2章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
滝の洞窟へは道に沿って進めばいいようで、真っ直ぐ進めば向こうに滝のようなものが見えてきた。
道中の分かれ道には立て看板があり、ここを曲がればリーザス地方へと向かえるらしい。
ともあれ、用があるのは滝の洞窟。
リーザス地方はまた今度、だ。
「あれかな、滝の洞窟って」
「ああ、そうかも。滝が流れてるし、間違いなさそうだ」
「あの滝の上から落ちたら死ぬかな?」
「どうだろう。やってみる?」
「エイトがね」
にっこりと笑って親指を立てる。
エイトは無言で私の手を下ろさせた。
「お二人とも、やめるでがすよ喧嘩なんて」
「心配するなよ、ヤンガス
こういうのは日常茶飯事だったから慣れてる」
「なんかそれ、私が日常的にエイトをいじめてたみたいに聞こえるからやめようね」
「ほぼ日常的だったじゃないか」
「はいはい、そういうこと言わない言わない
事実を捻じ曲げるのはよくないねエイトー?」
「いや、僕の言ってることが事実だろ!」
「どっちもどっちじゃろうが
エイトはいい加減、揶揄われているのじゃと気付かんかい」
「え?」
「鈍っ!!!」
「レイラー!!!」
「きゃあぁぁぁあ!!!
ゴメン、ほんとゴメンって!!」
真っ赤な顔で追いかけてきたエイトから逃げる。
そう、これこそが私達の日常。
エイトを揶揄っては追いかけられて、最後には捕まって怒られる。
それでもエイトが私を嫌わないのは、きっと家族のように近しい存在だから。
「青春じゃのう……」
「青春でがすな……」
「ヒヒン(青春ですわね)……」
そんな三人の呟きがあったことは知らない。
滝の洞窟は、思ったよりもトラペッタの町から近かった。
道中の魔物もそれほど強いわけでもなかったおかげで、体力はほぼ満タンだ。
「どうやら着いたようじゃな。わしも行きたいところじゃが、ミーティアを危険な目に遭わすわけにはいかんのじゃ。水晶の探索はエイトらに任せ、わしとミーティアは外で待っておる。気を付けて行ってくるのじゃぞ」
「陛下も、お気を付けて。なるべく急いで戻ってまいります」
滝の洞窟――どれほどの魔物が待っているかは分からないけど、気を引き締めた方が良さそうだ。
エイトが手頃な木の幹を折って、火打石で火種を飛ばす。
松明に火がついて、私達は洞窟へと足を踏み入れた。
洞窟の中は、さすが滝の洞窟と呼ばれるだけあって、内部にも滝が出来ていた。
「わ、広い……!」
想像していたよりも広い空間に圧倒される。
いくつも滝の流れる音は、大声で話さないと聞き取れないほどだ。
「迷子にならないように、エイトから離れないでねー!」
そう言いながら、手にしていた松明をエイトに渡す。
「え、なんで僕に渡したの?」
「だってエイトがリーダーだから」
「なんか魔物が出てきても僕だけに戦わせようとしてない……?」
「気のせい気のせい!」
「キキッ!」
「言ったそばから魔物出た!」
「なにこのミラクル」
魔物はドラキー、油断しなければ勝てる相手だ。
本当に、油断しなければだけど。
「気を付けて!
確かこいつラリホー唱えてくる奴だから!」
そう言った瞬間、ドラキーがラリホーを唱えた。
言ったそばから唱えてくるんかい!
そう思った直後に、頭が突然ぼーっとしていく。
あれ……なんか変な感じ……。
「大丈夫!?」
「心配しないで、大丈夫!
エイト頑張れー」
「ちょっ!
