二十八章
夢小説設定
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方向性と役割分担が決まった翌日
放課後になった時間を見計らって、私たちは学院に集まった
集合場所はいつも通りの屋上
……別にわざわざ学院に来て練習しなくても良かったんじゃ?
練習するだけなら、私の家でもできたと思うけど
……突っ込むのはよそう、そのほうがいい気がする
私は拓磨と珠紀ちゃんの服飾チームの相談に乗っていたので、二人とは別行動
遅れて屋上へ向かって、昇降口のドアを開けた
「遅れてごめんなさい
接客の練習、進んでる?」
私をじっと見つめたのは、真弘だ
いつもなら「おせーよ」だのなんだの、文句を言うくせに
「真弘?
どうしたの」
首を傾げつつ真弘に声をかけると、真弘はスッと姿勢よく立って……
それから斜め四十五度にお辞儀をした
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「お、お帰りなさいませ、お嬢様!?」
「ご機嫌はいかがですか?」
「ご機嫌はいかがですか!?」
「一体どうなされたというのですか、そのように驚かれて」
「一体どうなされたんですか……ってそれはこっちのセリフよ!!」
「これはおかしな事をおっしゃる
もしやお身体を悪くしたのでは──」
「それも私のセリフよ!!」
「このピエールにお任せください
身体の温まるお飲み物を、ご用意いたしましょう」
「ピエールって誰よー!?」
どこから出てきたのよピエールは!?
何そのイタリアかぶれみたいな人物名!!
いやそもそも真弘の様子がおかしい
なにか悪いものでも食べたんじゃ……!?
「くく……」
混乱する私の前で、自称ピエールが笑い出す
そうしてピエールこと真弘は、腹を抱えて大笑いし始めた
「はっはっはっはっは!!
なんだよその慌てっぷり!!」
「え?
……えっ?」
「説明しよう」
「きゃあ、祐一!?
いるならいるって言ってよ!」
「いるぞ」
「もう遅いわよ」
本当にこの男どもは……
来て早々、ツッコミの嵐になるとは思わなかった……
無駄に疲れただけな気がする
「……それで、何してたの?」
「今、接客の練習をしていてな
どうせならお前を相手に練習の成果を見せようという話になった」
「そ……それならそうって先に言ってよ……」
「馬鹿だな
それじゃお前の驚く顔が見られねーじゃん」
「……つまるところ、驚かせたかっただけなのね?」
「でもま、それなりに様になってただろ?」
「それはまぁ……そうね」
悔しいけど執事としての振る舞いは及第点だ
なんで急に名前がピエールになったのかは謎だけど
「問題は、真弘の執事的振る舞いは、三分しか持たないというところだ」
「三分!?」
「んーなんかこう、途中でまどろっこしくなっちまうんだよなー」
「知的でエレガントな執事のイメージ
たしかに真弘とは対極のイメージ……
身体が拒否反応を示しているのだろう」
「おい、そりゃ一体どういう意味だ!」
でもたしかに、真弘ほど敬語が似合わない人もいない
ババ様相手にだってタメ口をきいてた人だもんね
急に執事らしくしようったって、そうはいかないのかも
「でも三分じゃ、ちょっと接客はできそうにないわね」
「その話!!
聞かせてもらったー!!」
バーン!
背後の昇降口が蹴破られんばかりに勢いよく開いた
立っていたのは多家良さん……やっぱり制服を着ている
「た、多家良さん
突然の登場ですね……」
「ふっふっふ
面白い話の影に、清乃ちゃんあり!」
「別に面白い話なんてしちゃいねぇよ」
「面白半分に執事喫茶に通いつめ、最近ちょっと金欠中のこの私が!
執事の何たるかを伝授したげる!」
やっぱり執事喫茶ってハマるんだ
私はこのまま無縁の文化でいようかな……
「それは嬉しいですけど……でも多家良さんもお祭りに参加するんですよね?
いいんですか?
