九章
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翌日の朝も、いつも通り、世界は昼だった
この状態が異常であるはずなのに、いつも通りと思えてしまう分、私達はこの現象に慣れてしまっているらしい
時計を見れば、今は朝の六時
いつもなら、これから呪符の鍛錬をする時間だけど……
守護者の力が封じられつつある今は、そんなことをしても意味はない
(起きるにはまだ早いかな……)
とはいえ、このまま寝るのもなんだか勿体ない
「うーん……
境内にでも行ってみようかな」
そう呟いて、襖を開ける直前
自動的に襖が開いた
「きゃぁぁあ!?」
「……ほほう、私の顔は寝起きに見ると、悲鳴を上げるほど素敵な顔か?
若干傷ついたぞ」
「あ……そ、そんなつもりじゃなくて……
襖が勝手に開いたように見えて、びっくりしちゃったと言うか……
アリア、起こしに来てくれたのね」
「うむ、美鶴が朝食の用意を手伝ってほしいのだそうだ」
「ああ……確かに、この人数分は、一人で準備するのは大変かも……
ところで、もう友達になれたんだ」
「ここの連中が妙に馴れ馴れしいおかげでな
もっとも、精神と肉体の両面で小さいカラスや、ひたすら生意気な番犬とは仲良くする義理はないが──」
真弘と遼か……
あの二人とアリアは、絶対に反りが合わないって、見ていて分かるもの
仲良くしようとするのが無理なんじゃないだろうか
「うーん
無理に仲良くしなくてもいいんじゃない?」
適当に無責任なことを言って、襖を閉める
そうして、荷物を詰めた鞄の中から、着替えを取り出した
ここに泊まり込むとなった時、私達は自分の家から、当面の着替えを持ってきていたのだ
ちなみに男性陣の洗濯物は、美鶴が畳んだものをそれぞれが持ち帰るルールだけど
女性陣は私しかいないから、美鶴か珠紀ちゃんが持ってきてくれたり、男性陣より先に自分で回収しに行ったりだ
男性陣は着替えがごちゃ混ぜになっていることもしばしばだけど、私の着替えは二人曰く、「主に胸元のサイズが何サイズも上だから、間違いようがない」とのことだった
そんな会話を思い出しつつ、寝間着の上を脱ぐと……
じっとこちらを見つめてくる視線が、妙に刺さる
「……私の顔に何かついてる?」
「い、いや……」
「あ、もしかして寝癖がひどいとか……!」
「安心しろ
お前の髪はいつも通り綺麗なストレートだ」
そう言って、アリアがこちらに背中を向ける
別に、同性同士なんだから、見られても気にしないんだけど……
「……私も成長したら、スタイルのいい女になるはずだ
気にしてなどおらぬっ」
……スタイル?
ああ、そういえばフィーアって、真弘が鼻の下を伸ばすくらい、胸が大きかったもんね……
「大丈夫よ、アリア
アリアはこれからなんだから」
なるほど、胸の話をしていたのね、アリアは
そういうところは、普通の女の子なんだなあ
ちょっと微笑ましくなりながら、着替え終わって布団を畳む
「さて、皆の食事、頑張って作らなきゃね」
そう言って、伸びをすると、アリアの視線は私の顔に向けられた
顔には何もついてないし、寝癖もないって言っていたけど、と首を傾げると
「……どうでもいいが、髪は結ばぬのか?」
「え?
ああ……」
どうせ朝ご飯が終わってもてんやわんやで、身支度を整える暇はなさそうだな
鏡台の前に座って、ポーチを取り出し、髪の毛の上半分だけを結んでハーフアップにしていく
それから結び目をくるりと内側に一回転、これでよし
みんなのご飯を作るべく、意気揚々と部屋を出た
「卓と似たような髪型なのだな」
「……」
この髪型、やめようかな……
近いうちに、珠紀ちゃんや美鶴に、髪型について相談させてもらおう
別に、大蛇さんとお揃いなのが嫌とかではなく!
