22章
夢小説設定
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ゲルダ邸を後にした私達は、パルミドへと戻ってきた。
前回は不在で会えなかったという情報屋さんに会うためだ。
陛下と姫様を町の外に残して、私達はパルミド内へ。
物乞い通りからパルミド上層の通路を渡って、情報屋さんの仕事場へ到着。
ヤンガスがノックをすると、「どうぞ」と声があった。
「お久しぶりでがす、旦那。やっと帰ってきたんでがすね」
室内へと入り、ヤンガスが情報屋さんへ頭を下げる。
私達もその後ろで頭を下げた。
「おや? ヤンガスくんじゃないですか。留守の間に来てたんですか? それは悪いことをしました。でもわざわざもう一度訪ねてきたってことは、何か私に聞きたいことがあるんですね?」
おお、さすが情報屋さん。
ヤンガスの一言からそこまでの推測を立てられるとは。
この人、できる人だな……。
トロデーンが復活したら、諜報員として欲しいかも。
「さすが旦那は話が早ぇや。実は今、ドルマゲスっていう道化師の格好をした男を追ってるんだ。ところがこいつ、逃げ足だけは速くて見失っちまってね。何とかならねぇもんですかね?」
「道化師姿の男の話なら聞いてますよ。なんでも、マイエラ修道院の院長を殺害した犯人だとか……。私が得た情報では、そのドルマゲスはなんと海の上を歩いて渡り、西の大陸の方へ向かったそうですよ」
やっぱり海の上を歩いて渡れるのは反則だよな!
こっちは船がないと移動できないっていうのにさ!
それにしても、今度は西の大陸かぁ。
いろいろと噂は聞くけど、実際に行ってみたことはないんだよね。
「西の大陸ぅ? もちっと詳しく分かんねぇんですかい?」
「残念ながらそこまでは……。力及ばず申し訳ありません」
「まあ、旦那に分かんねぇんなら、これ以上知りようはねぇでがすがね。とにかく西の大陸へ向かうでがす!」
まぁ、それしかないか。
本当はここでもう少し情報を仕入れておきたかったけど……。
となると、船着き場に戻って、西の大陸に向かう定期船に乗っていけばいいのかな。
他の大陸に向かうことなんて、この南の大陸が初めてだったから、西の大陸への行き方が分からないや。
「ちょっと、お待ちなさい。行動が早いのは結構ですが、どうやって西の大陸へ渡る気ですか?」
「……へっ?」
「このところ、海の魔物が凶暴化してるため、この大陸や、トロデーン国の大陸からは、西の大陸への定期船は出てませんよ。自分の船でも持っていれば話は別ですが、君、船なんて持ってないでしょう? どうやって西の大陸へ渡る気ですか?」
……え、定期船って、ないの?
つまり最初はこの大陸にも来られなかったのと同じように、今じゃどこの大陸にも向かえないってこと!?
「こ、こんなところで私達の旅って詰むの!?」
「まさかゲルダさんに船を貸してもらうわけにはいかないしなぁ……」
「貸してもらえないでしょ。あの女盗賊さんにとっては、よほど大事な船らしいじゃない」
「……やれやれ。こんなところで足止めどころか、追いかける手段ごと潰えるとは。どんなツラして修道院に帰ったもんかな」
情報屋さんの言う通り、昔はポルトリンクから、各大陸に向かう定期船が出ていた。
管理はそれこそアルバート家が担っていたけれど、トロデーン国の大陸にやってくる際は必ず辿り着く場所だ。
もちろん、トロデーン国の者が他の大陸に向かう時は、わざわざポルトリンクまで行かず、城のすぐそばにある桟橋から船に乗っていたので、ポルトリンク自体は前回が初めてだったわけだけど。
「そ、それは……そんなこと、これっぽっちも考えてなかったでがす」
やっぱヤンガスも考えてなかったかー……。
そりゃそうだ、私達も定期船に乗る気満々だったもん。
まさか定期船が出てないなんて、誰が思うのか。
「やれやれ、困った人だ。さて、そんな君のために、ひとつ、耳寄りな情報を教えてあげましょう」
そう言って情報屋さんは、意味ありげにモノクルを押し上げた。
「港町ポルトリンクから崖伝いに西へ進むと、そこに広がる荒野に、打ち捨てられた古い船があるそうです。どうしてそんな水もない場所に船があるのかは分かりませんが、噂ではそれは古代の魔法船だとか。もしその船を復活させることができたら、きっと世界中の海を自由に渡ることができるのでしょうね」
「世界中の……海を、自由に……」
もしそれが叶えば、ドルマゲスを追う旅がぐっと楽になる。
定期船問題に振り回されなくて済むのはありがたい。
「……そうそう。ポルトリンクの西といえば、少し前まで崖崩れで進めなかったのが、最近ようやく、道が開通したそうですよ」
これはもう、行ってみるしかないんじゃなかろうか。
なにより自分たちだけの船って、なんか格好よくない!?
世界中を冒険してる感じがする!
