十八章
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村人が誰もいなくなって、私もようやく落ち着いた
真弘の手を借りてどうにか立ち上がり、それでも俯いたまま動けずにいると
「……アレを救う気なのか?
お前たちは」
アリアがそう私たちに問いかけた
答えられない私に代わって、珠紀ちゃんが頷く
「追い詰められているだけなんだと思う
立場が変われば、私だって同じことを言っていたかもしれない」
「……失望させるようなことを言うな、珠紀」
「私は、アリアが思ってるほど立派な人じゃないから
……大切な人が眠ったまま起きなくなっちゃうなんてことに遭ったら、誰だって……」
「そう……ね、私も……逆の立場だったなら、家族を殺した人をずっと恨んで……
その人が原因でみんな死ぬんだって言われたら……殺したいと、思ったかもしれない……」
未だに血が流れ続ける肩を抑えながら、私はポツリと呟いた
珠紀ちゃんもみんなも、誤解している
私は優しい奴なんだって誤解してしまっている
「……いつか……いつか、話すから
十五年前、何が起きたのか……私が、何をしたのか……ちゃんと話すから……
……今だけは、お願い……何も聞かないで……」
珠紀ちゃんと祐一が頷く
真弘は黙って私を見て、眉根を寄せていた
「でも優佳先輩、私も真弘先輩と同じ気持ちです
優佳先輩は何も悪いことなんてしてないって、私は信じてます」
「珠紀ちゃん……ありがとう、祐一も……
もしかしたら、私はそんな信頼に背くかもしれないのに……」
ぎこちなく微笑んで見せようとした、その時
唐突に、この場にいないはずの声が答えた
「卑下することはないさ
君はよくやっていると思うよ?」
「この……声……」
忘れるものか……
私たちを罠に嵌め、窮地に陥らせたうちの一人
典薬寮の──
「やあ、芦屋正隆おじさんの登場だ」
「芦屋──」
「お前、よくもノコノコと俺たちの前に現れたな!」
真弘が私の前に立って、芦屋に食って掛かる
芦屋はおどけたように両手を上げた
「ま、待った待った!
勘弁してくれよ
何度も言うけど、僕は君たちの味方なんだってば」
「……俺たちの仲間はどうした?」
祐一が尋ねた
いつもの祐一らしくない、厳しい瞳だ
「典薬寮で身柄は預かってる」
「……無事……なんですね?」
「僕でよければ保証する」
珠紀ちゃんが深く深くため息をついた
別れてからずっと、もしかしたら、という気持ちがあった
「彼らを助けます……
芦屋さん、案内を頼めますか?」
「残念ながら、無理だ」
「どういうことだ?」
「今は言えない
五瀬はアレで、カンのいい男だからね
君たちの素振りから、僕の用意した策を見破ってしまうかもしれない
でも、これだけは言っておくよ
彼らは彼らの戦いをしている
君らは決して、孤立しているわけじゃない」
「そう……でしたか」
生きていると思うと、安堵のため息が漏れた
よかった
拓磨も遼も、大蛇さんも慎司も……
美鶴も凜も、みんな無事
芦屋の言葉が真実か嘘かはともかく、今は素直に信じたいと思った
「もう一つ、有益な情報をあげよう」
「情報?」
「ニールから鏡を奪うなら、今しかない
五瀬はニールを襲撃する予定でいる」
「典薬寮に勝ち目はないように思えたが?」
「奥の手を使う気になったようだよ
ま、それだけ追い詰められてるってことなんだろうね」
「奥の手って……?」
「行けばわかる
口で説明しても、どうせ信じやしないさ
いずれにせよ、漁夫の利を狙うなら今
こんなチャンスはもう二度と訪れないかもしれない
行くか行かないかは君たちに任せる
僕を信じるか信じないかもね」
芦屋正隆という男が、正直、よく分からなかった
味方としてこちらに手を貸したかと思えば、敵に回って私たちを追い詰める
どちらが本当の芦屋正隆なのか……
「……なんで、こんなことをするんですか?
五瀬さん裏切るのは、あなたにとって危険なことではないんですか?」
「小さな頃、正義の味方に憧れていたんだ
今でも結構憧れてる
これが理由」
いつものニヤニヤ笑いでそう言うと、芦屋は去って行った
残されたのは私たちだけ
「で……どうする?
珠紀」
珠紀ちゃんは少しだけ考えるように眉根を寄せた
けれど、今の言葉が本当なら、今しかチャンスがないというのも正しい
「……行きましょう」
珠紀ちゃんは顔を上げて言った
「この先に何があっても、私たちがやらなくてはいけないことは変わりません」
私たちは、洋館に向かって歩き出した
これが罠ではないことを願って
真弘の手を借りてどうにか立ち上がり、それでも俯いたまま動けずにいると
「……アレを救う気なのか?
