二十六章
夢小説設定
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光が全てを満たす
身体にはもう力が入らない
うつろな瞳から、一筋の涙がこぼれた
「たす……けて」
それだけを呟いたあと、何もわからなくなった……
「──諦めるな」
光の中、遠くから声がする
「終わりじゃねえ」
風の音──何かが私の視界を染める光を、打ち払おうとしている……
「な、に……?」
強烈な風が周囲に荒れ狂い、光を吹き飛ばしていく
視界が晴れて、私の目の前には驚愕に目を見開くニールが、私ではなく別の何かを見ていた
「なんだと!」
「勝手に終わりにしてんじゃねえ!!」
……真弘の声がそう叫んで、頭上からパキ、と耳障りな音がした
気が付けば、宙に浮いた鏡に亀裂が入り……
「おぉぉおお!!」
一瞬にして近づいた真弘の一閃が、鏡を粉々に打ち砕いた
派手な音を立てて、鏡の破片が月光を反射させながら落ちていく
「……真弘……!」
「言っただろ!
やってみなくちゃ分かんねえって!」
「……しかし……どうやら……鏡の力の移行は完了したようだ
幾多の魂を吸い、鏡の溜めこんだ力……
これほどのものだったか」
「力なんて喜んでくれてやるよ」
薄らと笑みを浮かべるニールの前から、私の身体が離される
ふと上を見上げれば、真弘が刀を構えたまま、私を抱き寄せていた
「俺はこいつが戻ればいい」
「真弘……」
「むしろ感謝してるぜ、ニール」
「……なぜ笑う」
真弘に風が集まっていく
絶望を払うかのように、苛烈なまでの風
「ここまでくれば話は単純だ……」
「お前たちに待つのは絶望」
「違うね!
希望しかねえんだよ!」
今までとは桁が違う
この世界から暗闇を吹き払おうとでもするように……
「お前を倒してそれで終わりだ!」
風が──意志を持った生き物であるかのごとく、とぐろを巻いて大きくなっていく
「それは起こりえぬ奇跡だ」
「だったら見せてやろうじゃねえか
こっちは二人分だぜ?」
風が真弘と私を取り巻いていく……
吹き荒れる風の中で──広がる漆黒の羽
「……真弘……姿が……」
覚醒した姿は、かつての空疎尊が身に付けていたのか、不思議な着物に変わっていた
放たれる霊力は、全ての障害を吹き飛ばそうとしているように際限なく高まっていく
「奇跡が必要なら起こしてやるさ
お前を守るためだったらな……神だってぶっ飛ばしてやる!」
「……うん!」
真弘の力がそうさせるのだろうか
私の身体にも力が湧いてくるのを感じる
贄の儀で犠牲になった人々……
封印のためだけに生き、死んでいった木花開那姫たちが……
自由を得たいと叫ぶ
「私も……誓う!」
私自身が強く強く光りはじめる
「この宿命に縛られた血に力があるというのなら──今、力を貸して」
これは世界の終わりを終わりにする戦い
全ての伝承も因習も宿命も、私たちの過ちが起こした悲劇だって!
「ここで終わりにしてみせる!!」
一層輝きが増す
温かい力に体が包まれていく
「これは……」
私の体に桜色の衣がふわりと掛けられた
薄紅色の着物を纏い、腰から先には緋袴を
この姿……もしかして、木花開耶姫の……?
『私たちの、願いを……あなたが……』
どこからともなく声が響く
視界には桜の雨
ひらりひらりと舞い落ちるそれを手のひらで受け止める
『優佳……あなたに力を……』
今の声は……ううん、記憶にないけど、分かる
「ありがとう……お母さん」
千年前、桜佳様が担った呪縛を
それからずっと、私の祖先たちが背負い続けてきた宿命を
私がこの手で、断ち切る時だ
光が収まる
そうして私は、カミの力そのものとしてそこに在った
金色の瞳と髪が、夜の中に明るく浮かび上がる
桜の花で彩られた江田がカチューシャのように巻き付き、髪に様々な桜の花が咲き乱れる
手首には桜の腕飾りを、耳元には桜の耳飾りを
まるで私自身がひとつの桜の樹と化したかのようだ
そうして私は、真弘の隣に立った
「奇跡は、自らの手で起こすもの──待ち望むものじゃないわ」
私の身体に紋章が浮かび上がって、体内の霊力が桁違いに膨らんでいく
私は──カミ、木花開耶姫
この世界に産み落とされた神の化身、果てを呼ぶ力を封じ続けた存在
二千年の歴史を持つこの国に存在した神々の一柱
その力を──今こそ、世界の危機を救うために!
