28章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ザザーン……と船体に波が寄せてくる。
その中を船はゆっくりと進んでいた。
ポルトリンクを出発して、私たちは今、西の大陸──ではなく、謎の小島に向かっていた。
「わー、きれいな海ー!」
「そうだね。船自体ご無沙汰してるしね、僕らは」
「気持ちのいい風でがすなあ」
「そうだな。水平線に沈む夕日ってのも、またいいもんなんだろうな」
「そうねえ……まあ……。魔物さえ来なけりゃね」
本当にその通りですね、ゼシカさん。
どうして甲板にまで魔物が這い上がってくるのか。
そういうのはオセアーノンくらいにしてほしいもんだぞ!
「げ、また来たでがすよ!」
「ったく、キリがねえぜ」
「さっさと倒して、早いとこ上陸しましょう!」
「そうだね!」
みんなが武器を構えて戦闘態勢に入る。
私も剣を抜いて──そのまま盾を構えた。
頼むから攻撃してこないでくれ……!!
「……って、レイラ。ずっと思ってたけど、さっきから全然攻撃しないで、防御に徹してるよね? ククールが回復したはずだけど……」
「え!? そそそ、そんなことはないよ!! あーうん、ちょっと調子悪いなーって!! あ、アハハハハ!!」
言い訳に無理があるな……。
エイト以外の全員が「何言ってんだこいつ」みたいな顔してる。
そんな中、大王イカの手が私に攻撃してきた。
「イヤァァァア来ないでぇぇぇええ!!!」
驚異の瞬発力で、私はすべての魔物の攻撃を避け続ける。
トロデーン元近衛兵の名は伊達じゃないんだぞ!!
「レイラ!? レイラが魔物に狙われやすいのは百も承知だけど、なんか君もおかしいよね?」
「狙われるのが当然みたいな言い方やめてくれませんかねエイトさん! じゃなくて、早くこいつら倒してよ!! ギャーッ!! だから来ないでってば──!!」
もうそろそろ逃げるのも疲れたんですけど!!
早く倒してくれませんかね皆さん!!
こちとら心身ともに限界なんじゃい!!
「よく分かんないけど、早く倒してあげよう!」
「そうでがすな! うおぉぉお! ぬすっと狩り!!」
「やれやれ、あいつはどうしたんだ?」
さみだれうちを放ちながら、ククールが呟く。
その間も私はヒィヒィ言いながら、大王イカの足から逃げ続けた。
「海の魔物だから炎系が効くわよね? ──メラミ!!」
「はぁっ!」
最後のエイトの火炎斬りで、ようやく大王イカが倒れた。
周囲に魔物の姿は見当たらない。
戦闘終了だ。
「た、助かった……」
「大丈夫? すごく顔色が悪いけど……。もしかして、船酔いした?」
「バカ、エイト。そんな色気の欠片もねえような理由じゃないだろ。お前に並ぶとはいえ、レイラも立派なレディだってことだよな」
「どういうことだよ?」
「あのねえ……。今までの反応を見ても分かるでしょ? レイラは海の魔物が苦手なのよ。正確に言うと、軟体動物が苦手ってところかしら」
「姉貴にも苦手なものがあるんでがすなあ」
「そ、そりゃあ私にだって苦手なものとか、あるよ……」
特にイカとかタコとか無理です。
食べるほうならいざ知らず。
あんなにゅるにゅるしたもので攻撃とかされたら、絶対に一発で気絶する自信がある。
オセアーノンの時は本当に死ぬ気で戦ってたんだからな!
あとでカルパッチョにしてやるって思って、なんとかやってたんだからな!!
「レイラも可愛いところがあるんだね」
「か、可愛くはないと思いますけど……」
「まあ、そういう理由なら仕方ないか。でも大丈夫、僕たちで守ってあげるから。レイラはトロデ王たちと一緒にいて?」
「う、ん……でも……」
そうしたいけど……なんだか、私が重荷になってる気がして、嫌だった。
いや別に、陛下と姫様が嫌いなんじゃなくて。
私だって役に立ちたい。
しいて言うなら、そんな感じ。
ほとんど意地みたいなものだったけど。
「……嫌、みんなと戦う」
「えっでも、苦手なんだったら、無理しなくても……」
「いずれは克服しなきゃだよ。だってこの先も船に乗って旅をするんだろうし。その度にこんなんじゃ、みんなの負担になっちゃうもん。絶対倒せ……戦えるようになる」
「レイラ……」
倒せるようになるって言えれば格好良かったけど、それは無理だ。
だからせめて、一緒に戦えるようになりたい。
逃げ回るんじゃなくて、ちゃんと力になりたい。
だって私たちはドルマゲスを追いかけているんだもん。
イカ相手にビビってたんじゃ、ドルマゲスなんて倒せっこない。
その中を船はゆっくりと進んでいた。
ポルトリンクを出発して、私たちは今、西の大陸──ではなく、謎の小島に向かっていた。
「わー、きれいな海ー!」
「そうだね。船自体ご無沙汰してるしね、僕らは」
「気持ちのいい風でがすなあ」
「そうだな。水平線に沈む夕日ってのも、またいいもんなんだろうな」
「そうねえ……まあ……。魔物さえ来なけりゃね」
本当にその通りですね、ゼシカさん。
どうして甲板にまで魔物が這い上がってくるのか。
そういうのはオセアーノンくらいにしてほしいもんだぞ!