なに僕一人に任せようとして……!!」
「……ほんとだいじょうぶ、だいじょ……くかーっ」
「え、えぇ寝たぁ!? っていうかラリホー効いちゃってたやつだこれ!」
「あっ、姉貴ィー!」
エイトの渾身のツッコミを遠くで聞きながら、私は抗えない眠りに就いた……。
せめて眠るならふかふかのベッドが良かったな……なんて……。
* * *
「……はっ!?」
急に目が覚めて辺りを見渡す。
ここはどこだ、そうだ私は滝の洞窟に入ったんだった。
それでドラキーにラリホーを唱えられて……。
あれ、そこからの記憶がない……。
「姉貴!
大丈夫でがすか?」
「あれ? 私……何してた?」
「ラリホーで眠ってた」
「えっウソ」
「いや本当」
笑いを堪えたエイトの顔がムカつく。
いや、というよりラリホーでぐっすり眠るなんて、とんだ大失態じゃないか!!
トロデーンの元近衛兵が聞いて呆れる……。
「う、うわー! ごめんね!?」
「いや、仕方ないよ。寝坊するくらいだし、まだ眠かったんだろうね」
「寝坊したのはエイトさんですけど」
「気を取り直して先へ進もう!」
「話を聞け!」
何をサラッと罪を擦り付けようとしてるんだ!
私は寝坊なんてしてないんだからな!
……たぶん。
さて、ラリホーで眠ったのはその一回きりで、私達は順調に洞窟の中を進んでいた。
その道中で銅の剣を拾ったので、それは遠慮なくエイトに使ってもらうことにした。
この剣の場所は、拾う手前の辺りで喋るスライムに教えてもらったものだ。
まさかここで本当に人畜無害なスライムに出会うとは思わなかった。
「……それにしても、洞窟の中って意外と広いんだねえ」
「たしかに。気を抜くと迷いそうだ。ヤンガス、ちゃんとついて来てる?」
「もちろんでがすよ。しっかし、さっきの喋るスライムと言い、道を通せんぼするおおきづちといい、不思議な魔物もいる洞窟でがすなぁ」
「本当にね。こっちに敵意のない魔物もいるんだなぁ」
まあ、あのおおきづち、やろうと思えば戦うことにはなっただろうけど、わざわざそんなことをしなくてもいいか、となったわけで。
通してくれるって言うんだから、ありがたく通らせてもらえばいいのだ。
道中の分かれ道には立て看板があり、ここを曲がればリーザス地方へと向かえるらしい。
ともあれ、用があるのは滝の洞窟。
リーザス地方はまた今度、だ。
「あれかな、滝の洞窟って」
「ああ、そうかも。滝が流れてるし、間違いなさそうだ」
「あの滝の上から落ちたら死ぬかな?」
「どうだろう。やってみる?」
「エイトがね」
にっこりと笑って親指を立てる。
エイトは無言で私の手を下ろさせた。
「お二人とも、やめるでがすよ喧嘩なんて」
「心配するなよ、ヤンガス
こういうのは日常茶飯事だったから慣れてる」
「なんかそれ、私が日常的にエイトをいじめてたみたいに聞こえるからやめようね」
「ほぼ日常的だったじゃないか」
「はいはい、そういうこと言わない言わない
事実を捻じ曲げるのはよくないねエイトー?」
「いや、僕の言ってることが事実だろ!」
「どっちもどっちじゃろうが
エイトはいい加減、揶揄われているのじゃと気付かんかい」
「え?」
「鈍っ!!!」
「レイラー!!!」
「きゃあぁぁぁあ!!!