そう……個性!
個性のひとつとして!
「卓とお揃いは嫌なのか?」
「い、嫌じゃないのよ?
ただこう、そろそろこのヘアスタイルにも、飽きてきたかなー……なんて!」
「おや……私はその髪型、お似合いだと思いますよ」
「うひゃあ!
……あ、お、大蛇さん、いつからそこに……」
私達の背後にいたのは……噂をすれば大蛇さん
聞かれていませんようにと祈りつつ、ぎこちなく笑ってそう聞けば、大蛇さんはにっこりと微笑んだ
「飽きてきただけなのですよね?
決して私と似たような髪型が嫌だったわけではないのでしょう?」
「は……はい、もちろん!
ずっと同じ髪型だから、さすがにそろそろ変えてみようと思っただけですよ!
あは、あはは……あ!
私、美鶴に呼ばれてるんでした!
朝ご飯を作るので、し、失礼しますね!」
アリアをその場に残して、台所へと駆け込む
走ったからだけではない動悸に胸を押さえていると、美鶴が心配そうに私を見つめてきた
「あの……櫻葉さん?
どうかなさいましたか?」
「だ……大丈夫よ、なんでもないから大丈夫
よ、よーし、気合い入れて朝ご飯作っちゃうからね!」
「は、はぁ……」
困惑する美鶴に向かって無理やり笑い、蛇口で手を洗う
それから二人で朝食を作っていると、途中で珠紀ちゃんもやってきた
「美鶴ちゃん、おはよう!
優佳先輩も!
今日は優佳先輩の作った朝ご飯も食べられるんですね
真弘先輩が喜びそう」
「ふふ、目に浮かびます」
「……そうね
私なんかの料理で喜んでくれるんだから、珠紀ちゃんが作ったって言えば、もっと喜んでくれるかも」
そう言って卵焼きをひっくり返すと、美鶴と珠紀ちゃんがきょとんとした顔をしていた
どうしたのかと不思議に思って首を傾げる
「あの……優佳先輩、真弘先輩が優佳先輩の料理で喜ぶのは、料理が美味しいからっていうのはもちろんだけど、優佳先輩が作ったからですよ」
「え、そうよ?
だから玉依姫でもある珠紀ちゃんの料理なら、もっと喜ぶだろうなって……」
「そうだけど、そうじゃない……」
「伝わらないもどかしさって、どうにもならないものなんですね……」
「……えっと?」
なんだかよく分からない会話をしているうちに、卵焼きが完成
それを人数分に切り分けて、お皿に盛り付けた
居間と台所を行ったり来たりして、すれ違う人達に、朝ご飯ができたから居間に向かうよう言って
そうしてみんなで揃って、居間のテーブルを囲んで朝ご飯を食べた
「ん、今日もお前の卵焼きは美味ぇな!」
「ほんと?
よく分かったね、私が作ったって」
「そりゃ、食い慣れた味だしな
こっちの味噌汁は珠紀か?
なかなかいい出汁がとれてるじゃねーか」
「ム、真弘先輩のくせに、出汁がどうとか分かるんですか?」
「おいコラ珠紀、バカにしてんのか!?」
「ああもう、朝からうるさいっすよ!」
「お前もうるさいぞ、赤頭」
「あぁ!?」
「お前達、もっと静かに食べられないのか」
「狐邑くん、野菜だけでなく、バランスよく食べないと駄目ですよ」
「そうですよ
狗谷先輩もほら、お野菜を残さないでください?」
「あら、アリアさん、人参が残ってますよ
好き嫌いはよくありませんね」
「……美鶴、お前までフィーアのようなことを言うな」
なんやかんやと騒がしい食卓で、私達は自然と笑顔になっていく
事態は進展しないし、悪化している一方だけど──
こんなふうに笑い合えるなら、きっと大丈夫だと、根拠は無いけどそう思えた
この状態が異常であるはずなのに、いつも通りと思えてしまう分、私達はこの現象に慣れてしまっているらしい
時計を見れば、今は朝の六時
いつもなら、これから呪符の鍛錬をする時間だけど……
守護者の力が封じられつつある今は、そんなことをしても意味はない
(起きるにはまだ早いかな……)
とはいえ、このまま寝るのもなんだか勿体ない
「うーん……
境内にでも行ってみようかな」
そう呟いて、襖を開ける直前
自動的に襖が開いた
「きゃぁぁあ!?」
「……ほほう、私の顔は寝起きに見ると、悲鳴を上げるほど素敵な顔か?
