十一章
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うんざりするくらいの青空が広がっているのは、いつものことだ
小さく息をついて、それから靴を履いて宇賀屋家の外へ出た
「……」
死にに行っているみたいだと、珠紀ちゃんは言った
私が戦う度、そう見えるのだ、と
(隠していたつもりだけど、珠紀ちゃんの目は誤魔化せなかったみたいね
……でも、私以外にももう一人いるのよ
死に急いでるんじゃないかと思うような戦い方をする人が……)
そのことに、本人が気付いていないはずはないのだけれど
その戦い方は見ていて安心できるものではないから、きっと珠紀ちゃんもそんな気持ちで私のことを見ていたのかもしれない
「……私がそうするならまだしも、どうしてそう危なっかしい戦い方をするのかしらね」
私に置いていかれまいとしているのか、それとも、自分を犠牲にしてでも仲間を守りたいと思っているのか……
やれやれと小さく首を振って、玄関口から歩を進めた
顔を思い浮かべたせいで真弘に会いたくなって、境内へ行くと、そこには幼馴染みである二人の姿があった
「真弘、祐一
ここに居たんだ」
「ほーら、やっぱり来た
言った通りだろ」
「まあ、そうだな」
「一体何の話?」
自信満々な真弘と、その真弘へと静かに頷く祐一に、首を傾げる
やっぱりってどういうことだろう
「真弘がな、お前が絶対自分に会いに来ると、主張していたんだ」
「私が真弘に会いに行くって?」
「当たったろ?」
「う……」
まあ、そうと言えばそうだけど
なんというかこう、素直に頷きたくないというか……
見透かされていたのが、ちょっと恥ずかしいというか……
「まーったく、しょうがねえな
この鴉取真弘様がそばにいなけりゃ、不安で仕方ねえか?」
「な……なんでそうなるのよ!」
「素直じゃねえなぁ
意地張るな」
「意地なんか張ってないわよ!
私は祐一に会いに来たの!」
「な……」
はっ、しまった……
恋人である真弘に対して、とんでもない爆弾を投下してしまった気がする……
「いや、違っ……」
「嬉しいことを言ってくれるな
俺で力になれるなら、何でもしよう」
「あ……いや……その……
と、とりあえず近いです、祐一さん……」
「俺はどうでもいいって言うのか!
あと、顔赤くしてんじゃねーよ!」
「そ……そんなこと言ってないじゃない!
あと顔も赤くしてないわよ!
それから祐一もちょっと離れて!
心臓に悪い!」
「それはすまない」
少しの含み笑いを残して、祐一が私から離れる
揶揄われてるなとは思ったけど、案の定だ
「……ったくよー
なんでこう、お前は素直じゃねえのかな」
「原因の大半はお前にある気がするな」
うん、いつも通りの二人だ
これから、ニールと戦うことになるのに、緊張も恐怖もないみたいに見える
「……二人は、すごいよね
これから戦いだっていうのに、全然緊張してないし、いつも通りの二人に見えて……」
思わず本音を零してしまうと、二人は口を閉ざした
「……怖いか?」
「え……」
「戦いが怖いか、優佳?」
祐一が静かに私へ問う
私は、瞬きをして──それから力なく笑った
「怖くない戦いなんて、今まで一度もなかったよ」
「奇遇だな
俺たちも一緒だ
怖くない戦いなどなかった
戦いの結果に絶対はない
その先に何が待ち受けているのか、確かなことは誰も言えない」
「……祐一」
祐一がそっと、私の肩に手を置く
そうして祐一は小さく微笑んだ
「それでも、あえてこう言おう
俺たちを信じてくれと」
「そういうことだ
俺達を信じてりゃいい
お前が一緒に戦ってるって分かりゃ、俺達が負けるわけがねぇ」
真弘の力強い言葉に、俯きかけた背が伸びる
……私達は今、みんなで一つの方向を向いて戦っている
一年前の戦いの時みたいに、私と真弘だけが違う方向を向いているのではなくて
みんなで、「一緒に生きて明日を迎える」ために
「……そう、ね、そうよね
一人で戦うんじゃなくて、皆で一緒に戦うんだもんね
それに、私達の後ろには珠紀ちゃんがいるんだから」
「お前達の言う通りだ
心配はいらない
俺達は勝つだろう」
「……うん」
戦いは、気持ちや気迫だけで勝てるものじゃない
それは私もよく分かってる
それでも、絶対勝つと、私達なら勝てると言われると安心する
「……ありがとう、二人とも
なんだか安心した」
「やっと俺のありがたみが分かったか!
