八章
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宝具の封印の地には、守護六家全員が集まっていた
大木がそびえたつ地
私たち守護者の顔には、緊張の色が浮かんでいた
「一応、みんなにも呪符を貼っておく」
全員が頷いたのを見て、私は六枚の護符を作り出した
「急々如律令」
さっき珠紀ちゃんに貼ったものよりさらに強力な護符を全員に飛ばす
私に貼った護符がすっと消えるのを見て、頷いた
「……敵、来ないね」
珠紀ちゃんがそう呟いた
確かに、私たちはずっとここで敵を待っている
「……いや、来る
仕掛けてきたのは向こうなんだからな」
拓磨がはっきりとそう言った
それは私も同意だ、これだけの異常を感知させておいて、来ないはずがない
ごくりと生唾を飲み込んだ私の手には、手汗が握り締められている
こんな緊迫感のある状況は初めてだ
カミを常世に還す時の比じゃない
「……怖いか、優佳?」
私の隣に立つ祐一がそう尋ねてくれて、自分の体を縛る感情をようやく自覚した
「……うん、実はちょっとだけ」
「どこがちょっとだけだよ、お前は相変わらず見栄っ張りだよな」
「ち、ちょっとだけだってば」
「手が震えるぞ」
真弘が私の握り締めた手のひらを、左手で上から握ってきた
真弘にはやっぱり、嘘がつけないな
「……優佳先輩も怖いんですね」
珠紀ちゃんがそう言ってほっとしたように笑う
この中で誰よりも、『何かと戦う』ことに慣れていないのは、珠紀ちゃんだ
珠紀ちゃんだってこうして落ち着いているのに、私が気弱でどうする
「……珠紀ちゃんも怖い?」
「だって、こんなに緊迫した空気は、初めてだから」
「ふふ、そうだよね」
珠紀ちゃんの言葉を受けて、大きく深呼吸をする
私は守護六家の一人、木花開耶姫の子孫
玉依姫を……珠紀ちゃんを守る、守護者だ
「まだ怖いか?」
「ううん
緊張はしてるけど、珠紀ちゃんを守るためなら、怖くない」
「それでこそ優佳だ」
祐一と真弘が両隣で頷いてくれる
怖くない、こんなこと、怖いはずない
(こんなものよりもっと酷い恐怖を、私は味わったはずでしょう)
グッと足に力を込めて立つ
ここにやってくるであろう者たちを、迎え撃つために
――そして、ふいに足音が聞こえてきた
軽い、小さな足音が
闇の中からそれは現れた
金髪のウェーブがかかった、少女の姿をしていた
年は十歳に届くくらい
大きな青い目が、私たちを眺めていた
その瞳に、人を超えた何かを感じる
「くだらない」
その少女は、退屈そうに言った
声は幼く、けれど気高く
「……誰なの?
あなた」
珠紀ちゃんがそう呟く
少女は青い瞳を、珠紀ちゃんへ向けた
「誰?
