二十三章
夢小説設定
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立ち上がる者は誰もいない
誰一人として戦えない、その中で
珠紀ちゃんの声だけが遠くで聞こえていた
「もうやめて!」
珠紀ちゃんが悲鳴と共に駆け出した
私たちの前に立つのと同時に、爆発は止む
「どいてろ……珠紀」
「私たち……大丈夫だから……」
やはり私たちは、どこまでも抗い続ける
だって認められない
人を滅ぼして私たちだけが生き残るなんて、許されない
「先輩……」
「これは……俺たちの……戦い……」
「諦め……ない……」
一瞬、例えるならまさにそう
意識が途絶えた
私たちは冷たい地面に体を打ちつける
「真弘先輩!
優佳先輩!!」
「……二度と立ち上がることはあるまい」
ニールが、珠紀ちゃんに手を差し伸べる
立ち上がらなきゃ……立って、珠紀ちゃんを守らないと……
「鏡を出せ
その男と女共々、せめて楽に殺してやろう」
ふざけるな──その一言すら、出てこない
珠紀ちゃんが、拳を握って立ち上がる
「鏡は渡しません」
声がそう言って、珠紀ちゃんが札を握りしめる
「みんなも殺させはしない!
私が相手だ!」
ああ、お願い
「みんなの命も、先輩の命も、陽の鏡も……」
最期の願いでもいい
「あなたなんかに何一つ渡さない」
動いて、私の身体……
「やる気か……」
「略法、伏敵!」
珠紀ちゃんが詠唱する
「邪悪は去れ!」
札がニールに当たる
「え……」
額が割れ、血が流れ──
それでもニールは微動だにせずに、珠紀ちゃんを見つめていた
そうして珠紀ちゃんの腕を掴む
「……いい目だ
私とは違う」
「え……」
ニールは、珠紀ちゃんの手から無理矢理に鏡をもぎ取り
「あぐ……」
珠紀ちゃんは地面に投げ飛ばされていた
ああ、そんな……そんなこと……
「これで……鏡は二枚揃った」
「……この場で継承なさることを、お勧めします」
今まで黙っていたマルクトがそう口を出す
「……やけに慎重なのだな」
「……この者たちの力、無視できぬかと」
「いいだろう
では始めよう──」
陽の鏡と陰の鏡に、ニールが霊力を注いでいく
その瞬間、二つの鏡はニールを挟んで宙に浮いた
「だめ……」
「我こそが鏡の主
夜の闇の王──
今こそ、この世界に蔓延る愚者を一掃しよう」
「だめ!」
珠紀ちゃんが走り出す
その時、多分私は、無意識だった
とっさに珠紀ちゃんの足首を掴む
「きゃ!?」
その反動で、私は勢いよく走り出した
転びそうな体で、千切れそうな手足で、それでも
意地でも、この儀式の邪魔をしなければいけない
「先輩!?」
珠紀ちゃんが起き上がろうとする
「動くな!」
言霊でそう制して、私は
無防備なニールに駆け寄り、その体に体当たりした
その刹那
熱い何かが、私の身体の中に入り込んできた
「う……うぁぁぁあっ!!」
体の中で何かが暴れる
それを懸命に抑え続けた
「うぅぅぅうう!!」
「せ……先輩、優佳先輩……!」
そして──すべてが収まった
「……え……?
一体……何が……」
珠紀ちゃんが呆然と呟く
鏡が発していた光は収束して、どこにもない
私はただ震える足で立ち上がり、自分の手を見つめた
私の中に入り込んできた力……あれは、一体?
それにこの身体に満ちていく、不思議な力は……?
「これが鏡の……力?
いや、まさか……」
「……え」
気が付けば私を、見えない刃のようなものが貫いていた
「先輩!!」
「あがっ……」
「なっ……ウソだろ」
地面に赤が飛び散る
痛いと言うよりは、熱い
熱した鉄が体にねじ込まれたような、そんな感じ
けれど──
血は少ししかこぼれず、見る間にその傷が塞がっていった
……私の力じゃない
私の治癒能力では、こんな傷、一瞬で治せるはずがないから
「き……傷が治っていく……」
珠紀ちゃんの呟きが遠く聞こえた
「うそ……どうして……」
「なるほど」
ニールが呟く
ニールから感じる力は、さっきまでと変わらない
「まさか……これって……」
「お前が鏡を継承したのだ」
「え……」
「……これもまた一つの運命」
「鏡を継承って、お前……」
……やっぱりこうなる運命だった
どんなに願っても、私の命は……
私は、死ぬことが定められていたのだろう
「鏡の契約者が死ななければ、この現象は収まらない
望む望まないに関わらず、お前はもう、世界を滅ぼす存在となった」
「……そんな」
「状況が変わった
もう一日猶予をやろう
鏡の契約者よ
私であればその力を支配し、人以外のものを終末から守ることもできる
お前が世界の終わりを回避したいと言うなら、私がお前の存在ごとその力を継承しよう
私と融合し、私と一つとなる他ない
私と一体になって生きるか、それとも死んで終末を回避するか
選ぶがいい
明日、ロゴスの館の、さらに森の奥にある廃墟で待とう」
そう言って、ケテルは去って行った
私はただ、身体が硬直したように立ちすくんだまま
真弘が抱きしめてくれるまで、ずっとそのままでいることしか出来なかった
誰一人として戦えない、その中で
珠紀ちゃんの声だけが遠くで聞こえていた
「もうやめて!」
珠紀ちゃんが悲鳴と共に駆け出した
私たちの前に立つのと同時に、爆発は止む
「どいてろ……珠紀」
「私たち……大丈夫だから……」
やはり私たちは、どこまでも抗い続ける
だって認められない
人を滅ぼして私たちだけが生き残るなんて、許されない
「先輩……」
「これは……俺たちの……戦い……」
「諦め……ない……」
一瞬、例えるならまさにそう
意識が途絶えた
私たちは冷たい地面に体を打ちつける
「真弘先輩!