若干傷ついたぞ」
「あ……そ、そんなつもりじゃなくて……
襖が勝手に開いたように見えて、びっくりしちゃったと言うか……
アリア、起こしに来てくれたのね」
「うむ、美鶴が朝食の用意を手伝ってほしいのだそうだ」
「ああ……確かに、この人数分は、一人で準備するのは大変かも……
ところで、もう友達になれたんだ」
「ここの連中が妙に馴れ馴れしいおかげでな
もっとも、精神と肉体の両面で小さいカラスや、ひたすら生意気な番犬とは仲良くする義理はないが──」
真弘と遼か……
あの二人とアリアは、絶対に反りが合わないって、見ていて分かるもの
仲良くしようとするのが無理なんじゃないだろうか
「うーん
無理に仲良くしなくてもいいんじゃない?」
適当に無責任なことを言って、襖を閉める
そうして、荷物を詰めた鞄の中から、着替えを取り出した
ここに泊まり込むとなった時、私達は自分の家から、当面の着替えを持ってきていたのだ
ちなみに男性陣の洗濯物は、美鶴が畳んだものをそれぞれが持ち帰るルールだけど
女性陣は私しかいないから、美鶴か珠紀ちゃんが持ってきてくれたり、男性陣より先に自分で回収しに行ったりだ
男性陣は着替えがごちゃ混ぜになっていることもしばしばだけど、私の着替えは二人曰く、「主に胸元のサイズが何サイズも上だから、間違いようがない」とのことだった
そんな会話を思い出しつつ、寝間着の上を脱ぐと……
じっとこちらを見つめてくる視線が、妙に刺さる
「……私の顔に何かついてる?」
「い、いや……」
「あ、もしかして寝癖がひどいとか……!」
「安心しろ
お前の髪はいつも通り綺麗なストレートだ」
そう言って、アリアがこちらに背中を向ける
別に、同性同士なんだから、見られても気にしないんだけど……
「……私も成長したら、スタイルのいい女になるはずだ
気にしてなどおらぬっ」
……スタイル?
ああ、そういえばフィーアって、真弘が鼻の下を伸ばすくらい、胸が大きかったもんね……
「大丈夫よ、アリア
アリアはこれからなんだから」
なるほど、胸の話をしていたのね、アリアは
そういうところは、普通の女の子なんだなあ
ちょっと微笑ましくなりながら、着替え終わって布団を畳む
「さて、皆の食事、頑張って作らなきゃね」
そう言って、伸びをすると、アリアの視線は私の顔に向けられた
顔には何もついてないし、寝癖もないって言っていたけど、と首を傾げると
「……どうでもいいが、髪は結ばぬのか?」
「え?
ああ……」
どうせ朝ご飯が終わってもてんやわんやで、身支度を整える暇はなさそうだな
鏡台の前に座って、ポーチを取り出し、髪の毛の上半分だけを結んでハーフアップにしていく
それから結び目をくるりと内側に一回転、これでよし
みんなのご飯を作るべく、意気揚々と部屋を出た
「卓と似たような髪型なのだな」
「……」
この髪型、やめようかな……
近いうちに、珠紀ちゃんや美鶴に、髪型について相談させてもらおう
別に、大蛇さんとお揃いなのが嫌とかではなく!