「私も一緒に戦うよ」
「いい覚悟だ」
真弘と二人で不敵に笑いあう
負ける気なんてありはしない
なぜなら、私たちには勝利しか待っていないから
「……お前たちは何も……分かっていない」
「分かっていないのは、あんたよ、ニール!」
ケテルが右手を挙げるのとほぼ同時
真弘と私は同時に地面を蹴って、その場から消えていた
「うぉぉぉおお!!」
振るわれる刃がケテルを守る透明な壁にぶつかるたびに、閃光と衝撃が爆発する
鬼斬丸と鏡の力がぶつかり合って音を立てる
「死ね」
爆発に真弘の身体が吹き飛ばされる
真弘が着地した瞬間、無数の爆発が真弘を追いかけた
「当たるか!」
叫んだ真弘が走り出す
その動きに爆発がついて行かない
「どんな力もどんな破壊もどんな絶望も!
俺には追いつかない!!
お前を倒して終わりだ!
ニール!!」
「見せよう、鏡の力」
一瞬で間合いが詰まる
「略法、伏敵──彼の者を守れ!
急々如律令!!」
護身の呪符が真弘に張り付く
真弘の振るう刀と、振り下ろすケテルの右腕が交錯する
爆発は高温の火の玉となって、周囲を焼く
「真弘──!」
近寄ろうとしたとき
凄まじい風が爆発を吹き飛ばす
「……しぶといな」
「お前の攻撃で俺を倒せると思うなよ!
なぜなら……俺には守るべき女がいて、お前にはいないからだ!」
「……ふざけた冗談だ」
真弘のいる地点で爆発が起きる
その一瞬あとにはもう、真弘はニールの傍にいた
身体にはもう力が入らない
うつろな瞳から、一筋の涙がこぼれた
「たす……けて」
それだけを呟いたあと、何もわからなくなった……
「──諦めるな」
光の中、遠くから声がする
「終わりじゃねえ」
風の音──何かが私の視界を染める光を、打ち払おうとしている……
「な、に……?」
強烈な風が周囲に荒れ狂い、光を吹き飛ばしていく
視界が晴れて、私の目の前には驚愕に目を見開くニールが、私ではなく別の何かを見ていた
「なんだと!」
「勝手に終わりにしてんじゃねえ!!」
……真弘の声がそう叫んで、頭上からパキ、と耳障りな音がした
気が付けば、宙に浮いた鏡に亀裂が入り……
「おぉぉおお!!」
一瞬にして近づいた真弘の一閃が、鏡を粉々に打ち砕いた
派手な音を立てて、鏡の破片が月光を反射させながら落ちていく
「……真弘……!」
「言っただろ!
やってみなくちゃ分かんねえって!」
「……しかし……どうやら……鏡の力の移行は完了したようだ
幾多の魂を吸い、鏡の溜めこんだ力……
これほどのものだったか」
「力なんて喜んでくれてやるよ」
薄らと笑みを浮かべるニールの前から、私の身体が離される
ふと上を見上げれば、真弘が刀を構えたまま、私を抱き寄せていた
「俺はこいつが戻ればいい」
「真弘……」
「むしろ感謝してるぜ、ニール」
「……なぜ笑う」
真弘に風が集まっていく
絶望を払うかのように、苛烈なまでの風
「ここまでくれば話は単純だ……」
「お前たちに待つのは絶望」
「違うね!
