34章
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西の大陸は今日も晴れ。
気持ちのいい旅日和が続いている。
そんな中、私たちはキラーパンサーに跨ってサザンビーク城を目指して、街道を爆走中だ。
「いやー、キラーパンサーって便利ー!」
「やっぱこういうのがねえとなー」
「徒歩にならなくてほっとしたでがすなぁ」
「そうだけど、お姫様は大丈夫かしら?」
恐る恐ると後ろを振り返ると──そこには、我々に置いていかれまいと必死に馬車を引いて走る姫様が。
罪悪感が膨らんでいく……。
姫様に馬車を引かせておいて、私たちはキラパンに乗るだけなんて、呪いが解けた姫様から文句を言われてもおかしくないぞ……。
「うおお……。馬姫様が全力疾走してるでがすよ……」
「うーん、だいぶ申し訳ないような……」
「気にしてても仕方ないよ。早くサザンビークに行こう!」
「エイト!? 今のさりげなく酷かったからね!?」
忠誠心があるんだか無いんだか分かんないよ!
ていうか、せめて姫様を労る一言くらいあれよ!
聞こえてなさそうだからってセーフじゃないからな!
さすがに申し訳ないので、姫様のために休憩はこまめにとる事にした。
先を急ぐ気持ちは分かるけど、姫様を置いて先に行くわけにはいかないからね。
「ラパンハウスを出てからそれなりに走ってきたけど、今どの辺なんだろ」
「えっと……地図の通りに進めば、途中で分かれ道があるんだけど、そこがだいたい中間地点になるみたいで」
「今のところ、一本道よね?」
「まだまだ先ってことでげすか。こりゃあいよいよキラーパンサーに乗れるようになっといて正解でがしたよ」
「ほんとだねぇ」
「コケーッ!」
……うん?
なんかニワトリみたいな声がしたけど。
どこから? と全員が顔を見合わせた時。
コケコッコー!!という雄叫びが真横から響いた。
「ぎゃあ──ッ!?」
「レイラー!!」
「綺麗にキラーパンサーから落ちてったでげすよ!」
「お、応戦ー!!」
不意打ちで雄叫びとは、なかなかやるな、このチキン野郎……。
まだ耳の中がぐわんぐわんしてる……。
私がよろよろとしている間にみんなの総攻撃でチキン野郎は倒されていた。
いいとこひとつもなかったな。
近衛兵としての威厳ってまだ残ってるかな、私に。
「ふう。やっぱここらの敵は、一筋縄じゃ行かねえな」
「そうだねぇ。でもその分、私たちも強くなれるじゃん」
「まあ、そうなんだけどよ……」
「言いたいことあるなら言いな。聞いてやんよ」
「雄叫びで腰抜かしてただけの奴にしては態度がでけーな」
「メラミ」
「どわぁ!!」
ククールが綺麗に弧を描いて、キラーパンサーから落ちていった。
ざまぁ見やがれ。
「喧嘩はやめなよ……」と呟いて、少し疲れたような顔をしたエイトは、再びキラーパンサーに跨った。
休憩を終えて、再びパタッパタッとキラーパンサーを走らせる。
今日中にサザンビーク城に到着できるといいけどなぁ。
それにしてもキラーパンサーってかわいいよね。
キラーパンサーはただ走るだけ。
私たちはただ乗るだけ。
姫様は走って馬車まで引いている。
本当にトロデーンが復活したら首を刎ねられないか心配だな。
……姫様、申し訳ありません……。
* * *
お昼を過ぎた頃、ようやく分かれ道に差し掛かった。
分かれ道の少し手前では、旅商人がテントを張っている。
せっかくなので品物を見せてもらうことにした。
ちなみにこの時、我々がキラーパンサーに乗ってやってきたせいか、魔物に襲われると勘違いさせてしまい、私とエイトで平謝りした。
「どうですか、この身躱しの服! 魔物の攻撃を躱しやすくなるんですよ」
「じゃあククール用に一着」
「はい! 私の分は!?」
「僕とレイラとヤンガスは前衛だから、鎧で固めておかないと。レイラは僕とお揃いで亀の甲羅だよ。良かったね、防御力が高そうで」
「え……ダサ……」
「レイラ、シッ!!」
「それは流石に文句言ってよくない!?」
旅商人が目に見えて悲しそうに微笑んだ。
こいつ、これみよがしに顔を作りやがって!