優佳先輩!!」
「……二度と立ち上がることはあるまい」
ニールが、珠紀ちゃんに手を差し伸べる
立ち上がらなきゃ……立って、珠紀ちゃんを守らないと……
「鏡を出せ
その男と女共々、せめて楽に殺してやろう」
ふざけるな──その一言すら、出てこない
珠紀ちゃんが、拳を握って立ち上がる
「鏡は渡しません」
声がそう言って、珠紀ちゃんが札を握りしめる
「みんなも殺させはしない!
私が相手だ!」
ああ、お願い
「みんなの命も、先輩の命も、陽の鏡も……」
最期の願いでもいい
「あなたなんかに何一つ渡さない」
動いて、私の身体……
「やる気か……」
「略法、伏敵!」
珠紀ちゃんが詠唱する
「邪悪は去れ!」
札がニールに当たる
「え……」
額が割れ、血が流れ──
それでもニールは微動だにせずに、珠紀ちゃんを見つめていた
そうして珠紀ちゃんの腕を掴む
「……いい目だ
私とは違う」
「え……」
ニールは、珠紀ちゃんの手から無理矢理に鏡をもぎ取り
「あぐ……」
珠紀ちゃんは地面に投げ飛ばされていた
ああ、そんな……そんなこと……
「これで……鏡は二枚揃った」
「……この場で継承なさることを、お勧めします」
今まで黙っていたマルクトがそう口を出す
「……やけに慎重なのだな」
「……この者たちの力、無視できぬかと」
「いいだろう
では始めよう──」
陽の鏡と陰の鏡に、ニールが霊力を注いでいく
その瞬間、二つの鏡はニールを挟んで宙に浮いた
「だめ……」
「我こそが鏡の主
夜の闇の王──
今こそ、この世界に蔓延る愚者を一掃しよう」
「だめ!」
珠紀ちゃんが走り出す
その時、多分私は、無意識だった
とっさに珠紀ちゃんの足首を掴む
「きゃ!?」
その反動で、私は勢いよく走り出した
転びそうな体で、千切れそうな手足で、それでも
意地でも、この儀式の邪魔をしなければいけない
「先輩!?」
珠紀ちゃんが起き上がろうとする
「動くな!」
言霊でそう制して、私は
無防備なニールに駆け寄り、その体に体当たりした
その刹那
熱い何かが、私の身体の中に入り込んできた
「う……うぁぁぁあっ!!」
体の中で何かが暴れる
それを懸命に抑え続けた
「うぅぅぅうう!!」
「せ……先輩、優佳先輩……!」
そして──すべてが収まった
「……え……?
一体……何が……」
珠紀ちゃんが呆然と呟く
鏡が発していた光は収束して、どこにもない
私はただ震える足で立ち上がり、自分の手を見つめた
私の中に入り込んできた力……あれは、一体?
それにこの身体に満ちていく、不思議な力は……?
「これが鏡の……力?
いや、まさか……」
「……え」
気が付けば私を、見えない刃のようなものが貫いていた
「先輩!!」
「あがっ……」
「なっ……ウソだろ」
地面に赤が飛び散る
痛いと言うよりは、熱い
熱した鉄が体にねじ込まれたような、そんな感じ
けれど──
血は少ししかこぼれず、見る間にその傷が塞がっていった
……私の力じゃない
私の治癒能力では、こんな傷、一瞬で治せるはずがないから
「き……傷が治っていく……」
珠紀ちゃんの呟きが遠く聞こえた
「うそ……どうして……」
「なるほど」
ニールが呟く
ニールから感じる力は、さっきまでと変わらない
「まさか……これって……」
「お前が鏡を継承したのだ」
「え……」
「……これもまた一つの運命」
「鏡を継承って、お前……」
……やっぱりこうなる運命だった
どんなに願っても、私の命は……
私は、死ぬことが定められていたのだろう
「鏡の契約者が死ななければ、この現象は収まらない
望む望まないに関わらず、お前はもう、世界を滅ぼす存在となった」
「……そんな」
「状況が変わった
もう一日猶予をやろう
鏡の契約者よ
私であればその力を支配し、人以外のものを終末から守ることもできる
お前が世界の終わりを回避したいと言うなら、私がお前の存在ごとその力を継承しよう
私と融合し、私と一つとなる他ない
私と一体になって生きるか、それとも死んで終末を回避するか
選ぶがいい
明日、ロゴスの館の、さらに森の奥にある廃墟で待とう」
そう言って、ケテルは去って行った
私はただ、身体が硬直したように立ちすくんだまま
真弘が抱きしめてくれるまで、ずっとそのままでいることしか出来なかった
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