そう……個性!
個性のひとつとして!
「卓とお揃いは嫌なのか?」
「い、嫌じゃないのよ?
ただこう、そろそろこのヘアスタイルにも、飽きてきたかなー……なんて!」
「おや……私はその髪型、お似合いだと思いますよ」
「うひゃあ!
……あ、お、大蛇さん、いつからそこに……」
私達の背後にいたのは……噂をすれば大蛇さん
聞かれていませんようにと祈りつつ、ぎこちなく笑ってそう聞けば、大蛇さんはにっこりと微笑んだ
「飽きてきただけなのですよね?
決して私と似たような髪型が嫌だったわけではないのでしょう?」
「は……はい、もちろん!
ずっと同じ髪型だから、さすがにそろそろ変えてみようと思っただけですよ!
あは、あはは……あ!
私、美鶴に呼ばれてるんでした!
朝ご飯を作るので、し、失礼しますね!」
アリアをその場に残して、台所へと駆け込む
走ったからだけではない動悸に胸を押さえていると、美鶴が心配そうに私を見つめてきた
「あの……櫻葉さん?
どうかなさいましたか?」
「だ……大丈夫よ、なんでもないから大丈夫
よ、よーし、気合い入れて朝ご飯作っちゃうからね!」
「は、はぁ……」
困惑する美鶴に向かって無理やり笑い、蛇口で手を洗う
それから二人で朝食を作っていると、途中で珠紀ちゃんもやってきた
「美鶴ちゃん、おはよう!
優佳先輩も!
今日は優佳先輩の作った朝ご飯も食べられるんですね
真弘先輩が喜びそう」
「ふふ、目に浮かびます」
「……そうね
私なんかの料理で喜んでくれるんだから、珠紀ちゃんが作ったって言えば、もっと喜んでくれるかも」
そう言って卵焼きをひっくり返すと、美鶴と珠紀ちゃんがきょとんとした顔をしていた
どうしたのかと不思議に思って首を傾げる
「あの……優佳先輩、真弘先輩が優佳先輩の料理で喜ぶのは、料理が美味しいからっていうのはもちろんだけど、優佳先輩が作ったからですよ」
「え、そうよ?
だから玉依姫でもある珠紀ちゃんの料理なら、もっと喜ぶだろうなって……」
「そうだけど、そうじゃない……」
「伝わらないもどかしさって、どうにもならないものなんですね……」
「……えっと?」
なんだかよく分からない会話をしているうちに、卵焼きが完成
それを人数分に切り分けて、お皿に盛り付けた
居間と台所を行ったり来たりして、すれ違う人達に、朝ご飯ができたから居間に向かうよう言って
そうしてみんなで揃って、居間のテーブルを囲んで朝ご飯を食べた
「ん、今日もお前の卵焼きは美味ぇな!」
「ほんと?
よく分かったね、私が作ったって」
「そりゃ、食い慣れた味だしな
こっちの味噌汁は珠紀か?
なかなかいい出汁がとれてるじゃねーか」
「ム、真弘先輩のくせに、出汁がどうとか分かるんですか?」
「おいコラ珠紀、バカにしてんのか!?」
「ああもう、朝からうるさいっすよ!」
「お前もうるさいぞ、赤頭」
「あぁ!?」
「お前達、もっと静かに食べられないのか」
「狐邑くん、野菜だけでなく、バランスよく食べないと駄目ですよ」
「そうですよ
狗谷先輩もほら、お野菜を残さないでください?」
「あら、アリアさん、人参が残ってますよ
好き嫌いはよくありませんね」
「……美鶴、お前までフィーアのようなことを言うな」
なんやかんやと騒がしい食卓で、私達は自然と笑顔になっていく
事態は進展しないし、悪化している一方だけど──
こんなふうに笑い合えるなら、きっと大丈夫だと、根拠は無いけどそう思えた
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