一章
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その神社は、山間にある小さな村の中にありました
電波も届かないその村の名は、季封村
そして村にある神社の名は、玉依毘売神社といいまして、玉依姫という女神様をお祀りしています
玉依姫には七人の守護者がおりました
鬼の子孫のほか、八咫烏の子孫、大蛇の子孫、妖狐の子孫というカミの子孫達がおりまして、他にも人ならざる力を持つヒトの子孫達がおりました
その中にあって、ただひとり、不思議な力を持つ守護者が存在しました
玉依姫と変わらぬ力を持ちながら、玉依姫をお傍にて守り続けた一柱のカミ
そのカミを尊び、守護者達は口を揃えて申しました
『風が薫らば天を仰げ、そこに神桜の花が舞う』
そのカミの名を、木花開耶姫
今からおよそ千年前、季封の地をオニが荒し回った時、当世の玉依姫は封じられていた『力』を解放し、四柱のカミと共にこれと戦いました
オニは倒されたものの、妖狐の幻灯火、大蛇の胡土前が命を落としました
また『力』を再度封印するも、それは甚だ弱いものであり、いずれこの封印が解けてしまうだろうことも、玉依姫は理解しておりました
その時、残った二柱のカミは玉依姫へ言いました
「私たちに封印の力の一部をくれないか
種程のものでいい
私たちはそれを永劫の輪廻の中で、大樹にまで育てよう
いずれ時が来て、その時あなたが、封印の力を振るうことができなかったら──この命とそこに根ざし成長した封印の力を持って、その弱まった封印の一部となろう」
玉依姫は二柱のカミの願いに応え、二人に力を分け与えました
しかし木花開耶姫は一人、玉依姫に言いました
「どうかあなたの力を分けてほしい
ほんの一滴で構わない
その時が来たならば、私はこの命を差し出そう
あなたから分けられたこの力を、生を繰り返す事に大きく育てよう
いつかあなたと同じだけの力となったとき、私は再び封印の管理者として、あなたの代わりに封印を完全なものにすると約束しよう」
玉依姫はその願いに応え、自身の力と同じ力を木花開耶姫に与えました
……それから千年の時が経ちました
鬼斬丸の封印を解放せんと現れたロゴスとの戦いは、熾烈を極めました
一時は全ての封印が解かれ、鬼斬丸がこの世に顕現してしまいます
木花開耶姫の子孫は、空疎尊の子孫と契約を交わし、覚醒した力をもって、見事これを完全に封印しました
命をもって封印するのではなく、明日を生きるために
二人は、己の持つ力だけで、果てを呼ぶ程の力を封じたのです
──それから一年が経ちました
美しくも儚きそのカミの子孫は、今もこの季封の地にて、玉依姫をお守りしております
……しかし、彼女の選んだ答えは、万人に認められるものではありませんでした
──ある人が言いました
『あなたは鬼斬丸解放の危機にあってこれを封じ、世界に平和をもたらした
その事には感謝しよう
だがそれでも、死んだ人は戻って来ない』
美しくも儚い、桜の化身たるカミの子孫は、静かに答えました
『申し訳ありません』
彼女に許された言葉は、それだけでした
またある人が言いました
『あなたが封印と共に死ぬ運命であったから、我々は怒りを呑んだ
それなのにどうして生きている』
彼女はまた答えました
『申し訳ありません』
それ以外の言葉は、何の意味も持ちません
そして彼らの怒りを真に理解しているからこそ、彼女はただ静かに口を閉ざしていました
……ある人が、言いました
『あなたの選択もあなたの命も、許容できない
我々はあなたを許さない』
その言葉を聞いた彼女は、ようやくそこで美しいかんばせを持ち上げました
そこに浮かぶのは綺麗な微笑みでした
血色の良い唇が淑やかに弧を描き、そうして透き通った美しい声が、静かに答えました
『あなた方が私を許す必要などありません
たとえ当代の玉依姫が、私の全てを許そうとも、私が私を決して許しはしないでしょう』
陶器のように真っ白な手首に、枷がひとつ
すらりと伸びる首に、枷がひとつ
細い足首に、枷がひとつ
美しい微笑みを浮かべたまま、桜の化身たるカミの子孫は目を閉じました