惚れんなよ?」
「何言ってるのよ
私はずっと真弘に惚れたままなのに」
「あ、いやまあ……
……おう」
「ふふ……」
急にしどろもどろになった真弘へ、祐一が少し笑う
なんだか私も、余計な肩の力が抜けて、ちょっとだけ気が楽になった
「……勝とうね
それで来年の春、みんなで同じ大学に行こう」
「ああ」
「そうだな、二浪はさすがに勘弁だしよ」
真弘と笑い合って、空を見上げる
変わらない真昼の青空──この空に、夕暮れと夜が、そして朝焼けが戻りますように
そのために、私達は戦う
三人の心がひとつになったのを感じて、私はもう一度「ありがとう」と呟いた
「俺はもう少しここにいるが、お前たちはどうする?」
「俺はそろそろ戻るぜ
色々と準備もあるしな」
「私は……」
「じゃあ、先に行くからな」
「あ……ちょっと」
真弘の背中を見ているうちに、別の不安が顔を出す
少し、本当に少しだけ、嫌な予感がした
真弘から私が遠ざかってしまうような、そんな予感が……
本当にもしかしたら、今回こそ、私は真弘を置いて──
「わ、私も行く」
咄嗟にそう言うと、祐一は最初から分かっていたかのように頷いた
「じゃあな」
「うん」
祐一と別れ、真弘の後を追い掛ける
踏み出した一歩で足を止め、祐一を振り返って
「ねえ……祐一」
「どうした?」
「……私がもし、いなくなったら……」
──真弘のこと、お願いね
なんて、そんなこと、言えない
「……やっぱり何でもない
また後でね」
祐一に手を振って、今度こそ真弘を追い掛けていく
真弘は強いから……きっと、誰かに頼まなくたって、ひとりで歩いていけると思う
その背中を、私はいつまで追いかけていけるんだろう
……いつまで、私は真弘と一緒にいられるんだろう
小さく息をついて、それから靴を履いて宇賀屋家の外へ出た
「……」
死にに行っているみたいだと、珠紀ちゃんは言った
私が戦う度、そう見えるのだ、と
(隠していたつもりだけど、珠紀ちゃんの目は誤魔化せなかったみたいね
……でも、私以外にももう一人いるのよ
死に急いでるんじゃないかと思うような戦い方をする人が……)
そのことに、本人が気付いていないはずはないのだけれど
その戦い方は見ていて安心できるものではないから、きっと珠紀ちゃんもそんな気持ちで私のことを見ていたのかもしれない
「……私がそうするならまだしも、どうしてそう危なっかしい戦い方をするのかしらね」
私に置いていかれまいとしているのか、それとも、自分を犠牲にしてでも仲間を守りたいと思っているのか……
やれやれと小さく首を振って、玄関口から歩を進めた
顔を思い浮かべたせいで真弘に会いたくなって、境内へ行くと、そこには幼馴染みである二人の姿があった
「真弘、祐一
ここに居たんだ」
「ほーら、やっぱり来た
言った通りだろ」
「まあ、そうだな」
「一体何の話?」
自信満々な真弘と、その真弘へと静かに頷く祐一に、首を傾げる
やっぱりってどういうことだろう
「真弘がな、お前が絶対自分に会いに来ると、主張していたんだ」
「私が真弘に会いに行くって?」
「当たったろ?」
「う……」
まあ、そうと言えばそうだけど
なんというかこう、素直に頷きたくないというか……
見透かされていたのが、ちょっと恥ずかしいというか……
「まーったく、しょうがねえな
この鴉取真弘様がそばにいなけりゃ、不安で仕方ねえか?」
「な……なんでそうなるのよ!」
「素直じゃねえなぁ
意地張るな」
「意地なんか張ってないわよ!
私は祐一に会いに来たの!」
「な……」
はっ、しまった……
恋人である真弘に対して、とんでもない爆弾を投下してしまった気がする……
「いや、違っ……」
「嬉しいことを言ってくれるな
俺で力になれるなら、何でもしよう」
「あ……いや……その……
と、とりあえず近いです、祐一さん……」
「俺はどうでもいいって言うのか!