「レイラが目に見えてワクワクしてるわ……」
「だな。あんたの好きそうな話だと思ったよ」
「兄貴、姉貴! 聞いたとおりでがす! 急いでポルトリンクに戻るでがすよ!」
「善は急げだ。情報屋さん、ありがとうございました!」
お礼もそこそこに私たちは情報屋さんの仕事場を飛び出して、来た道をぐるっと戻り、パルミドの外に出た。
外で待っていた姫様と陛下への説明もすっ飛ばして、エイトがルーラを唱える。
「こりゃあ〜! どこに行くんじゃあ〜!」という陛下の声を残して、私たちはパルミドからポルトリンクへと飛んで行ったのだった。
前回は不在で会えなかったという情報屋さんに会うためだ。
陛下と姫様を町の外に残して、私達はパルミド内へ。
物乞い通りからパルミド上層の通路を渡って、情報屋さんの仕事場へ到着。
ヤンガスがノックをすると、「どうぞ」と声があった。
「お久しぶりでがす、旦那。やっと帰ってきたんでがすね」
室内へと入り、ヤンガスが情報屋さんへ頭を下げる。
私達もその後ろで頭を下げた。
「おや? ヤンガスくんじゃないですか。留守の間に来てたんですか? それは悪いことをしました。でもわざわざもう一度訪ねてきたってことは、何か私に聞きたいことがあるんですね?」
おお、さすが情報屋さん。
ヤンガスの一言からそこまでの推測を立てられるとは。
この人、できる人だな……。
トロデーンが復活したら、諜報員として欲しいかも。
「さすが旦那は話が早ぇや。実は今、ドルマゲスっていう道化師の格好をした男を追ってるんだ。ところがこいつ、逃げ足だけは速くて見失っちまってね。何とかならねぇもんですかね?」
「道化師姿の男の話なら聞いてますよ。なんでも、マイエラ修道院の院長を殺害した犯人だとか……。私が得た情報では、そのドルマゲスはなんと海の上を歩いて渡り、西の大陸の方へ向かったそうですよ」
やっぱり海の上を歩いて渡れるのは反則だよな!
こっちは船がないと移動できないっていうのにさ!
それにしても、今度は西の大陸かぁ。
いろいろと噂は聞くけど、実際に行ってみたことはないんだよね。
「西の大陸ぅ? もちっと詳しく分かんねぇんですかい?」
「残念ながらそこまでは……。力及ばず申し訳ありません」
「まあ、旦那に分かんねぇんなら、これ以上知りようはねぇでがすがね。とにかく西の大陸へ向かうでがす!」
まぁ、それしかないか。
本当はここでもう少し情報を仕入れておきたかったけど……。
となると、船着き場に戻って、西の大陸に向かう定期船に乗っていけばいいのかな。
他の大陸に向かうことなんて、この南の大陸が初めてだったから、西の大陸への行き方が分からないや。
「ちょっと、お待ちなさい。行動が早いのは結構ですが、どうやって西の大陸へ渡る気ですか?」
「……へっ?」
「このところ、海の魔物が凶暴化してるため、この大陸や、トロデーン国の大陸からは、西の大陸への定期船は出てませんよ。自分の船でも持っていれば話は別ですが、君、船なんて持ってないでしょう? どうやって西の大陸へ渡る気ですか?」
……え、定期船って、ないの?
つまり最初はこの大陸にも来られなかったのと同じように、今じゃどこの大陸にも向かえないってこと!?
「こ、こんなところで私達の旅って詰むの!?」
「まさかゲルダさんに船を貸してもらうわけにはいかないしなぁ……」
「貸してもらえないでしょ。あの女盗賊さんにとっては、よほど大事な船らしいじゃない」
「……やれやれ。こんなところで足止めどころか、追いかける手段ごと潰えるとは。どんなツラして修道院に帰ったもんかな」
情報屋さんの言う通り、昔はポルトリンクから、各大陸に向かう定期船が出ていた。
管理はそれこそアルバート家が担っていたけれど、トロデーン国の大陸にやってくる際は必ず辿り着く場所だ。
もちろん、トロデーン国の者が他の大陸に向かう時は、わざわざポルトリンクまで行かず、城のすぐそばにある桟橋から船に乗っていたので、ポルトリンク自体は前回が初めてだったわけだけど。
「そ、それは……そんなこと、これっぽっちも考えてなかったでがす」
やっぱヤンガスも考えてなかったかー……。
そりゃそうだ、私達も定期船に乗る気満々だったもん。
まさか定期船が出てないなんて、誰が思うのか。
「やれやれ、困った人だ。さて、そんな君のために、ひとつ、耳寄りな情報を教えてあげましょう」
そう言って情報屋さんは、意味ありげにモノクルを押し上げた。
「港町ポルトリンクから崖伝いに西へ進むと、そこに広がる荒野に、打ち捨てられた古い船があるそうです。どうしてそんな水もない場所に船があるのかは分かりませんが、噂ではそれは古代の魔法船だとか。もしその船を復活させることができたら、きっと世界中の海を自由に渡ることができるのでしょうね」
「世界中の……海を、自由に……」
もしそれが叶えば、ドルマゲスを追う旅がぐっと楽になる。
定期船問題に振り回されなくて済むのはありがたい。
「……そうそう。ポルトリンクの西といえば、少し前まで崖崩れで進めなかったのが、最近ようやく、道が開通したそうですよ」
これはもう、行ってみるしかないんじゃなかろうか。
なにより自分たちだけの船って、なんか格好よくない!?
世界中を冒険してる感じがする!
「レイラが目に見えてワクワクしてるわ……」
「だな。あんたの好きそうな話だと思ったよ」
「兄貴、姉貴! 聞いたとおりでがす! 急いでポルトリンクに戻るでがすよ!」
「善は急げだ。情報屋さん、ありがとうございました!」
お礼もそこそこに私たちは情報屋さんの仕事場を飛び出して、来た道をぐるっと戻り、パルミドの外に出た。
外で待っていた姫様と陛下への説明もすっ飛ばして、エイトがルーラを唱える。
「こりゃあ〜! どこに行くんじゃあ〜!」という陛下の声を残して、私たちはパルミドからポルトリンクへと飛んで行ったのだった。
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