こんな所にいて……」
「ここだけの話ね、芦屋さんからのお願いで、玉依毘売神社の人たちとは出来るだけ仲良くなってくれって言われてるの」
「恩を売っておこうというわけですか、芦屋さんらしいですね……」
脳裏にせんべいをかじるだらしのない大人が浮かぶ
私は将来、決してああはなるまい……
「もちろん、親友の大好きな先輩が困っているなら、手を貸すのは当然!
誰に言われなくても手助けくらいするけどね!」
「……ええ、分かりました
ありがとうございます」
「そういうことなら、男子三日会わざれば刮目して見よってな!!
一時間待ってろよ!?」
「真弘はなんで、そういうことわざは知ってるのに……」
その知識が受験勉強に生かされていないんだろう……
私の呆れたような呟きは、真弘に届きもしなかった
「祐一、あとそこの、えーとなんだっけ?
まぁいいや、お前も手助けを頼むぜ!」
「多家良清乃です!」
「仕方ない、手伝ってやろう
そこの……あー……お前も手伝ってくれると嬉しい」
「だから、多家良清乃ですってば!」
「私の幼馴染みがごめんなさい……」
直角に腰を折って頭を下げた私を、真弘と祐一が不思議そうな目で見ていた
幼馴染みの失礼な態度の尻拭いをするのも、得意になっちゃったな……
「優佳、少し待っててやってくれ
俺は真弘の練習に付き合う」
「ええと……それは構わないんだけど……」
真弘は祐一を連れて行ってしまった
大丈夫なのかな、本当に……
屋上の昇降口付近で一人取り残された私は、ふと気付いた
「執事喫茶なら、私は裏方よね?
私が接客の練習をする必要はないような気がするんだけど……」
ヒュウ、と肌寒い風が通り抜ける
……とりあえず、深く考えてはいけないような気がした
なんであれ真弘がやる気を出してくれているのは良いことだもの
「ま、今週は真弘と祐一の練習に、みっちり付き合ってあげようかな」
なんたって、何も気負わずに参加できる、初めての紅陵祭なんだもん
心の底から楽しまないと損だよね
……紳士な真弘も、ちょっと楽しみだし
放課後になった時間を見計らって、私たちは学院に集まった
集合場所はいつも通りの屋上
……別にわざわざ学院に来て練習しなくても良かったんじゃ?
練習するだけなら、私の家でもできたと思うけど
……突っ込むのはよそう、そのほうがいい気がする
私は拓磨と珠紀ちゃんの服飾チームの相談に乗っていたので、二人とは別行動
遅れて屋上へ向かって、昇降口のドアを開けた
「遅れてごめんなさい
接客の練習、進んでる?」
私をじっと見つめたのは、真弘だ
いつもなら「おせーよ」だのなんだの、文句を言うくせに
「真弘?
どうしたの」
首を傾げつつ真弘に声をかけると、真弘はスッと姿勢よく立って……
それから斜め四十五度にお辞儀をした
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「お、お帰りなさいませ、お嬢様!?」
「ご機嫌はいかがですか?」
「ご機嫌はいかがですか!?」
「一体どうなされたというのですか、そのように驚かれて」
「一体どうなされたんですか……ってそれはこっちのセリフよ!!」
「これはおかしな事をおっしゃる
もしやお身体を悪くしたのでは──」
「それも私のセリフよ!!」
「このピエールにお任せください
身体の温まるお飲み物を、ご用意いたしましょう」
「ピエールって誰よー!?」
どこから出てきたのよピエールは!?
何そのイタリアかぶれみたいな人物名!!
いやそもそも真弘の様子がおかしい
なにか悪いものでも食べたんじゃ……!?
「くく……」
混乱する私の前で、自称ピエールが笑い出す
そうしてピエールこと真弘は、腹を抱えて大笑いし始めた
「はっはっはっはっは!!
なんだよその慌てっぷり!!」
「え?
……えっ?」
「説明しよう」
「きゃあ、祐一!?
