト兄さんの仇を討つには、魔法の鏡が必要だってのに!」
「あの暗闇の中を歩くのは無理だもんね……。やっぱり結界を破らないことにはどうにも……」
まさかここで万事休すか?
冗談じゃない、そうなったら陛下や姫様が……お城のみんなが、いつまでも呪われたままになってしまう。
私たちの母国だもん、絶対に呪いを解かないと。
なおゼシカはバニースーツのままだが、頭部はうさみみバンドから銀の髪飾りへ変わっている。
これはこれで……ありです。
「ほえぇ……」
「天井高ぇ……」
「さすが世界一の大国ね……」
お城慣れしていないヤンガス、ククール、ゼシカの三人は、城に入るなりそう呟いた。
トロデーン城も広いと思っていたけど、それ以上だ。
すごいな、どれだけの大国なんだ、サザンビークは。
「やっぱトロデーンより断然広いねー」
「そうだね……。じゃあまずは、国王様に謁見しようか」
エイトに続いて、私たちは赤い絨毯が敷いてある階段を上った。
そのまま赤い絨毯に沿って歩くと、謁見の間に到着。
横に立つ近衛兵から「粗相のないように」と言われたけど、何やかんやヤンガス以外は育ちが良かったり、マナーを叩き込まれたりしているので大丈夫だろう。
「じゃあ、準備はいい?」
「オッケー!」
私がそう答え、みんなも頷いた。
エイトの手が広間の扉を開ける。
長い絨毯の先には、玉座に座った国王陛下と大臣が、何やら真剣な顔で議論を交わしている。
我々に気付いた国王陛下は議論をやめ、こちらを見て──。
国王陛下は、エイトを見た途端、勢いよく立ち上がった。
なにか信じられないものを見るような顔だ。
そんなにエイトって変な顔してる?
生き別れた兄弟が帰ってきたレベルの驚き方してるけど。
「如何されましたか? クラビウス王。お加減でもよろしくないのですか?」
隣にいる大臣が国王陛下へそう尋ねる。
答えない陛下の視線は、エイトに釘付けだ。
いよいよ怖くなってきて、私はエイトの顔を見上げ、それから背後の三人を振り向いた。
「あの旅の者が何か?」
エイトのことをちらと見た大臣に再度問われ、クラビウス王は自身に呆れるように目を擦った。
「……いや、何でもない」と答えた声も覇気がない。
「他人の空似だ。よく見れば全然似ていないではないか」
「はぇ……? 他人の空似……?」
クラビウス王のよく知る人とエイトが似ていたのかな。
まあ、世界には自分と似た人が三人いるとか言うし。
クラビウス王の知り合いとエイトが似ていることも、あるのかもしれない。
それにしては反応が気になったけど、言及はしないでおこう。
「エイト、知り合いなの?」
「まさか。そんなわけないよ」
エイトは即答だ。
でもエイトとクラビウス王が初対面なのは、私も嘘じゃないと分かる。
なにせ出会ってから今まで、同じ仕事をしてきたわけだしね。
クラビウス王は力なく頭を振って、玉座へと座られた。
立派な玉座だなぁ、と見当違いな感想が浮かんだけど、口から出てくるのは我慢できた。
「改めて、私が国王のクラビウスだ。私に何か用かね?」
「お初にお目にかかります、クラビウス王」
エイトの兵士の礼にならって、私も手を胸に当てて頭を下げた。
ただの旅人が正式な挨拶をするんだから、クラビウス王や大臣も驚いている。
これちょっと楽しいな。
「実は、魔法の鏡を私たちにお譲り頂きたく、お願いに参上致しました」
「サザンビーク王家の家宝であることは承知の上ですが、僕たちの旅を進める上で、どうしても必要なんです」
「なに!? 魔法の鏡だと。なぜそなたたちが、我が王家に伝わる家宝を必要としているのだ? 申してみよ」
威厳がたっぷりで怖い!
説明役、頑張ってくれ……!
でもさすがのエイトも緊張しているらしくて、慎重に言葉を選んでいた。
「僕たちは今、ドルマゲスという悪党を追っていて……。奴が逃げ込んだ先の入口に張ってある結界を破くには、その鏡の力が必要だということが分かったんです」
「何人も殺した大悪党よ。野放しにしていたら、サザンビークにも魔の手が及ぶかもしれないわ」
「奴が動けなくなっている今のうちに叩いておきたい。これ以上の犠牲は出したくなくてね」
「私たちはそいつを追って、色んなところを旅してきたんです。幾度となく襲い来る危機を乗り越えて、やっと追い詰めたんです」
ここで魔法の鏡をもらえなかったら、ドルマゲスを止められない。
なんとしてでも魔法の鏡を譲ってもらわないと!
お願いします、とエイトが頭を下げる。
私たちの訴えを聞いたクラビウス王は難しい顔をしていたけれど、やはり首を振った。
「事情は分かった。だが魔法の鏡は王家の宝である。持ち出すことはならん」
ですよね。
そんな簡単に「はいどうぞ」ってやれるなら、それは家宝じゃないもんね。
これは困ったな……。
「やっぱりダメでがすか……」
「まっ、そんなこったろうと思ってたよ。はなっから借りられるとは期待してなかったけどな」
「どうすればいいのよ……。サーベルト兄さんの仇を討つには、魔法の鏡が必要だってのに!」
「あの暗闇の中を歩くのは無理だもんね……。やっぱり結界を破らないことにはどうにも……」
まさかここで万事休すか?
冗談じゃない、そうなったら陛下や姫様が……お城のみんなが、いつまでも呪われたままになってしまう。
私たちの母国だもん、絶対に呪いを解かないと。
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