どう考えたってファッションセンス壊滅的じゃん!
花も恥じらう乙女になんてモンを着せようとしてんだよ!
……花が恥じらうような乙女じゃないけど!!
「エイト、そろそろ私のバニースーツも変えていいと思うのよ」
「え、でもバニースーツの方が丈夫そうだよ」
「ゼシカ……もう諦めろ。エイトにとっちゃ防御力が命なんだ」
「あとついでに私としても眼福です。ありがとうございます。まあでも、ほら! サザンビークに行けば、バニースーツより良い防具があるかもしれないし! 元気出して、ゼシカ!」
「半分お前のせいだけどな」
「メラミ」
「だからやめろっての!!」
「この子、魔物にメラミを撃った回数より、ククールに向けた回数のほうが多いんじゃない?」
「僕もそう思う」
我関せずを貫いた顔で、エイトは旅商人にお金を払った。
そして身躱しの服はククールの手へ。
その瞬間、私の脳裏にピンと来た。
「ククールちょっと待った!」
「あぁ!? 今度は何だよ!」
「それステテコパンツと一緒に錬金したら、安らぎのローブになるんじゃないの!?」
「心安らぐものってそういう!?」
ちょうど共有の袋の中に、びっくりサタンが落としていったステテコパンツがある。
売るのを忘れていただけなんだけど、ひょっとしたらひょっとするのでは!?
そんなわけで、買ったばかりの身躱しの服とステテコパンツを、錬金釜へ突っ込んでみた。
「……お、何か出来そうな気配!」
「マジで安らぎのローブになるってのかよ……」
「ほらぁ! 私の勘も捨てたもんじゃないでしょ!」
「あーはいはい、おみそれしました」
ククールとやいのやいの言いながら馬車から戻ると、エイトは笑顔で私に亀の甲羅を差し出してきた。
本当にこれはどうにかならんかったのか。
女の子が着るものじゃないよこれ。
気持ちのいい旅日和が続いている。
そんな中、私たちはキラーパンサーに跨ってサザンビーク城を目指して、街道を爆走中だ。
「いやー、キラーパンサーって便利ー!」
「やっぱこういうのがねえとなー」
「徒歩にならなくてほっとしたでがすなぁ」
「そうだけど、お姫様は大丈夫かしら?」
恐る恐ると後ろを振り返ると──そこには、我々に置いていかれまいと必死に馬車を引いて走る姫様が。
罪悪感が膨らんでいく……。
姫様に馬車を引かせておいて、私たちはキラパンに乗るだけなんて、呪いが解けた姫様から文句を言われてもおかしくないぞ……。
「うおお……。馬姫様が全力疾走してるでがすよ……」
「うーん、だいぶ申し訳ないような……」
「気にしてても仕方ないよ。早くサザンビークに行こう!」
「エイト!? 今のさりげなく酷かったからね!?」
忠誠心があるんだか無いんだか分かんないよ!
ていうか、せめて姫様を労る一言くらいあれよ!
聞こえてなさそうだからってセーフじゃないからな!
さすがに申し訳ないので、姫様のために休憩はこまめにとる事にした。
先を急ぐ気持ちは分かるけど、姫様を置いて先に行くわけにはいかないからね。
「ラパンハウスを出てからそれなりに走ってきたけど、今どの辺なんだろ」
「えっと……地図の通りに進めば、途中で分かれ道があるんだけど、そこがだいたい中間地点になるみたいで」
「今のところ、一本道よね?」
「まだまだ先ってことでげすか。こりゃあいよいよキラーパンサーに乗れるようになっといて正解でがしたよ」
「ほんとだねぇ」
「コケーッ!」
……うん?
