二十四章
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私が死を望む理由はこれで全てだ
とてもじゃないけど、私が生きていていい理由より、私が死ぬべき理由のほうが遥かに勝る
「選択肢なんかないの」
言い聞かせるように呟く
「ここで私が死ねば、世界が救えるの」
そうしなきゃ、世界が終わる
絶望が世界を覆う
今ここに、それを解決する手段がある
それが実行できるなら、私は死のう
「ごめんなさい……
でも、文字通り、命を持って罪を償うし、世界も救う
本当に……今までありがとうございました」
悲しくない
別れは辛いけど、でもいい
みんなの……
真弘の幸せを願って、私は死のう
「……何だよ」
「え……」
「何がありがとうございましただよ!」
水車小屋に響いた怒声に肩が跳ねる
彼が怒ることは知っていた
だって真弘は本気で、私と一緒に生きていくつもりだから
「ふざけんな!
ふざけんじゃねえ!
何かっこつけて終わりにしようとしてんだよ!
みっともなくていい!
足掻けよ!
生きようとしろよ!
一年前、お前がそうしたように!!
お前らも何黙ってんだ!!
仲間だろ!
一緒に戦っただろ!
それを……こんな……」
「鴉取君
我々のうち誰一人として、このような結末は望みませんでした
ですが……彼女自身が、望んだことです」
「知らねえよ!
そんな理屈!」
「真弘、私はもういいの……」
「いいわけねえだろ!!」
真弘の手が、私の腕を掴む
その手は力の加減すらないまま、強く私の腕を掴んでいて
「……真弘?」
「来い!」
「どこに?」
「いいから来いよ!」
驚きすぎて、抵抗する暇もなかった
真弘に連れられるまま、私は歩き出す
水車小屋を飛び出した真弘は、そのままどこかへと向かっていった
私の手を引いて、夜の道を歩いていく
私の手を掴む、真弘の手の強さ
夜の闇を真剣に見つめる瞳
……このまま、時間が止まればいいのに
村道から林に入り、林を抜けて森を駆ける
真弘はまるで一陣の風のように、迷いなく進んでいく
「真弘……もう、いいの」
「黙ってろ」
走る真弘の横顔はとても力強くて
こんなふうに生きられたらよかったのにと、心の底から思った
……どれくらい走ったのだろう
やがて私は、暗い森を抜けて──
星の瞬く場所に出た
「……あ……」
その場所は、遮るものなど何もなかった
頭上の空いっぱいに星が輝いている
いつもより星が明るく見えて、空が近い
手を伸ばせば星に届きそうだと錯覚するくらい
「……ここは?」
空を見上げて、それから真弘に聞いてみた
「連れてってやるって言っただろ
俺の秘密の場所だ
山の向こうにある場所
森に隠されていて見えない」
「……なんだか、真弘らしい場所ね……」
真弘が小さく頷く
いい風が吹く場所がある、真弘はそう言ってた
現に今、私たちの頬を撫でる風は優しい
まるで死にに行こうとする私の覚悟を、そっと留めるみたいだった
「俺がここを見つけたのは、村から俺たちが逃げ出したときだった」
「……逃げ出したって、蔵でババ様から、私たちは封印のために死ぬんだって聞かされた後の?