希望しかねえんだよ!」
今までとは桁が違う
この世界から暗闇を吹き払おうとでもするように……
「お前を倒してそれで終わりだ!」
風が──意志を持った生き物であるかのごとく、とぐろを巻いて大きくなっていく
「それは起こりえぬ奇跡だ」
「だったら見せてやろうじゃねえか
こっちは二人分だぜ?」
風が真弘と私を取り巻いていく……
吹き荒れる風の中で──広がる漆黒の羽
「……真弘……姿が……」
覚醒した姿は、かつての空疎尊が身に付けていたのか、不思議な着物に変わっていた
放たれる霊力は、全ての障害を吹き飛ばそうとしているように際限なく高まっていく
「奇跡が必要なら起こしてやるさ
お前を守るためだったらな……神だってぶっ飛ばしてやる!」
「……うん!」
真弘の力がそうさせるのだろうか
私の身体にも力が湧いてくるのを感じる
贄の儀で犠牲になった人々……
封印のためだけに生き、死んでいった木花開那姫たちが……
自由を得たいと叫ぶ
「私も……誓う!」
私自身が強く強く光りはじめる
「この宿命に縛られた血に力があるというのなら──今、力を貸して」
これは世界の終わりを終わりにする戦い
全ての伝承も因習も宿命も、私たちの過ちが起こした悲劇だって!
「ここで終わりにしてみせる!!」
一層輝きが増す
温かい力に体が包まれていく
「これは……」
私の体に桜色の衣がふわりと掛けられた
薄紅色の着物を纏い、腰から先には緋袴を
この姿……もしかして、木花開耶姫の……?
『私たちの、願いを……あなたが……』
どこからともなく声が響く
視界には桜の雨
ひらりひらりと舞い落ちるそれを手のひらで受け止める
『優佳……あなたに力を……』
今の声は……ううん、記憶にないけど、分かる
「ありがとう……お母さん」
千年前、桜佳様が担った呪縛を
それからずっと、私の祖先たちが背負い続けてきた宿命を
私がこの手で、断ち切る時だ
光が収まる
そうして私は、カミの力そのものとしてそこに在った
金色の瞳と髪が、夜の中に明るく浮かび上がる
桜の花で彩られた江田がカチューシャのように巻き付き、髪に様々な桜の花が咲き乱れる
手首には桜の腕飾りを、耳元には桜の耳飾りを
まるで私自身がひとつの桜の樹と化したかのようだ
そうして私は、真弘の隣に立った
「奇跡は、自らの手で起こすもの──待ち望むものじゃないわ」
私の身体に紋章が浮かび上がって、体内の霊力が桁違いに膨らんでいく
私は──カミ、木花開耶姫
この世界に産み落とされた神の化身、果てを呼ぶ力を封じ続けた存在
二千年の歴史を持つこの国に存在した神々の一柱
その力を──今こそ、世界の危機を救うために!
「私も一緒に戦うよ」
「いい覚悟だ」
真弘と二人で不敵に笑いあう
負ける気なんてありはしない
なぜなら、私たちには勝利しか待っていないから
「……お前たちは何も……分かっていない」
「分かっていないのは、あんたよ、ニール!」
ケテルが右手を挙げるのとほぼ同時
真弘と私は同時に地面を蹴って、その場から消えていた
「うぉぉぉおお!!」
振るわれる刃がケテルを守る透明な壁にぶつかるたびに、閃光と衝撃が爆発する
鬼斬丸と鏡の力がぶつかり合って音を立てる
「死ね」
爆発に真弘の身体が吹き飛ばされる
真弘が着地した瞬間、無数の爆発が真弘を追いかけた
「当たるか!」
叫んだ真弘が走り出す
その動きに爆発がついて行かない
「どんな力もどんな破壊もどんな絶望も!
俺には追いつかない!!
お前を倒して終わりだ!
ニール!!」
「見せよう、鏡の力」
一瞬で間合いが詰まる
「略法、伏敵──彼の者を守れ!
急々如律令!!」
護身の呪符が真弘に張り付く
真弘の振るう刀と、振り下ろすケテルの右腕が交錯する
爆発は高温の火の玉となって、周囲を焼く
「真弘──!」
近寄ろうとしたとき
凄まじい風が爆発を吹き飛ばす
「……しぶといな」
「お前の攻撃で俺を倒せると思うなよ!
なぜなら……俺には守るべき女がいて、お前にはいないからだ!」
「……ふざけた冗談だ」
真弘のいる地点で爆発が起きる
その一瞬あとにはもう、真弘はニールの傍にいた
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