お前たちは」
アリアがそう私たちに問いかけた
答えられない私に代わって、珠紀ちゃんが頷く
「追い詰められているだけなんだと思う
立場が変われば、私だって同じことを言っていたかもしれない」
「……失望させるようなことを言うな、珠紀」
「私は、アリアが思ってるほど立派な人じゃないから
……大切な人が眠ったまま起きなくなっちゃうなんてことに遭ったら、誰だって……」
「そう……ね、私も……逆の立場だったなら、家族を殺した人をずっと恨んで……
その人が原因でみんな死ぬんだって言われたら……殺したいと、思ったかもしれない……」
未だに血が流れ続ける肩を抑えながら、私はポツリと呟いた
珠紀ちゃんもみんなも、誤解している
私は優しい奴なんだって誤解してしまっている
「……いつか……いつか、話すから
十五年前、何が起きたのか……私が、何をしたのか……ちゃんと話すから……
……今だけは、お願い……何も聞かないで……」
珠紀ちゃんと祐一が頷く
真弘は黙って私を見て、眉根を寄せていた
「でも優佳先輩、私も真弘先輩と同じ気持ちです
優佳先輩は何も悪いことなんてしてないって、私は信じてます」
「珠紀ちゃん……ありがとう、祐一も……
もしかしたら、私はそんな信頼に背くかもしれないのに……」
ぎこちなく微笑んで見せようとした、その時
唐突に、この場にいないはずの声が答えた
「卑下することはないさ
君はよくやっていると思うよ?」
「この……声……」
忘れるものか……
私たちを罠に嵌め、窮地に陥らせたうちの一人
典薬寮の──
「やあ、芦屋正隆おじさんの登場だ」
「芦屋──」
「お前、よくもノコノコと俺たちの前に現れたな!」
真弘が私の前に立って、芦屋に食って掛かる
芦屋はおどけたように両手を上げた
「ま、待った待った!
勘弁してくれよ
何度も言うけど、僕は君たちの味方なんだってば」
「……俺たちの仲間はどうした?」
祐一が尋ねた
いつもの祐一らしくない、厳しい瞳だ
「典薬寮で身柄は預かってる」
「……無事……なんですね?」
「僕でよければ保証する」
珠紀ちゃんが深く深くため息をついた
別れてからずっと、もしかしたら、という気持ちがあった
「彼らを助けます……
芦屋さん、案内を頼めますか?」
「残念ながら、無理だ」
「どういうことだ?」
「今は言えない
五瀬はアレで、カンのいい男だからね
君たちの素振りから、僕の用意した策を見破ってしまうかもしれない
でも、これだけは言っておくよ
彼らは彼らの戦いをしている
君らは決して、孤立しているわけじゃない」
「そう……でしたか」
生きていると思うと、安堵のため息が漏れた
よかった
拓磨も遼も、大蛇さんも慎司も……
美鶴も凜も、みんな無事
芦屋の言葉が真実か嘘かはともかく、今は素直に信じたいと思った
「もう一つ、有益な情報をあげよう」
「情報?」
「ニールから鏡を奪うなら、今しかない
五瀬はニールを襲撃する予定でいる」
「典薬寮に勝ち目はないように思えたが?」
「奥の手を使う気になったようだよ
ま、それだけ追い詰められてるってことなんだろうね」
「奥の手って……?」
「行けばわかる
口で説明しても、どうせ信じやしないさ
いずれにせよ、漁夫の利を狙うなら今
こんなチャンスはもう二度と訪れないかもしれない
行くか行かないかは君たちに任せる
僕を信じるか信じないかもね」
芦屋正隆という男が、正直、よく分からなかった
味方としてこちらに手を貸したかと思えば、敵に回って私たちを追い詰める
どちらが本当の芦屋正隆なのか……
「……なんで、こんなことをするんですか?
五瀬さん裏切るのは、あなたにとって危険なことではないんですか?」
「小さな頃、正義の味方に憧れていたんだ
今でも結構憧れてる
これが理由」
いつものニヤニヤ笑いでそう言うと、芦屋は去って行った
残されたのは私たちだけ
「で……どうする?
珠紀」
珠紀ちゃんは少しだけ考えるように眉根を寄せた
けれど、今の言葉が本当なら、今しかチャンスがないというのも正しい
「……行きましょう」
珠紀ちゃんは顔を上げて言った
「この先に何があっても、私たちがやらなくてはいけないことは変わりません」
私たちは、洋館に向かって歩き出した
これが罠ではないことを願って
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