全然覚えてないけど……」
「お前は疲れて、俺の背中で寝てたんだよ
今日みたいに、綺麗な夜空だった
こんなに美しいものがあるなら、世界を救う意味もあると、素直に思えたんだよ」
「そんなの……私だって……」
「違う、そういうことじゃねえ
……そうじゃねえんだ
世界がいくら綺麗だって……それを感じられなきゃ意味がねえ
死んだら終わりだ
それまでなんだよ」
私はもう、真弘を見ていられなくて
ただ、俯いていた
「命を捨ててなんてな……一見かっこいいけどよ
そりゃただの逃げだろう
どうやっても未来に希望が見つけられないとしても──苦しかろうと辛かろうと、最後まで足掻けよ
それが生きてる者の責任ってやつだろう?」
……分かってる、分かってるんだ
そんなこと、自分が一番分かってるの
でもね、でも……
「でも……このままじゃ……」
「良いのかよ、それで……
そんなんで、本当にいいのか?」
真弘が、私をまっすぐに見つめる
私は、ほその瞳をうまく見つめ返すことができなくて、俯いたまま
「あのね……それしか方法がないの」
違う……
「私が生きていると、みんなに迷惑がかかるの」
こんなことが言いたいんじゃない……
「世界が終わってしまうから」
(愛しいあなたでさえも、死んでしまうから)
本音を全部飲み込んで、それらしい理由を並べ立てる
「だから……もう」
助けてほしい
「いいの」
死にたくない
「震えてるぞ」
「……っ……だって……」
本当は生きていたい
真弘の側で、ずっと一緒に生きていたい
「なんでそんな……悲しい顔するんだ」
「真弘……私……」
真弘の隣にいられたら、それだけで幸せなのに
ただそれだけの事が、叶わない
「何も考えるな
世界の終わりとか、義務とか宿命とか運命とか!
そんなもん、どうでもいいだろう!
お前はどうしたい」
「私は……」
「怖がるな
大丈夫だ
お前の希望は、全部俺が現実にしてみせる」
あれだけの大罪を犯しておきながら……
この期に及んで、まだみっともなく生に縋るのか
「私……」
「信じろ
自分が信じられないなら、俺を信じろ」
震えが、収まらない
息が詰まって、喘ぐように息を吸う
一年前、私と一緒に死のうとした真弘が
私には生きてほしいと、覚醒して贄になろうとした真弘が
私一人が犠牲になるだけの世界で、私に生きろと叫んでいる
私が世界の終わりになっても
真弘は私と一緒に生きていくことを、諦めていない
「……どうして……そうまでして……」
「お前が好きだからだ」
ただ一言、真弘はそう答えた
何も飾らない、心からの答えを
嘘偽りのない……真弘の、本当の心で
とてもじゃないけど、私が生きていていい理由より、私が死ぬべき理由のほうが遥かに勝る
「選択肢なんかないの」
言い聞かせるように呟く
「ここで私が死ねば、世界が救えるの」
そうしなきゃ、世界が終わる
絶望が世界を覆う
今ここに、それを解決する手段がある
それが実行できるなら、私は死のう
「ごめんなさい……
でも、文字通り、命を持って罪を償うし、世界も救う
本当に……今までありがとうございました」
悲しくない
別れは辛いけど、でもいい
みんなの……
真弘の幸せを願って、私は死のう
「……何だよ」
「え……」
「何がありがとうございましただよ!」
水車小屋に響いた怒声に肩が跳ねる
彼が怒ることは知っていた
だって真弘は本気で、私と一緒に生きていくつもりだから
「ふざけんな!
ふざけんじゃねえ!
何かっこつけて終わりにしようとしてんだよ!
みっともなくていい!
足掻けよ!
生きようとしろよ!
一年前、お前がそうしたように!!
お前らも何黙ってんだ!!
仲間だろ!
一緒に戦っただろ!
それを……こんな……」
「鴉取君
我々のうち誰一人として、このような結末は望みませんでした
ですが……彼女自身が、望んだことです」
「知らねえよ!