いるならいるって言ってよ!」
「いるぞ」
「もう遅いわよ」
本当にこの男どもは……
来て早々、ツッコミの嵐になるとは思わなかった……
無駄に疲れただけな気がする
「……それで、何してたの?」
「今、接客の練習をしていてな
どうせならお前を相手に練習の成果を見せようという話になった」
「そ……それならそうって先に言ってよ……」
「馬鹿だな
それじゃお前の驚く顔が見られねーじゃん」
「……つまるところ、驚かせたかっただけなのね?」
「でもま、それなりに様になってただろ?」
「それはまぁ……そうね」
悔しいけど執事としての振る舞いは及第点だ
なんで急に名前がピエールになったのかは謎だけど
「問題は、真弘の執事的振る舞いは、三分しか持たないというところだ」
「三分!?」
「んーなんかこう、途中でまどろっこしくなっちまうんだよなー」
「知的でエレガントな執事のイメージ
たしかに真弘とは対極のイメージ……
身体が拒否反応を示しているのだろう」
「おい、そりゃ一体どういう意味だ!」
でもたしかに、真弘ほど敬語が似合わない人もいない
ババ様相手にだってタメ口をきいてた人だもんね
急に執事らしくしようったって、そうはいかないのかも
「でも三分じゃ、ちょっと接客はできそうにないわね」
「その話!!
聞かせてもらったー!!」
バーン!
背後の昇降口が蹴破られんばかりに勢いよく開いた
立っていたのは多家良さん……やっぱり制服を着ている
「た、多家良さん
突然の登場ですね……」
「ふっふっふ
面白い話の影に、清乃ちゃんあり!」
「別に面白い話なんてしちゃいねぇよ」
「面白半分に執事喫茶に通いつめ、最近ちょっと金欠中のこの私が!
執事の何たるかを伝授したげる!」
やっぱり執事喫茶ってハマるんだ
私はこのまま無縁の文化でいようかな……
「それは嬉しいですけど……でも多家良さんもお祭りに参加するんですよね?
いいんですか?
こんな所にいて……」
「ここだけの話ね、芦屋さんからのお願いで、玉依毘売神社の人たちとは出来るだけ仲良くなってくれって言われてるの」
「恩を売っておこうというわけですか、芦屋さんらしいですね……」
脳裏にせんべいをかじるだらしのない大人が浮かぶ
私は将来、決してああはなるまい……
「もちろん、親友の大好きな先輩が困っているなら、手を貸すのは当然!
誰に言われなくても手助けくらいするけどね!」
「……ええ、分かりました
ありがとうございます」
「そういうことなら、男子三日会わざれば刮目して見よってな!!
一時間待ってろよ!?」
「真弘はなんで、そういうことわざは知ってるのに……」
その知識が受験勉強に生かされていないんだろう……
私の呆れたような呟きは、真弘に届きもしなかった
「祐一、あとそこの、えーとなんだっけ?
まぁいいや、お前も手助けを頼むぜ!」
「多家良清乃です!」
「仕方ない、手伝ってやろう
そこの……あー……お前も手伝ってくれると嬉しい」
「だから、多家良清乃ですってば!」
「私の幼馴染みがごめんなさい……」
直角に腰を折って頭を下げた私を、真弘と祐一が不思議そうな目で見ていた
幼馴染みの失礼な態度の尻拭いをするのも、得意になっちゃったな……
「優佳、少し待っててやってくれ
俺は真弘の練習に付き合う」
「ええと……それは構わないんだけど……」
真弘は祐一を連れて行ってしまった
大丈夫なのかな、本当に……
屋上の昇降口付近で一人取り残された私は、ふと気付いた
「執事喫茶なら、私は裏方よね?
私が接客の練習をする必要はないような気がするんだけど……」
ヒュウ、と肌寒い風が通り抜ける
……とりあえず、深く考えてはいけないような気がした
なんであれ真弘がやる気を出してくれているのは良いことだもの
「ま、今週は真弘と祐一の練習に、みっちり付き合ってあげようかな」
なんたって、何も気負わずに参加できる、初めての紅陵祭なんだもん
心の底から楽しまないと損だよね
……紳士な真弘も、ちょっと楽しみだし
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