十章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
白熱したババ抜き大会から一夜が明け、翌日
朝食を済ませた後、芦屋さんに言われるまま、私たちは全員で村境の森に向かった
祐一が芦屋さんを見て、訝しげに問う
「……こんなところで、何が起きる」
「こちらの味方と、合流しておこうと思ってね」
「味方って、典薬寮のですか?」
慎司もどうやら、半信半疑のようだ
実際、私も典薬寮の仲間というその人が、どれ程頼りになるのか、測りかねている
「すごく頼りになる人達だから、期待してていいよ」
「そう、僕らと違って戦力になれる」
「あの……自分で言ってて悲しくなりませんか?」
珠紀ちゃんのそれに、二人は何も答えなかった
そりゃあ、この二人を戦力として数えたことがあるかと言われると、無いんだけど……
「……ここから先は、結界に阻まれて進めない」
遼は確かめるように透明な壁に触れて呟いた
入れない場所は今も増え続けていて、私達の行動範囲も徐々に狭まっている
「ここで待ってればいいんですか?」
「待つまでもない
ちょうど時間だ」
芦屋さんが言い終わるか、言い終わらないかのうちに──
仮面をつけ、全身を真っ黒な装束で覆った、不気味な人たちが現れる
仮面さえなければ、風貌は忍者のようだ
それらは次から次へと増え
私達は、珠紀ちゃんを囲むように守りを固めた
「みんな……」
「一応、念のためです」
安心させるように慎司が微笑む
「なんだ、てめえら?」
真弘が彼らへ向かって問う
返答は、彼らではなく──その奥から聞こえてきた
「彼らは薬師衆
ここ一年の間に編成された、対霊戦闘のエリート部隊
お目にかかれて光栄です
終末から世界を救った玉依姫
春日珠紀さん」
薬師衆の間から現れたのは、スーツを着た男性
真夏だというのに、しっかりと背広を着て、ネクタイまで締めている
「……あなたは?」
珠紀ちゃんが、警戒心を抑えながら尋ねる
「失礼、申し遅れました
五瀬新
典薬寮の幹部と捉えていただいて、差し支えありません
我々は、【国】の意志の執行者
ここで起きている事象を沈静化させるという義務を負っています」
「どういうことですか?
外に出ることができない以上、内部の状態を知ることはできないはずでは」
私の隣で珠紀ちゃんを背にして、慎司が五瀬と名乗ったその人へ言った
ここは今、村の外と完全に絶たれている
出入りはおろか、通信だってできないのに、どうやって──?
「芦屋から聞いているかもしれませんが、今回の出来事は、我々はある程度、予想していたんです
鬼斬丸封印後、季封村のあらゆる霊的な状態の観測は、我々にとって最重要事項でした
そんな中、力を持つ鏡と、それがもたらす破滅的な現象について、知ることになったのです
派遣された調査員から、一定期間連絡がなければ有事とみなし、典薬寮が持つ最高の戦力を投入する計画を立てていたのです」
……あまり納得がいかない
筋は通っているように見えるけれど、どうも背後に違う意図を感じる
「それだけの準備をしながら、なぜ私たちに一言も教えてくれなかったんですか」
「申し訳ありません
不確定なことがあまりにも多く、同時に季封村は【国】からの干渉を断っていますから
むしろ、互いに不干渉という約束を破り、ここへ侵入したことを、お詫びしなければいけないと思っていました」
珠紀ちゃんは答えない
……どうしてだろう
見た目は、しっかりしていて誠実な印象を持つ
けれど……どこか、怖い
五瀬さんの眼差しも、口調も、何かを企んでいるようには見えないのに……
「理屈なんざどうでもいいんだよ
どうにも気に入らねえな、お前の態度も、お前の組織もよ」
「この現象は、あなた方が思っている以上に、深刻なものだと考えています
どうか、信用してほしい」
……信用、典薬寮を?