なんかニワトリみたいな声がしたけど。
どこから? と全員が顔を見合わせた時。
コケコッコー!!という雄叫びが真横から響いた。
「ぎゃあ──ッ!?」
「レイラー!!」
「綺麗にキラーパンサーから落ちてったでげすよ!」
「お、応戦ー!!」
不意打ちで雄叫びとは、なかなかやるな、このチキン野郎……。
まだ耳の中がぐわんぐわんしてる……。
私がよろよろとしている間にみんなの総攻撃でチキン野郎は倒されていた。
いいとこひとつもなかったな。
近衛兵としての威厳ってまだ残ってるかな、私に。
「ふう。やっぱここらの敵は、一筋縄じゃ行かねえな」
「そうだねぇ。でもその分、私たちも強くなれるじゃん」
「まあ、そうなんだけどよ……」
「言いたいことあるなら言いな。聞いてやんよ」
「雄叫びで腰抜かしてただけの奴にしては態度がでけーな」
「メラミ」
「どわぁ!!」
ククールが綺麗に弧を描いて、キラーパンサーから落ちていった。
ざまぁ見やがれ。
「喧嘩はやめなよ……」と呟いて、少し疲れたような顔をしたエイトは、再びキラーパンサーに跨った。
休憩を終えて、再びパタッパタッとキラーパンサーを走らせる。
今日中にサザンビーク城に到着できるといいけどなぁ。
それにしてもキラーパンサーってかわいいよね。
キラーパンサーはただ走るだけ。
私たちはただ乗るだけ。
姫様は走って馬車まで引いている。
本当にトロデーンが復活したら首を刎ねられないか心配だな。
……姫様、申し訳ありません……。
* * *
お昼を過ぎた頃、ようやく分かれ道に差し掛かった。
分かれ道の少し手前では、旅商人がテントを張っている。
せっかくなので品物を見せてもらうことにした。
ちなみにこの時、我々がキラーパンサーに乗ってやってきたせいか、魔物に襲われると勘違いさせてしまい、私とエイトで平謝りした。
「どうですか、この身躱しの服! 魔物の攻撃を躱しやすくなるんですよ」
「じゃあククール用に一着」
「はい! 私の分は!?」
「僕とレイラとヤンガスは前衛だから、鎧で固めておかないと。レイラは僕とお揃いで亀の甲羅だよ。良かったね、防御力が高そうで」
「え……ダサ……」
「レイラ、シッ!!」
「それは流石に文句言ってよくない!?」
旅商人が目に見えて悲しそうに微笑んだ。
こいつ、これみよがしに顔を作りやがって!
どう考えたってファッションセンス壊滅的じゃん!
花も恥じらう乙女になんてモンを着せようとしてんだよ!
……花が恥じらうような乙女じゃないけど!!
「エイト、そろそろ私のバニースーツも変えていいと思うのよ」
「え、でもバニースーツの方が丈夫そうだよ」
「ゼシカ……もう諦めろ。エイトにとっちゃ防御力が命なんだ」
「あとついでに私としても眼福です。ありがとうございます。まあでも、ほら! サザンビークに行けば、バニースーツより良い防具があるかもしれないし! 元気出して、ゼシカ!」
「半分お前のせいだけどな」
「メラミ」
「だからやめろっての!!」
「この子、魔物にメラミを撃った回数より、ククールに向けた回数のほうが多いんじゃない?」
「僕もそう思う」
我関せずを貫いた顔で、エイトは旅商人にお金を払った。
そして身躱しの服はククールの手へ。
その瞬間、私の脳裏にピンと来た。
「ククールちょっと待った!」
「あぁ!? 今度は何だよ!」
「それステテコパンツと一緒に錬金したら、安らぎのローブになるんじゃないの!?」
「心安らぐものってそういう!?」
ちょうど共有の袋の中に、びっくりサタンが落としていったステテコパンツがある。
売るのを忘れていただけなんだけど、ひょっとしたらひょっとするのでは!?
そんなわけで、買ったばかりの身躱しの服とステテコパンツを、錬金釜へ突っ込んでみた。
「……お、何か出来そうな気配!」
「マジで安らぎのローブになるってのかよ……」
「ほらぁ! 私の勘も捨てたもんじゃないでしょ!」
「あーはいはい、おみそれしました」
ククールとやいのやいの言いながら馬車から戻ると、エイトは笑顔で私に亀の甲羅を差し出してきた。
本当にこれはどうにかならんかったのか。
女の子が着るものじゃないよこれ。
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