『なぜなら私は』
──罪人だからです
電波も届かないその村の名は、季封村
そして村にある神社の名は、玉依毘売神社といいまして、玉依姫という女神様をお祀りしています
玉依姫には七人の守護者がおりました
鬼の子孫のほか、八咫烏の子孫、大蛇の子孫、妖狐の子孫というカミの子孫達がおりまして、他にも人ならざる力を持つヒトの子孫達がおりました
その中にあって、ただひとり、不思議な力を持つ守護者が存在しました
玉依姫と変わらぬ力を持ちながら、玉依姫をお傍にて守り続けた一柱のカミ
そのカミを尊び、守護者達は口を揃えて申しました
『風が薫らば天を仰げ、そこに神桜の花が舞う』
そのカミの名を、
今からおよそ千年前、季封の地をオニが荒し回った時、当世の玉依姫は封じられていた『力』を解放し、四柱のカミと共にこれと戦いました
オニは倒されたものの、妖狐の幻灯火、大蛇の胡土前が命を落としました
また『力』を再度封印するも、それは甚だ弱いものであり、いずれこの封印が解けてしまうだろうことも、玉依姫は理解しておりました
その時、残った二柱のカミは玉依姫へ言いました
「私たちに封印の力の一部をくれないか
種程のものでいい
私たちはそれを永劫の輪廻の中で、大樹にまで育てよう
いずれ時が来て、その時あなたが、封印の力を振るうことができなかったら──この命とそこに根ざし成長した封印の力を持って、その弱まった封印の一部となろう」
玉依姫は二柱のカミの願いに応え、二人に力を分け与えました
しかし木花開耶姫は一人、玉依姫に言いました
「どうかあなたの力を分けてほしい
ほんの一滴で構わない
その時が来たならば、私はこの命を差し出そう
あなたから分けられたこの力を、生を繰り返す事に大きく育てよう
いつかあなたと同じだけの力となったとき、私は再び封印の管理者として、あなたの代わりに封印を完全なものにすると約束しよう」
玉依姫はその願いに応え、自身の力と同じ力を木花開耶姫に与えました
……それから千年の時が経ちました
鬼斬丸の封印を解放せんと現れたロゴスとの戦いは、熾烈を極めました
一時は全ての封印が解かれ、鬼斬丸がこの世に顕現してしまいます
木花開耶姫の子孫は、空疎尊の子孫と契約を交わし、覚醒した力をもって、見事これを完全に封印しました
命をもって封印するのではなく、明日を生きるために
二人は、己の持つ力だけで、果てを呼ぶ程の力を封じたのです
──それから一年が経ちました
美しくも儚きそのカミの子孫は、今もこの季封の地にて、玉依姫をお守りしております
……しかし、彼女の選んだ答えは、万人に認められるものではありませんでした
──ある人が言いました
『あなたは鬼斬丸解放の危機にあってこれを封じ、世界に平和をもたらした
その事には感謝しよう
だがそれでも、死んだ人は戻って来ない』
美しくも儚い、桜の化身たるカミの子孫は、静かに答えました
『申し訳ありません』
彼女に許された言葉は、それだけでした
またある人が言いました
『あなたが封印と共に死ぬ運命であったから、我々は怒りを呑んだ
それなのにどうして生きている』
彼女はまた答えました
『申し訳ありません』
それ以外の言葉は、何の意味も持ちません
そして彼らの怒りを真に理解しているからこそ、彼女はただ静かに口を閉ざしていました
……ある人が、言いました
『あなたの選択もあなたの命も、許容できない
我々はあなたを許さない』
その言葉を聞いた彼女は、ようやくそこで美しいかんばせを持ち上げました
そこに浮かぶのは綺麗な微笑みでした
血色の良い唇が淑やかに弧を描き、そうして透き通った美しい声が、静かに答えました
『あなた方が私を許す必要などありません
たとえ当代の玉依姫が、私の全てを許そうとも、私が私を決して許しはしないでしょう』
陶器のように真っ白な手首に、枷がひとつ
すらりと伸びる首に、枷がひとつ
細い足首に、枷がひとつ
美しい微笑みを浮かべたまま、桜の化身たるカミの子孫は目を閉じました
『なぜなら私は』
──罪人だからです
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