私のことを聞いているのか
……そうだな、紹介しておく必要が、あるか」
そう言ったとき、少女の後ろから三人の従者が現れた
うち二人は、私も目にしたことがある男だ
「長髪の者がアイン
こっちの鎌の男がツヴァイ」
ツヴァイ――
さっきの恐怖に似た感情がぶり返してくる
あの目――あの赤い目には、底知れない冷たさを感じた
まるで深い沼の底のような……温度のない、凍てついた冷たさを
「杖の老人がドライ
魔術師 だ」
「以後、よろしく頼もうかね」
ドライと言われた老人はそう言った
大きな眼鏡の奥にある瞳は、奇妙に弧を描いている
「その木の根の上でぼんやりしているのが、フィーア」
少女が指差す方向には、いつの間にか女の人がいた
フィーアは珠紀ちゃんを見て、少し微笑んだ
「そして私がモナド
セフィロトの化身、ロゴスのすべて
アリア・ローゼンブルグだ」
モナド
……聖女という意味だ
アリアは少し笑って見せた
「……お前たちから、我が手中に収めるべきものを奪いに来た」
つまりそれは、鬼斬丸を狙っているということだ
そしてそれは――私達、玉依とそれに連なる者たちへの、宣戦布告でもあった
大木がそびえたつ地
私たち守護者の顔には、緊張の色が浮かんでいた
「一応、みんなにも呪符を貼っておく」
全員が頷いたのを見て、私は六枚の護符を作り出した
「急々如律令」
さっき珠紀ちゃんに貼ったものよりさらに強力な護符を全員に飛ばす
私に貼った護符がすっと消えるのを見て、頷いた
「……敵、来ないね」
珠紀ちゃんがそう呟いた
確かに、私たちはずっとここで敵を待っている
「……いや、来る
仕掛けてきたのは向こうなんだからな」
拓磨がはっきりとそう言った
それは私も同意だ、これだけの異常を感知させておいて、来ないはずがない
ごくりと生唾を飲み込んだ私の手には、手汗が握り締められている
こんな緊迫感のある状況は初めてだ
カミを常世に還す時の比じゃない
「……怖いか、優佳?」
私の隣に立つ祐一がそう尋ねてくれて、自分の体を縛る感情をようやく自覚した
「……うん、実はちょっとだけ」
「どこがちょっとだけだよ、お前は相変わらず見栄っ張りだよな」
「ち、ちょっとだけだってば」
「手が震えるぞ」
真弘が私の握り締めた手のひらを、左手で上から握ってきた
真弘にはやっぱり、嘘がつけないな
「……優佳先輩も怖いんですね」
珠紀ちゃんがそう言ってほっとしたように笑う
この中で誰よりも、『何かと戦う』ことに慣れていないのは、珠紀ちゃんだ
珠紀ちゃんだってこうして落ち着いているのに、私が気弱でどうする
「……珠紀ちゃんも怖い?」
「だって、こんなに緊迫した空気は、初めてだから」
「ふふ、そうだよね」
珠紀ちゃんの言葉を受けて、大きく深呼吸をする
私は守護六家の一人、木花開耶姫の子孫
玉依姫を……珠紀ちゃんを守る、守護者だ
「まだ怖いか?」
「ううん
緊張はしてるけど、珠紀ちゃんを守るためなら、怖くない」
「それでこそ優佳だ」
祐一と真弘が両隣で頷いてくれる
怖くない、こんなこと、怖いはずない
(こんなものよりもっと酷い恐怖を、私は味わったはずでしょう)
グッと足に力を込めて立つ
ここにやってくるであろう者たちを、迎え撃つために
――そして、ふいに足音が聞こえてきた
軽い、小さな足音が
闇の中からそれは現れた
金髪のウェーブがかかった、少女の姿をしていた
年は十歳に届くくらい
大きな青い目が、私たちを眺めていた
その瞳に、人を超えた何かを感じる
「くだらない」
その少女は、退屈そうに言った
声は幼く、けれど気高く
「……誰なの?
あなた」
珠紀ちゃんがそう呟く
少女は青い瞳を、珠紀ちゃんへ向けた
「誰?
私のことを聞いているのか
……そうだな、紹介しておく必要が、あるか」
そう言ったとき、少女の後ろから三人の従者が現れた
うち二人は、私も目にしたことがある男だ
「長髪の者がアイン
こっちの鎌の男がツヴァイ」
ツヴァイ――
さっきの恐怖に似た感情がぶり返してくる
あの目――あの赤い目には、底知れない冷たさを感じた
まるで深い沼の底のような……温度のない、凍てついた冷たさを
「杖の老人がドライ
「以後、よろしく頼もうかね」
ドライと言われた老人はそう言った
大きな眼鏡の奥にある瞳は、奇妙に弧を描いている
「その木の根の上でぼんやりしているのが、フィーア」
少女が指差す方向には、いつの間にか女の人がいた
フィーアは珠紀ちゃんを見て、少し微笑んだ
「そして私がモナド
セフィロトの化身、ロゴスのすべて
アリア・ローゼンブルグだ」
モナド
……聖女という意味だ
アリアは少し笑って見せた
「……お前たちから、我が手中に収めるべきものを奪いに来た」
つまりそれは、鬼斬丸を狙っているということだ
そしてそれは――私達、玉依とそれに連なる者たちへの、宣戦布告でもあった
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