そんな理屈!」
「真弘、私はもういいの……」
「いいわけねえだろ!!」
真弘の手が、私の腕を掴む
その手は力の加減すらないまま、強く私の腕を掴んでいて
「……真弘?」
「来い!」
「どこに?」
「いいから来いよ!」
驚きすぎて、抵抗する暇もなかった
真弘に連れられるまま、私は歩き出す
水車小屋を飛び出した真弘は、そのままどこかへと向かっていった
私の手を引いて、夜の道を歩いていく
私の手を掴む、真弘の手の強さ
夜の闇を真剣に見つめる瞳
……このまま、時間が止まればいいのに
村道から林に入り、林を抜けて森を駆ける
真弘はまるで一陣の風のように、迷いなく進んでいく
「真弘……もう、いいの」
「黙ってろ」
走る真弘の横顔はとても力強くて
こんなふうに生きられたらよかったのにと、心の底から思った
……どれくらい走ったのだろう
やがて私は、暗い森を抜けて──
星の瞬く場所に出た
「……あ……」
その場所は、遮るものなど何もなかった
頭上の空いっぱいに星が輝いている
いつもより星が明るく見えて、空が近い
手を伸ばせば星に届きそうだと錯覚するくらい
「……ここは?」
空を見上げて、それから真弘に聞いてみた
「連れてってやるって言っただろ
俺の秘密の場所だ
山の向こうにある場所
森に隠されていて見えない」
「……なんだか、真弘らしい場所ね……」
真弘が小さく頷く
いい風が吹く場所がある、真弘はそう言ってた
現に今、私たちの頬を撫でる風は優しい
まるで死にに行こうとする私の覚悟を、そっと留めるみたいだった
「俺がここを見つけたのは、村から俺たちが逃げ出したときだった」
「……逃げ出したって、蔵でババ様から、私たちは封印のために死ぬんだって聞かされた後の?
全然覚えてないけど……」
「お前は疲れて、俺の背中で寝てたんだよ
今日みたいに、綺麗な夜空だった
こんなに美しいものがあるなら、世界を救う意味もあると、素直に思えたんだよ」
「そんなの……私だって……」
「違う、そういうことじゃねえ
……そうじゃねえんだ
世界がいくら綺麗だって……それを感じられなきゃ意味がねえ
死んだら終わりだ
それまでなんだよ」
私はもう、真弘を見ていられなくて
ただ、俯いていた
「命を捨ててなんてな……一見かっこいいけどよ
そりゃただの逃げだろう
どうやっても未来に希望が見つけられないとしても──苦しかろうと辛かろうと、最後まで足掻けよ
それが生きてる者の責任ってやつだろう?」
……分かってる、分かってるんだ
そんなこと、自分が一番分かってるの
でもね、でも……
「でも……このままじゃ……」
「良いのかよ、それで……
そんなんで、本当にいいのか?」
真弘が、私をまっすぐに見つめる
私は、ほその瞳をうまく見つめ返すことができなくて、俯いたまま
「あのね……それしか方法がないの」
違う……
「私が生きていると、みんなに迷惑がかかるの」
こんなことが言いたいんじゃない……
「世界が終わってしまうから」
(愛しいあなたでさえも、死んでしまうから)
本音を全部飲み込んで、それらしい理由を並べ立てる
「だから……もう」
助けてほしい
「いいの」
死にたくない
「震えてるぞ」
「……っ……だって……」
本当は生きていたい
真弘の側で、ずっと一緒に生きていたい
「なんでそんな……悲しい顔するんだ」
「真弘……私……」
真弘の隣にいられたら、それだけで幸せなのに
ただそれだけの事が、叶わない
「何も考えるな
世界の終わりとか、義務とか宿命とか運命とか!
そんなもん、どうでもいいだろう!
お前はどうしたい」
「私は……」
「怖がるな
大丈夫だ
お前の希望は、全部俺が現実にしてみせる」
あれだけの大罪を犯しておきながら……
この期に及んで、まだみっともなく生に縋るのか
「私……」
「信じろ
自分が信じられないなら、俺を信じろ」
震えが、収まらない
息が詰まって、喘ぐように息を吸う
一年前、私と一緒に死のうとした真弘が
私には生きてほしいと、覚醒して贄になろうとした真弘が
私一人が犠牲になるだけの世界で、私に生きろと叫んでいる
私が世界の終わりになっても
真弘は私と一緒に生きていくことを、諦めていない
「……どうして……そうまでして……」
「お前が好きだからだ」
ただ一言、真弘はそう答えた
何も飾らない、心からの答えを
嘘偽りのない……真弘の、本当の心で
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