ゴメン、ほんとゴメンって!!」
真っ赤な顔で追いかけてきたエイトから逃げる。
そう、これこそが私達の日常。
エイトを揶揄っては追いかけられて、最後には捕まって怒られる。
それでもエイトが私を嫌わないのは、きっと家族のように近しい存在だから。
「青春じゃのう……」
「青春でがすな……」
「ヒヒン(青春ですわね)……」
そんな三人の呟きがあったことは知らない。
滝の洞窟は、思ったよりもトラペッタの町から近かった。
道中の魔物もそれほど強いわけでもなかったおかげで、体力はほぼ満タンだ。
「どうやら着いたようじゃな。わしも行きたいところじゃが、ミーティアを危険な目に遭わすわけにはいかんのじゃ。水晶の探索はエイトらに任せ、わしとミーティアは外で待っておる。気を付けて行ってくるのじゃぞ」
「陛下も、お気を付けて。なるべく急いで戻ってまいります」
滝の洞窟――どれほどの魔物が待っているかは分からないけど、気を引き締めた方が良さそうだ。
エイトが手頃な木の幹を折って、火打石で火種を飛ばす。
松明に火がついて、私達は洞窟へと足を踏み入れた。
洞窟の中は、さすが滝の洞窟と呼ばれるだけあって、内部にも滝が出来ていた。
「わ、広い……!」
想像していたよりも広い空間に圧倒される。
いくつも滝の流れる音は、大声で話さないと聞き取れないほどだ。
「迷子にならないように、エイトから離れないでねー!」
そう言いながら、手にしていた松明をエイトに渡す。
「え、なんで僕に渡したの?」
「だってエイトがリーダーだから」
「なんか魔物が出てきても僕だけに戦わせようとしてない……?」
「気のせい気のせい!」
「キキッ!」
「言ったそばから魔物出た!」
「なにこのミラクル」
魔物はドラキー、油断しなければ勝てる相手だ。
本当に、油断しなければだけど。
「気を付けて!
確かこいつラリホー唱えてくる奴だから!」
そう言った瞬間、ドラキーがラリホーを唱えた。
言ったそばから唱えてくるんかい!
そう思った直後に、頭が突然ぼーっとしていく。
あれ……なんか変な感じ……。
「大丈夫!?」
「心配しないで、大丈夫!
エイト頑張れー」
「ちょっ!
なに僕一人に任せようとして……!!」
「……ほんとだいじょうぶ、だいじょ……くかーっ」
「え、えぇ寝たぁ!? っていうかラリホー効いちゃってたやつだこれ!」
「あっ、姉貴ィー!」
エイトの渾身のツッコミを遠くで聞きながら、私は抗えない眠りに就いた……。
せめて眠るならふかふかのベッドが良かったな……なんて……。
* * *
「……はっ!?」
急に目が覚めて辺りを見渡す。
ここはどこだ、そうだ私は滝の洞窟に入ったんだった。
それでドラキーにラリホーを唱えられて……。
あれ、そこからの記憶がない……。
「姉貴!
大丈夫でがすか?」
「あれ? 私……何してた?」
「ラリホーで眠ってた」
「えっウソ」
「いや本当」
笑いを堪えたエイトの顔がムカつく。
いや、というよりラリホーでぐっすり眠るなんて、とんだ大失態じゃないか!!
トロデーンの元近衛兵が聞いて呆れる……。
「う、うわー! ごめんね!?」
「いや、仕方ないよ。寝坊するくらいだし、まだ眠かったんだろうね」
「寝坊したのはエイトさんですけど」
「気を取り直して先へ進もう!」
「話を聞け!」
何をサラッと罪を擦り付けようとしてるんだ!
私は寝坊なんてしてないんだからな!
……たぶん。
さて、ラリホーで眠ったのはその一回きりで、私達は順調に洞窟の中を進んでいた。
その道中で銅の剣を拾ったので、それは遠慮なくエイトに使ってもらうことにした。
この剣の場所は、拾う手前の辺りで喋るスライムに教えてもらったものだ。
まさかここで本当に人畜無害なスライムに出会うとは思わなかった。
「……それにしても、洞窟の中って意外と広いんだねえ」
「たしかに。気を抜くと迷いそうだ。ヤンガス、ちゃんとついて来てる?」
「もちろんでがすよ。しっかし、さっきの喋るスライムと言い、道を通せんぼするおおきづちといい、不思議な魔物もいる洞窟でがすなぁ」
「本当にね。こっちに敵意のない魔物もいるんだなぁ」
まあ、あのおおきづち、やろうと思えば戦うことにはなっただろうけど、わざわざそんなことをしなくてもいいか、となったわけで。
通してくれるって言うんだから、ありがたく通らせてもらえばいいのだ。
1/4ページ