「げ、また来たでがすよ!」
「ったく、キリがねえぜ」
「さっさと倒して、早いとこ上陸しましょう!」
「そうだね!」
みんなが武器を構えて戦闘態勢に入る。
私も剣を抜いて──そのまま盾を構えた。
頼むから攻撃してこないでくれ……!!
「……って、レイラ。ずっと思ってたけど、さっきから全然攻撃しないで、防御に徹してるよね? ククールが回復したはずだけど……」
「え!? そそそ、そんなことはないよ!! あーうん、ちょっと調子悪いなーって!! あ、アハハハハ!!」
言い訳に無理があるな……。
エイト以外の全員が「何言ってんだこいつ」みたいな顔してる。
そんな中、大王イカの手が私に攻撃してきた。
「イヤァァァア来ないでぇぇぇええ!!!」
驚異の瞬発力で、私はすべての魔物の攻撃を避け続ける。
トロデーン元近衛兵の名は伊達じゃないんだぞ!!
「レイラ!? レイラが魔物に狙われやすいのは百も承知だけど、なんか君もおかしいよね?」
「狙われるのが当然みたいな言い方やめてくれませんかねエイトさん! じゃなくて、早くこいつら倒してよ!! ギャーッ!! だから来ないでってば──!!」
もうそろそろ逃げるのも疲れたんですけど!!
早く倒してくれませんかね皆さん!!
こちとら心身ともに限界なんじゃい!!
「よく分かんないけど、早く倒してあげよう!」
「そうでがすな! うおぉぉお! ぬすっと狩り!!」
「やれやれ、あいつはどうしたんだ?」
さみだれうちを放ちながら、ククールが呟く。
その間も私はヒィヒィ言いながら、大王イカの足から逃げ続けた。
「海の魔物だから炎系が効くわよね? ──メラミ!!」
「はぁっ!」
最後のエイトの火炎斬りで、ようやく大王イカが倒れた。
周囲に魔物の姿は見当たらない。
戦闘終了だ。
「た、助かった……」
「大丈夫? すごく顔色が悪いけど……。もしかして、船酔いした?」
「バカ、エイト。そんな色気の欠片もねえような理由じゃないだろ。お前に並ぶとはいえ、レイラも立派なレディだってことだよな」
「どういうことだよ?」
「あのねえ……。今までの反応を見ても分かるでしょ? レイラは海の魔物が苦手なのよ。正確に言うと、軟体動物が苦手ってところかしら」
「姉貴にも苦手なものがあるんでがすなあ」
「そ、そりゃあ私にだって苦手なものとか、あるよ……」
特にイカとかタコとか無理です。
食べるほうならいざ知らず。
あんなにゅるにゅるしたもので攻撃とかされたら、絶対に一発で気絶する自信がある。
オセアーノンの時は本当に死ぬ気で戦ってたんだからな!
あとでカルパッチョにしてやるって思って、なんとかやってたんだからな!!
「レイラも可愛いところがあるんだね」
「か、可愛くはないと思いますけど……」
「まあ、そういう理由なら仕方ないか。でも大丈夫、僕たちで守ってあげるから。レイラはトロデ王たちと一緒にいて?」
「う、ん……でも……」
そうしたいけど……なんだか、私が重荷になってる気がして、嫌だった。
いや別に、陛下と姫様が嫌いなんじゃなくて。
私だって役に立ちたい。
しいて言うなら、そんな感じ。
ほとんど意地みたいなものだったけど。
「……嫌、みんなと戦う」
「えっでも、苦手なんだったら、無理しなくても……」
「いずれは克服しなきゃだよ。だってこの先も船に乗って旅をするんだろうし。その度にこんなんじゃ、みんなの負担になっちゃうもん。絶対倒せ……戦えるようになる」
「レイラ……」
倒せるようになるって言えれば格好良かったけど、それは無理だ。
だからせめて、一緒に戦えるようになりたい。
逃げ回るんじゃなくて、ちゃんと力になりたい。
だって私たちはドルマゲスを追いかけているんだもん。
イカ相手にビビってたんじゃ、ドルマゲスなんて倒せっこない。
1/3ページ