この期に及んで、私達から信用を得られると、本気でそう思っているのだろうか
「……お前たち典薬寮が、油断ならない連中だってことはもう分かってるんだよ
消えろよ」
「……私がいれば、この事件を解決に導くことができるとしても……ですか?」
遼の威圧にも屈することなく、むしろ平静さを増して、五瀬さんは言った
まるで、遼がそういう反応をすると分かり切っていたかのように
「え……」
「あなた方が典薬寮に悪感情を持っていることは知っています
一年前のことを考えれば当然でしょう
だが、村の人々を救いたいのであれば、あなた方は私たちに協力すべきですよ」
「一つ、確認させてください」
珠紀ちゃんが、五瀬さんを見つめ返す
……なにか引っかかる
現状、私達と典薬寮は、利害が一致しているはず
なのに、何故だろう──本能が、この人を危険だと判断している
朝食を済ませた後、芦屋さんに言われるまま、私たちは全員で村境の森に向かった
祐一が芦屋さんを見て、訝しげに問う
「……こんなところで、何が起きる」
「こちらの味方と、合流しておこうと思ってね」
「味方って、典薬寮のですか?」
慎司もどうやら、半信半疑のようだ
実際、私も典薬寮の仲間というその人が、どれ程頼りになるのか、測りかねている
「すごく頼りになる人達だから、期待してていいよ」
「そう、僕らと違って戦力になれる」
「あの……自分で言ってて悲しくなりませんか?」
珠紀ちゃんのそれに、二人は何も答えなかった
そりゃあ、この二人を戦力として数えたことがあるかと言われると、無いんだけど……
「……ここから先は、結界に阻まれて進めない」
遼は確かめるように透明な壁に触れて呟いた
入れない場所は今も増え続けていて、私達の行動範囲も徐々に狭まっている
「ここで待ってればいいんですか?」
「待つまでもない
ちょうど時間だ」
芦屋さんが言い終わるか、言い終わらないかのうちに──
仮面をつけ、全身を真っ黒な装束で覆った、不気味な人たちが現れる
仮面さえなければ、風貌は忍者のようだ
それらは次から次へと増え
私達は、珠紀ちゃんを囲むように守りを固めた
「みんな……」
「一応、念のためです」
安心させるように慎司が微笑む
「なんだ、てめえら?」
真弘が彼らへ向かって問う
返答は、彼らではなく──その奥から聞こえてきた
「彼らは
ここ一年の間に編成された、対霊戦闘のエリート部隊
お目にかかれて光栄です
終末から世界を救った玉依姫
春日珠紀さん」
薬師衆の間から現れたのは、スーツを着た男性
真夏だというのに、しっかりと背広を着て、ネクタイまで締めている
「……あなたは?」
珠紀ちゃんが、警戒心を抑えながら尋ねる
「失礼、申し遅れました
典薬寮の幹部と捉えていただいて、差し支えありません
我々は、【国】の意志の執行者
ここで起きている事象を沈静化させるという義務を負っています」
「どういうことですか?
外に出ることができない以上、内部の状態を知ることはできないはずでは」
私の隣で珠紀ちゃんを背にして、慎司が五瀬と名乗ったその人へ言った
ここは今、村の外と完全に絶たれている
出入りはおろか、通信だってできないのに、どうやって──?
「芦屋から聞いているかもしれませんが、今回の出来事は、我々はある程度、予想していたんです
鬼斬丸封印後、季封村のあらゆる霊的な状態の観測は、我々にとって最重要事項でした
そんな中、力を持つ鏡と、それがもたらす破滅的な現象について、知ることになったのです
派遣された調査員から、一定期間連絡がなければ有事とみなし、典薬寮が持つ最高の戦力を投入する計画を立てていたのです」
……あまり納得がいかない
筋は通っているように見えるけれど、どうも背後に違う意図を感じる
「それだけの準備をしながら、なぜ私たちに一言も教えてくれなかったんですか」
「申し訳ありません
不確定なことがあまりにも多く、同時に季封村は【国】からの干渉を断っていますから
むしろ、互いに不干渉という約束を破り、ここへ侵入したことを、お詫びしなければいけないと思っていました」
珠紀ちゃんは答えない
……どうしてだろう
見た目は、しっかりしていて誠実な印象を持つ
けれど……どこか、怖い
五瀬さんの眼差しも、口調も、何かを企んでいるようには見えないのに……
「理屈なんざどうでもいいんだよ
どうにも気に入らねえな、お前の態度も、お前の組織もよ」
「この現象は、あなた方が思っている以上に、深刻なものだと考えています
どうか、信用してほしい」
……信用、典薬寮を?
この期に及んで、私達から信用を得られると、本気でそう思っているのだろうか
「……お前たち典薬寮が、油断ならない連中だってことはもう分かってるんだよ
消えろよ」
「……私がいれば、この事件を解決に導くことができるとしても……ですか?」
遼の威圧にも屈することなく、むしろ平静さを増して、五瀬さんは言った
まるで、遼がそういう反応をすると分かり切っていたかのように
「え……」
「あなた方が典薬寮に悪感情を持っていることは知っています
一年前のことを考えれば当然でしょう
だが、村の人々を救いたいのであれば、あなた方は私たちに協力すべきですよ」
「一つ、確認させてください」
珠紀ちゃんが、五瀬さんを見つめ返す
……なにか引っかかる
現状、私達と典薬寮は、利害が一致しているはず
なのに、何故だろう──本能が、この人を危険だと判断している
1/5ページ