あと、顔赤くしてんじゃねーよ!」
「そ……そんなこと言ってないじゃない!
あと顔も赤くしてないわよ!
それから祐一もちょっと離れて!
心臓に悪い!」
「それはすまない」
少しの含み笑いを残して、祐一が私から離れる
揶揄われてるなとは思ったけど、案の定だ
「……ったくよー
なんでこう、お前は素直じゃねえのかな」
「原因の大半はお前にある気がするな」
うん、いつも通りの二人だ
これから、ニールと戦うことになるのに、緊張も恐怖もないみたいに見える
「……二人は、すごいよね
これから戦いだっていうのに、全然緊張してないし、いつも通りの二人に見えて……」
思わず本音を零してしまうと、二人は口を閉ざした
「……怖いか?」
「え……」
「戦いが怖いか、優佳?」
祐一が静かに私へ問う
私は、瞬きをして──それから力なく笑った
「怖くない戦いなんて、今まで一度もなかったよ」
「奇遇だな
俺たちも一緒だ
怖くない戦いなどなかった
戦いの結果に絶対はない
その先に何が待ち受けているのか、確かなことは誰も言えない」
「……祐一」
祐一がそっと、私の肩に手を置く
そうして祐一は小さく微笑んだ
「それでも、あえてこう言おう
俺たちを信じてくれと」
「そういうことだ
俺達を信じてりゃいい
お前が一緒に戦ってるって分かりゃ、俺達が負けるわけがねぇ」
真弘の力強い言葉に、俯きかけた背が伸びる
……私達は今、みんなで一つの方向を向いて戦っている
一年前の戦いの時みたいに、私と真弘だけが違う方向を向いているのではなくて
みんなで、「一緒に生きて明日を迎える」ために
「……そう、ね、そうよね
一人で戦うんじゃなくて、皆で一緒に戦うんだもんね
それに、私達の後ろには珠紀ちゃんがいるんだから」
「お前達の言う通りだ
心配はいらない
俺達は勝つだろう」
「……うん」
戦いは、気持ちや気迫だけで勝てるものじゃない
それは私もよく分かってる
それでも、絶対勝つと、私達なら勝てると言われると安心する
「……ありがとう、二人とも
なんだか安心した」
「やっと俺のありがたみが分かったか!
惚れんなよ?」
「何言ってるのよ
私はずっと真弘に惚れたままなのに」
「あ、いやまあ……
……おう」
「ふふ……」
急にしどろもどろになった真弘へ、祐一が少し笑う
なんだか私も、余計な肩の力が抜けて、ちょっとだけ気が楽になった
「……勝とうね
それで来年の春、みんなで同じ大学に行こう」
「ああ」
「そうだな、二浪はさすがに勘弁だしよ」
真弘と笑い合って、空を見上げる
変わらない真昼の青空──この空に、夕暮れと夜が、そして朝焼けが戻りますように
そのために、私達は戦う
三人の心がひとつになったのを感じて、私はもう一度「ありがとう」と呟いた
「俺はもう少しここにいるが、お前たちはどうする?」
「俺はそろそろ戻るぜ
色々と準備もあるしな」
「私は……」
「じゃあ、先に行くからな」
「あ……ちょっと」
真弘の背中を見ているうちに、別の不安が顔を出す
少し、本当に少しだけ、嫌な予感がした
真弘から私が遠ざかってしまうような、そんな予感が……
本当にもしかしたら、今回こそ、私は真弘を置いて──
「わ、私も行く」
咄嗟にそう言うと、祐一は最初から分かっていたかのように頷いた
「じゃあな」
「うん」
祐一と別れ、真弘の後を追い掛ける
踏み出した一歩で足を止め、祐一を振り返って
「ねえ……祐一」
「どうした?」
「……私がもし、いなくなったら……」
──真弘のこと、お願いね
なんて、そんなこと、言えない
「……やっぱり何でもない
また後でね」
祐一に手を振って、今度こそ真弘を追い掛けていく
真弘は強いから……きっと、誰かに頼まなくたって、ひとりで歩いていけると思う
その背中を、私はいつまで追いかけていけるんだろう
……いつまで、私は真弘と一緒にいられるんだろう
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